2012.04.28更新

<事例>
Aさんは配偶者Bと長男C,長女Dが推定相続人でした。
長女Dの結婚後、Dの夫であるEとAは養子縁組をしました。

Aは、相続税対策として自らの財産を減らすため
相続時精算課税を利用してC,D,Eに均等に金融財産の贈与を
行いました(金額は2500万円以上)。

しかし、BはAの財産がCDEの3名に均等に贈与されると
長男CがAから贈与される財産よりも、DE夫婦がAから贈与される
財産の方が多くなることが納得できませんでした。
そもそもBは、DEの結婚も反対していました。

最近では、BはAE間の養子縁組を離縁するか、あるいは
Aの相続発生時にはEは相続放棄をするか、どちらかを
Eに要求するまでになりました。

さて、Bの要求に基づいて離縁するか相続放棄をする場合に
Eの課税関係はどうなるでしょうか。

<解説>
今回の事例は、相続税精算課税の適用時には推定相続人であった者が
実際の相続開始時には、相続人ではなくなった場合に相続税精算課税の適用が
どのような扱になるのか、という論点です

結論から申し上げますと、EはAさんと養子縁組を協議離縁しても
EがAさんの相続開始時に相続放棄しても、相続税精算課税を選択して
Aから贈与された金融財産(2500万円以上)については、Aの相続税計算時に
相続税の課税対象となります。

相続税精算課税制度を選択する場合、「相続時精算課税選択届出書」を
税務署に提出します。(相続税法21条の9第2項)

相続時精算課税を選択した者は、上記選択届出書を提出後に推定相続人
ではなくたったとしても、相続時精算課税制度が適用されて税額の計算を
行うことになります(相続税法21条の9第5項)

さらに相続時精算課税選択届出書は、一度提出するいかなる場合でも
撤回はできません(相続税法21条の9第6項)


このように一度選択すると後戻りできないのが、相続時精算課税制度です

一般的には、時価変動の影響を受けにくい預貯金の贈与に相続時精算課税制度を
利用する場合が多いようです。

短期的な贈与税の節税という視点だけで判断するのではなく、
財産の構成・相続税の節税対策・さらには2次相続の対策まで検討してから
相続時精算課税の選択を慎重に検討する必要があります。


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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.04.22更新

<事例>
株式会社Xの代表取締役甲には、長男乙と長女丙の二人が
法定相続人となる予定です(甲の妻は既に亡くなっています)

甲は、株式会社Xの代表取締役であり100%株主です。X社は
設立以来業績が順調に右肩上がりで、株価も上昇傾向にあります。

長男乙は、既に後継者として役員に就任していますが
長女丙は、会社経営にまったく関与していません。

甲の財産のほとんどは、株式会社X社の株式です

さて、甲は乙への事業承継と自らの相続税対策を検討するに
当たって、ひとまず株式会社Xの株式を乙に贈与することにしました。

X社株式を乙に贈与するのは、まだまだ株価が上昇する
見込みのあるX社株については、相続時精算課税で次期後継者に
贈与したほうが、乙の税負担が少ないと判断したからです。

しかし、自らの財産のほとんどがX社株式である甲は
X社株式を乙に贈与することによって、丙に遺してあげる
財産がほとんどないことが心配です。

甲が、留意すべき点を教えてください。

<解説>
まず、今後も株価が上昇する見込みのX株を相続時精算課税で
後継者乙に贈与する案は、税法上は問題ありません。

相続時精算課税は、贈与財産であるX社株の評価額が贈与時の
評価額で確定します。そのためX社の株価が、実際に甲の相続が発生
した時点で贈与時の株価よりも上昇している場合、相続税の節税対策
として有効な手段となります。

しかし、今回の事例では民法上は検討すべき課題があります。

甲の相続財産のほとんどがX社株となっているためX社株を乙に
贈与した場合、長女丙が遺留分の減殺請求を主張する
リスクがあるので留意する必要があります。

遺留分の減殺請求については、民法では以下のように
定められているようです

遺留分減殺請求の対象となる財産は、贈与については相続開始の1年前に
したもののみが算入されます。 ただし、当事者双方が遺留分権利者に
損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にした
ものについても、遺留分減殺請求の対象財産に算入します
(民法1030条)

また、特別受益に該当する財産は贈与の時点を問わず遺留分の
減殺請求の対象となる、という最高裁判例もあるようです

これらの民法の規定を考慮して、事業承継と相続税対策を同時に
実現させるためには、長女丙に遺留分の放棄を適法にしてもらう
必要があります。

(*特別受益・遺留分の放棄等については弁護士先生にご確認ください)

なお、平成20年10月から施行されている中小企業経営承継円滑化法では
後継者への株式の贈与等について、民法の遺留分の規定を緩和する
特別な措置が定められています。

ただし、適用に当たっては厳格な要件を満たす必要がありますので
事前に慎重に検討する必要があります。

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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.04.15更新

<事例>
被相続人Aの法定相続人は、配偶者Bと長男C・次男Dです。
相続財産は、預金2億円のみです。遺産分割協議は当初からもめていて
申告期限までに遺産分割協議が成立する見込みがありません

配偶者であるBは、当初遺産分割協議が円満に成立し「配偶者の税額の軽減」
(相法19の2)を適用し相続税額は0円になると考えていました。

(配偶者の税額の軽減は以下のURLでご確認ください)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4158.htm

遺産分割協議が成立しない場合、Bは相続税の納税資金が足りません。
配偶者Bさんは、どのような対応をするべきでしょうか。

<回答>
配偶者Bは、遺産分割協議が成立しない場合でも被相続人Aの銀行預金を
払戻ししたうえで、配偶者の税額の軽減を適用し相続税額を0円にすることが
できる場合があります

今回のように、遺産分割が成立しない場合すべての相続財産は相続人の共有財産
となります(民法898条)

しかし、金銭債権などの可分債権がある場合、その債権は、法律上当然に分割
されて各相続人がその相続分に応じて権利を承継するという最高裁判決があります
(最高裁昭和29年4月8日)

一般的に銀行の実務では、相続人全員の合意が成立している遺産分割協議書の
提出が無い場合、預金の払戻しには応じていないようです

しかし、今回の事例のように遺産分割協議が成立していない場合でも法定相続分の
相当する預金の払戻しを求めて訴訟を起こす場合があります。

その場合、上記最高裁判決に基づいて預金の払戻しが実現する場合もあるようです。

さらに、自己の法定相続分の払戻しを求めた訴訟に勝訴して1億円の払戻しを
配偶者Bが受けた場合は、「配偶者の税額の軽減」を適用することができると
考えられています。

いずれにしても遺産分割協議が申告期限までに成立する見込みがない場合には
納税資金の準備のために、できるだけ早く対策を検討する必要があります。

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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.04.07更新

消費税の増税法案が、まだ成立していないのは連日の報道で
多くの方がご存知のことと思いますが

相続税・贈与税関連の税制改正は、いったいどうなってるの?
というお問い合わせが多くあります

そこで、現在(4月7日)までに成立している相続・贈与関連の
税制改正をご案内いたします

最新の情報をリアルタイムで詳細に知ることができるのは
財務省の「第180回国会における財務省関連法律」というHPです

http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/index.htm

その中で、消費税・相続税・所得税などの改正はどれも
成立していないことがわかります。

現時点で成立しているのは、租税特別措置法の改正だけです
その中で、相続税・贈与税に関連する内容の主な項目は
以下の通りです


「租税特別措置法等の一部を改正する法律案要綱」本文より抜粋

(1) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置につ
いて、非課税限度額(現行 1,000 万円)を次のとおり拡充した上、その適用
期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第 70 条の2関係)

  住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用の家屋が省エネルギー性・耐
震性を備えた良質な住宅用の家屋である場合
イ  平成 24 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者  1,500 万円
ロ  平成 25 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者  1,200 万円
ハ  平成 26 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者  1,000 万円

  住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用の家屋が上記の住宅用の家屋
以外の住宅用の家屋である場合
イ  平成 24 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者  1,000 万円
ロ  平成 25 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者    700 万円
ハ  平成 26 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者    500 万円

(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得
等資金に係る贈与税について適用する。(附則第41条関係)

(2)特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の
特例について、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第
70条の3関係)


以上より、「住宅取得資金の贈与制度の拡充と延長」と「住宅取得資金の
相続時精算課税制度の延長」については、3月末までに成立しています

相続税の基礎控除引下げ等はまだ、成立していません。



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