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2021.10.15

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

所得税の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

よりピックアップしてご紹介します。

誤った取扱い

未分割の相続財産から生ずる不動産所得について

法定相続分で申告したが、後日

法定相続分と異なる遺産分割が行われた場合は

相続時に遡及して是正しなければならないとした。

正しい取扱い

未分割の相続財産(不動産)から生ずる収入は

遺産とは別個のものであって、法定相続人各人がその相続分に応じて

分割単独債権として確定的に取得するものであるから

その帰属につき、事後の遺産分割の影響を受けることはない

(最高裁平17.9.8判決)。

なお、遺産分割確定日以後の不動産収入については

その遺産分割による相続分により申告することとなる。

出典:大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

2021.10.09

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できますか?

[相談]

私は現在、住宅ローン控除の適用を受けています。

諸般の事情により、住宅ローン控除の適用を受けているその住宅(自宅)を

今年(2021年)中に売却し、同じく今年中に新しく住宅(自宅)を

購入することを検討しています。

現在の自宅の売却については売却益が出る見込みのため

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を

受けたいと考えています。

同時に、新たに購入する自宅について住宅ローン控除の適用も受けたいと

考えているのですが、その併用は可能でしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例と

住宅ローン控除の併用はできません。

[解説]

1.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の概要

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例とは

正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

具体的には、個人が所有する居住用財産(マイホーム)を売却した場合において

その売却による利益(譲渡所得)から最高で3,000万円を控除できるという所得税法上の制度です。

なお、上記の「最高で3,000万円を控除できる」という部分について

売却したマイホームの所有期間の長短は影響を及ぼしません。

2.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための要件

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための主な要件は

下記のとおりです。

  1. ①自分が住んでいる住宅等の売却であること
  2. ②過去に自分が住んでいた住宅等を売却した場合には
  3.  その住宅等に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること
  4. ③その年の前年又は前々年においてマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の適用を受けていないこと

3.住宅ローン控除制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等をし

令和3年12月31日までにそのマイホームに実際に住んだ場合で一定の要件を満たすときにおいて

その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を

マイホームに実際に住んだ年分以後の一定の各年分の所得税額から控除するという所得税法上の制度です。

ただし、この制度は、そのマイホームに実際に住んだ年とその前年、前々年に

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受けている場合には

適用しないことと定められています。

また、そのマイホームに実際に住んだ年の翌年以後3年以内の各年において

住んでいた住宅等を売却し、上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の

適用を受ける場合にも適用しないと定められています。

つまり、マイホームに実際に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間については

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できないということです。

したがって、今回のご相談の場合についても、同じ年(2021年)において住宅ローン控除と

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の併用はできないこととなります。

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2021.09.25

住宅取得等資金贈与の非課税の期限に留意してください

現行税制は本年末までの贈与・契約締結が必要です

令和3年度改正で住宅取得等資金贈与の非課税措置について

床面積要件の緩和や非課税限度額引上げ等の見直しは行われましたが

同制度の延長は行われませんでした。

適用期限は令和3年末とされていますが、令和3年8月末公表の令和4年度税制改正要望では

国土交通省から同制度について所要の措置を講じる要望が行われています

R3改正では床面積要件の緩和等

この制度は、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に

合計所得金額が2,000万円以下の20歳以上の受贈者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に

一定額までが非課税となるという内容です。

令和3年度改正で、令和3年1月1日以後の贈与について合計所得金額1,000万円以下

の場合に床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和され

同年4月以降の非課税限度額の引上げ等の見直しが行われました。

現行では、令和3年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受け

かつ、その資金の全額を充てて住宅の新築・取得又は増改築等に係る契約を

締結していることが要件の一つとなります。

なお、贈与と契約締結の順番は問いません。

新築等は贈与の翌年3月15日までに

贈与及び契約締結時期に係る要件のほか、住宅の新築等は贈与年の翌年3月15日までに

行わなければなりません。

住宅の新築の場合は、同日において新築工事が完了している(いわゆる棟上げまで完了している場合を含む)こと

取得の場合には同日までにその引渡しを受けていることが必要となります

原則贈与の翌年3月15日までに入居

住宅への入居期限は原則として贈与年の翌年3月15日までとされていますが

同日後遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合には

居住の予定時期等を記載した書類等を申告時に添付することで同制度の適用が認められます。

ただし、贈与年の翌年12月31日までに居住していない場合は

適用を受けられなくなるため修正申告が必要となります。

これら期限の要件等を満たし同制度の適用を受ける場合は

贈与税の申告期限内(贈与年の翌年2月1日から3月15日まで)に

住宅の新築に係る工事の請負契約書や

取得に係る売買契約書の写しなど一定の書類を添付して申告を行うこととなります

 

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2021.09.18

建物の固定資産税評価額が下がらない?

(質問)評価替えの年なのに、建物の固定資産税評価額が下がらないのはなぜでしょうか?

令和3 年度は、固定資産税評価額の評価替えの年度ですが

建物(鉄筋コンクリート造の賃貸マンション)の固定資産税評価額が下がっていません。

建物は経年により価値が減少していくのに

なぜ固定資産税評価額が同額なのでしょうか︖

(回答)

通常であれば、経年劣化等により固定資産税評価額が減少すべき建物ですが

令和3 年度については、物価上昇を背景に建物の固定資産税評価額が

据置きとなったものと考えられます。

建物の固定資産税評価額の算定方法

建物の固定資産税評価額は、屋根・外壁・内壁・天井・床・基礎・建具・設備などにつき

それぞれに使用されている材料の種類や数量を把握し

国が定めた固定資産評価基準に基づいて算出されています

 

算式(従来分の家屋に係る固定資産税評価額)
基準年度の前年度の再建築価格 × 再建築費評点補正率 × 経年減点補正率

⇒再建築価格
再度その場所にその建物を建てるとした場合に必要とされる建築費

⇒再建築費評点補正率
基準年度と前回の基準年度との間に発⽣した物価変動の補正率

⇒経年減点補正率
建築後の年数の経過によって⽣ずる建物の傷み具合による価値の減少を
率で表したもの(初年度は1 年間経過したものとします)

据置きとなるケース

算定の結果、固定資産税評価額が前年度の額を下回った時は

建物の固定資産税評価額は引下げとなります(ケース①)。

一方、固定資産税評価額が前年度の額を上回った場合

算式では建物の固定資産税評価額は引上げとなりますが

措置が講じられて据置きとなります(ケース②)。

建築資材の高騰及び人手不足等による人件費の高騰により

近年、同等建物の建築物価は上昇しています。

おそらく令和3 年度は、措置により据置きになっているものと推測されます。

なお、令和2 年1 月2 日から令和3 年1 月1 日までの間に

増改築や一部取壊し、そのほか特別な事情があった場合は

新たに評価をし直している点にもご留意ください。

今後も現在の状況が続きますと

令和6 年度の建物の価格も据置きとなる可能性があります。

建物の収益力を高め、建物の実質的な価値を高めることを常に心掛けることが必要でしょう。

2021.09.10

配偶者居住権と相続税

[相談]

 2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権は相続税が課税されるのでしょうか?

[回答]

配偶者居住権は、その配偶者居住権に付随する敷地利用権とともに

相続税の課税対象です。

[詳細解説]

1.配偶者居住権とは

 配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

配偶者は、遺産分割協議や遺言(相続又は遺贈、以下、相続等)によって

配偶者居住権を取得することができます。

2.配偶者居住権と相続税

(1)配偶者居住権と敷地利用権

 配偶者居住権は建物に住む権利ですが、その配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

(2)税務上の取扱い

 配偶者居住権も敷地利用権も相続税の課税対象となります。

それぞれ定められた一定の評価方法により算定をして、相続財産として加算します。

なお、敷地利用権については、他の宅地と同様、「小規模宅地等の特例」の適用が可能です。

 配偶者居住権は、民法改正により創設され、2020年4月1日に施行されたものです。

開始してまだ1年半も経っていませんが

遺産分割における選択肢の一つとして必ず検討すべき権利といえるでしょう。

<参考>
 国税庁「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例(令和2年7月)」

2021.09.03

貸付事業用宅地等の範囲から除かれる相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等

質問

被相続人甲は,10年前から2棟のアパート(各棟10室)を所有し不動産貸付業を営んでいた。

同人は,相続税対策の一環として,当該アパートを次のとおり譲渡したが,

その1年後に事故で亡くなった。なお,その譲渡後も各アパートは,

引き続き賃借人に貸し付けられている。

(1) 被相続人甲の相続人である長男にアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

使用貸借により長男に貸し付けていた。なお,長男は,被相続人と生計を一にしていた者であるが,

当該アパートを譲り受けるまで不動産の貸付けは営んでいなかった。

(2) 同族会社Xにアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

相当の地代によりX社に貸し付けていた。

小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等の範囲からは,

被相続人等の不動産貸付の用に供されていた宅地等で,相続開始前3年以内に新たに貸し付けられた宅地等は

除かれていますが,このアパートの敷地の用に供されていた宅地等について

小規模宅地等の特例の適用は認められるでしょうか。

質問(1)の回答

(1) 長男に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

貸付事業用宅地等の範囲からは 措置法69条の4 第3項4号に規定する

「新たに貸付事業の用に供された」宅地等は除かれており,

その判定は,貸付事業用宅地等の要件が貸付事業の主体

(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(以下「生計を一にしていた親族」といいます。)

ごとに定められていることからすると,

被相続人又は生計を一にしていた親族のそれぞれの利用状況により行うことが相当と考えます。

したがって,アパートの譲渡により貸付事業の主体が被相続人甲から長男に変更されていますから,

この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当し,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は貸付事業用宅地等に該当しないと考えます。

質問(2)の回答

(2) X社に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

被相続人の貸付事業は,譲渡前は建物の貸付けであったものが,

譲渡後は土地の貸付けに変更されていますが,

引き続き同人の貸付事業であることに変わりはありません。

したがって,この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当しないことから,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等については

一定の要件を満たす限り貸付事業用宅地等に該当し,

小規模宅地等の特例の適用が認められると考えます。

2021.08.21

相続人に配偶者と障害者がいる場合

[相談]

我が家には、身体に重度の障害(身体障害者1級)を持った長女(52歳)がいます。

先日、夫が亡くなったのですが、長女の将来を考え、長女には夫の遺産の大部分を

相続させてやりたいと考えています。それについては、他の兄弟も納得してくれています。

しかし、相続税の負担もなるべく減らしたいと考えています。

そのためには、配偶者である私が法定相続分又は1億6,000万円までを相続し

配偶者の税額軽減の特例を最大限受けるのが一番よい選択なのでしょうか?

[回答]

配偶者の税額軽減の特例だけにこだわらなくても

障害者控除により全体の納付税額のご負担が軽減される可能性もあります。

ご長女様の将来もよく考えながら、様々なご検討をなさることをお勧めします。

[詳細解説]

配偶者の税額軽減の特例とは、被相続人の配偶者について一定の金額まで

相続税が発生しないという特例制度です。これは残された配偶者の生活保障のため

という背景がありますが、相続税の計算においては各相続人の個別事情等に配慮して

この配偶者の税額軽減の特例以外にも

算出相続税額から控除できる税額控除がいくつか設けられています

その税額控除の中の1つに、「障害者控除」という制度があります。

これは、社会的弱者である障害者が相続により財産を取得した場合には

算出相続税額から一定額を差し引くという制度です。

では、障害者控除の適用要件や控除金額などを、具体的にみてみましょう。

1.障害者控除を受けられる相続人

次の要件すべてに当てはまる人は、障害者控除の適用を受けることができます。

  1. 相続等で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一定の人を除く)
  2. 相続等で財産を取得したときに障害者である人
  3. 相続等で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、なかったものとした場合の相続人)であること
  4. 2.控除額

    1. 一般障害者  10万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)*
    2. 特別障害者  20万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)*
    1. * 85歳に達するまでの年数で、1年未満の期間があるときは、1年切り上げて1年として計算
    2. * 過去に他者からの相続において、障害者控除の適用を受けている場合には、控除額が制限されます。

3.障害者の区分

  1. 一般障害者
    身体障害者手帳の等級:3級~6級
    精神障害者福祉健康手帳の等級:2級、3級
  2. 特別障害者
    身体障害者手帳の等級:1級、2級
    精神障害者福祉健康手帳の等級:1級

4.留意点

(1)障害者控除額が引ききれない場合
障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が

引ききれない場合には、その引ききれない部分の金額を

その障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

この場合の扶養義務者とは、配偶者、直系血族(父母や子、孫)及び兄弟姉妹などをいいます。

なお、この扶養義務者は「同居」や「生計一」である必要はありません。

扶養義務者が2人以上ある場合の、それぞれの控除額は扶養義務者間での

協議により自由に配分することができます。

(2)その他
障害者控除は、その障害者が何も財産を相続していない場合には

控除することができません。また、この場合には他の扶養義務者

である相続人からも控除することはできません。

 

2021.08.08

相続開始後に必要な手続き

[相談]

先日、主人が亡くなりました。葬儀は終えましたが

他にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

私たちは年金生活をしており、子は2人いますが

独立しています。住まいは持ち家で、その他若干の預金があります。

[回答]

 一般的に以下のような手続きが必要になります。

① 住所地の市区町村役場での手続
死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内/戸籍法第86条1項)

健康保険被保険者証・障がい者手帳・印鑑登録手帳等の返納、葬祭費の請求

健康保険料や介護保険料等の精算を行います

(但し、その場で現金を収めたり、受け取ることはありません)。

② 年金事務所での手続
受給していた年金の種類によっても異なりますが

基本的にはご主人が受給していた年金を止める手続と

未支給の年金をもらう手続などを行います。

あなたが遺族年金をもらう手続きも行った方が良い場合があるため

併せて確認するとよいでしょう。

③ 公共料金の引き落とし口座の変更
ご主人の銀行口座は今後相続手続きを行って解約していく必要があるため

現在ご主人名義の銀行口座から公共料金(電話、水道、電気、ガスなど)

を引き落としている場合は、口座を変更する必要があります。

変更には数ヶ月かかる場合もありますが、その前に口座が凍結されてしまった場合は

ご自宅に払込用紙が届くと思いますので、そちらで支払いが可能です。

④ 生命保険会社への保険金請求
ご主人や受取人の方の戸籍・住民票などの原本の提出が

必要な場合があります。

請求する生命保険会社に確認の上、役所手続の際に戸籍を

必要通数分取得されることをお勧めします。

上記の他

⑤火災保険・地震保険の名義変更、⑥自動車の名義変更

⑦自動車保険の名義変更、⑧携帯電話の解約、⑨クレジットカードの解約

⑩土地建物の名義変更、⑪農地法・森林法の届出、⑫預貯金の解約又は名義変更

⑬準確定申告、⑭相続税申告 などが必要な場合もあります。

上記は一般的に必要な手続であり、ご家族の状況・財産の内容・遺言の有無などによって

必要な手続は異なります。「相続手続」というと

遺産分割などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが

遺産分割を行う前の事務手続もさまざまです。

ご不安があれば、遠慮なくお問い合わせください

2021.07.30

満期を過ぎた外貨建て保険と相続

[相談]

外貨建て養老保険に加入していた夫が、今年1月に満期を迎えた保険金の

請求手続きを行うことなく、4月に亡くなりました。

保険証券を確認したところ、死亡保険金の受取人は配偶者である私と長男

5割ずつ指定されています。外貨で受け取ることができる旨の記載もあるので

私も長男も外貨受け取りを希望しています。

満期が過ぎている契約ですが、死亡保険金として請求をするのでしょうか。
 また、税金はかかりますか?
 なお、相続人は、私(配偶者)、長男、次男の3人です。

  【外貨建て養老保険の契約内容】

  1. 保険種類:米ドル建て養老保険
  2. 契約期間:10年
  3. 契約者(保険料負担者):夫
  4. 被保険者:夫
  5. 満期保険金受取人:夫
  6. 死亡保険金受取人:配偶者・長男 各5割
  7. 死亡、満期保険金:200,000米ドル
  8. 全期前納保険料:175,000米ドル

[回答]

ご相談の契約は、ご主人がお亡くなりになる前に満期が到来しているため

保険会社への請求手続きは死亡保険金ではなく、未請求であった満期保険金となります。

この満期保険金は、ご主人の所得として所得税の課税対象となる他、ご主人の相続財産に加算します。

また、所得税が課税されることにより納付すべき所得税が発生した場合は

相続税の計算上、ご主人の債務として遺産総額から控除できます。

なお、申告上、外貨建ての財産は円建てに換算する必要があります。

換算する際の為替レートは決められており

各々適用される為替レートは詳細解説にてご確認ください。

 

1.死後に行う満期保険金の請求手続き

保険金の請求手続きが被保険者の死亡後であっても

被保険者が死亡する前に満期を迎えていれば、死亡保険金としては扱われず

満期保険金としての請求手続きとなります。

この満期保険金の課税の取扱いは、以下のとおりです。

(1)所得税
ご相談の満期保険金は、満期が到来した年分のご主人の一時所得として

所得税の課税対象となります。実務上は、ご主人に代わり相続人が準確定申告を行い

納付すべき所得税が生じた場合には納付することとなります。

(2)相続税
相続税の計算上、ご相談の満期保険金は、相続人共有の財産(未収入金)として

相続財産に加算します。死亡保険金ではないため、保険金の非課税制度

(500万円×法定相続人の数)を適用することはできません。

また、(1)により所得税を納付することとなった場合には

その所得税は相続税の計算上、債務として遺産総額から控除できます。

 

2.外貨で受け取るときの為替レート

外貨建て保険を外貨で受け取る場合、税金を計算する上では

円換算する必要があります。この際に適用される為替レートは、次のとおりです。

【所得税の評価】

  1. 全期前納保険料:原則として払込日(保険会社受領日)のTTM(※)
  2. 満期保険金:原則として支払事由発生日(満期日)のTTM(※)

【相続税の評価】

  1. 未請求であった満期保険金相当額:原則として支払事由発生日(死亡日)のTTB(※)
  1. (※)TTS…対顧客直物電信売相場、TTB…対顧客直物電信買相場、TTM…TTSとTTMの仲値

請求すべき手続きの放置期間が長くなるほど

証拠書類が探し出せずに手続きが煩雑になりがちです。

他に手続きが放置されているものがないか、確認をしましょう。

 

 

 

2021.06.27

事業用資産の買換特例の事例紹介2(面積制限300㎡)

設例

親世代が、相続税対策で収益物件を所有しているケースがある場合

相続した子世代は、収益物件を相続したとしても

その収益物件をそのまま所有し続けるよりも

買換える事例が多くあります

この度、買換取得を検討している物件の中に、1棟建てビルの2階部分

(及びその部分に対応する敷地)があります。

このビル全体の敷地は1000㎡ほどあります。

このビルは買替資産としての土地の面積要件は満たしていますか?

結論

共有の土地を買換取得資産とする場合は、

土地の総面積に共有持分を乗じた後の面積で300㎡以上

となるか否かを判定することになる

解説

この事例の場合、ビルの敷地の総面積が1000㎡であるため

共有持分割合が30%以上であれば面積要件である

300㎡以上を満たすこととなる。

その他の要件を満たしていれば、事業用資産の買換特例

を適用することができる。

 

なお、買換資産とする土地等については

上記300㎡以上という要件の他に

譲渡した土地等の面積の5倍以内といった

面積制限も規定されている

2021.06.20

事業用資産の買換特例の事例紹介1(使用貸借中の土地建物の買換え)

事例紹介1

ABから無償で借りた土地の貸店舗用建物を建築して賃貸しています

この度、このA所有の貸店舗とB所有の底地を一括して譲渡しました。

譲渡代金でA,Bそれぞれが事業用の土地建物を取得する予定です。

この場合、A,Bそれぞれが事業用sh試案の買換え特例を適用できますか?

結論

A,Bが生計を一にする親族であれば、A,Bともに事業用資産の買換え特例を適用できます。

ただしAが買換資産とできるのは新たに取得した土地建物のうち建物部分だけとなります。

また、Bは新たに取得する土地建物のいずれも買換資産と扱うことができますが

取得した土地について5倍の面積制限が適用されます

論点整理

論点整理①使用貸借している土地が、事業用資産に該当するのか

論点整理②A,Bそれぞれが取得する土地建物は買換資産に該当するのか

論点1

Aの所有する建物が、譲渡する日の属する年の11日において

所有期間が10年を超えていれば建物については問題は無い。

しかし、Bが所有する敷地について使用貸借で貸し付けられているので

それが事業用といえるかどうかについて疑問が残る。

その点について、譲渡資産が所有者と生計を一にする親族の事業の用に供されている場合

については、譲渡資産は所有者にとっても事業の用に供されているものと取り扱うこととされている。

論点2

論買換資産として土地を取得する場合、譲渡資産の土地の面積の5倍を超える場合

その超える部分の面積に対応する部分は買換資産に該当しないとされています

そのため

Aの取得した土地はすべて特例適用の対象外。

B取得の土地は面積制限の範囲内で特例が適用できます

 

 

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