2023.11.03
代償分割が行われた場合の相続税・贈与税の課税関係
[相談]
甲株式会社の前社長(父)が死亡し、現社長(A:長男)とB(長女)
の2名がその遺産を相続することになりました。
AとBによる遺産分割協議の結果、甲株式会社の株式(相続税評価額1億円)は
Aがそのすべてを相続することとなりましたが、代わりに、AはBに対し
その2分の1相当である5,000万円を現金で渡しています(代償分割)。
この場合、Bが受け取った現金5,000万円については、相続税と贈与税
どちらの課税対象となるのでしょうか。
[回答]
Bが受け取った現金5,000万円は、相続税の課税対象となります。
[解説]
1.代償分割とは
代償分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうち1人又は数人が
相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し
その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務
(代償債務)を負担する分割の方法をいいます。
2.相続税法上の「分割」の意義
相続税法上の「分割」とは、相続開始後において相続又は包括遺贈により
取得した財産を現実に共同相続人又は包括受遺者に分属させることをいい
その分割の方法が現物分割、代償分割もしくは換価分割(※)であるか
またその分割の手続が協議、調停若しくは審判による分割
であるかを問わないこととされています。
- ※換価分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が
- 相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し
- その換価代金を分割する方法をいいます。
したがって、今回のご相談の場合、Bが受け取った現金5,000万円については
相続税が課税されることとなります。
なお、代償財産の価額は、原則として、代償分割の対象となった財産を現物で
取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務(代償債務)
の額の相続開始の時における金額によるものとされていますので、ご留意ください。