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2021.07.30

満期を過ぎた外貨建て保険と相続

[相談]

外貨建て養老保険に加入していた夫が、今年1月に満期を迎えた保険金の

請求手続きを行うことなく、4月に亡くなりました。

保険証券を確認したところ、死亡保険金の受取人は配偶者である私と長男

5割ずつ指定されています。外貨で受け取ることができる旨の記載もあるので

私も長男も外貨受け取りを希望しています。

満期が過ぎている契約ですが、死亡保険金として請求をするのでしょうか。
 また、税金はかかりますか?
 なお、相続人は、私(配偶者)、長男、次男の3人です。

  【外貨建て養老保険の契約内容】

  1. 保険種類:米ドル建て養老保険
  2. 契約期間:10年
  3. 契約者(保険料負担者):夫
  4. 被保険者:夫
  5. 満期保険金受取人:夫
  6. 死亡保険金受取人:配偶者・長男 各5割
  7. 死亡、満期保険金:200,000米ドル
  8. 全期前納保険料:175,000米ドル

[回答]

ご相談の契約は、ご主人がお亡くなりになる前に満期が到来しているため

保険会社への請求手続きは死亡保険金ではなく、未請求であった満期保険金となります。

この満期保険金は、ご主人の所得として所得税の課税対象となる他、ご主人の相続財産に加算します。

また、所得税が課税されることにより納付すべき所得税が発生した場合は

相続税の計算上、ご主人の債務として遺産総額から控除できます。

なお、申告上、外貨建ての財産は円建てに換算する必要があります。

換算する際の為替レートは決められており

各々適用される為替レートは詳細解説にてご確認ください。

 

1.死後に行う満期保険金の請求手続き

保険金の請求手続きが被保険者の死亡後であっても

被保険者が死亡する前に満期を迎えていれば、死亡保険金としては扱われず

満期保険金としての請求手続きとなります。

この満期保険金の課税の取扱いは、以下のとおりです。

(1)所得税
ご相談の満期保険金は、満期が到来した年分のご主人の一時所得として

所得税の課税対象となります。実務上は、ご主人に代わり相続人が準確定申告を行い

納付すべき所得税が生じた場合には納付することとなります。

(2)相続税
相続税の計算上、ご相談の満期保険金は、相続人共有の財産(未収入金)として

相続財産に加算します。死亡保険金ではないため、保険金の非課税制度

(500万円×法定相続人の数)を適用することはできません。

また、(1)により所得税を納付することとなった場合には

その所得税は相続税の計算上、債務として遺産総額から控除できます。

 

2.外貨で受け取るときの為替レート

外貨建て保険を外貨で受け取る場合、税金を計算する上では

円換算する必要があります。この際に適用される為替レートは、次のとおりです。

【所得税の評価】

  1. 全期前納保険料:原則として払込日(保険会社受領日)のTTM(※)
  2. 満期保険金:原則として支払事由発生日(満期日)のTTM(※)

【相続税の評価】

  1. 未請求であった満期保険金相当額:原則として支払事由発生日(死亡日)のTTB(※)
  1. (※)TTS…対顧客直物電信売相場、TTB…対顧客直物電信買相場、TTM…TTSとTTMの仲値

請求すべき手続きの放置期間が長くなるほど

証拠書類が探し出せずに手続きが煩雑になりがちです。

他に手続きが放置されているものがないか、確認をしましょう。

 

 

 

2021.07.22

配偶者の税額軽減と留意点

[相談]

 父が他界しました。相続人は母と私たち兄弟2人の合計3人です。

 配偶者が相続した財産については相続税がかからない、と聞いたことがあります。

 父の遺産は約1億円ですが、1億円すべてを母が相続する場合には

 相続税は払わなくてもよいですか?

 また、今回母がすべて相続し相続税を払わなくてもよいのなら

 とても有利に思えるのですが、問題はありませんか?

[回答]

 「配偶者の税額軽減」を適用することで、お父様の相続に関してお母様に相続税はかかりません。

 主な留意点として、適用するには相続税の申告を行うこと

 遺産分割していないと適用できないこと、

 次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れることが考えられます。

1.配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者は相続しても、一定の金額まで相続税がかかりません。

このことを「配偶者の税額軽減」といいます。

【配偶者の税額軽減】
配偶者が相続や遺贈により取得した財産のうち、次のうちいずれか多い金額まで、配偶者に相続税はかかりません。
1. 1億6,000万円
2. 配偶者の法定相続分相当額

 

2.留意点

この「配偶者の税額軽減」を適用する場合に留意すべき点は、主に次の3つが挙げられます。

(1)適用するには相続税の申告を行うこと
(2)遺産分割をしていないと適用できないこと
(3)次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れること

(1)適用するには相続税の申告を行うこと

 「配偶者の税額軽減」を適用するには、相続税の申告書を提出しなければなりません。

 仮に最終的な相続税の納付額が「0」円になっても、申告書の提出は必要です。

 また、申告書の提出時には一定の書類の添付が必要となりますので、ご注意ください。

(2)遺産分割をしていないと適用できないこと

 「配偶者の税額軽減」は、実際に取得した財産を基に計算することとなっているため

 (1)の申告を行う際に未分割の部分については、「配偶者の税額軽減」の適用はできません。

 この場合に、相続税の申告書等に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で

 その申告期限から3年以内に遺産分割をしたときは、更正の請求の手続きを経ることで

 その遺産分割により配偶者が取得した財産について「配偶者の税額軽減」を適用することができます。

(3)次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れること

 配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活保障のため

 配偶者が相続した財産のうち一定額まで相続税を課税しない

 という趣旨の制度です。また一方で、同一世代間での財産の移転であるため

 近いうちにもう一度相続税を課税する機会がある、という側面もあります。

 そのため、次のお母様の相続(いわゆる「二次相続」)時の相続税まで考えて

 お父様の相続(いわゆる「一次相続」)を考える必要があります。

 一次相続での配偶者の相続割合を決定する場合には

 目の前にある税負担を軽減させることにとらわれがちですが

 将来の二次相続を見据えた税負担まで考えることで

 財産の承継にかかる税負担を最小限に抑えることが可能です。

 配偶者の年齢、健康状態、今後の生活基盤、相続対策に対する考え方など

 様々な角度からの検討が重要でしょう。

2021.07.02

事業用資産の買換特例の手続き(翌年買換えと先行取得)

質問

特定の事業用資産の買換えの特例を受ける場合の手続きについて教えてください

回答

・所得税確定申告書の「特例適用条文」欄に「措置法第37条」と記入する

・確定申告書に次の書類を添付する

  •  ①譲渡所得計算明細書
  •  ②登記事項証明書など買換資産の取得を証する書類
  •  ③譲渡資産や買換資産が特定の地域内にある旨等の市町村等の証明書

(この証明書は必要が無い場合もある)

翌年買換の場合

資産を譲渡した譲渡した日の属する年の翌年中に買換資産を取得する見込みであり

かつ、 その取得の日から1年以内に事業の用に供する見込みの場合は

確定申告書に買換え予定資産の取得価額の見積額等を記載した書類を添付しなければならない

なお、このような場合は、上記②の書類は買換資産の取得後4カ月以内に提出しなければならない

先行取得の場合

譲渡した年の前年以前に取得した資産を買換資産としてこの特例の適用を受けるためには

取得した年の翌年3月15日までに『先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書』

を提出しなければりません

2021.05.27

国税庁の全国の富裕層への対応と『出国税』

全国の国税局等には,いわゆる超富裕層を対象に特別な管理体制を敷く重点管理富裕層プロジェクトチーム(PT)

が置かれています。

さらに,東京,大阪,名古屋,関東信越国税局管内では,特定の税務署で「上位富裕層」

を対象に特別な管理体制が敷かれています。

上位富裕層への管理体制を整備しています

国税当局では昨今,富裕層PTを全国税局等に置くなど,調査必要度の高い富裕層への取組に力が

入れられています。富裕層PTでは,「重点管理富裕層」という富裕層の中でも特に高位にいる者を

管理対象としていますが,重点管理富裕層とまではいかないクラスの富裕層についても

富裕層PTと同様に特別な管理体制を敷くべきと考えられています。

そこで試行的に,富裕層PTの対象となる重点管理富裕層を除き

一定の基準で抽出した者を「上位富裕層」と位置付け,特定の税務署において上位富裕層に対する

「専担者(税務署の所得税等担当の特別国税調査官のうち国税局が指定した者)」が配置されています

上位富裕層は,“9つある抽出基準”のいずれかに該当する者から重点管理富裕層を除いた者をいいます

詳細は不明ですが,一定の保有見込資産額などがその基準として想定されています

専任担当者の役割

上位富裕層に対する専担者は,上位富裕層,その関係個人や関係法人(上位富裕層グループ)の抽出を担います

そして,上位富裕層グループに係る資料情報の集積と分析,調査企画及び情報提供

調査企画事案の調査実施担当部署への引継ぎを行っています

また,決定した上位富裕層グループに係る上位富裕層名簿を作成し,国税局に提出します

収集した資料情報などを基に課税上の問題点を分析検討し,区分をして

その区分に応じた対応を図ることになります。

集積すべき資料情報として例えば,所得税申告書等,国外送金等調書,国外財産調書

財産債務調書,自動的情報交換資料(CRS情報含む),国外証券移管等調書

資産の所有等に関する資料,その他部内資料,マスコミ情報,インターネット情報などが挙げられます

体制のイメージ

富裕層の分類と富裕層への対応のイメージ図は下記のとおりです

出国税

このような税務当局の動きに対応して

海外への移住を考える方もいらっしゃいますが

いわゆる『出国税』への対応も事前に検討する必要が

あります

出国税に関するFAQは国税庁の下記URLをご覧ください

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kokugai/pdf/02.pdf

 

2021.05.19

結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置について国税庁がFAQを改訂しました

制度の概要

この制度は、父母・祖父母等の直系尊属が結婚・子育て資金を信託等の方法によって

一括して拠出した場合に、子・孫等の受贈者ごとに1,000万円までの贈与について

贈与税が非課税となる制度です

令和3年度改正により改正が行われたうえで、適用期限が令和5年3月31日まで延長されました。

令和3年改正

令和3年の主な改正内容は以下の通りです

① 贈与者死亡時の孫等への贈与に係る管理残額の一定部分について相続税額の2割加算を適用

② 受贈者の年齢要件を「20歳以上50歳未満」から「18歳以上50歳未満」に改正

③ 非課税申告書等の電子提出が可能に改正

④ 結婚・子育て資金の範囲に一定の認可外保育施設へ支払う保育料を追加

2割加算の設例を追加しています

今回公表されたFAQによりますと、上記①の贈与者死亡時の管理残額

(死亡日における非課税拠出額から結婚・子育てに支出した額を控除した一定の残高)

について、拠出時期に応じた課税関係を比較した表や

拠出時期により相続税額の2割加算の対象とならない部分の金額の計算方法を示した設例が追加されました

 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201504/pdf/04.pdf

上記URLの設例4-4を参照してください

認可外保育施設への支払いについて

④の認可外保育施設への支払いについては、

内閣府HPで公開されているFAQに記載があります

https://www8.cao.go.jp/shoushi/budget/pdf/zouyozei/qa.pdf

上記URLの設例4-9-2を参照してください

 

 

 

2021.05.02

国税庁が預貯金等の紹介業務のデジタル化を全国展開します

2021年10月から実施するようです

国税庁は本年10月より,金融機関等と連携し,調査対象者に係る「預貯金等の照会・回答業務」

のデジタル化を全国展開する予定です。

現在,紙ベースで行われている同業務について,国税当局は昨秋,

一部の国税局・税務署と金融機関との間で,オンラインを活用した実証実験を実施しました。

実証実験の結果,金融機関からの回答受領期間が,

書面照会と比べて短縮されるなどの効果があり

同業務の“デジタル化”を加速させることにきまりました。

600万件の預貯金情報を書面で照会

「預貯金等の照会・回答業務」は,税務調査等の際に

行政機関と金融機関との間で行われており,内閣官房の集計によると

年間の照会件数は約6,000万件にも及びます。

このうち国税関係が約600万件と,国の行政機関としては最も多く

全体の約1割を占めている状況です

同業務は,全て紙ベースの人手作業で行われているため

金融機関側では,照会文書に基づく契約者の特定のほか

回答書類の作成・発送などといった業務負担が生じているのが現状です

国税当局側でも,照会文書の作成・発送や回答書類の開封

保管等の事務に時間を要しているようです

オンライン照会で回答日数が短縮

国税当局は,同業務の“デジタル化”に向け,昨年10月19日から12月18日までの2か月間

実証実験として,金融機関4行と一部の国税局・税務署との間でオンライン照会・回答を実施しました

①デジタル化による業務効率化効果及び費用対効果

②デジタル化に対応した事務フローの環境テスト等を検証した。

実証実験期間中,金融機関に対して2,601件(延べ10,097人)のオンライン照会を実施し

金融機関から4営業日以内に90%以上の回答が得られたようです。

また,同期間中の書面照会の平均回答日数11.3日に比べ

オンライン照会の平均回答日数は2.5日に短縮される結果となるなど

国税当局と金融機関の双方にとって業務の効率化に繋がったようです

入力作業等の業務効率化が期待

国税庁は,実証実験の結果,書面照会に比べて回答受領期間が短縮されたとともに

書面で受領したデータの入力作業がなくなったことによる業務効率化の効果が期待されることを踏まえ

本年10月より,全国でオンライン照会(対象金融機関は順次拡大)を導入することを予定しているようです

なお,オンラインによる照会・回答は,株式会社NTTデータが提供する

預貯金等照会業務のデジタル化サービス「pipitLINQ」を介して実施する予定のようです(令和3年度)。

デジタル化に取り組む金融機関側の早期の投資決定を促進する観点から

全ての国税局・税務署での導入を想定しており,今後,所要の準備に着手するようです

2021.04.11

相続時精算課税の申告状況

相続税対策のひとつとして利用される相続時精算課税。

年間にどのくらいの人が申告しているか、ご存じですか。

ここでは国税庁発表の資料(※1)から、

相続時精算課税の申告状況をみていきます。

【1】相続時精算課税の概要

相続時精算課税は、贈与時に、贈与財産に対する贈与税を納め、

その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを

合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、

贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です(※2)。

 

原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、

財産を贈与した場合において選択でき、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、

一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。(※3)。

相続時精算課税は、2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となり

それを超える金額には一律で20%の税率で課税されます。

暦年贈与に比べて一度にたくさんの贈与ができるメリットがあります。

【2】年間の申告人員は減少傾向に

上記資料から、直近10年間の相続時精算課税の申告状況をまとめると、下グラフのとおりです。
申告人員は2013年の5.2万人をピークに減少傾向にあります。

申告納税額がある方は毎年3~4千人で推移していますが、申告納税額がない方の減少が顕著です。
申告納税額は年によってばらつきがありますが、2016年以降は280億円以上の年が続いており、

それ以前に比べて高い状態にあります。

  1. (※1)国税庁「令和元年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」PDF
    2020年(令和2年)6月に発表された資料です。
  2. 申告人員は2019年(令和元年)分が2020年4月末まで、
  3. それ以前は各年分、翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。
  4. (※2)国税庁タックスアンサー
    相続税「No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
  5. (※3)国税庁タックスアンサー
    相続税「No.4103 相続時精算課税の選択

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