医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2022.12.02

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/被相続人が老人ホーム等に入居していた場合

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例

(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法35条3項(被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除)についてです

誤った取扱い

老人ホームに入居していた父が令和2年1月に亡くなり

老人ホームに入居する直前まで父が居住していた家屋とその敷地を相続した。

その後、家屋を取り壊して令和3年10月に敷地を売却したが

相続開始の直前において被相続人が居住していなかったので

被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)

適用できないとした。

正しい取扱い

平成31年4月1日以後の譲渡については

要介護認定等を受けていた被相続人が老人ホーム等に入居していた

などの一定の事由があり、一定の要件を満たす場合には

その入居により居住の用に供されていた家屋及びその敷地についても

被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)

適用することができる(措法35④括弧書)。

2022.11.19

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/居住用家屋とその敷地を別の者が相続した場合

事例

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」

より、ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法35条3項(被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除)についてです。

誤った取扱い

令和3年1月に父が亡くなるまで居住していた実家の建物

(昭和54年築、耐震リフォーム済)を兄が相続し、その敷地を弟が相続した。

兄も弟も実家に居住する予定がないため令和3年11月に4,000万円で売却した。

弟の譲渡所得の申告にあたって、被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例

(措法35③)を適用して計算した。

正しい取扱い

被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)は

相続又は遺贈により、被相続人居住用家屋とその敷地等の両方を取得した個人が

平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に一定の譲渡をした場合に

適用することができる(措法35③、措通35-9)。

したがって、弟は被相続人が居住していた家屋を相続していないので

特例の適用はない。

なお、兄についても、被相続人居住用家屋の敷地を相続していないので

弟と同様に特例の適用はない。

(※)被相続人居住用家屋とは、次の要件を満たす家屋である(措法35④)。

  1. ①昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  2. ②マンション等、区分所有建物でないこと。
  3. ③相続開始直前において、その被相続人以外に居住していた者がいなかったこと。
  4. ④相続開始直前において、被相続人の居住の用に供されていたこと。
  5. (※)平成31年4月1日以後の譲渡については、相続開始直前において
  6. 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合であっても
  7. 一定の要件に該当すれば特例の適用がある。
2022.11.10

相続における土地・家屋名寄帳の使用用途

[相談]

先日、父が亡くなりました。

父は生前、実家の土地建物を祖父から相続したと話していました。

父名義になっているのであれば名義を変更しなければならないと思うのですが

本当に父が相続していたのかも分かりません。調べるにはどうしたらよいですか。

[回答]

不動産を所有している可能性のある市町村が分かっているのであれば

名寄帳の写しを取得されるとよいでしょう。

[解説]

 名寄帳とは、固定資産の状況や価格を明らかにするために

市町村が作成している固定資産課税台帳(地方税法(以下、法)第380条)

を所有者別にまとめたものです。

 固定資産課税台帳には、所有者の氏名・住所、所在地(地番・家屋番号)

や面積、固定資産税の評価額・課税標準額・税額等が記載されていますので

名寄帳を取得すれば、亡くなられた方が所有している不動産の詳細が分からなくても

同じ市町村内の所有不動産の情報を一覧として確認することができます。

〈依頼するときのポイント〉

 名寄帳を発行してもらう際には、共有名義(①)のものや免税点未満(②)

のものについても記載してもらうよう依頼しましょう。

  1. ①共有名義の場合、納税通知書は代表者のみに送付されます。
  2. 代表者が亡くなった本人ではなく他の共有者になっていると
  3. その共有不動産については亡くなった本人宛に納税通知書が届きません。
  4. ②同一名義人が所有する不動産の課税標準額の合計が
  5. 土地であれば30万円・家屋であれば20万円・償却資産であれば
  6. 150万円未満であるものについては、課税されません
  7. (今回は免税点未満と表現します。)(法第351条)。
  8. 相続登記の漏れを防ぐため、共有名義のものや免税点未満のもの
  9. についても記載してもらいましょう。

 市町村は名寄帳を備えなければならないと決められています

(法第387条)が、市町村によっては納税通知書と一緒に課税明細書を

同封している等の理由のため、名寄帳の写しを交付していないところもあります。

その場合は、どのようにすれば亡くなった本人が所有するすべての

不動産を確認できるかを役所の方に確認し、その際も

上記の共有名義のものや免税点未満のものについて確認してもらうよう依頼しましょう。

 近年、相続登記がされない等の理由で所有者不明土地

(所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても所在が不明で連絡がつかない土地)

が増えており、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まない等の事態になっています。

 このような問題を減らし、予防するため、令和6年4月から相続登記が義務化されます

(不動産登記法第76条の2)。

もし、亡くなられた方が複数の市町村で不動産を所有している可能性があれば

相続登記に抜け漏れがないよう、

可能性のあるすべての市町村に名寄せ請求して確認することをお勧めします

2022.11.04

いつまでに支給が確定した退職手当金等が相続税の課税対象になるのか

[相談]

1年前に社長が亡くなったのですが、社長の死亡退職金については

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により会社の財政事情が悪化している等の理由から

金額の確定及び支給ができていません。

相続税法上、いつまでに支給が確定した役員退職金であれば

相続税の課税対象に含まれるのでしょうか。

[回答]

ご相談の場合、社長(被相続人)の死亡後3年以内に支給が確定したものであれば

相続税の課税対象となります。

[解説]

1.退職手当金等のうち、相続または遺贈により取得したものとみなされるもの

 相続税法上、被相続人の死亡により相続人その他の者がその被相続人に

支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与

(一定の年金または一時金に関する権利を含みます)で

被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては

その給与の支給を受けた者について

その給与を相続または遺贈により取得したものとみなすと定められています。

2.「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」の意義

 上記1.の「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」とは

被相続人に支給されるべきであった退職手当金等の額が被相続人の死亡後3年以内に

確定したものをいい、実際に支給される時期が被相続人の死亡後3年以内

であるかどうかを問わないものとして取り扱われています。

 また、上記の場合において、退職手当金等が支給されること自体は

確定していてもその金額が確定しないものについては

上記の「支給が確定したもの」には該当しないものとされています。

 なお、被相続人の生前退職による退職手当金等であっても

その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので

被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては

上記1.の退職手当金等に該当することとされていますので

念のためご留意ください。

2022.10.29

実家の相続と売却に係る税の特例

[相談]

親が亡くなり、親と同居していた実家を相続することになりました。

実家以外の財産も相続するため、相続税の負担が生じる予定です。

実家については、一人で生活するには広いため売却を予定しています。

ところで、実家を相続した場合に小規模宅地等の特例を適用することで

相続税が減額すると聞きました。

この小規模宅地等の特例の内容と実家を売却する際の注意点について

教えてください。なお、相続人は私のみです

[回答]

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす場合に

評価額の最大80%を減額できる制度です。

この特例を適用する場合には諸要件を満たす必要がありますが

その1つにご相談のケースであれば相続税の申告期限までその建物を所有し

居住し続けている必要があります。

少なくとも、ご実家の売却等は申告期限まで待っていただいた方が

よいと思われます。

[詳細]

1.小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例(以下、本特例)とは

個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち

その相続開始の直前において、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた

親族の事業の用あるいは、居住の用に供されていた宅地等

(土地又は土地の上に存する権利)が一定の要件を満たす場合

その宅地等の一定の面積までの部分について

相続税の課税価格に算入すべき価額の最大80%を減額できる制度です。

2.ご相談のケースの場合
ご実家は、本特例の「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」

に該当するため、特定居住用宅地等の要件を満たす場合には

相続するご実家の敷地面積のうち330㎡までは

土地の価額の80%を減額することができます。

例えば、ご実家の土地の価額が5,000万円

(面積 250㎡)の場合、本特例の適用ができる場合には

価額は4,000万円(5,000万円×80%)減額されます。

上記のとおり、本特例を利用することが可能であれば

大幅に相続税の課税価格に算入すべき価額を抑えることができ

相続税が軽減されます。

3.注意点

(1)本特例を適用する場合
ご相談のケースの場合は、同居されていたとのことですから

特定居住用宅地等の要件を満たすには

相続開始の直前から相続税の申告期限まで(被相続人の死亡を「知った日」の翌日から10ヶ月間)

ご実家に居住し、かつその宅地等を所有している必要があります。

よって、ご実家の売却仲介等を不動産会社に依頼される場合は

申告期限が到来するまで売却を待っていただいた方がよいでしょう。

(2)居住用財産(マイホーム)を売却した場合
ご実家を売却すると、その譲渡益(譲渡所得)に対して

所得税と住民税が課されます。

この譲渡所得の計算においては、次のような特例が用意されています。

これらは併用して適用することが可能です。

  1. ①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
    (譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度)
  2. ②相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
    (相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度)
  3. ただし、今回のご実家の売却に伴い
  4. 上記すべての特例を適用するためには
  5. 一定の期間内に譲渡する必要があるなど
  6. 一定の要件を満たす必要があります。

また、税額を計算する場合に、売却した土地や建物の所有期間が長い場合には

税率が軽減される特例がありますが

この所有期間は被相続人の所有期間を引き継ぎますので

この特例が適用できるケースが多くあります。

各種特例を適用するには様々な要件を満たす必要がありますので、ご留意ください。

2022.10.22

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/居住用家屋に該当するかの判断

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例

(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法35条1項(居住用財産の譲渡所得の特別控除)

についてです。

誤った取扱い

父から使用貸借により土地を借り受けて居住用家屋の敷地としていたが

その敷地を父から相続した後、直ちに当該家屋とともに譲渡した。

この場合、所有者となった後の居住期間が短いため

居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35①)の適用はないとした。

 

正しい取扱い

居住用家屋に該当するか否かは、居住期間で判断するのではなく

生活の拠点として利用していたかどうかで判断する。

つまり、日常生活の状況、家屋への入居目的、

家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判断する

(措通31の3-2、35-6)。

したがって、この事例では、特例を適用できる。

2022.10.15

成年年齢引下げに伴う贈与税率の改正~結婚・子育て資金の一括贈与

[相談]

今年(2022年)4月に高校3年生になった孫は、高校卒業とほぼ同時に結婚することになりました。

結婚相手は20代前半で二人とも経済的な余裕がないため

将来のことも考えてある程度まとまったお金を渡したいのですが

多額のお金が手元にあるのも問題であることから

『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』を利用して

信託受益権を付与するかたちで支援しようと思います。

この場合、孫は『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』

を適用することはできるのでしょうか。

孫は2004年7月生まれで、当該契約は今年11月に行う予定です。

[回答]

2022年4月1日以後の『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』

における受贈者の年齢要件は、結婚・子育て資金管理契約締結の日において

“18歳以上50歳未満”となります。予定通り11月に契約された場合には

契約締結日においてお孫さんは18歳に該当することから

その他の要件を満たす場合には、当該制度の適用を受けることができます。

[詳細]

1.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは

結婚や子育て資金に充てるために父母あるいは祖父母から

一定の方法で資金の贈与を受けた場合に

1,000万円を限度として贈与税がかからない制度です。

 その特徴としては、主に以下のとおりです。

  1. 金融機関等との一定の契約に基づく贈与であること
    (具体的には、結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で
  2. 結婚・子育て資金非課税申告書をその口座の開設等を行った
  3. 金融機関等の営業所等を経由して
  4. 受贈者の納税地の所轄税務署長に提出等するなど所定の手続が必要となります)
  5. 非課税として認められるには
  6. 支払いに充てた領収書等を金融機関等に提出する必要があること
  7. 非課税として認められる支払使途は、挙式費用、家賃、転居費用
  8. 妊娠、出産、育児に関する一定のものに限られていること
  9. 年齢が50歳に達したなど、契約期間が終了した時点で残額がある場合には
  10. その残額は贈与税の対象となること
  11. 契約期間中に贈与者が死亡した場合で残額がある場合には
  12. 相続税の対象となること

2.成年年齢引下げに伴う改正

 受贈者の年齢要件は、今般の改正があるまで

結婚・子育て資金管理契約締結(以下、契約締結)の日現在において

「20歳以上50歳未満」に該当するか否かで判定をしてきました。

 これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い

年齢要件の下限が「18歳」へと改正されて

「18歳以上50歳未満」であるか否かで判定することとなりました。

 この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため

2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え

契約締結日における受贈者の年齢要件が4月以降と3月以前とで異なるため

注意する必要があります。

3.ご相談のケース

 ご相談のケースは、契約締結を11月に行う予定とのことでした。

お孫さんは2004年7月生まれ、とのことですから、予定通りに行った場合には

契約締結日現在の年齢は「18歳」となります。

受贈者の年齢要件を満たすこととなるため、

その他の要件をすべて満たす場合には、

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度を適用することができるものと考えます。

 なお、民法の成年年齢の引下げにあわせて、経過措置を除き、女性の婚姻年齢が

「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げられています。

その点もあわせてご確認ください。

<参考>
 国税庁HP「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」など

2022.10.07

相続で契約者変更をした保険の税金

[相談]

 亡くなった父の相続手続きにあたり、父が管理していた書類を整理したところ

契約者が父、被保険者が私(A)になっている生命保険が見つかりました。

2年後満期になったときに満期保険金がおりる契約です。

保険会社に確認したところ、契約者を父から私に変更して引き継ぐよう案内され

この手続きは完了しました。

 引き継いだ生命保険は、父の相続に係る相続税においてどのように扱われるのでしょうか。

また、引き継いだ後、私が受け取る満期保険金の税金についても教えてください。

 

【契約内容】

  1. 保険種類:養老保険
  2. 保険期間:10年満期(残2年)
  3. 保険金額(死亡・満期):500万円
  4. 保険料払込方法:全期前納払い(全額父負担)
  5. 契約者:父(契約引継ぎ後:A)
  6. 被保険者:A
  7. 死亡保険金受取人:父(契約引継ぎ後:Aの配偶者)
  8. 満期保険金受取人:父(契約引継ぎ後:A)

[回答]

 ご相談のケースでは、相続により引き継いだ生命保険は
「生命保険に関する権利」として
お父様がお亡くなりになった時点の解約返戻金相当額に未経過保険料等を加算等した額が相続税の課税対象となります。また、質問者(A)様が受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

[詳細]

1.被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合

被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合は、契約者の変更を行います。
変更後の新しい契約者は、その契約の権利を引き継ぐことになります。

2.相続時の税務上の取扱い

引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として相続税の課税対象となります。

(1)評価額

評価額は、原則、契約者が死亡した時点の解約返戻金の額となります。

ただし、ご相談のケースのように、保険料が前納されており解約返戻金とは別に受け取ることができる未経過保険料がある場合や、配当金等がある場合は、解約返戻金に未経過保険料や配当金の額を加えた額が評価額になります。

なお、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合は、当該金額を控除することができます。

(2)相続財産の評価

“生命保険”となると、死亡保険金の非課税枠を思い浮かべるかと思います。

しかし、ご相談のケースは保険事故が発生していない生命保険であり、本来の財産として取扱われます。死亡保険金の非課税枠(※)の適用ができる被相続人の死亡を保険事故として受け取る生命保険とは異なるため、死亡保険金の非課税枠を適用することはできません。

  1. ※(500万円×法定相続人の数)を限度として、相続税の計算上非課税とすることができる制度です。

3.満期保険金に係る税務上の取扱い

将来質問者(A)様が受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一であるため、所得税(一時所得)の対象となります。一時所得の計算においては、相続により権利を引き継いだ生命保険は、引き継いだ契約者自らが当初から保険料を負担したものとして取扱います。

なお、契約者が被保険者より先に亡くなって引き継がれる生命保険は、相続財産の確認において漏れやすいため、税制改正により保険会社から税務署へ発行される調書の見直しがされており、現状では死亡により契約者が変更された一定の契約については、一定事項を記載した支払調書が所轄税務署長へ提出されることとなっています。

税務署にとっては死亡による契約者変更の事実を把握しやすくなりましたが、ご遺族としてはどのように扱えばよいか分かりづらい契約形態であることには変わりありません。

2022.09.30

財産評価における誤りやすい事例/株式が未分割である場合の議決権割合の判定

財産評価における誤りやすい事例/株式が未分割である場合の議決権割合の判定

財産評価の処理における誤りやすい項目について、大阪国税局が作成した

「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、取引相場のない株式の評価における株主区分の判定についてです。

誤った取扱い

未分割の取引相場のない株式を評価する場合

各相続人に適用されるべき評価方式を判定するに当たって

基礎となる「株式取得後の議決権の数」について

当該未分割の株式を法定相続分により取得したものとして計算した議決権の数とした。

 【具体的な事例】
  未分割株式 10,000株
  法定相続人 被相続人の子4名
  法定相続分 4分の1

各相続人は、未分割株式10,000株のうち2,500株(10,000株×1/4)を

取得したものとして判定した。

正しい取扱い

相続人ごとに、その所有する株式数にその未分割の株式数の全部を加算した数に

応じた議決権数とする

(評基通188、評価明細書通達第1表の1【3(5)イ】

     国税庁HP質疑応答事例「遺産が未分割である場合の議決権割合の判定」)。

 【具体的な事例】
  未分割株式 10,000株
  法定相続人 被相続人の子4名
  法定相続分 4分の1

各相続人は、未分割株式の全部(10,000株)を取得したものとして

それぞれ判定する。

コメント

株主区分の判定について

このような事例は間違いやすいです

ご注意ください

2022.09.16

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/配偶者居住権を設定した建物の譲渡

配偶者居住権を設定した建物の譲渡

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」

より、ピックアップしてご紹介します。

今回は、配偶者居住権を設定した建物の譲渡についてです。

誤った取扱い

令和3年4月に夫が死亡し、夫が10年前に購入した自宅について

配偶者居住権を設定した。

令和3年11月、配偶者居住権の目的となっている建物及び当該建物の敷地を

譲渡したので分離短期譲渡所得として計算を行った。

正しい取扱い

配偶者居住権及び配偶者敷地利用権は

分離課税の対象となる土地等・建物等には該当しないため総合課税の対象となる。

また、被相続人の取得日以後5年を経過する日以後に生じる配偶者居住権の消滅は

短期譲渡所得の対象から除き、長期譲渡所得として課税される

(所法60②、③ 所令82②、③)。

したがって、当該所得は総合長期譲渡所得となる。

 

出典:大阪国税局「資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)

2022.09.03

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度/共有の場合の床面積判定

[相談]

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度について

その制度の対象となる住宅用家屋を共有で取得した場合の床面積の判定は

その共有持分に応じた床面積で行うこととなるのでしょうか。

[回答]

ご相談の制度においては、共有の場合であっても

床面積の判定はその家屋全体の床面積で行うこととなります。

[解説]

1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の概要

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税とは

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、直系尊属からの贈与により

住宅取得等資金の取得をした特定受贈者(※1)が一定の要件(※2)に該当するときは

原則として、その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち住宅資金非課税限度額

(最大1,000万円(※3))までの金額については

贈与税の課税価格に算入しないという制度です。

 

  1. ※1 特定受贈者とは、直系尊属から贈与により財産を取得した個人のうち
  2.        住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において18歳以上であって
  3.       その年分の所得税法上の合計所得金額が2,000万円
  4.     (住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合には、1,000万円)
  5.       以下である人をいいます。
  6. ※2 特定受贈者が、贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに
  7.        その住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等のための対価に充ててその住宅用家屋の新築等を
  8.        した場合等において、同日までに新築等をした住宅用家屋をその特定受贈者の居住の用に
  9.        供すること等が要件となります。
  10. ※3 住宅資金非課税限度額は、特定受贈者ごとに、その住宅用家屋が省エネ等住宅である場合には
  11.        1,000万円、それ以外の住宅用家屋である場合には500万円と定められています。

2.共有の場合の床面積の判定方法

 上記1.の住宅用家屋の床面積については

   その登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下であることのほか 

   その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専らその特定受贈者の

   居住の用に供されるものであることも要件とされています。

 上記の床面積の判定については

   その住宅用家屋が2人以上の者で共有されている家屋である場合には

   その家屋全体の床面積により行うこととされています。

 したがって、今回のご相談の場合、共有で取得した住宅用家屋の床面積の判定は

  共有持分に応じた登記簿床面積ではなく

  その家屋全体の登記簿床面積により行うこととなります。

2022.08.26

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度と暦年課税の基礎控除との併用可否

[相談]

私はこのたび、住宅を新築することとなりました。

それにあたって、両親からその新築費用の一部の贈与を受ける予定です。

そこでお聞きしたいのですが、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の

贈与税の非課税制度と、贈与税の暦年課税の基礎控除(110万円)の規定は

併用できるのでしょうか。

[回答]

ご相談の非課税制度は、暦年課税の基礎控除と併用可能です。

[解説]

1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の概要

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税とは

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、直系尊属(自分の両親、祖父母など)

からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者(※1)が

一定の要件(※2)に該当するときは、原則として

その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち住宅資金非課税限度額

(最大1,000万円(※3))までの金額については、贈与税の課税価格に算入しない

(=贈与税が非課税になる)という制度です。

 

  1. ※1 特定受贈者とは、直系尊属から贈与により財産を取得した個人のうち
  2. 住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において18歳以上であって
  3. その年分の所得税法上の合計所得金額が2,000万円
  4. (住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合には、1,000万円)
  5. 以下である人をいいます。
  6. ※2 特定受贈者が、贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の
  7. 翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築等のための対価に
  8. 充ててその住宅用家屋の新築等をした場合等において、同日までに新築等をした
  9. 住宅用家屋をその特定受贈者の居住の用に供すること等が要件となります。
  10. ※3 住宅資金非課税限度額は、特定受贈者ごとに
  11. その住宅用家屋が省エネ等住宅である場合には1,000万円
  12. それ以外の住宅用家屋である場合には500万円と定められています。

2.贈与税の基礎控除額との併用可否

 贈与税額は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与により取得した財産の価額を合計して

「課税価格」を計算し、さらに、その課税価格の合計額から110万円(贈与税の暦年課税の基礎控除額)

を差し引いた金額に対して一定の贈与税率を乗じて計算した金額の合計額となります。

 上記の贈与税の基礎控除額(110万円)の規定と

上記1.の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の規定は

併用可能ですので、例えば、上記1.の住宅取得資金非課税限度額が500万円である場合には

基礎控除額110万円とあわせた610万円まで贈与税非課税となります。

[参考]
 相法21の5、措法70の2、70の2の4、70の2の5、措令40の4の2など

2022.08.19

遺留分侵害額の請求に基づく資産の移転の際の所得税

事例紹介

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例

(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」より、ピックアップしてご紹介します。

誤った取扱い

令和3年8月に死亡した父からの相続に当たり

遺留分侵害額の請求を受けたが、金銭の支払に代え

相続した財産のうち自己が保有していた土地及び建物を遺留分権利者に引き渡した。

この場合は、相続手続の一環なので譲渡所得の申告は不要とした。

正しい取扱い

遺留分侵害額の支払請求があった場合において

金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは

その履行をした者は、原則として

その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により

その資産を譲渡したことになります(所基通33-1の6)。

なお、この取扱いは

令和元年7月1日以後に開始した相続に係る遺留分侵害額の請求があった場合について適用される。

※遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて

移転を受けた資産の取得費については、所基通38-7の2を参照のこと。

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2022.08.06

保険金受取人がすでに亡くなっている場合

[相談]

先日、夫が亡くなり、夫が加入していた生命保険契約を確認したところ

受取人が離婚した前妻Aに指定されたままになっている契約が見つかりました。

確認したところ、前妻はすでに亡くなっていました。

前妻には再婚した配偶者がいますが、両親、子どもはいません。

また、夫と前妻の間にも子どもはいません。

この契約の死亡保険金は誰が受け取るのでしょうか?

また、今からでも受取人を変更することは可能ですか?

 【契約内容】

  1. 保険種類:終身保険
  2. 契約者(保険料負担者)、被保険者:夫
  3. 受取人:前妻A(すでに死亡。Aには再婚した配偶者がいる)
  4. 保険料:Aとの婚姻期間中に払込完了

 

[回答]

死亡保険金の受取人は、Aの配偶者になります。

また、すでに被保険者が亡くなっているため、受取人を変更することはできません。

[詳細]

1.今回のケースにおける死亡保険金の受取人

 死亡保険金請求権は、被保険者(=ご主人様)が

亡くなった時点で受取人に指定されているAの権利になります。

そのため、受け取る死亡保険金はAの固有の財産として扱われます。

Aがすでに亡くなっている場合、固有の財産である死亡保険金は

Aの相続人が受取人となります。今回の受取人は、Aの配偶者です。

2.死亡保険金の受取人の変更

 生命保険契約において、受取人の指定は保険期間中に契約者が

被保険者の同意を得て行う権利です。

今回、ご主人様が亡くなっているため、受取人の変更はできません。

3.死亡保険金の受取人の課税関係

 Aの配偶者が受け取った死亡保険金は、「遺贈」により取得したものとされ

「みなし相続財産」として相続税の対象になります。

 税負担が発生するか否かは、ご主人様の相続財産総額によりますが

Aの配偶者はご主人様の法定相続人ではないため

相続税の計算においては、生命保険の非課税枠(※1)は適用できず

税額は2割加算(※1)の対象となります。

  1. ※1 (500万円×法定相続人)を限度として
  2.         相続税の計算上非課税とすることができる。
  3. ※2 相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族
  4.      (代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む。)及び配偶者以外の人である場合には
  5.       その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。

 単純な手続きの失念か意図的かは分かりませんが

立場によっては不本意な遺産分割や揉め事を招くおそれがありますので

結婚、離婚など環境が大きく変わるときには目に見える財産に関する協議は勿論のこと

保険金受取人についてもきちんと確認・協議しておくことが大切です。

2022.07.29

遺産未分割と更正の請求

相続開始後、遺産分割協議が調わないままに申告期限を迎えることがあります

こうした場合、一旦は法定相続分で申告した後、分割確定時に更正の請求

(税金の還付手続き)をすることができます

ただし、その分割確定に伴って二次相続の申告税額が変動する

ような場合には、同特則を適用することができない点に留意する必要があります

 

相続財産の全部又は一部が未分割のまま相続税の申告期限を迎える場合

未分割財産は法定相続分等に従って遺産を取得したものとして課税価格を計算し

申告します

例えば、被相続人である父に係る未分割財産が2億円で、相続人が母・子2人の場合

法定相続分に従い、母が1億円、子2人がそれぞれ5,000万円ずつ取得したとして

相続税を計算して申告します。

その後、遺産分割が確定し、実際の取得額は母が8,000万円

子2人がそれぞれ6,000万円となり、母の税額が減少した場合

母は更正の請求(税金の還付手続き)の特則を適用できます

この場合、税額が増加する子2人は修正申告を行う必要があります

このとき、父に係る相続(一次相続)の後、遺産分割の確定前に母が亡くなり(二次相続)

二次相続についても申告期限を迎え、母の一次相続に係る取得財産を法定相続分で申告していた場合

一次相続の遺産分割確定に伴い、二次相続の税額が減少する可能性があります。

しかし、相続税法の更正の請求の特則は、あくまで未分割の遺産が生じた相続にのみ適用できるものです。

一次相続の分割確定に伴い二次相続の税額に変動があったからといって

二次相続について特則による更正の請求は適用できませんので注意が必要です

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2022.07.22

成年年齢引下げに伴う贈与税率の改正~特例税率の適用~

[相談]

今年(2022年)3月に高校を卒業した孫(18歳)が大学へ進学したため

お祝いとして2022年3月に400万円贈与しました。

成年年齢の引下げにより4月に成人となったため

8月の19歳の誕生日に成年祝いを兼ねて500万円贈与するつもりです。

この場合、適用される贈与税率はどのようになりますか。

なお、贈与税は暦年課税により計算します。

[回答]

贈与税について暦年課税により計算するものとした場合、

お孫さんは2022年1月1日現在18歳となるため

3月の贈与400万円は一般税率の適用となり

8月の贈与500万円は特例税率を適用します。

[詳細]

1.贈与税とは

 贈与税とは、原則、個人から財産をもらったときに課税される税金のことをいいます。

 個人から財産を直接もらう他、

 例えば個人から借りていたお金の返済を免除してもらった場合のいわゆる

 「経済的利益」に対しても、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。

 一方で、例えば生活費や教育費に充てるために通常必要と認められる親からの仕送りなど

 財産をもらったとしても贈与税がかからない場合もあります。

2.贈与税の計算

 贈与税は

(1)暦年課税
(2)相続時精算課税

 の2つの計算方法があり、(2)は一定の要件に該当する場合に自ら選択することで適用することができます。

 今回のケースは(1)により計算する前提ですので、以下では暦年課税について説明します。

3.暦年課税

 暦年課税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間のうちにもらった

 (贈与を受けた)財産の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた

 残額に対して贈与税を計算する方式です。

【計算式】
(財産の合計額-110万円)×贈与税率

 この場合の贈与税率については、贈与者(あげた人)と受贈者(もらった人)

 との続柄や受贈者の年齢に応じて、適用する税率が「一般税率」と「特例税率」に分かれます。

(1)一般税率

 次の(2)の特例税率の適用を受けられない場合

(例えば、父母や祖父母などの直系尊属以外の贈与者から財産をもらった場合や

 贈与の年の1月1日現在において受贈者が未成年者である場合)には、「一般税率」を適用します。

 この「一般税率」の適用がある財産を「一般贈与財産」といいます。

(2)特例税率

 次のいずれにも該当する場合には、「特例税率」を適用します。

 この「特例税率」の適用がある財産を「特例贈与財産」といいます。

  ① 受贈者から見て贈与者が直系尊属であること
  ② 受贈者の年齢が贈与の年の1月1日現在において成年年齢に達していること

4.成年年齢引下げに伴う改正

 これまで成年年齢が「20歳」であったため

 上記3.(2)②の年齢について、贈与の年の1月1日現在において「20歳以上」か否かで判定をしてきました。

 法律上も「20歳以上」と規定されていました。

 これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い

 法律上の年齢要件も「18歳以上」と改正されて、「18歳以上」か否かで判定することとなりました。

 この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため、2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え

 「何月の贈与」なのかも確認しないと計算ができないこととなります。

5.ご相談のケース

 ご相談のケースは、お孫さんは2022年1月1日現在、18歳です。

 改正前の3月の贈与は「20歳以上」か否かで判定するため

 「一般税率」の適用となります。

 他方、改正後の8月の贈与は「18歳以上」か否かで判定するため

 「特例税率」を適用します。

 このように適用する税率が異なることとなりますので、ご注意ください。

 なお、同一の年に「一般税率」と「特例税率」の両方がある場合の贈与税の計算は少し特殊です。

 また、「特例税率」を適用する場合に一定の要件に該当するときは

 申告の際に一定の書類の添付が必要となります。

 

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2022.07.15

預金の相続手続きと遺産の未分割申告

[相談]

被相続人は父親、相続人は長男と長女の2名です。

相続財産は預貯金と土地(宅地)です。

相続開始後、長女の承諾のもと、長男は預貯金のすべてについて

相続による名義替えを行い、自身の口座に入金しました。

現在、相続財産目録を作成して分割協議の途中ですが、納税額が多額になること

今後の土地の管理(売却等)について考えがまとまらず

未分割のままで相続税の申告を行うことを検討しています。

この場合、既に長男の口座に入金した預貯金について

「代償金の振替額が未定の預り金」として未分割財産として

取り扱うことはできますか。

[回答]

  金融機関が被相続人口座からの預貯金の払戻し手続きに際し

どのようなケースで認めるのかやどのような書類を要求するのかは

各金融機関で異なります。

  ご相談のケースでは、金融機関は、遺産分割協議はまだ済んではないものの

特定の相続人が他の相続人全員の委任を受けて払戻すことを許容しており

その結果、遺産分割協議は未了だが、他の相続人全員からの委任を受けた払戻

であることが確認できたことから、長男口座にすべて入金されているという

状態となっているのではないかと推測されます。

(少額の預金であれば、例外的に相続人の代表者だけの手続きで処理できる

 ことがありますが、相応の金額の場合、相続人全員の署名押印(印鑑証明)は必要と思います。)

  この場合、長男口座への入金は、あくまで相続人全員の共有財産としての預貯金

の管理としての意味しかなく、法律上預り金にすぎないため

その後に遺産分割協議をして、預貯金について誰が相続するか決めることが

予定されていると考えられます。

  したがって、長男口座に入金されている被相続人の預貯金を、未分割の遺産として扱うことは可能であり

遺産分割は未了として相続税申告を行うということで問題ないと思われます。

なお、相続人が上記の意図で払戻(長男口座で管理)を選択したのであれば

特に残すべき書類もないと思いますが、この点が明確でないのであれば

被相続人名義の口座を解約して払い戻した金額は、未分割の遺産として

長男名義の口座で管理する、という覚書のようなものを相続人で残しておいた方が良いかもしれません。

(この書面が調印できるのであれば、そもそも未分割という認識があるので

  問題になることもないと思いますが。)

2022.07.08

相続等により取得した土地所有権の国庫帰属制度

[相談]

先日父親が亡くなり、土地を相続しました。私は別の場所で生活しているので

処分を考えています。

いらない土地を国にもらってもらえると聞いたのですが、可能でしょうか。

[回答]

令和5年4月27日から相続又は遺贈により土地の所有権を取得した者は

その土地を国庫に帰属させることができるようになります。

国庫に帰属させるためには、まず、法務大臣に対して承認申請手数料を支払い

承認申請します。

承認申請は、その土地が次のいずれかに該当するものであるときは

申請をすることができません。

  1. 1.建物の存する土地
  2. 2.担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  3. 3.通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
  4. 4.土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質により汚染されている土地
  5. 5.境界が明らかではない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

法務大臣は承認申請に係る土地が次のいずれにも該当しないと認めるときは

 その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければなりません。

  1. 1.崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
  2. 2.土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
  3. 3.除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
  4. 4.隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることが
  5.   できない土地として政令で定めるもの
  6. 5.1から4に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり
  7.   過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

 

申請の内容によっては、法務局職員による当該土地の実地調査を受けることがあり

その際は、調査に協力する必要があります。

なお、承認申請が認められた後、10年分の管理に要する費用としての負担金を申請者が納付したとき

土地の所有権が国庫に帰属します。

土地の処分方法としては、売却する方法もあるので

十分検討の上で処分されたほうが良いでしょう。

その際はお近くの司法書士などの専門家へのご相談をお勧めします。

2022.07.01

相続財産の寄附と相続税の取扱い

[相談]

父の相続財産の一部を寄附しようと思います。

寄附先は、父が生前お世話になっていた有料老人ホームを経営している社会福祉法人です

実は生前、父から「自分が亡くなった後にA銀行の定期預金を寄附してほしい」

と口頭で伝えられていました。

ただし、遺言書などはありません。

実際に寄附を行った場合、相続税は軽減されるのでしょうか?

[回答]

ご相談のケースで寄附を行う場合、一定の条件を満たせば

寄附の対象となるA銀行の定期預金について相続税の計算から外すことができ

相続税が軽減されます。

[詳細]

1.相続人の意思による寄附

自分が亡くなったら財産を寄附する、という場合には

「どこ(誰)へ、何を(いくら)寄附する」という意思表示を

正式な遺言書という形で遺す必要があります。

今回のご相談のケースでは、お父様の遺言書はないとのことですから

お父様の遺志で寄附することはできません。

このような場合には、一度相続の手続を行って相続した後

相続人から寄附をする、という手続になります。

例えご本人が生前に「寄附したい」と周囲の方に伝えていても

相続人にその意思がなければ寄附は実行されません。

2.相続税の取扱い

相続財産を寄附した場合に以下の要件をすべて満たすと

寄附した財産について相続税の対象としない特例があります。

  1. ①寄附した財産が、相続や遺贈によって取得した財産であること
    (相続財産を換金した後の現金を寄附した場合などは、対象となりません。)
  2. ②相続税の申告期限までに、相続した財産を寄附すること
    (相続日から10ヶ月後の応答日までに寄附をしなければなりません。)
  3. ③寄附先が、国、地方公共団体、その他教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益法人であること
    (特定の公益法人の範囲は、独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており
  4.   寄附時点ですでに設立されている必要があります。
  5.   該当するか否かは事前に寄附予定先へお問合せください。)

 ご相談のケースにおいて、上記要件をすべて満たすと

  寄附をした相続財産(A銀行の定期預金)を相続税の対象から外すことができます。

3.その他の留意点

ご相談のケースの場合は、相続人からの寄附となるため

寄附をした相続人の所得税の計算上

寄附金控除または税額控除の適用を受けられるかどうか検討しましょう。

適用については、寄附先である社会福祉法人が適用できる対象先でなければなりません。

この点についても、事前に寄附先の社会福祉法人へお問合せいただくとよいでしょう。

なお、上記2.や3.の適用をする場合には、申告時の手続が必要となります。

2022.06.25

成年年齢引き下げに伴う相続税の改正~未成年者控除の改正~

[相談]

相続人が未成年者の場合、「未成年者控除」として満20歳に達するまでの年数に応じた

一定の金額を相続税額から控除してもらえると聞いています。

2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが

この「未成年者控除」はどうなるのでしょうか?

[回答]

成年年齢の引き下げにあわせて、「未成年者控除」が適用できる

年齢や控除額の計算が改正されました。

[詳細]

1.未成年者控除とは

相続人が未成年者である場合には、相続税の額から一定の金額を控除します。

この控除を「未成年者控除」といいます。

未成年者控除を適用できるのは、次のすべての要件を満たす人です。

  1. (1)相続又は遺贈により財産を取得した法定相続人
  2.   (日本国籍を有していない人など、一定の人は対象外です。)であること
  3. (2)上記(1)の法定相続人とは、相続の放棄があった場合には
  4.    その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
  5. (3)上記(1)の法定相続人は、その相続又は遺贈により財産を取得したときに未成年者であること

上記(3)の「未成年者」の年齢が2022年3月までは「20歳未満」でした。

これが、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い

未成年者控除における「未成年者」の年齢も2022年4月から「18歳未満」に引き下げられました。

2.未成年者控除額

未成年者控除額は、以下の算式により計算します。

【控除額】
10万円×成年に達するまでの年数(1年未満切上)

「成年」とは、2022年3月までは「満20歳」でした。

これが、2022年4月からは民法の成年年齢にあわせて「満18歳」に改正されました。

 

つまり、2022年4月からの控除額の計算は、以下の通りとなります。

【控除額】
10万円×満18歳に達するまでの年数(1年未満切上)

3.適用開始時期

 この改正は、2022年4月1日以後の相続又は遺贈から適用されます。

4.留意点

未成年者控除については、未成年者本人の相続税額より

控除額が大きくなり引ききれない場合があります。

この場合には、その引ききれない部分をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

今回の改正により、単純計算で控除額が最大20万円(2年×10万円)

減少することとなりますので

このような引き切れない部分を差し引ける金額も当然少なくなることが予想されます。

孫養子などで未成年者を相続人とした場合に有効活用してきたこの未成年者控除について

今般の改正点を改めてご確認ください。

なお、すでに未成年者控除の適用を受けたことがある場合には

一定の控除限度額の計算があります。その点もご留意ください。

過去に税額計算をシミュレーションされた方は見直されるとよいでしょう。

 

2022.06.18

財産評価における誤りやすい事例/相当の地代を支払っている場合の借地権の価額

財産評価の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」より

ピックアップしてご紹介します。

 

今回は、「取引相場のない株式(純資産価額方式)」における

相当の地代を支払っている場合の借地権の価額についてです。

 

誤った取扱い

被相続人は、所有するA土地を甲社(被相続人が同族関係者となっている同族会社)

に相当の地代を収受して貸し付けていた。

甲社株式の評価において、A土地に係る借地権について

資産の部への計上は不要とした。

 

正しい取扱い

株式の評価をする場合において

被相続人が同族関係者となっている同族会社に相当の地代を収受して

土地を貸し付けている場合

自用地としての価額の20%に相当する額を借地権の価額として

資産の部に計上する

(昭43直資3-22「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」、地代相当通達6(注))

 

出典:大阪国税局「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」

2022.06.11

住民票と戸籍の附票の違い

[質問]

先日、役所に戸籍抄本を取りに行ったのですが

申請書記入の際に【戸籍の附票】という欄がありました。

私は戸籍の附票を知らなかったので役所の方に聞いたところ

「住所を証明するものです。」と教えていただきました。

住所を証明するのは住民票ではないのでしょうか。

[回答]

戸籍の附票と住民票は似ていますが、違いがあります。

戸籍の附票は名の通り、戸籍に付随しているものです

(住民基本台帳法(以下「法」という)第16条)。

 

その戸籍が作られてから、現在もしくはその戸籍から除籍されるまでのすべての住所が記載されています。

本籍地の市町村と特別区に戸籍の原本と一緒に保管されているため

本籍地での請求が必要となります。

 

住民票は居住を記録するものです(法第5条・第6条)。

現在の住所地を管理するため住民登録をするので、現住所の市町村で取得する必要があります。

現住所の前に住民登録をしていた住所があるときは、従前の住所が記載されます。

住民票と戸籍の附票の違いについて下記表にまとめました

(法第7条・第12条・第17条・第20条)。

自治体によって記載内容が異なる場合があります。

省略されているものについては、申し出があれば記載されます。

 

基本的に住民票は現在の住所を証明するものであり

戸籍の附票はその戸籍が作られてから除籍されるまでのすべての住所を証明するものといえます。

戸籍の附票が必要になるのは相続の際や

自動車の名義変更で住民票では足らない事由があった場合などです。

いざ必要となったときに請求先を間違えないように気を付けてください。

2022.06.05

成年年齢引き下げによる結婚・子育て資金の贈与税非課税制度の年齢要件の改正

[相談]

このたび、私の子(19歳)が令和4年末に結婚することとなりました。

その結婚資金(挙式費用など)について、6月に私から子への贈与を検討しているのですが

この贈与について、結婚・子育て資金の贈与税非課税制度は適用できるのでしょうか。

[回答]

ご相談の贈与については、

結婚・子育て資金の贈与税非課税制度を適用できるものと考えられます。

[解説]

1.民法改正による成年年齢の引き下げと婚姻適齢
平成30年に明治9年以来約140年ぶりに成年年齢の見直しが行われ

同年6月13日に、成年年齢を20歳から18歳に引き下げるという改正民法が成立しました。

その改正民法は、令和4年(2022年)4月1日から施行され、婚姻適齢については

男女ともに「婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。」と定められています。

2.結婚・子育て資金の贈与税非課税制度の概要
贈与により財産を取得した場合には、原則、贈与税がかかります。

ただし、贈与があっても贈与税が課されない、一定の非課税制度が用意されています。

その非課税制度の中に、「結婚・子育て資金の贈与税非課税制度」があります。

結婚・子育て資金の贈与税非課税制度とは、令和5年3月31日までの間に

個人が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき

受贈者の直系尊属(父母・祖父母など)から

①信託受益権を付与された場合

②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合

③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等において有価証券を購入した場合には、

それらの信託受益権や金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分については

金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより

原則として、贈与税が非課税となる制度です。

上記の制度における「個人」については年齢要件が設けられており

従前は「20歳以上50歳未満」と定められていましたが

上記1.の改正に伴い

令和4年(2022年)4月1日以後の信託受益権または金銭等の取得からは

18歳以上50歳未満」と改正されました。

このため、今回のご相談における令和4年末に結婚する

子への結婚資金の贈与については、原則として

上記の贈与税非課税制度が適用できることとなります。

  1. (注)結婚・子育て資金の贈与税非課税制度における年齢の判定日は
  2. 「結婚・子育て資金管理契約締結の日」と定められています。
2022.05.28

保険証券の紛失と“終活”への備え

[相談]

60代の半ばとなり、そろそろ“終活”に向けた準備をしていきたいと思い

資産内容を把握しはじめたところ、生命保険で躓いてしまいました。

毎年、生命保険料控除証明書は届くので、何となくどこの保険会社かはわかるのですが

控除証明書以外の書類は毎年破棄して残っていませんし

保険証券はどこにあるのか分かりません。このような場合どうしたらよいのでしょうか。

また、“終活”に向けた準備をしていく中でのポイントなど、アドバイスもお願いします。

[回答]

保険証券がどこにあるのか分からない、ということであれば

まず再発行の手続きをとるとよいでしょう。

また、“終活”に向けた準備をされるのであれば、資産の棚卸をするとともに

相続人は誰になる予定か、相続税はどのくらいかかるのかも

あわせて把握されるとよいでしょう。

[詳細]

1.生命保険の内容の把握

生命保険を契約すると、保険証券を受け取ります。

この保険証券は、保険金を受け取るとき、中途解約時に解約返戻金を受け取るとき

また契約内容を変更するときなどに必要となります。

仮に保険証券を紛失していても保障は継続しており

保険契約者の本人確認ができれば諸手続きをすることが可能です。

ただし、保険証券には契約内容が記載されていますので

紛失されたのであれば再発行の手続きをとることをお勧めします。

なお、再発行の手続きは

年に1回届く契約内容のお知らせや控除証明書に記載のある連絡先へ連絡し

指示を受けるとよいでしょう。

2.“終活”に向けた準備

“終活”に向けた準備をされるのであれば、資産の把握(=棚卸)をするとともに

相続人となる方は誰か、相続税はどのくらいかかるのかの把握もされるとよいでしょう。

どのような書類があればこれらの把握ができるのか、参考までに記載しました。

(1)財産を把握するための資料(例)

 

(2)相続人となる予定の人を把握するための資料(例)

 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本

(3)相続税の試算

相続税は、上記の資料などによって資産の一覧を作成し

相続人を把握した上で、資産評価を行うなどをして計算することとなります。

一部相続税が課税されない財産などもありますので

国税庁サイトの情報を参考に試算してみるとよいでしょう。

2022.05.21

預金の相続手続きと遺産の未分割申告

[相談]

被相続人は父親、相続人は長男と長女の2名です。

相続財産は預貯金と土地(宅地)です。

相続開始後、長女の承諾のもと、長男は預貯金のすべてについて

相続による名義替えを行い、自身の口座に入金しました。

現在、相続財産目録を作成して分割協議の途中ですが

納税額が多額になること、今後の土地の管理(売却等)について考えがまとまら

未分割のままで相続税の申告を行うことを検討しています。

この場合、既に長男の口座に入金した預貯金について

「代償金の振替額が未定の預り金」として未分割財産として取り扱うことはできますか。

[回答]

金融機関が被相続人口座からの預貯金の払戻し手続きに際し

どのようなケースで認めるのかやどのような書類を要求するのかは

各金融機関で異なります。

ご相談のケースでは、金融機関は、遺産分割協議はまだ済んではないものの

特定の相続人が他の相続人全員の委任を受けて払戻すことを許容しており

その結果、遺産分割協議は未了だが、他の相続人全員からの委任を受けた

払戻であることが確認できたことから、長男口座にすべて入金されている

という状態となっているのではないかと推測されます。

(少額の預金であれば、例外的に相続人の代表者だけの手続きで

 処理できることがありますが、相応の金額の場合、相続人全員の署名押印

 (印鑑証明)は必要と思います。)

この場合、長男口座への入金は、あくまで相続人全員の共有財産としての

預貯金の管理としての意味しかなく、法律上預り金にすぎないため

その後に遺産分割協議をして、預貯金について誰が相続するか

決めることが予定されていると考えられます。

したがって、長男口座に入金されている被相続人の預貯金を

未分割の遺産として扱うことは可能であり

遺産分割は未了として相続税申告を行うということで問題ないと思われます。

なお、相続人が上記の意図で払戻(長男口座で管理)を選択したのであれば

特に残すべき書類もないと思いますが、この点が明確でないのであれば

被相続人名義の口座を解約して払い戻した金額は、未分割の遺産として

長男名義の口座で管理する、という覚書のようなものを相続人で残しておいた方が良いかもしれません。

(この書面が調印できるのであれば、そもそも未分割という認識があるので

 問題になることもないと思いますが。)

2022.05.14

遺言による保険金の受取人の変更

[相談]

下記の生命保険について

仮に妻が先に亡くなった場合には、世話になっている姪に受け取って欲しいと思っています。

妻が先に亡くなった時点で、私が死亡保険金の受取人を変更できればよいのですが

そうでない状況を想定して、遺言で受取人を姪に変更しておきたいと思っています。

これは、可能でしょうか?

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:妻

[回答]

遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能ですが

諸条件を満たしている必要があります。

[詳細]

1.保険法改正により可能となった遺言による保険金受取人の変更

2010年4月1日に施行された「保険法」で、遺言による保険金受取人の変更が可能となりました。

原則、保険法施行後の契約が対象となりますが、保険会社によってその取扱いは異なります。

2.留意点

遺言によって保険金受取人を変更するときの、主な留意点は以下の通りです。

(1)変更の可否を確認
 多くの保険会社は「法律上有効な遺言であれば

受取人に指定できる方の範囲に定めはない」としているようですが

変更可能な受取人の範囲を約款で決めている保険会社もあります。

遺言書を作成する前に、必ず受取人として指定できるかどうか、確認するようにしましょう。

(2)遺言書の記載内容
 遺言によって保険金受取人を変更するときは

どの保険契約か特定できるような情報を遺言書に記載します。

この場合の「情報」とは、保険会社、証券番号、契約者、被保険者

保険種類、契約日などが該当しますが、特定できれば複数の情報の記載は必要ありません。

遺言書の例文

第〇条 私は、私が契約者となっている次の生命保険契約における

死亡保険金受取人として、姪◇◇を指定する。

(保険契約の表示)
①〇〇生命:証券番号00000000000
②■■生命:証券番号11111111111
③▼▼生命:証券番号22222222222

(3)遺言による保険金受取人の変更手続き
 遺言による保険金受取人の変更手続きを行うには

保険契約者の相続人が遺言による保険金受取人変更について

保険会社に申し出なければなりません。

その際に、一定の書類の提出が必要な場合があります。

必要となる主な書類は以下のとおりですが、保険会社によって異なるため

予め約款などで確認したり、保険会社へ問い合わせをしたりするとよいでしょう。

  1. 申し出をするための書類
  2. 遺言書の写し
  3. 検認済証明書の写し(遺言が公正証書遺言でない場合)
  4. 保険契約者の戸籍謄本
  5. 相続人もしくは遺言執行人の印鑑証明書
  6. これらの他にも、被保険者の同意が必要であること、保険会社の取扱要件を満たすことや
  7. 遺言書自体が法律上有効でなければならないなど、遺言による保険金受取人の変更には留意点があります。
2022.05.07

大学へ入学する孫に対する住宅取得等資金の贈与

[相談]

2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。

一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です

通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ

転用できる立地の良い物件を検討しています。

購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を

適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。

気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6ヶ月であることと

購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。

なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。

[回答]

懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については

令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。

ただし、適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点にご留意ください。

詳細は以下、解説をご参照ください。

[詳細]

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築

取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において

一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。

この非課税措置については適用期間が定められており

これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが

これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。

2.懸念されている2点について

(1)受贈者の年齢要件
これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において

20歳以上であること」でした。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から

“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられました。

そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば

お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。

(2)築年数の要件
建築後使用されたことのある住宅用の家屋については

これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」

という、築年数の要件がありました。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から

築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋

(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は

新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。

そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても

新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。

なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば

これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため

一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。

懸念されている点については、以上のようになります。

非課税措置の適用を希望される場合には少なくとも年齢要件を満たせるように

住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。

上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。

2022.05.03

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

[相談]

父が先日亡くなり、私が喪主として葬儀を執り行い、葬儀費用も負担しましたが

相続人間での遺産分割協議は時間がかかりそうです。

父の預金で葬儀費用の負担分を賄いたいと考えていますが

「相続人全員で遺産分割協議が成立しなければ、故人の預貯金は凍結され、引き出すことはできない」

と聞きました。

遺産分割協議が成立するまで預貯金の引き出しは全くできないのでしょうか?

[回答]

 ご相談の通り、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知ることにより

故人の預貯金の口座の入出金は停止、凍結され、故人の預貯金は

相続の手続きが終わるまで基本的に動かすことができなくなります。

 しかし、このことにより、相続人が過大な負担を強いられたり

迅速な被相続人の債務の弁済に支障を生じたりすることがあるため

令和元年7月1日施行の改正民法で仮払い制度が創設されました。

当面の費用を必要とする各相続人への簡易迅速な払戻しのため、遺産分割が確定する前でも

他の相続人の同意を得ることなく被相続人の預貯金を引き出すことができようになりました(民法909条の2)。

 これにより各相続人は、相続預貯金のうち口座ごとに以下の計算式で求められる額については

家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から他の相続人の同意なしで払戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

 

(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

  <計算例>
    普通預金720万円の場合、法定相続分2分の1の相続人(配偶者)への払戻額
    720万円×1/3×1/2=120万円 < 150万円
    払戻限度額 120万円

 

なお、これらの制度により払い戻された預貯金は、後日の遺産分割において
調整が図られることになります。
この制度の利用を考えられた場合は、金融機関へのご相談又は
お近くの弁護士などの専門家へご相談をお願いいたします。

 

 

2022.04.22

成年年齢引き下げによる暦年贈与の特例税率への影響

[相談]

民法改正により、令和4年(2022年)4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが

贈与税(暦年課税)の特例税率の適用については、どのような影響が生じるのでしょうか。

[回答]

令和4年(2022年)4月1日から、暦年贈与の特例税率の適用を受けられる受贈者の年齢要件が

成年年齢の引き下げに合わせて、18歳以上に改正されました。

[解説]

1. 贈与税額の基本的な計算方法

相続税法上、平成13年1月1日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については

課税価格から110万円(基礎控除額)を控除すると定められています。

また、贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を、次の表

(一般贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

2. 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

上記1.にかかわらず、相続税法上、平成27年1月1日以後に直系尊属からの贈与により財産を取得した者の

の年中のその財産に係る贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を次の表

(特例贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

上記の特例における「贈与により財産を取得した者」については年齢要件が設けられており

今般の成年年齢引き下げ前は「20歳以上」と定められていましたが

令和4年(2022年)4月1日からは「18歳以上」と改正されました。

 なお、上記の年齢の判定日は、贈与年の1月1日と定められていますので、ご留意ください。

2022.04.08

遺産分割に関する民法改正の内容について

民法改正前は・・・

 これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から

何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから

早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき

インセンティブが働きにくい状態でした。

 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され

多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり

そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる

原因の一つとなっていました。

 そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして

遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

改正のポイント①

 改正の最も重要なポイントは、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ

相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく

法定相続分によることになったことです。

 すなわち、具体的相続分によれば、法定相続分による場合よりも

多くの財産を取得することができると考える相続人は

他の相続人が得た贈与が特別受益に該当する

あるいは自分が被相続人に行った労務等の提供が寄与分にあたると主張することになりますが

遺産分割の合意ができず、そのような具体的相続分に沿った遺産分割の審判を求める場合には

相続開始時から10年以内に、家庭裁判所に遺産分割請求を行うことが必要となります

(具体的相続分による遺産分割の合意は、相続開始時から10年を経過した後でも可能です)。

改正のポイント②

 なお、上記改正部分の施行日は、令和5年(2023年)4月1日となっていますが

施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても

改正法の適用がある点に留意する必要があります

 但し、経過措置により、相続開始時から10年経過時または改正法施行時から

5年経過時のいずれか遅い時までに、遺産分割請求がされた場合には

具体的相続分による分割は可能とされていますので、少なくとも5年の猶予期間があります。

改正のポイント③

 他にも、現行法では、遺産共有と通常共有が併存する場合において

共有関係を裁判で解消するには、地方裁判所等での共有物分割訴訟と

家庭裁判所での遺産分割請求を別個に実施する必要がありましたが

 改正法では、相続開始時から10年を経過したときは

遺産共有関係の解消も共有物分割訴訟において実施することができるようになります。

 また、相続により不動産が遺産共有状態となったものの

相続人の中に所在等の不明なものがいて、共有関係を解消できないようなケースについて

相続開始時から10年を経過したときは、裁判所の決定を得て

相当額の金銭を供託することにより

所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるようになります。

 

このように、改正法では遺産共有関係の解消の促進

円滑化、合理化が図られていますので、有効に活用されることが期待されます。

 

2022.04.03

[相談]

ここのところ、雑誌等で贈与税の生前贈与分が相続時に取り込まれる

いわゆる“相続税と贈与税が一体化”されるような情報を目にするようになりました。

令和4年度の税制改正大綱が発表され、税制改正関連の法律が成立しましたが

改正項目として含まれたのでしょうか?

[回答]

 令和4年度税制改正では、具体的な改正項目はありませんでした。

ただし、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方の中で

「相続税・贈与税のあり方」としての方向性が示されました。

[詳細]

1.政府与党が公表した令和4年度税制改正大綱
2021年12月10日付で、政府与党が令和4年度税制改正大綱を公表しました。

この中で、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方として

以下のとおり述べています。

相続税・贈与税のあり方:
 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに

相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており

結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。

 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば

その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。

高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば

格差の固定化につながりかねない。

 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ

資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

 わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、

贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。

このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては

生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で

相当に高額な相続財産を有する層にとっては

財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら

多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ

相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から

現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど

格差の固定化防止等の観点も踏まえながら

資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて

本格的な検討を進める。

 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して

何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について

格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

2.資産移転時期の選択に中立的な税制

 『資産移転時期の選択に中立的な税制』とは、どのような税制でしょうか。

この点については、2020年11月13日開催の第4回税制調査会内で

財務省が作成した説明資料が参考になります。

この資料の中で財務省は、「資産移転の時期の選択に中立的」とは

“資産の移転の時期(回数・金額含む)にかかわらず、納税義務者にとって

生前贈与と相続を通じた資産の総額に係る税負担が一定となることをいう”と記しています。

具体的なイメージは、下図のとおりです。

出典:内閣府HP「説明資料〔資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築等について〕

これによって、いつ贈与しても税負担は変わらない、というのが財務省の意見です。

特に暦年課税は、相続時に持ち戻されて相続税が課されるのは

死亡前3年以内の贈与分のみであって、それよりも前の暦年課税による贈与分は

持ち戻されず相続税は課税されません。この点について財務省は

資産移転の時期に中立的でないと示しています。

3.経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

 現状、経済対策として講じられている主な贈与税の非課税措置は、以下のとおりです。

  1. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成25年(2013年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  2. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  3. 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)1月1日から令和5年(2023年)12月31日までの措置]

 これらの措置について、今後どういった見直しがされていくのか注視していきましょう。

 

2022.03.26

45万人が活用する贈与税の暦年課税

【1】暦年課税の申告者は45万人弱

相続対策として生前贈与を活用することがあります。

ここでは2021年6月に国税庁が発表した資料(※)から

暦年課税による贈与税の申告状況をみていきます。

 

(※)国税庁「令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
 2021年(令和3年)6月に発表された資料です。

申告人員は2019年分と2020年分が翌年4月末まで

それ以前の年は翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。

 

直近5年分の暦年課税(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額

(110万円)を控除した残額(基礎控除後の課税価格)について

贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて贈与税額を計算するもの)

の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

 

2020年分の申告人員は44.6万人で前年と同程度となりました。

うち申告納税額有が35.1万人、申告納税額無が9.5万人です。

2018年分以降は申告納税額有が35万人台で推移しています。

申告納税額がある割合は78.7%で2年連続の低下となりました。

 

【2】申告納税額は2,000億円台で推移

2020年分の申告納税額は2,177億円で前年より増加し

3年連続で2,000億円を超えました。1人当たり申告納税額は62万円で申告納税額と同様

前年に比べ増加しました。

2018年分以降の申告納税額は、2017年分以前より高い水準で推移しています。

暦年課税を実行するにあたっては注意点等がございます。

また、贈与税の改正の動きにも注目が集まっています。ご留意ください。

 

 

2022.02.25

障碍のあるご家族のためのサポート体制

 今回は、障碍への法律におけるサポート体制として、「成年後見制度」や「任意後見契約」

「家族信託」について、会話形式でご紹介します。

 

Q1.

私たち夫婦の長男は知的障碍を持っています。私たち夫婦が元気なうちは私たちが

長男をサポートすることができますが、私たちが病気などでサポートを受ける立場に

なってしまったときに、長男のことをどのようにサポートをしていけば良いかわかりません。

何か良い方法はないのでしょうか。

A1.

いわゆる「親亡き後問題」ですね。とても悩ましい課題です。

ご両親の他にご長男様のサポートをお願いできる方がいらっしゃらない場合には

「成年後見制度」を活用することをご提案いたします。

家庭裁判所が選任した司法書士や弁護士が後見人として

お子様がお持ちの財産の管理や入院や介護施設入所時の手続きをすることで

ご長男様が今後生活で困ることがないようにサポートする制度です。

 

Q2.

そうなんですね。実は私たち夫婦には子供がもう一人おります。

5歳ほど年の離れた二男がいますので、私たちがサポートできなくなった場合には

二男に長男をサポートしてもらいたいと思っています。

成年後見制度だと、専門家が後見人になってしまい

後見人への報酬がかかると聞いていますので

できれば成年後見制度は避けたいです。

A2.

二男様がいらっしゃるのですね。成年後見制度でも

ご長男様のご資産の内容やご家族との関係性次第では二男様が後見人になる場合もあり得ますが

あくまで家庭裁判所の専権事項なので確実ではないですね。

その場合は、「任意後見契約」も検討してはいかがでしょうか。

ご長男様と二男様との間で財産の管理をお願いする契約を結ぶのです。

そうしておくと、いざご長男様の財産管理が必要になったときに

二男様が財産を管理することができます。

Q3.

なるほど。ただ、長男は重度の知的障碍のためコミュニケーションをとることができません。

そうなると任意後見契約は難しそうですね。他に良い方法はありますか。

A3.

はい、「家族信託」が方法として考えられると思います。

ご両親がお持ちのご資産のうち、ご長男様の生活のために残したいと思う財産について

二男様へ信託をするのです。そうすることで、最終的には二男様がご長男様のために

財産管理をする体制を構築することができます。

ご事情によって適切な手段は異なりますので、じっくりご検討ください。

 

2022.02.19

遺言書のススメ

[相談]

私は先日夫を亡くしました。私には子がおらず、父母・祖父母はすでに他界しており

兄弟姉妹・甥姪もいないため、身寄りがありません。

私が亡くなったら、面倒を見てくれている亡夫の姪に財産を渡したいと思っていますが

どうすれば良いでしょうか。

[回答]

亡ご主人の姪御さんはあなたの法定相続人ではありません。

あなたには法定相続人がいないため、遺言書がない限りあなたの遺産は原則国庫に帰属します。

姪御さんにお世話になっていたり、今後お世話になったりなどの事情から

あなたが亡くなったあとに残った財産を姪御さんに渡したいときは

遺言書を作成されることを強くお勧めします。

[詳細解説]

法定相続人がいない(相続人不存在)場合、相続開始時から相続財産は法人となり

家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続財産を管理し

相続人を捜索し、相続財産を精算する手続きを行うことになります。

あなたが亡くなったあと遺言がない場合でも、上記の一連の手続きで

姪御さんが療養看護に努めたことなどを以って、特別縁故者として相続財産の分与を家庭裁判所に請求し

認められれば相続財産の全部または一部を姪御さんが受け取ることができます。

 

ただし、姪御さんが確実に財産を受け取れる方法ではありません。

また、家庭裁判所の手続きが煩雑であり、時間もかかります。

姪御さんに遺贈する旨の遺言書を作っておくことが確実です。

遺言は、作成の方式を満たし、遺言の要旨が明らかであれば自筆証書であっても

公正証書であっても効力は同じですが、自筆証書による遺言は

法務局で遺言書の保管をしない限り家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

 

一方、公正証書による遺言は、検認の手続きが不要であることと

公証人が遺言者本人の遺言意思を確認して作ってくれることから遺言の要旨も明らかであるため

紛争が生じる恐れも少なくなります。

したがって、遺言をされる場合は、公正証書で作成されることをお勧めします。

その他ご参考までに、近年高齢の方たちが相続人になるケースで散見される相続の課題として

推定相続人に行方不明者や認知症の方がいる場合があります。

遺産分割協議は、全員が参加し、相続人のうち誰が

何を、どれだけ相続するかを話し合わなければ成立しません。

当事者の行方が分からない場合であっても、認知症で相続の意思を表明できない場合であっても

そのような相続人を含め、全員が参加する必要があります。

行方が分からない相続人がいるときは相続財産管理人に

認知症などで判断能力の不十分な相続人がいるときは

後見制度を利用し後見人にそれぞれ相続人の代理人になってもらい

遺産分割協議に参加してもらうことになります。

これらの制度は状況や事情によっては使えず、遺産分割が進められないこともあります。

このような相続関係が予想されるときは

遺言を作成して遺産分割協議の余地をなくすことが必要です。

2022.02.15

個人間取引で住宅を購入した場合の住宅ローン控除限度額

[相談]

私は昨年(令和3年)、築10年の中古マンションを個人(個人事業者でない個人)から

4,000万円で購入し、居住を開始しました(なお、同額の住宅ローンを利用しています)。

その購入したマンションについて、令和3年分の所得税確定申告で

住宅ローン控除の適用を受けようと考えているのですが

私の住宅ローン控除限度額はいくらになるのでしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、住宅ローン控除限度額は20万円であると考えられます。

[解説]

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が、国内において住宅の取得等をして

これらの家屋を令和3年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合において

その人がその住宅の取得等に係る住宅ローンの金額を有するときは

原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち

その人のその年分の合計所得金額が3,000万円以下である年について

その年分の所得税の額から、一定の住宅ローン控除額(住宅借入金等特別税額控除額)

を控除するという所得税法上の制度です。

2.住宅ローン控除額の計算方法の概要

上記1.の住宅ローン控除額は、原則として

その年の12月31日における住宅ローンの残高(年末残高)に一定の控除率を乗じて計算されます。

なお、住宅ローンの年末残高には上限が設けられており、具体的には、居住年が令和3年で

かつ、その居住に係る住宅の取得等が「特定取得」に該当するものであるときは

4,000万円と定められています。

上記の「特定取得」とは、購入した住宅の対価の額等に

8%または10%の税率で計算された消費税額等が含まれているものを指します。

今回のご相談の場合、個人事業者でない個人から中古マンションを購入されたとのことですが

そのような個人事業者でない個人同士での建物の売買については

消費税はかからないことと定められています。

このため、ご相談の中古マンションの購入は

上記の「特定取得」には該当しないこととなります。

「特定取得」でないマンションの購入について利用した住宅ローンの

上限額は2,000万円と定められており、その場合の控除率は1%と定められています。

したがって今回のご相談の場合、住宅ローン控除限度額は2,000万円の1%

すなわち20万円になるものと考えられます。

2021.11.27

生命保険を活用した相続対策

[相談]

私が亡くなると相続人は成人した子ども2人です。

私の財産は、自宅マンションと預金を合わせて大体5,000万円程度となります。

生命保険には入っていないのですが、先日子どもから、相続対策に生命保険に入ったらどうか

といわれました。本当に対策になるのでしょうか?

[回答]

生命保険は、相続対策によく使われる金融商品の一つですが

それには相続を迎える前に考えておきたい「相続財産の評価」「遺産分割」「流動性資金の準備」

の3つの面でメリットがあるからです。

[詳細]

1.現行の相続税の計算

現行の相続税法による相続税の計算は、

まず相続または遺贈などにより財産を取得した各人の課税価格を計算します。

この課税価格には、預金などの他にも、いわゆる“みなし相続財産”といわれる生命保険金や

退職手当金等も含まれ、相続により引き継いだ債務や負担した葬式費用などを控除した後の金額をいいます。

この課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いた金額に対して相続税が課税されます。

この場合の基礎控除額とは、次の算式により計算した額です。

3,000万円+600万円×法定相続人の数(※)
(※)法定相続人の数は、相続を放棄したとしても

その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。

ご相談の場合、法定相続人が2人であるときの基礎控除額は、4,200万円(3,000万円+600万円×2人)です。

仮に課税価格の合計額が5,000万円だったとすると

基礎控除額を差し引いた800万円に対して相続税が課税されることとなります。

2.預金を生命保険に変えたことによるメリット

同じ相続財産として課税されるとしても、それが預金であるか死亡保険金であるかによって

主に以下の違いがあります。

(1)相続財産の評価

現預金は100%相続税の課税対象になりますが

死亡保険金には以下の非課税枠があります。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
※ただし、契約者と被保険者が同一で死亡保険金受取人が法定相続人の場合に限ります。
例)法定相続人が子2人の場合、非課税枠は500万円×2人=1,000万円となります。

(2)遺産分割

生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため

大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。

ただし、原則、死亡保険金受取人は、被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。

保険会社によっては配偶者や2親等内の血族以外の人を受取人として認める場合もありますので

事前に保険会社へ確認されるとよいでしょう。

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には

上記(1)の非課税枠の適用はありませんので、ご注意ください。

(3)流動性資金の準備

相続が発生して銀行口座が凍結された場合、預金は容易に引き出せなくなります。

しかし、死亡保険金は受取人からの請求により速やかに支払われますので

葬儀費用や入院費用、当面の生活費といった費用に充てることができます。

どういった資産の種類をどのような割合で保有しておくことが最適なのかについては

その方のライフスタイルに応じて

また、一度決めたとしてもその後の年齢や住環境の変化により変わる場合もあります。

 

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