[相談]
外貨建て養老保険に加入していた夫が、今年1月に満期を迎えた保険金の
請求手続きを行うことなく、4月に亡くなりました。
保険証券を確認したところ、死亡保険金の受取人は配偶者である私と長男
5割ずつ指定されています。外貨で受け取ることができる旨の記載もあるので
私も長男も外貨受け取りを希望しています。
満期が過ぎている契約ですが、死亡保険金として請求をするのでしょうか。
また、税金はかかりますか?
なお、相続人は、私(配偶者)、長男、次男の3人です。
【外貨建て養老保険の契約内容】
- 保険種類:米ドル建て養老保険
- 契約期間:10年
- 契約者(保険料負担者):夫
- 被保険者:夫
- 満期保険金受取人:夫
- 死亡保険金受取人:配偶者・長男 各5割
- 死亡、満期保険金:200,000米ドル
- 全期前納保険料:175,000米ドル
[回答]
ご相談の契約は、ご主人がお亡くなりになる前に満期が到来しているため
保険会社への請求手続きは死亡保険金ではなく、未請求であった満期保険金となります。
この満期保険金は、ご主人の所得として所得税の課税対象となる他、ご主人の相続財産に加算します。
また、所得税が課税されることにより納付すべき所得税が発生した場合は
相続税の計算上、ご主人の債務として遺産総額から控除できます。
なお、申告上、外貨建ての財産は円建てに換算する必要があります。
換算する際の為替レートは決められており
各々適用される為替レートは詳細解説にてご確認ください。
1.死後に行う満期保険金の請求手続き
保険金の請求手続きが被保険者の死亡後であっても
被保険者が死亡する前に満期を迎えていれば、死亡保険金としては扱われず
満期保険金としての請求手続きとなります。
この満期保険金の課税の取扱いは、以下のとおりです。
(1)所得税
ご相談の満期保険金は、満期が到来した年分のご主人の一時所得として
所得税の課税対象となります。実務上は、ご主人に代わり相続人が準確定申告を行い
納付すべき所得税が生じた場合には納付することとなります。
(2)相続税
相続税の計算上、ご相談の満期保険金は、相続人共有の財産(未収入金)として
相続財産に加算します。死亡保険金ではないため、保険金の非課税制度
(500万円×法定相続人の数)を適用することはできません。
また、(1)により所得税を納付することとなった場合には
その所得税は相続税の計算上、債務として遺産総額から控除できます。
2.外貨で受け取るときの為替レート
外貨建て保険を外貨で受け取る場合、税金を計算する上では
円換算する必要があります。この際に適用される為替レートは、次のとおりです。
【所得税の評価】
- 全期前納保険料:原則として払込日(保険会社受領日)のTTM(※)
- 満期保険金:原則として支払事由発生日(満期日)のTTM(※)
【相続税の評価】
- 未請求であった満期保険金相当額:原則として支払事由発生日(死亡日)のTTB(※)
- (※)TTS…対顧客直物電信売相場、TTB…対顧客直物電信買相場、TTM…TTSとTTMの仲値
請求すべき手続きの放置期間が長くなるほど
証拠書類が探し出せずに手続きが煩雑になりがちです。
他に手続きが放置されているものがないか、確認をしましょう。