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相続税、節税に役立つブログ

2022.01.30

所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制見直しの概要

経緯

従前より、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、あるいは判明しても

その所在が不明で連絡がつかない「所有者不明土地」について

管理がされず放置される、あるいは民間取引が阻害されるなどの問題が発生しており

高齢化による死亡者数の増加により、今後ますます深刻化するおそれが指摘されていました。

趣旨

このような所有者不明土地が生じる主な原因が、相続登記の申請が義務ではなく

相続登記や所有者の住所変更登記がされないことにあったことから

所有者不明土地の発生予防とすでに発生している所有者不明土地の利用円滑化の観点から

総合的に民事基本法制が見直されることとなり、2021年4月28日、民法等の一部を改正する法律

及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

(相続土地国庫帰属法)が公布されました。

改正のポイント

両法律による改正のポイントは、

 ①不動産登記制度の見直し
 ②相続土地国庫帰属制度の創設
 ③土地利用に関連する民法の規律の見直し

の三点にあります。

一つ目の不動産登記制度の見直しの主な内容は、相続登記・住所変更登記申請を義務化すると同時に

義務履行の負担を軽減する観点から、相続人申告登記という従前より簡易な登記手続が新設されたことです。

相続人申告登記では、登記名義人たる被相続人(亡くなられた方)の出生から

死亡に至るまでの戸除籍謄本等の提出は不要となり、申出をする相続人自身が被相続人の相続人

であることがわかる戸籍謄本を提出することで足りるようになります。

令和6年4月1日より施行されます。

住所変更登記申請の義務化の施行日は現時点では未定です

(公布後5年を超えない範囲で政令で定めるとされています)。

また、二つ目の相続土地国庫帰属制度とは、相続等により土地所有権を取得した相続人が

一定の要件のもと法務大臣の承認を受け、当該土地所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

ただし、建物が存する土地等、通常の管理又は処分をするにあたり過分の費用又は労力

を要する土地に該当する場合には、却下・不承認となることや、土地管理費相当額の負担金を

納付する必要があることに注意が必要です

(参考として、原野で20万円、市街地の宅地(200㎡)で80万円程度とされています)。

令和5年4月27日に施行されます。

三つ目の土地利用に関連する民法の規律の見直しの主な内容は

所有者不明土地・建物管理制度が創設されたことや、遺産分割に時的限界が設けられたことです。

前者について、現行法上の不在者財産管理人、相続財産管理人等が

対象者の財産全般を管理する人単位の仕組みだったのに対し

特定の土地・建物に特化して管理を行う管理人を選任してもらうことができるのが

所有者不明土地・建物管理制度です。

また、後者について、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則として法定相続分によることになります。令和5年4月1日に施行されます。

以上のとおり、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しの内容は多岐にわたり

実務に与える影響も小さくないものと思われますので

不動産や相続手続に関与する専門家は十分に理解しておく必要がありそうです。

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