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2022.05.03

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

[相談]

父が先日亡くなり、私が喪主として葬儀を執り行い、葬儀費用も負担しましたが

相続人間での遺産分割協議は時間がかかりそうです。

父の預金で葬儀費用の負担分を賄いたいと考えていますが

「相続人全員で遺産分割協議が成立しなければ、故人の預貯金は凍結され、引き出すことはできない」

と聞きました。

遺産分割協議が成立するまで預貯金の引き出しは全くできないのでしょうか?

[回答]

 ご相談の通り、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知ることにより

故人の預貯金の口座の入出金は停止、凍結され、故人の預貯金は

相続の手続きが終わるまで基本的に動かすことができなくなります。

 しかし、このことにより、相続人が過大な負担を強いられたり

迅速な被相続人の債務の弁済に支障を生じたりすることがあるため

令和元年7月1日施行の改正民法で仮払い制度が創設されました。

当面の費用を必要とする各相続人への簡易迅速な払戻しのため、遺産分割が確定する前でも

他の相続人の同意を得ることなく被相続人の預貯金を引き出すことができようになりました(民法909条の2)。

 これにより各相続人は、相続預貯金のうち口座ごとに以下の計算式で求められる額については

家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から他の相続人の同意なしで払戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

 

(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

  <計算例>
    普通預金720万円の場合、法定相続分2分の1の相続人(配偶者)への払戻額
    720万円×1/3×1/2=120万円 < 150万円
    払戻限度額 120万円

 

なお、これらの制度により払い戻された預貯金は、後日の遺産分割において
調整が図られることになります。
この制度の利用を考えられた場合は、金融機関へのご相談又は
お近くの弁護士などの専門家へご相談をお願いいたします。

 

 

2022.03.26

45万人が活用する贈与税の暦年課税

【1】暦年課税の申告者は45万人弱

相続対策として生前贈与を活用することがあります。

ここでは2021年6月に国税庁が発表した資料(※)から

暦年課税による贈与税の申告状況をみていきます。

 

(※)国税庁「令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
 2021年(令和3年)6月に発表された資料です。

申告人員は2019年分と2020年分が翌年4月末まで

それ以前の年は翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。

 

直近5年分の暦年課税(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額

(110万円)を控除した残額(基礎控除後の課税価格)について

贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて贈与税額を計算するもの)

の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

 

2020年分の申告人員は44.6万人で前年と同程度となりました。

うち申告納税額有が35.1万人、申告納税額無が9.5万人です。

2018年分以降は申告納税額有が35万人台で推移しています。

申告納税額がある割合は78.7%で2年連続の低下となりました。

 

【2】申告納税額は2,000億円台で推移

2020年分の申告納税額は2,177億円で前年より増加し

3年連続で2,000億円を超えました。1人当たり申告納税額は62万円で申告納税額と同様

前年に比べ増加しました。

2018年分以降の申告納税額は、2017年分以前より高い水準で推移しています。

暦年課税を実行するにあたっては注意点等がございます。

また、贈与税の改正の動きにも注目が集まっています。ご留意ください。

 

 

2021.12.11

未登記の建物を相続した場合

[相談]

相続した実家の建物が登記されていないことが分かりました。

建物が登記されていない理由は何が考えられるのでしょうか。

また、そのまま登記しない場合、何か問題はありますか?

[回答]

建物の未登記の要因としては、

“登記は任意である”と誤った認識をお持ちであった

という可能性が考えられます。

また、未登記の状態であると、法律上の問題の他、第三者への対抗などで

デメリットが生じると考えます。

[詳細解説]

1.建物の未登記

 建物を建築等した場合には、主に以下①→②の順に登記を行います。

  1. ①建物表題登記:建物の構造・床面積等の物理的状況を明らかにする登記
  2. ②所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行う所有権の登記
  3. ①は、不動産登記法により、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に
  4. 登記を行わなければならないと定められており、登記を行う必要があります。
  5. 他方、②は、①のように義務ではなく任意となりますが、
  6. 住宅ローンを利用する場合は、金融機関が当該建物に抵当権を設定するため
  7. ②の登記が必須となります。

したがって、建物が未登記の理由の一つとしては、住宅ローンを利用せず建物を建築したため

②の登記が任意となり、①の登記も行う必要がないといった誤った認識のもと

未登記の状態になっていることが考えられます。実際、未登記建物は数多く存在します。

なお、登記されていない建物は、「未登記建物」といわれています。

2.未登記建物であることでの問題点

(1)法律上の問題
未登記建物であることの問題については、法律上の義務である上記1.

①の建物表題登記がなされていない

厳密にいえば罰則が科せられる可能性がある状態であることとなります。

また、相続による所有権の移転登記や住所変更登記に関しては

法律で義務付けられる改正がなされています。その点もあわせてご注意ください。

(2)第三者への対抗
未登記建物であると、その建物の所有について第三者へ主張することが困難です。

(3)税務上の問題
建物が未登記であるということは、その建物が建っている敷地部分に

建物がない状態で固定資産税が課税されている可能性が考えられます。

通常、土地の上に住宅が建っている場合の当該土地に係る固定資産税は

更地である状態よりも軽減措置が設けられています。

3.未登記建物の登記手続き

相続した未登記建物を第三者へ売却する際、上記1.①及び②の登記が必須となります。

将来の売却を予定されている場合は、予め登記しておくとよいでしょう。

なお、上記1.①には、登録免許税は課税されませんが

上記1.②の登記には課税(固定資産税評価額の4%)されますので、ご注意ください。

また、この登記手続きは、通常、土地家屋調査士もしくは司法書士

(以下、専門家)に依頼しますが、ご自身で行うことも可能です。

なお、専門家に依頼される場合は、建築当時の設計図面などがあれば

費用を軽減できる可能性がありますので

設計図面の有無について、事前に確認されるとよいでしょう。

建物全体が未登記であることの他、増築や改築部分が登記されていないこともあります。

建物が登記されている場合でも、建築当時の設計図面があれば

現状と比較し、増築や改築による未登記部分が生じていないか確認されるとよいでしょう。

未登記建物を相続された場合は、専門家に相談の上、適切に対処されることをお勧めします。

2021.01.02

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社と本人それぞれが保険料を負担していた生命保険に係る死亡保険金や、会社から支給され
る弔慰金について、相続税ではどのように取り扱われるのかをみていきましょう。

お客様からの質問・・・

夫が亡くなり、勤務先で夫が加入していた生命保険について、手続きの案内が届きました。
会社が保険料を負担する福利厚生の契約に、夫本人が任意で上乗せをして、給与天引きで保険
料を支払っていたようです。

会社が保険料を負担していた部分にあたる死亡
保険金は、会社の規程により「退職金扱い」となる
と説明を受けました。
また、これとは別に、会社から弔慰金が支払われ
るそうです。
これらの保険金や弔慰金の税金の扱いについて
教えてください。

 

Answer:死亡保険金(会社負担分)の取扱い

ご相談のケースでの死亡保険金や弔慰金の受け取りに係る課税関係は、まず死亡保険金と弔
慰金とに分けて考えます。
更に、死亡保険金に係る保険料を誰が負担していたか等によって、課税関係は異なります。

まず、会社が保険料を負担していた部分に
対応する死亡保険金について解説します。
従業員が加入する生命保険の保険料を雇用
主が負担していた契約において、支払われる
死亡保険金は退職手当金等として扱う旨が会
社で定められている場合は、相続人が受け取
る死亡保険金は退職手当金として扱われます。
退職手当金は、みなし相続財産として相続
税の対象になります。このとき、相続人が受け
取る退職手当金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度に非課税の適用を受けることができま
す。この場合、非課税の額を計算する上での
“法定相続人の数”とは、相続の放棄があった
場合にはその放棄がなかったものとした場合
の相続人の数を指します。これは、後述の死亡
保険金に係る非課税の額を計算する際も同様
です。
なお、同じように雇用主が保険料を負担し
ていた生命保険で、今回のケースと異なり、会
社が退職金として支給する取り決めがない場
合は、保険料は従業員が負担したものとみな
し、次に説明するご主人様負担分と同様、生命
保険として扱われます。

 

Answer:死亡保険金(ご主人様負担分)

次に、ご主人様が保険料を負担していた上
乗せ部分の死亡保険金についてです。
ご主人様本人が保険料を負担していた部分
から支払われる死亡保険金は、個人が契約す
る生命保険と同様に、保険料負担者、被保険者、
死亡保険金受取人の関係をもとに税務の扱い
を判断します。

ご相談のケースでは、保険料負担者と被保
険者が共にご主人様であるため、支払われる
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の
対象となります。
また、相続人が受け取る死亡保険金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度額として非課税の適用を受けることが
できます。
この非課税枠は、前述の退職金の非課税枠
とは別に適用されます。

 

会社から支払われる弔慰金

 

最後に、死亡保険金とは別に会社から支払
われる弔慰金についてです。
下記の金額までは相続税の対象となりませ
んが、超える部分は退職手当金等として相続
税の対象となります。

 

ここまでで解説した死亡保険金、弔慰金に
加え、ご主人様が所有していた財産総額に
よって相続税が発生するか否か、および税額
も変わります。相続税に関する不明な点は、お
気軽に当事務所までご相談ください。

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