2012.10.28更新

<事例>

親が子の生活費あるいは教育費を負担するのは、あたりまえのことです。
したがって、生活費・学費の名目で親から子への資金送金には一切贈与税が
課税されません。

しかし、息子の大学生活の生活費と学費のために、大学入学時に500万円を一括で
息子の口座に入金し、それを生活費や学費に使うように指示しました。

この場合、贈与税の課税対象となるでしょうか?

<解説>

扶養義務者からの生活費又は教育費で通常必要と認められるもの
につきましては、非課税財産として贈与税の課税対象とならないことが
相続税法で定められています。
(相法21の3(1)二)

しかし、上記非課税財産の対象となるためには、生活費又は教育費として
必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られます
(相基通21の3-5)。

今回のケースですと、大学入学時において500万円が生活費又は教育費
として必要な金額かどうかが問題となります。

入学時において、500万円が生活費又は教育費として必要な金額であれば、
非課税となり、贈与税の課税対象とはなりません。

ただし、生活費又は教育費という名目で取得した財産を貯金した場合
又は株式の購入代金に充てた場合などは課税対象となります
(相基通21の3-5)。

入学時において、500万円が生活費又は教育費として必要な金額であれば、
非課税財産として認められると考えられますが、大学生活の生活費又は
学費として4年間分を贈与した場合等、一括して贈与した場合については、
贈与税の課税対象となります。

子・孫の学費という名目で一括で資金を送金している事例が実際には
多いようです。 その都度必要な金額以上に送金した結果、子・孫の
預金残高が増加しているような場合には、贈与税の課税対象となります。

重要な根拠条文となりますので、以下に「相続税法基本通達」の原文を
紹介いたします。

贈与の実務で、間違いやすいポイントですので原文を読んで正しく
理解してください。

≪参考:相続税基本通達21の3-5≫

『法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのもの
として贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として
必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産を
いうものとする。
 したがって、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合
又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合
における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの
以外のものとして取り扱うものとする。(平15課資2-1改正)』


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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.10.21更新

<事例>

株式会社Aの代表取締役Bは、会社の業績が悪化して運転資金が
足りなくなりました。

しかし、金融機関からの借入金はこれ以上残高を増やしたくないので
自宅を売却することにしました

Bは、自宅の土地建物を売却して、譲渡所得の3000万円控除と譲渡所得の
軽減税率の適用を受けることにより、売却に関わる税額を減らすことを
検討してます

そこで、自宅の土地建物の売却案として次の2案を考えました。

1.Bの娘婿であるXに自宅土地建物を時価で売却し、Bさんは
自宅の土地建物でそのまま生活を継続する。ただしXに適正な家賃を
毎月支払う

2.株式会社Aの外注先で買掛金の支払いが滞っているY社に時価で
売却し、その後Bさんは自宅の土地建物でそのまま生活を継続する。
ただし、この場合もYに対して適正な家賃を毎月支払います

1案2案の場合で税務上の扱いは異なるのでしょうか?

<解説>

生活の拠点となっている自宅を売却した場合の所得税については
所得税の負担を軽減するためのいくつかの特例があります

その中でも一般的なのが3000万円の特別控除です
これは、所得税の課税対象となる自宅の売却益(譲渡所得)から
3000万円を控除することのできる特例です
(所法33、措法35、措令20の3、23)

この特例を適用するためには、以下の様な要件を満たす必要があります
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。
 なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から
 3年目の年の12月31日までに売ること。

(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えや
 マイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての
 損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など
 他の特例の適用を受けていないこと。

(4) ~省略~

(5) ~省略~

(6) 売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。
 特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、
 特殊な関係のある法人なども含まれます。

さて、今回の1案を上記要件に当てはめてみると
娘婿のXさんは直系血族でも生計を一にする親族でもないので
譲渡先の要件としてはクリアーです

また、自宅売却後もその家屋で生活を継続することによって
特例の適用は否認されません。 したがって売却先としてXを選択した
場合でも3000万円の特別控除は適用できます。

さらに、周辺の適正な相場から算出した家賃の相場の年間総額が例えば
贈与税の基礎控除(110万円)未満の金額である場合、課税上弊害が
無いと考えられるので、実際に家賃の支払いをしていない場合でも
贈与税の課税対象とはなりません(相続税基本通達9-10但書)


次に、2案の場合もY社は3000万円特別控除適用除外の譲渡先には該当しません。
また、自宅売却後もBさんがその家屋で生活を継続することによって
特例の適用が否認されることはありません。

さらには、BからY社への売却が譲渡担保の設定であるような場合には
一定の手続きを行うことによって譲渡所得税も課税されません


<参考>(所得税基本通達33-2 譲渡担保に係る資産の移転)

債務者が、債務の弁済の担保としてその有する資産を譲渡した場合において、
その契約書に次のすべての事項を明らかにしており、かつ、当該譲渡が
債権担保のみを目的として形式的にされたものである旨の債務者及び
債権者の連署に係る申立書を提出したときは、当該譲渡はなかったものとする。

この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は
債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じた時
において譲渡があったものとする。(昭52直資3-14、直所3-22改正)

(1) 当該担保に係る資産を債務者が従来どおり使用収益すること。

(2) 通常支払うと認められる当該債務に係る利子又は
  これに相当する使用料の支払に関する定めがあること。

(注)形式上、買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、
 上記のような要件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。



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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.10.14更新

<事例>
A社代表取締役B氏の相続税申告に当たって、A社の株価評価を
実施する必要があります。資産を精査していると財産評価でひとつだけ
問題が発生しました。

A社の本社は、第三者と賃貸借契約を締結しているオフィスビルの1室に
あります。

A社は、オフィスの利用に当たってA社の負担で内装工事の模様替え
付帯設備の改修工事を行いました。

A社の決算書には、上記工事の未償却残高が建物付属設備として
4000万円計上されています。

上記建物付属設備は、賃借したオフィスビルの一部を構成するモノであり
その追加工事部分だけを独立して取引の対象となる経済的価値は
ありません。

さて、上記のような場合でA社株式の評価を純財産額法で計算する
にあたって、上記建物付属設備の未償却残高4000万円は株価にどのように
影響を与えるでしょうか?

<解説>
結論から申し上げますと、上記の建物付属設備4000万円は
A社の株価算定上は、A社の財産として認識しない場合がありうるという
ことです

まず、上記建物付属設備4000万円をA社財産として認識するかどうか
という論点の前にA社が賃貸借契約をしている借家権そのもののが
客観的交換価値のある財産であるかどうかを検討する必要があります

そもそも財産評価基本通達94但し書きには
「ただし、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない
 地域にあるものについては、評価しない。」と定めています

特殊な地域を除いては、一般的には借家権そのものを客観的交換価値
のあるものとして取引する慣行がなく、相続財産として評価する対象と
なりません。

さらに、A社の決算書に計上される建物付属設備4000万円は
会社の期間損益計算の適正化のために、未償却残高が計上されている
にすぎず、その建物付属設備に4000万円の交換価値は無いと
考えるのが一般的です。

また、建物の賃借人が賃借中の建物に付属設備の工事を行った場合
その付属設備の所有権は建物所有者に帰属することになります

(民法第242条 「不動産の所有者は、その不動産に従として付合
 した物の所有権を取得する。)

したがって、賃借人は付属設備の経済価値について賃貸人に対して
償還請求権を所得することになるようです(民法608条)

ただし、一般的には上記償還請求権も建物の賃貸借契約書の中で
放棄している場合が多いようです。


上記より、賃借人であるA社が上記償還請求権を賃貸借契約書の
中で放棄していない場合には、上記償還請求権が債権として
A社の株価に影響を及ぼしますが

償還請求権を放棄している場合で、借家権そのものを
取引する慣行の無い地域であれば、建物の付属設備4000万円は
A社の株価算定上は、貸借対照表から除外することができます。


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