■ 借名財産(名義預金)とは?
名義預金とは、実際にお金を出した人と預金口座の名義人が異なる預金のことです。
形式上は他人の名義になっていても、実質的に預金を管理・支配していた人の財産とみなされれば
その人の死亡時に相続税の課税対象になります。
■ 具体例:母親が子供名義の預金口座に多額の資金を預けていたケース
▼ 事例
母親(Aさん)は長年にわたり、毎年一定額を長男Bさん名義の口座に預け入れていた。
預金額は累積で2,000万円に達していたが、Bさんは口座の存在も金額も知らなかった。
母親Aさんが死亡し、遺産分割協議においてこの預金が発覚。
▼ 税務署の判断
預金はAさん自身が管理し、出金・入金もAさんが行っていた。
Bさんが自由に使える状態にはなかった。
よって、この預金は**「Aさんの相続財産」**とみなされ、相続税が課税された。
■ 名義預金と判定されるリスク要因
リスク要因 | 内容 |
---|---|
資金出資者 | 預金の原資が誰のものか。親が出したなら親の財産。 |
通帳・印鑑の管理者 | 実際に管理していたのが親なら名義預金とみなされる。 |
利息の受取者 | 利息を親が申告・受け取っていた場合は親の財産。 |
名義人の認識 | 名義人が口座の存在を知らなかった、または使ったことがない。 |
■ 名義預金が発覚するきっかけ
税務署は相続発生後、被相続人および相続人の預金口座を調査します。
銀行照会により、相続人名義の口座で不自然な取引があると、名義預金の可能性を疑われます。
◾ 名義預金に関する【税務調査事例】
✅ 事例1:子の名義で預金していたが、実質的には母が管理していたケース
被相続人:母親(Aさん)
相続人:長男・長女
問題となった財産:長女名義の定期預金3,000万円
経緯:
母Aさんが長女名義の口座を開設。
生活費の一部や贈与目的として預金していたが、長女は管理しておらず、引き出しや通帳の保管もすべて母。
死後、相続税の申告から数ヶ月後に税務調査が入り、この口座を「名義預金」として指摘された。
税務署の判断:
原資はすべて母Aさん。
長女が贈与を受けた事実(契約書や贈与税の申告)がない。
管理・運用もAさんが行っていた。
よって、この預金はAさんの相続財産に含まれるべきと判断され、申告漏れとして追徴課税(加算税・延滞税含む)。
◾ 名義預金に関する【裁判例】
✅ 裁判例1:東京高裁平成17年2月9日判決(相続税更正処分取消請求事件)
概要:
被相続人(父)が生前に、長男の名義で約1億円を超える預金口座を開設し、長男名義で管理していた。
相続発生後、税務署がこの口座を被相続人の「名義預金」として相続財産に加算し、相続税を課税。
相続人側は「贈与が成立していた」として更正処分の取消しを求めて提訴。
裁判所の判断:
名義人である長男が口座の存在を把握していなかった。
原資はすべて被相続人の資金であり、通帳・印鑑の管理も被相続人。
贈与の意思表示や受贈の事実を示す証拠がない。
よって、贈与は成立しておらず、名義預金は被相続人の財産と認定された。
結論:
税務署の更正処分は適法とされ、相続人の請求は棄却された。
✅ 裁判例2:大阪地裁平成29年6月29日判決(名義預金の帰属)
概要:
被相続人(母親)が孫名義の口座に1,500万円を預金していた。
相続後、税務署が「実質的には被相続人の管理資産」として課税。
相続人が異議申立て。
判断:
孫は当時未成年、管理は全て祖母(被相続人)が実施。
贈与契約書なし。
贈与税の申告履歴もなし。
◾ 裁判例・調査事例から分かるポイント
チェック項目 実態が贈与であると認められるかの判断ポイント 資金の出資者 誰が原資を出したか(被相続人なら注意) 通帳・印鑑の管理者 被相続人が管理していると名義預金とされやすい 名義人の認識 名義人が預金の存在や使用を知らないと危険 贈与契約の有無 書面や意思表示があるかどうか 贈与税の申告 申告実績があると贈与の事実を補強できる ◾ まとめ:リスク回避のための実務対応
贈与契約書を作成
→ 贈与の意思と受贈の事実を明確に。通帳・印鑑を名義人が保管
→ 実際の管理状況が重要視される。贈与税の申告・納付を行う
→ 贈与が形式でなく実質であることを示す有力証拠に。定期的な資産移転の意図を記録に残す
→ 家族信託・公正証書などの活用も有効。
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