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2023.02.04

贈与税における誤りやすい事例/贈与の翌年3月15日までに居住しない場合の適用可否

贈与税の処理における誤りやすい項目について、大阪国税局が作成した

「資産課税関係 誤りやすい事例 贈与税関係 令和3年分用」より

ピックアップしてご紹介します。

 

誤った取扱い

令和3年中に親から住宅取得等資金の贈与を受け、翌年3月15日までに

贈与を受けた住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の取得のための対価に充てたが

令和4年3月15日までに居住しない予定であるため、特例の適用はないとした。

 

正しい取扱い

贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住しない場合であっても

取得した住宅用家屋を同日後遅滞なく受贈者の居住の用に供することが

確実であると見込まれる場合には、一定の書類の添付により

特例の適用が可能である(措法70の2①、70の3①)。

ただし、贈与を受けた年の翌年の12月31日(以下「居住期限」という。)

までに受贈者の居住の用に供されていない場合は、特例の適用ができないため

修正申告書の提出が必要となる(措法70の2④、70の3④)。

※ 新型コロナウイルス感染症に関し、感染拡大防止の取組に伴う工期の見直し

資機材等の調達が困難なことや感染者の発生などにより工期が延長されるなど

自己の責めに帰さない事由により居住期限までに居住できなかった場合は

「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するものとして

居住期限の1年の延長が認められる(措法70の2⑩、70の3⑩)。

 

 

2023.01.28

贈与税における誤りやすい事例/養子縁組の日と、孫の相続時精算課税の適用可否

 贈与税の処理における誤りやすい項目について、大阪国税局が作成した

「資産課税関係 誤りやすい事例 贈与税関係 令和3年分用」より

ピックアップしてご紹介します。今回は、相続時精算課税についてです。

 

誤った取扱い

平成10年に長男が生まれ、翌年の平成11年に私は伯父と養子縁組をした。

その後、平成12年に二男が生まれた。

令和3年に長男及び二男は伯父からそれぞれ1,000万円ずつ現金の贈与を受け

それぞれ相続時精算課税を選択して贈与税の申告をした。

 

正しい取扱い

相続時精算課税の適用に当たっては

受贈者は、贈与をした者の直系卑属である推定相続人又は孫である必要がある

(相法21の9①、措法70の2の6①)。

また、養子縁組により親族関係が生ずるのは、養子縁組の日からである(民法727)。

したがって、養子縁組前に生まれた長男については

伯父と当然に直系卑属関係になるわけではなく

また、孫にも当たらないため、相続時精算課税の適用を受けることはできない。

なお、二男については、養子縁組後に生まれているため

伯父の孫に当たり、この特例の適用を受けることができる。

2023.01.20

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/元妻への財産分与と特例の判定時期

元妻への財産分与と特例の判定時期

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」

より、ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法41条の5

(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)についてです。

 

誤った取扱い

令和3年中に妻と離婚し、それまで居住していたマンションを元妻へ財産分与した。

この分与により譲渡損失が生じたが、居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算

及び繰越控除の特例(措法41の5)を適用できないとした。

正しい取扱い

譲渡人の配偶者及び直系血族などの特殊関係者に対する譲渡による損失については

この特例の適用はないこととされているが

その判定時期は、譲渡の時の状況によることとされている

(措通41の5-18で重用する31の3-20)。

この場合、分与時には、分与を受けた者は分与をした者の配偶者ではないので

措法41条の5の適用要件を満たすものであれば適用することができる。

2023.01.14

遺産分割に関する民法改正と相続税の申告期限

[相談]

遺産分割について「10年」を経過すると、基本的には法定相続分とする民法改正がありましたが

これに伴い相続税の申告期限が改正されましたか?

[回答]

 ご相談の民法改正に伴う相続税の申告期限の改正は、行われていません。

[詳細]

1.遺産分割に関する民法改正

これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から

何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから
早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき、インセンティブが働きにくい状態でした。

しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され

多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり
そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが
所有者不明土地が生じる原因の一つとなっていました。
 そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして
遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

たとえば、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ

相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく
法定相続分によることになりました
(合意があれば、10年経過後でも具体的相続分による遺産分割は可能です)。
この改正は、経過措置を除き、令和5年(2023年)4月1日に施行されます。

(※)具体的相続分とは、

民法であらかじめ定められている画一的な割合である法定相続分を
事案ごとに修正して算出する割合であり、特別受益や寄与分などを
踏まえて算定されるものをいいます。

2.相続税の申告納税期限

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日

(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に行うこととされています。

たとえば、10月10日に死亡した場合には、翌年8月10日が申告期限となります

(この期限が土曜日・日曜日・祝日の場合には、これらの日の翌日が申告期限です)。

この「10ヶ月」という期限は、上記1.の民法改正が行われても変わりません。
なお、相続税の納税期限は、上記申告期限と同一です。

3.未分割の場合の相続税の申告納税期限

相続税の申告に際して、遺産分割協議が調わない場合(いわゆる「未分割の場合」)

であっても、申告納税期限に変更はありません。未分割のまま申告納税を行います。

未分割での申告納税とは、相続財産を法定相続分で相続したものと

みなして申告納税を行うことを指します。

その際には、相続税が減額できる「小規模宅地等の特例」や

「配偶者の税額の軽減」を適用することができません。

その後に分割が行われた場合は、実際に相続した財産、かつ

これらの減額を適用した後で相続税を計算し直すため、結果的には相続税を減額することはできますが
一時的にしろ未分割の状態での納税は、かなりの納税資金が必要となる場合があります。

その点も良く考えて、遺産分割をお考えいただければ幸いです。

2023.01.07

相続人が海外に居住する場合の小規模宅地等の特例の適用可否

[相談]

  1. 下記案件で、小規模宅地の特例が適用できるかどうか
  2. ご教示ください
  3. ・被相続人は国内居住で、被相続人に配偶者はいない(本件相続発生前に死別)
  4. ・本件相続財産は、被相続人の居住の用に供されていた国内の土地、建物、現金など
  5. ・相続人は1名のみ(被相続人の子)で、その相続人に配偶者はいない
  6. ・相続人は15年以上海外に居住し、海外の企業(相続人と特別の関係はない)が
  7.  所有する賃貸不動産に居住している
  8.  (相続人の国籍は日本。また、相続人は過去に居住用家屋を一度も所有したことはない)
  9. ・本件相続開始時から相続税申告期限まで、継続して上記の土地建物を所有する(見込み)
  10. [回答]

  11. ご相談の場合、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の
  12. 適用を受けられるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

相続税法上の小規模宅地等の特例とは

個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、その相続の開始の直前において

その相続若しくは遺贈に係る被相続人又はその被相続人と生計を一にしていた

その被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で

一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているもので

一定のものがある場合には、その相続又は遺贈により

財産を取得した者に係る全ての特例対象宅地等のうち

その個人が取得をした特例対象宅地等又はその一部で

この規定の適用を受けるものとして一定の方法により選択をしたもの

に限り、相続税の課税価格に算入すべき価額は

その小規模宅地等の価額にその小規模宅地等の区分に応じた一定の割合

(※2)を乗じて計算した金額とする、という制度です。

 ※1 特定居住用宅地等である選択特例対象宅地等については、330㎡
 ※2 特定居住用宅地等である小規模宅地等については、20%

2.特例対象宅地等の要件

 上記1.の特例対象宅地等とは、相続開始の直前において

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、一定の区分に応じ

それぞれ一定の要件に該当する被相続人の親族が相続または

遺贈により取得したものをいいます。

 その具体的な要件は、その宅地等が被相続人の居住の用に供されていたものであり

かつ、その宅地等の取得者がその被相続人の配偶者又は相続開始の直前において

その被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でない場合には

次のとおりとなります。

  1. ①居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと
  2. ②被相続人に配偶者がいないこと
  3. ③相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた
  4.  家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと
  5. ④相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者
  6.  取得者の3親等内の親族または取得者と特別の関係がある
  7.  一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと
  8. ⑤相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前の
  9.  いずれの時においても所有していたことがないこと
  10. ⑥その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

 したがって、今回のご相談の場合、本件土地は上記要件を満たすことから特例対象宅地等に該当し

 相続人は小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けられるものと考えられます。

 

2022.12.16

相続等した土地の譲渡と、特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/相続等した土地の譲渡と、特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法35条の2(特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除)についてです

誤った取扱い

父が平成21年に4,000万円で購入した土地を、平成25年に相続により取得した。

令和3年に当該土地を5,000万円で売却したので、措法35条の2を適用して申告をした。

正しい取扱い

取得期間内に土地等を取得した個人(父)から相続、遺贈、及び贈与により取得した

土地等を譲渡した場合は、特定期間に取得をした土地等を譲渡した場合の

長期譲渡所得の特別控除の対象とはならない(措法35の2①、措通35の2-1)。

なお、父が土地を取得した価額及び取得した時期は引き継ぐこととなる(所法60)。

2022.12.02

土地等譲渡所得における誤りやすい事例/被相続人が老人ホーム等に入居していた場合

土地等譲渡所得の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例

(土地等譲渡所得関係 令和3年分用)」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、措法35条3項(被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除)についてです

誤った取扱い

老人ホームに入居していた父が令和2年1月に亡くなり

老人ホームに入居する直前まで父が居住していた家屋とその敷地を相続した。

その後、家屋を取り壊して令和3年10月に敷地を売却したが

相続開始の直前において被相続人が居住していなかったので

被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)

適用できないとした。

正しい取扱い

平成31年4月1日以後の譲渡については

要介護認定等を受けていた被相続人が老人ホーム等に入居していた

などの一定の事由があり、一定の要件を満たす場合には

その入居により居住の用に供されていた家屋及びその敷地についても

被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(措法35③)

適用することができる(措法35④括弧書)。

2022.11.04

いつまでに支給が確定した退職手当金等が相続税の課税対象になるのか

[相談]

1年前に社長が亡くなったのですが、社長の死亡退職金については

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により会社の財政事情が悪化している等の理由から

金額の確定及び支給ができていません。

相続税法上、いつまでに支給が確定した役員退職金であれば

相続税の課税対象に含まれるのでしょうか。

[回答]

ご相談の場合、社長(被相続人)の死亡後3年以内に支給が確定したものであれば

相続税の課税対象となります。

[解説]

1.退職手当金等のうち、相続または遺贈により取得したものとみなされるもの

 相続税法上、被相続人の死亡により相続人その他の者がその被相続人に

支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与

(一定の年金または一時金に関する権利を含みます)で

被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては

その給与の支給を受けた者について

その給与を相続または遺贈により取得したものとみなすと定められています。

2.「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」の意義

 上記1.の「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」とは

被相続人に支給されるべきであった退職手当金等の額が被相続人の死亡後3年以内に

確定したものをいい、実際に支給される時期が被相続人の死亡後3年以内

であるかどうかを問わないものとして取り扱われています。

 また、上記の場合において、退職手当金等が支給されること自体は

確定していてもその金額が確定しないものについては

上記の「支給が確定したもの」には該当しないものとされています。

 なお、被相続人の生前退職による退職手当金等であっても

その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので

被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては

上記1.の退職手当金等に該当することとされていますので

念のためご留意ください。

2022.09.30

財産評価における誤りやすい事例/株式が未分割である場合の議決権割合の判定

財産評価における誤りやすい事例/株式が未分割である場合の議決権割合の判定

財産評価の処理における誤りやすい項目について、大阪国税局が作成した

「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、取引相場のない株式の評価における株主区分の判定についてです。

誤った取扱い

未分割の取引相場のない株式を評価する場合

各相続人に適用されるべき評価方式を判定するに当たって

基礎となる「株式取得後の議決権の数」について

当該未分割の株式を法定相続分により取得したものとして計算した議決権の数とした。

 【具体的な事例】
  未分割株式 10,000株
  法定相続人 被相続人の子4名
  法定相続分 4分の1

各相続人は、未分割株式10,000株のうち2,500株(10,000株×1/4)を

取得したものとして判定した。

正しい取扱い

相続人ごとに、その所有する株式数にその未分割の株式数の全部を加算した数に

応じた議決権数とする

(評基通188、評価明細書通達第1表の1【3(5)イ】

     国税庁HP質疑応答事例「遺産が未分割である場合の議決権割合の判定」)。

 【具体的な事例】
  未分割株式 10,000株
  法定相続人 被相続人の子4名
  法定相続分 4分の1

各相続人は、未分割株式の全部(10,000株)を取得したものとして

それぞれ判定する。

コメント

株主区分の判定について

このような事例は間違いやすいです

ご注意ください

2022.08.06

保険金受取人がすでに亡くなっている場合

[相談]

先日、夫が亡くなり、夫が加入していた生命保険契約を確認したところ

受取人が離婚した前妻Aに指定されたままになっている契約が見つかりました。

確認したところ、前妻はすでに亡くなっていました。

前妻には再婚した配偶者がいますが、両親、子どもはいません。

また、夫と前妻の間にも子どもはいません。

この契約の死亡保険金は誰が受け取るのでしょうか?

また、今からでも受取人を変更することは可能ですか?

 【契約内容】

  1. 保険種類:終身保険
  2. 契約者(保険料負担者)、被保険者:夫
  3. 受取人:前妻A(すでに死亡。Aには再婚した配偶者がいる)
  4. 保険料:Aとの婚姻期間中に払込完了

 

[回答]

死亡保険金の受取人は、Aの配偶者になります。

また、すでに被保険者が亡くなっているため、受取人を変更することはできません。

[詳細]

1.今回のケースにおける死亡保険金の受取人

 死亡保険金請求権は、被保険者(=ご主人様)が

亡くなった時点で受取人に指定されているAの権利になります。

そのため、受け取る死亡保険金はAの固有の財産として扱われます。

Aがすでに亡くなっている場合、固有の財産である死亡保険金は

Aの相続人が受取人となります。今回の受取人は、Aの配偶者です。

2.死亡保険金の受取人の変更

 生命保険契約において、受取人の指定は保険期間中に契約者が

被保険者の同意を得て行う権利です。

今回、ご主人様が亡くなっているため、受取人の変更はできません。

3.死亡保険金の受取人の課税関係

 Aの配偶者が受け取った死亡保険金は、「遺贈」により取得したものとされ

「みなし相続財産」として相続税の対象になります。

 税負担が発生するか否かは、ご主人様の相続財産総額によりますが

Aの配偶者はご主人様の法定相続人ではないため

相続税の計算においては、生命保険の非課税枠(※1)は適用できず

税額は2割加算(※1)の対象となります。

  1. ※1 (500万円×法定相続人)を限度として
  2.         相続税の計算上非課税とすることができる。
  3. ※2 相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族
  4.      (代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む。)及び配偶者以外の人である場合には
  5.       その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。

 単純な手続きの失念か意図的かは分かりませんが

立場によっては不本意な遺産分割や揉め事を招くおそれがありますので

結婚、離婚など環境が大きく変わるときには目に見える財産に関する協議は勿論のこと

保険金受取人についてもきちんと確認・協議しておくことが大切です。

2022.07.29

遺産未分割と更正の請求

相続開始後、遺産分割協議が調わないままに申告期限を迎えることがあります

こうした場合、一旦は法定相続分で申告した後、分割確定時に更正の請求

(税金の還付手続き)をすることができます

ただし、その分割確定に伴って二次相続の申告税額が変動する

ような場合には、同特則を適用することができない点に留意する必要があります

 

相続財産の全部又は一部が未分割のまま相続税の申告期限を迎える場合

未分割財産は法定相続分等に従って遺産を取得したものとして課税価格を計算し

申告します

例えば、被相続人である父に係る未分割財産が2億円で、相続人が母・子2人の場合

法定相続分に従い、母が1億円、子2人がそれぞれ5,000万円ずつ取得したとして

相続税を計算して申告します。

その後、遺産分割が確定し、実際の取得額は母が8,000万円

子2人がそれぞれ6,000万円となり、母の税額が減少した場合

母は更正の請求(税金の還付手続き)の特則を適用できます

この場合、税額が増加する子2人は修正申告を行う必要があります

このとき、父に係る相続(一次相続)の後、遺産分割の確定前に母が亡くなり(二次相続)

二次相続についても申告期限を迎え、母の一次相続に係る取得財産を法定相続分で申告していた場合

一次相続の遺産分割確定に伴い、二次相続の税額が減少する可能性があります。

しかし、相続税法の更正の請求の特則は、あくまで未分割の遺産が生じた相続にのみ適用できるものです。

一次相続の分割確定に伴い二次相続の税額に変動があったからといって

二次相続について特則による更正の請求は適用できませんので注意が必要です

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2022.07.15

預金の相続手続きと遺産の未分割申告

[相談]

被相続人は父親、相続人は長男と長女の2名です。

相続財産は預貯金と土地(宅地)です。

相続開始後、長女の承諾のもと、長男は預貯金のすべてについて

相続による名義替えを行い、自身の口座に入金しました。

現在、相続財産目録を作成して分割協議の途中ですが、納税額が多額になること

今後の土地の管理(売却等)について考えがまとまらず

未分割のままで相続税の申告を行うことを検討しています。

この場合、既に長男の口座に入金した預貯金について

「代償金の振替額が未定の預り金」として未分割財産として

取り扱うことはできますか。

[回答]

  金融機関が被相続人口座からの預貯金の払戻し手続きに際し

どのようなケースで認めるのかやどのような書類を要求するのかは

各金融機関で異なります。

  ご相談のケースでは、金融機関は、遺産分割協議はまだ済んではないものの

特定の相続人が他の相続人全員の委任を受けて払戻すことを許容しており

その結果、遺産分割協議は未了だが、他の相続人全員からの委任を受けた払戻

であることが確認できたことから、長男口座にすべて入金されているという

状態となっているのではないかと推測されます。

(少額の預金であれば、例外的に相続人の代表者だけの手続きで処理できる

 ことがありますが、相応の金額の場合、相続人全員の署名押印(印鑑証明)は必要と思います。)

  この場合、長男口座への入金は、あくまで相続人全員の共有財産としての預貯金

の管理としての意味しかなく、法律上預り金にすぎないため

その後に遺産分割協議をして、預貯金について誰が相続するか決めることが

予定されていると考えられます。

  したがって、長男口座に入金されている被相続人の預貯金を、未分割の遺産として扱うことは可能であり

遺産分割は未了として相続税申告を行うということで問題ないと思われます。

なお、相続人が上記の意図で払戻(長男口座で管理)を選択したのであれば

特に残すべき書類もないと思いますが、この点が明確でないのであれば

被相続人名義の口座を解約して払い戻した金額は、未分割の遺産として

長男名義の口座で管理する、という覚書のようなものを相続人で残しておいた方が良いかもしれません。

(この書面が調印できるのであれば、そもそも未分割という認識があるので

  問題になることもないと思いますが。)

2022.07.01

相続財産の寄附と相続税の取扱い

[相談]

父の相続財産の一部を寄附しようと思います。

寄附先は、父が生前お世話になっていた有料老人ホームを経営している社会福祉法人です

実は生前、父から「自分が亡くなった後にA銀行の定期預金を寄附してほしい」

と口頭で伝えられていました。

ただし、遺言書などはありません。

実際に寄附を行った場合、相続税は軽減されるのでしょうか?

[回答]

ご相談のケースで寄附を行う場合、一定の条件を満たせば

寄附の対象となるA銀行の定期預金について相続税の計算から外すことができ

相続税が軽減されます。

[詳細]

1.相続人の意思による寄附

自分が亡くなったら財産を寄附する、という場合には

「どこ(誰)へ、何を(いくら)寄附する」という意思表示を

正式な遺言書という形で遺す必要があります。

今回のご相談のケースでは、お父様の遺言書はないとのことですから

お父様の遺志で寄附することはできません。

このような場合には、一度相続の手続を行って相続した後

相続人から寄附をする、という手続になります。

例えご本人が生前に「寄附したい」と周囲の方に伝えていても

相続人にその意思がなければ寄附は実行されません。

2.相続税の取扱い

相続財産を寄附した場合に以下の要件をすべて満たすと

寄附した財産について相続税の対象としない特例があります。

  1. ①寄附した財産が、相続や遺贈によって取得した財産であること
    (相続財産を換金した後の現金を寄附した場合などは、対象となりません。)
  2. ②相続税の申告期限までに、相続した財産を寄附すること
    (相続日から10ヶ月後の応答日までに寄附をしなければなりません。)
  3. ③寄附先が、国、地方公共団体、その他教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益法人であること
    (特定の公益法人の範囲は、独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており
  4.   寄附時点ですでに設立されている必要があります。
  5.   該当するか否かは事前に寄附予定先へお問合せください。)

 ご相談のケースにおいて、上記要件をすべて満たすと

  寄附をした相続財産(A銀行の定期預金)を相続税の対象から外すことができます。

3.その他の留意点

ご相談のケースの場合は、相続人からの寄附となるため

寄附をした相続人の所得税の計算上

寄附金控除または税額控除の適用を受けられるかどうか検討しましょう。

適用については、寄附先である社会福祉法人が適用できる対象先でなければなりません。

この点についても、事前に寄附先の社会福祉法人へお問合せいただくとよいでしょう。

なお、上記2.や3.の適用をする場合には、申告時の手続が必要となります。

2022.06.18

財産評価における誤りやすい事例/相当の地代を支払っている場合の借地権の価額

財産評価の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」より

ピックアップしてご紹介します。

 

今回は、「取引相場のない株式(純資産価額方式)」における

相当の地代を支払っている場合の借地権の価額についてです。

 

誤った取扱い

被相続人は、所有するA土地を甲社(被相続人が同族関係者となっている同族会社)

に相当の地代を収受して貸し付けていた。

甲社株式の評価において、A土地に係る借地権について

資産の部への計上は不要とした。

 

正しい取扱い

株式の評価をする場合において

被相続人が同族関係者となっている同族会社に相当の地代を収受して

土地を貸し付けている場合

自用地としての価額の20%に相当する額を借地権の価額として

資産の部に計上する

(昭43直資3-22「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」、地代相当通達6(注))

 

出典:大阪国税局「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」

2022.05.03

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

[相談]

父が先日亡くなり、私が喪主として葬儀を執り行い、葬儀費用も負担しましたが

相続人間での遺産分割協議は時間がかかりそうです。

父の預金で葬儀費用の負担分を賄いたいと考えていますが

「相続人全員で遺産分割協議が成立しなければ、故人の預貯金は凍結され、引き出すことはできない」

と聞きました。

遺産分割協議が成立するまで預貯金の引き出しは全くできないのでしょうか?

[回答]

 ご相談の通り、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知ることにより

故人の預貯金の口座の入出金は停止、凍結され、故人の預貯金は

相続の手続きが終わるまで基本的に動かすことができなくなります。

 しかし、このことにより、相続人が過大な負担を強いられたり

迅速な被相続人の債務の弁済に支障を生じたりすることがあるため

令和元年7月1日施行の改正民法で仮払い制度が創設されました。

当面の費用を必要とする各相続人への簡易迅速な払戻しのため、遺産分割が確定する前でも

他の相続人の同意を得ることなく被相続人の預貯金を引き出すことができようになりました(民法909条の2)。

 これにより各相続人は、相続預貯金のうち口座ごとに以下の計算式で求められる額については

家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から他の相続人の同意なしで払戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

 

(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

  <計算例>
    普通預金720万円の場合、法定相続分2分の1の相続人(配偶者)への払戻額
    720万円×1/3×1/2=120万円 < 150万円
    払戻限度額 120万円

 

なお、これらの制度により払い戻された預貯金は、後日の遺産分割において
調整が図られることになります。
この制度の利用を考えられた場合は、金融機関へのご相談又は
お近くの弁護士などの専門家へご相談をお願いいたします。

 

 

2022.03.26

45万人が活用する贈与税の暦年課税

【1】暦年課税の申告者は45万人弱

相続対策として生前贈与を活用することがあります。

ここでは2021年6月に国税庁が発表した資料(※)から

暦年課税による贈与税の申告状況をみていきます。

 

(※)国税庁「令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
 2021年(令和3年)6月に発表された資料です。

申告人員は2019年分と2020年分が翌年4月末まで

それ以前の年は翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。

 

直近5年分の暦年課税(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額

(110万円)を控除した残額(基礎控除後の課税価格)について

贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて贈与税額を計算するもの)

の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

 

2020年分の申告人員は44.6万人で前年と同程度となりました。

うち申告納税額有が35.1万人、申告納税額無が9.5万人です。

2018年分以降は申告納税額有が35万人台で推移しています。

申告納税額がある割合は78.7%で2年連続の低下となりました。

 

【2】申告納税額は2,000億円台で推移

2020年分の申告納税額は2,177億円で前年より増加し

3年連続で2,000億円を超えました。1人当たり申告納税額は62万円で申告納税額と同様

前年に比べ増加しました。

2018年分以降の申告納税額は、2017年分以前より高い水準で推移しています。

暦年課税を実行するにあたっては注意点等がございます。

また、贈与税の改正の動きにも注目が集まっています。ご留意ください。

 

 

2021.12.11

未登記の建物を相続した場合

[相談]

相続した実家の建物が登記されていないことが分かりました。

建物が登記されていない理由は何が考えられるのでしょうか。

また、そのまま登記しない場合、何か問題はありますか?

[回答]

建物の未登記の要因としては、

“登記は任意である”と誤った認識をお持ちであった

という可能性が考えられます。

また、未登記の状態であると、法律上の問題の他、第三者への対抗などで

デメリットが生じると考えます。

[詳細解説]

1.建物の未登記

 建物を建築等した場合には、主に以下①→②の順に登記を行います。

  1. ①建物表題登記:建物の構造・床面積等の物理的状況を明らかにする登記
  2. ②所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行う所有権の登記
  3. ①は、不動産登記法により、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に
  4. 登記を行わなければならないと定められており、登記を行う必要があります。
  5. 他方、②は、①のように義務ではなく任意となりますが、
  6. 住宅ローンを利用する場合は、金融機関が当該建物に抵当権を設定するため
  7. ②の登記が必須となります。

したがって、建物が未登記の理由の一つとしては、住宅ローンを利用せず建物を建築したため

②の登記が任意となり、①の登記も行う必要がないといった誤った認識のもと

未登記の状態になっていることが考えられます。実際、未登記建物は数多く存在します。

なお、登記されていない建物は、「未登記建物」といわれています。

2.未登記建物であることでの問題点

(1)法律上の問題
未登記建物であることの問題については、法律上の義務である上記1.

①の建物表題登記がなされていない

厳密にいえば罰則が科せられる可能性がある状態であることとなります。

また、相続による所有権の移転登記や住所変更登記に関しては

法律で義務付けられる改正がなされています。その点もあわせてご注意ください。

(2)第三者への対抗
未登記建物であると、その建物の所有について第三者へ主張することが困難です。

(3)税務上の問題
建物が未登記であるということは、その建物が建っている敷地部分に

建物がない状態で固定資産税が課税されている可能性が考えられます。

通常、土地の上に住宅が建っている場合の当該土地に係る固定資産税は

更地である状態よりも軽減措置が設けられています。

3.未登記建物の登記手続き

相続した未登記建物を第三者へ売却する際、上記1.①及び②の登記が必須となります。

将来の売却を予定されている場合は、予め登記しておくとよいでしょう。

なお、上記1.①には、登録免許税は課税されませんが

上記1.②の登記には課税(固定資産税評価額の4%)されますので、ご注意ください。

また、この登記手続きは、通常、土地家屋調査士もしくは司法書士

(以下、専門家)に依頼しますが、ご自身で行うことも可能です。

なお、専門家に依頼される場合は、建築当時の設計図面などがあれば

費用を軽減できる可能性がありますので

設計図面の有無について、事前に確認されるとよいでしょう。

建物全体が未登記であることの他、増築や改築部分が登記されていないこともあります。

建物が登記されている場合でも、建築当時の設計図面があれば

現状と比較し、増築や改築による未登記部分が生じていないか確認されるとよいでしょう。

未登記建物を相続された場合は、専門家に相談の上、適切に対処されることをお勧めします。

2021.01.02

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社と本人それぞれが保険料を負担していた生命保険に係る死亡保険金や、会社から支給され
る弔慰金について、相続税ではどのように取り扱われるのかをみていきましょう。

お客様からの質問・・・

夫が亡くなり、勤務先で夫が加入していた生命保険について、手続きの案内が届きました。
会社が保険料を負担する福利厚生の契約に、夫本人が任意で上乗せをして、給与天引きで保険
料を支払っていたようです。

会社が保険料を負担していた部分にあたる死亡
保険金は、会社の規程により「退職金扱い」となる
と説明を受けました。
また、これとは別に、会社から弔慰金が支払われ
るそうです。
これらの保険金や弔慰金の税金の扱いについて
教えてください。

 

Answer:死亡保険金(会社負担分)の取扱い

ご相談のケースでの死亡保険金や弔慰金の受け取りに係る課税関係は、まず死亡保険金と弔
慰金とに分けて考えます。
更に、死亡保険金に係る保険料を誰が負担していたか等によって、課税関係は異なります。

まず、会社が保険料を負担していた部分に
対応する死亡保険金について解説します。
従業員が加入する生命保険の保険料を雇用
主が負担していた契約において、支払われる
死亡保険金は退職手当金等として扱う旨が会
社で定められている場合は、相続人が受け取
る死亡保険金は退職手当金として扱われます。
退職手当金は、みなし相続財産として相続
税の対象になります。このとき、相続人が受け
取る退職手当金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度に非課税の適用を受けることができま
す。この場合、非課税の額を計算する上での
“法定相続人の数”とは、相続の放棄があった
場合にはその放棄がなかったものとした場合
の相続人の数を指します。これは、後述の死亡
保険金に係る非課税の額を計算する際も同様
です。
なお、同じように雇用主が保険料を負担し
ていた生命保険で、今回のケースと異なり、会
社が退職金として支給する取り決めがない場
合は、保険料は従業員が負担したものとみな
し、次に説明するご主人様負担分と同様、生命
保険として扱われます。

 

Answer:死亡保険金(ご主人様負担分)

次に、ご主人様が保険料を負担していた上
乗せ部分の死亡保険金についてです。
ご主人様本人が保険料を負担していた部分
から支払われる死亡保険金は、個人が契約す
る生命保険と同様に、保険料負担者、被保険者、
死亡保険金受取人の関係をもとに税務の扱い
を判断します。

ご相談のケースでは、保険料負担者と被保
険者が共にご主人様であるため、支払われる
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の
対象となります。
また、相続人が受け取る死亡保険金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度額として非課税の適用を受けることが
できます。
この非課税枠は、前述の退職金の非課税枠
とは別に適用されます。

 

会社から支払われる弔慰金

 

最後に、死亡保険金とは別に会社から支払
われる弔慰金についてです。
下記の金額までは相続税の対象となりませ
んが、超える部分は退職手当金等として相続
税の対象となります。

 

ここまでで解説した死亡保険金、弔慰金に
加え、ご主人様が所有していた財産総額に
よって相続税が発生するか否か、および税額
も変わります。相続税に関する不明な点は、お
気軽に当事務所までご相談ください。

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