[相談]
親が亡くなり、実家を相続することになりました。私には持ち家があり
住む予定もないため、売却する予定です。実家は築後50年を経過し定期的な修繕も行っていないため
現状のまま利用することは困難です。
こうした場合、家屋を取り壊してから売却した方がよいのでしょうか?
[回答]
利用困難な建物が土地上に建っている場合でも、基本的には「建物解体更地渡し」の条件付きで
古家付きのまま販売を開始することが多いです。
[詳細解説]
1.固定資産税の軽減措置
古家付きのまま販売を開始する理由の一つは
固定資産税(都市計画税含む。以下同じ)の住宅用地(住宅の敷地)に対する軽減措置です。
固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、住宅用地の場合
固定資産税の計算の基礎となる課税標準額は、たとえば面積200㎡以下の小規模住宅用地であれば
固定資産税評価額(価格)の6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されます。
そのため建物を取り壊し更地の状態で1月1日を迎えた場合
住宅用地の軽減措置の対象外となり、固定資産税は大幅に増加します。
実務的には、不動産取引の現場では、古家付きの土地の場合は
「建物解体更地渡し」の条件付きで販売し、売買契約締結後に
建物を取り壊して更地の状態で買主へ引き渡すことが通例になっています。
ただし、早い段階で更地にした方が売りやすくなる場合もありますので
販売状況や1月1日までの期間を見計らいながら
更地の状態で販売するために、前倒しで建物の解体を行うこともあります。
2.空き家の3,000万円特別控除
建物が昭和56年5月31日以前に建築されているなど一定の要件を充たすことで
“空き家の3,000万円特別控除”といわれる税制措置が利用できる可能性があります。
この制度の利用により税負担を軽減することができますので
譲渡所得が発生する場合は、税制措置の利用可否について
事前に確認されることをお勧めします。