医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2022.01.22

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが、具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

 

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り

かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には

令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出

(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に

その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで

相続登記申請義務を履行したものとみなされます

(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく

法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)

を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.01.14

姪を保険金受取人に指定できますか

[相談]

近所に住んでいる姪(以下、Aさん)に、日頃から私の生活の介助をしてもらっています。

私が死んだ後にお礼の意味も込めて、私が自らを被保険者として掛けている生命保険の

受取人になってもらおうと思うのですが、可能でしょうか。

可能であれば、この生命保険の受取人を子から変更をしようと思います。

何か問題があれば教えてください。

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:子
  4. [回答]

  5. ご相談者の“姪”であるAさんを、受取人とすることは可能ですので
  6. 変更できるかと思いますが、念のため契約されている生命保険会社へ
  7. 事前に問い合わせていただくといいと考えます。
  8. なお、ご相談者の相続時には、この生命保険金は相続財産とみなされて
  9. 相続税の課税対象となります。
  10. その際に、仮にお子さん等が存命であれば、Aさんはご相談者の養子でなければ
  11. 相続人にはなれませんので、この生命保険金に係る非課税の適用を受けることができません。
  12. また、受取人変更に伴うトラブルにもご注意ください。

[詳細解説]

1.保険金の受取人

保険金の受取人となることができるのは、保険会社によって異なりますが

「被保険者の戸籍上の配偶者および二親等内の血族」の範囲内と定められていることが一般的です。

具体的には、被保険者からみて、祖父母、父母、子、兄弟姉妹、孫が該当します。

ご相談のケースでは、受取人としたいAさんが被保険者であるご相談者からみて

姪の立場であることから、受取人となることは可能だと考えます。

この受取人の指定は、加入時に契約者が行いますが

契約後も被保険者の同意を得て途中で変更することが可能です。

したがって、ご相談のケースでは受取人の変更も可能かと思われますが

念のため、契約された保険会社へ事前にお問合わせいただくといいと考えます。

なお、保険会社によっては、個別事情の詳細を報告することで

内縁関係にある者、婚約者、共同経営者等の指定を認める場合もあります。

上述の範囲外の人を指定したい場合は、個別に保険会社や取扱代理店などに確認が必要です。

2.税務上の取扱い

受取人を指定・変更する際は、受取人を誰にするかで

税務上の取扱いが変わることもあるため、注意が必要です。

例えば、契約者=保険料負担者=被保険者=被相続人の契約において

死亡保険金受取人が相続人の場合、受け取った死亡保険金は、相続税の計算上

死亡保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)を適用できます。

他方、受取人が相続人以外の場合は、死亡保険金の非課税を適用することができません。

ご相談のケースでは、お子さんがいらっしゃるようですので

仮にお子さんが存命である中で相続が発生した場合には

Aさんがご相談者の養子にならなければ相続人となることはできません。

仮にAさんが相続人とならなければ、上記の非課税は適用できないことにご注意ください。

なお、受取人を変更されるのであれば、変更後の受取人となるAさんへの事前説明や

今回の生命保険についてお子さんが受取人だと知っている場合には

お子さんへの説明も同時にご検討ください。

特に、死亡保険金は相続税の課税財産となるため、相続税を計算する上で加算しなければならず

他の相続人にも当然知られます。

そうなることによって、親族間でのトラブルに発展する可能性も考えられるため

受取人の変更は慎重に検討されることをお勧めします。

2022.01.09

賃貸人からの解約~賃貸借契約書がない場合

[相談]

築40年の貸家を相続しました。

当初から賃借人との間で賃貸借契約書は作成されておらず、一定の賃料が支払われているだけで

契約期間も定まっていません。また、賃料と保証金以外は把握しておらず

賃貸人に賃貸借契約を解約する権利があるか否かも分かりません。

私は、貸家から離れた場所にある持家に住んでおり、今後、自ら使用する予定はなく

建物の維持管理にも手間がかかるため、この貸家を売却したいと考えています。

貸家の立地は、交通利便性や住環境がよいため、売却額が高く見込める更地として売却したいのですが

そのためには、賃借人との間で賃貸借契約を解約し退去してもらう必要があります。

賃貸借契約書を作成していない場合でも、賃貸人が契約を解除することは可能でしょうか。

[回答]

建物の賃貸借においては、原則として借地借家法が適用され

下記詳細解説にある“正当事由”に該当しないため、賃貸人からの一方的な解約手続だけでは

解約合意の意思表示をしていない賃借人の退去は難しいと思われます。

仮に賃借人の退去を希望される場合は

立退交渉等について弁護士等にご相談をされることをお勧めします。

[詳細解説]

1.賃貸借契約とは
賃貸借は、民法第601条において、「当事者の一方がある物の使用及び収益を

相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び

引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって

その効力を生ずる」と規定されています。

つまり賃貸借契約は、この賃貸借について法的効果を生じさせる行為をいいます。

2.賃貸借契約書の有無による解約
民法では、売買契約は当事者の口頭による合意だけで成立するとされており

必ずしも書面(契約書)の作成は必要ではありません(民法第555条)。

これは賃貸借契約も同様で、賃貸借契約書がなく

口頭で取決めされた内容であっても、賃貸借契約の効力は有効です。

賃貸借契約書がある場合は、通常、契約期間が定められており

賃貸人が期間内に解約することができる旨の期間内解約条項がなければ解約はできません。

他方、賃貸借契約書がなく、口頭でも賃貸借の期間の定めがない場合に

民法では、当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって

賃貸借契約を解約できるものと定められています(民法第617条)。

3.ご相談のケースの場合
今回は、上記2.の民法に従えば、賃貸借契約書がないため

当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって、賃貸借契約を解約できるようにみえます。

しかし、賃貸借の期間内解約に関する

上記2.の民法の規定は、借地権者や建物の賃借人を保護する目的の借地借家法が

適用される場合には、特別法である借地借家法の規定が優先的に適用されることになります。

今回の賃貸借契約の場合は、借地借家法が適用されますので

民法の期間内解約の内容が、下記の通り修正されることになります。

  1. ①賃貸人による期間内解約の申入れは、6ヶ月の予告が必要であること(借地借家法第27条)。

    なお、賃借人による期間内解約の申入れは、民法の規定に則り3ヶ月の予告で期間内解約ができます。

  2. ②建物賃貸借の解約申入れには、借地借家法第28条に定める正当事由が必要であること。

    賃貸人側の正当事由としては、「賃貸人が居住する等の建物使用の必要があること」

  3. や「建物の老朽化による大規模修繕等の必要があること」等があげられます。
    更地での売却を希望する等といった理由で、賃借人に退去を求めるという場合は
  4. ただちに借地借家法に定める正当事由が認められるとは限りませんので
  5. 財産上の給付(立退料の支払い等)をすることで
  6. 正当事由の具備が認められるか否かが論点となってきます。
  7. つまり今回のご相談のケースで賃借人の退去を希望される場合は
  8. 立退交渉等について弁護士等にご相談をされた上で慎重に進めていかれることをお勧めします
  9. なお、弁護士法第72条に抵触するため、宅建業者が立退交渉を代理することはできませんが
  10. 請求の価格(立退料)が140万円以内であれば
  11. 法務大臣の認定を受けた司法書士が立退交渉を代理することは可能です。

このように、長年保有している財産を相続した場合

後から問題となるケースは少なくありません。相続は生前からの対策が重要です。

2021.12.25

配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

[相談]

30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。

弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。

先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると

この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。

とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないか

との懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ

建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ

母から了承を得ました。

弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か

概ね了承してくれています。

この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが

仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

[回答]

まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から

配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。

土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を

控除した金額が相続税評価額となります。

なお、土地部分については一定の要件を満たした場合

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

[詳細]

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた

居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)

を設定した上で相続した場合の相続税評価額は

それぞれ次の算式により計算します。

建物の相続税評価額:建物全体の相続税評価額 - 配偶者居住権の価額
土地の相続税評価額:土地全体の相続税評価額 - 敷地利用権の価額

いずれも

まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

2021.12.18

賃貸住宅と電気自動車用の充電設備

[相談]

賃貸住宅の大家業を営んでいます。今回、新たに賃貸住宅を建築することになったのですが

付加価値を高めるためEV(電気自動車)用の充電設備を設置することを業者から勧められています。

しかし、EVの普及はそれほど進んでいないようにも思われ、

なによりも設置費用がかかるのでどうしようか迷っています。

賃貸住宅に電気自動車用の充電設備を設置することのメリットとデメリットを教えてください。

[回答]

「EV」というと純粋にバッテリーの電気だけで走る車をイメージしがちですが

広い意味では「ハイブリッド自動車(HV)」、「プラグインハイブリッド自動車(PHV)」

「燃料電池自動車(FCV)」も「EV」に含まれます。

このため、純粋にバッテリーの電気だけで走る自動車を「BEV(Battery Electric Vehicle)

」ということもあります。これらのうち、外部の充電設備を必要とするものが「BEV」と「PHV」です。

この「BEV」と「PHV」ですが、現時点での普及率は両者を合わせても1%強に過ぎず

我が国でエコカーといえば「HV」が代名詞という状況が続いています。

これは「BEV」と「PHV」の車種が国産車ではコンパクトカーやセダンタイプ

外国車では高級車に限られるため消費者が選択できる車種が少ない一方

「HV」はコンパクトカーから売れ筋のミニバンやSUVまで幅広い車種が揃っているという

商品選択上の理由という側面もありますが

なによりも住宅事情が大きいものと思われます。

 

一戸建て住宅であれば、最近では大手ハウスメーカーを中心に

EV用の200Vのコンセントが標準装備となるなどEVと親和性が高いのですが

既存の分譲マンションの場合は、管理組合の同意が必要となり充電器を設置するハードルが高く

新築でも充電設備を設置している分譲マンションはまだまだ少数です。

賃貸住宅の場合も、借主が設置を希望しても結局は家主次第ということになります。

したがって、人口が多く共同住宅の比率が高い大都市部では

住宅事情により「BEV」や「PHV」に乗りたくても乗れないという人も多く

結果的に普及の足かせとなっています。

現状のように「BEV」や「PHV」の普及が進んでいないなかで

ご質問にある新たな賃貸住宅に充電設備を導入するメリットとデメリットは以下のように考えられます。

(メリット)

  1. ①現時点でEV用の充電設備を導入している賃貸住宅は少ないので
  2.  BEVやPHVを所有する入居希望者に対してはアピールポイントとなる。
  3. ②設置の際、国などの補助金を活用できる可能性がある。

(デメリット)

  1. ①現在の「BEV」や「PHV」の普及率では、充電設備を設置したとしても
  2.  使用を希望する入居者がなかなか現れず、費用倒れになる可能性がある。
  3. ②誰がどれだけ電力を使用したかの把握に工夫が必要となるとともに
  4.  使用料を徴収するための手間とコストがかかる。

 国も共同住宅における充電設備の増加が「BEV」や「PHV」の普及の鍵と考えているようですし

 電力事業者なども設置者の負担にならない形での導入を促進する施策を講じるようになっています。

 賃貸住宅は今後20年、30年と稼働を続けるものですし

 なによりも大切なことは長期間に渡って入居率を維持し、物件の価値を保っていくことです。
 そのなかでEV用の充電設備の導入がそれにどう資するのか。

 それは、立地や入居者のターゲットにより異なってきます。

 したがって、自身が建てられる物件の特性をよく分析された上で導入の是非を判断されるのがよいのではないでしょうか。

2021.12.11

未登記の建物を相続した場合

[相談]

相続した実家の建物が登記されていないことが分かりました。

建物が登記されていない理由は何が考えられるのでしょうか。

また、そのまま登記しない場合、何か問題はありますか?

[回答]

建物の未登記の要因としては、

“登記は任意である”と誤った認識をお持ちであった

という可能性が考えられます。

また、未登記の状態であると、法律上の問題の他、第三者への対抗などで

デメリットが生じると考えます。

[詳細解説]

1.建物の未登記

 建物を建築等した場合には、主に以下①→②の順に登記を行います。

  1. ①建物表題登記:建物の構造・床面積等の物理的状況を明らかにする登記
  2. ②所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行う所有権の登記
  3. ①は、不動産登記法により、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に
  4. 登記を行わなければならないと定められており、登記を行う必要があります。
  5. 他方、②は、①のように義務ではなく任意となりますが、
  6. 住宅ローンを利用する場合は、金融機関が当該建物に抵当権を設定するため
  7. ②の登記が必須となります。

したがって、建物が未登記の理由の一つとしては、住宅ローンを利用せず建物を建築したため

②の登記が任意となり、①の登記も行う必要がないといった誤った認識のもと

未登記の状態になっていることが考えられます。実際、未登記建物は数多く存在します。

なお、登記されていない建物は、「未登記建物」といわれています。

2.未登記建物であることでの問題点

(1)法律上の問題
未登記建物であることの問題については、法律上の義務である上記1.

①の建物表題登記がなされていない

厳密にいえば罰則が科せられる可能性がある状態であることとなります。

また、相続による所有権の移転登記や住所変更登記に関しては

法律で義務付けられる改正がなされています。その点もあわせてご注意ください。

(2)第三者への対抗
未登記建物であると、その建物の所有について第三者へ主張することが困難です。

(3)税務上の問題
建物が未登記であるということは、その建物が建っている敷地部分に

建物がない状態で固定資産税が課税されている可能性が考えられます。

通常、土地の上に住宅が建っている場合の当該土地に係る固定資産税は

更地である状態よりも軽減措置が設けられています。

3.未登記建物の登記手続き

相続した未登記建物を第三者へ売却する際、上記1.①及び②の登記が必須となります。

将来の売却を予定されている場合は、予め登記しておくとよいでしょう。

なお、上記1.①には、登録免許税は課税されませんが

上記1.②の登記には課税(固定資産税評価額の4%)されますので、ご注意ください。

また、この登記手続きは、通常、土地家屋調査士もしくは司法書士

(以下、専門家)に依頼しますが、ご自身で行うことも可能です。

なお、専門家に依頼される場合は、建築当時の設計図面などがあれば

費用を軽減できる可能性がありますので

設計図面の有無について、事前に確認されるとよいでしょう。

建物全体が未登記であることの他、増築や改築部分が登記されていないこともあります。

建物が登記されている場合でも、建築当時の設計図面があれば

現状と比較し、増築や改築による未登記部分が生じていないか確認されるとよいでしょう。

未登記建物を相続された場合は、専門家に相談の上、適切に対処されることをお勧めします。

2021.12.04

相続した実家を売却したい

[相談]

親が亡くなり、実家を相続することになりました。私には持ち家があり

住む予定もないため、売却する予定です。実家は築後50年を経過し定期的な修繕も行っていないため

現状のまま利用することは困難です。

こうした場合、家屋を取り壊してから売却した方がよいのでしょうか?

[回答]

利用困難な建物が土地上に建っている場合でも、基本的には「建物解体更地渡し」の条件付きで

古家付きのまま販売を開始することが多いです。

[詳細解説]

1.固定資産税の軽減措置

古家付きのまま販売を開始する理由の一つは

固定資産税(都市計画税含む。以下同じ)の住宅用地(住宅の敷地)に対する軽減措置です。

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、住宅用地の場合

固定資産税の計算の基礎となる課税標準額は、たとえば面積200㎡以下の小規模住宅用地であれば

固定資産税評価額(価格)の6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されます。

そのため建物を取り壊し更地の状態で1月1日を迎えた場合

住宅用地の軽減措置の対象外となり、固定資産税は大幅に増加します。

実務的には、不動産取引の現場では、古家付きの土地の場合は

「建物解体更地渡し」の条件付きで販売し、売買契約締結後に

建物を取り壊して更地の状態で買主へ引き渡すことが通例になっています。

ただし、早い段階で更地にした方が売りやすくなる場合もありますので

販売状況や1月1日までの期間を見計らいながら

更地の状態で販売するために、前倒しで建物の解体を行うこともあります。

2.空き家の3,000万円特別控除

建物が昭和56年5月31日以前に建築されているなど一定の要件を充たすことで

“空き家の3,000万円特別控除”といわれる税制措置が利用できる可能性があります。

この制度の利用により税負担を軽減することができますので

譲渡所得が発生する場合は、税制措置の利用可否について

事前に確認されることをお勧めします。

2021.11.27

生命保険を活用した相続対策

[相談]

私が亡くなると相続人は成人した子ども2人です。

私の財産は、自宅マンションと預金を合わせて大体5,000万円程度となります。

生命保険には入っていないのですが、先日子どもから、相続対策に生命保険に入ったらどうか

といわれました。本当に対策になるのでしょうか?

[回答]

生命保険は、相続対策によく使われる金融商品の一つですが

それには相続を迎える前に考えておきたい「相続財産の評価」「遺産分割」「流動性資金の準備」

の3つの面でメリットがあるからです。

[詳細]

1.現行の相続税の計算

現行の相続税法による相続税の計算は、

まず相続または遺贈などにより財産を取得した各人の課税価格を計算します。

この課税価格には、預金などの他にも、いわゆる“みなし相続財産”といわれる生命保険金や

退職手当金等も含まれ、相続により引き継いだ債務や負担した葬式費用などを控除した後の金額をいいます。

この課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いた金額に対して相続税が課税されます。

この場合の基礎控除額とは、次の算式により計算した額です。

3,000万円+600万円×法定相続人の数(※)
(※)法定相続人の数は、相続を放棄したとしても

その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。

ご相談の場合、法定相続人が2人であるときの基礎控除額は、4,200万円(3,000万円+600万円×2人)です。

仮に課税価格の合計額が5,000万円だったとすると

基礎控除額を差し引いた800万円に対して相続税が課税されることとなります。

2.預金を生命保険に変えたことによるメリット

同じ相続財産として課税されるとしても、それが預金であるか死亡保険金であるかによって

主に以下の違いがあります。

(1)相続財産の評価

現預金は100%相続税の課税対象になりますが

死亡保険金には以下の非課税枠があります。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
※ただし、契約者と被保険者が同一で死亡保険金受取人が法定相続人の場合に限ります。
例)法定相続人が子2人の場合、非課税枠は500万円×2人=1,000万円となります。

(2)遺産分割

生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため

大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。

ただし、原則、死亡保険金受取人は、被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。

保険会社によっては配偶者や2親等内の血族以外の人を受取人として認める場合もありますので

事前に保険会社へ確認されるとよいでしょう。

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には

上記(1)の非課税枠の適用はありませんので、ご注意ください。

(3)流動性資金の準備

相続が発生して銀行口座が凍結された場合、預金は容易に引き出せなくなります。

しかし、死亡保険金は受取人からの請求により速やかに支払われますので

葬儀費用や入院費用、当面の生活費といった費用に充てることができます。

どういった資産の種類をどのような割合で保有しておくことが最適なのかについては

その方のライフスタイルに応じて

また、一度決めたとしてもその後の年齢や住環境の変化により変わる場合もあります。

 

2021.11.20

生前贈与で節税ができなくなるかもしれません

相続税対策としてポピュラーな生前贈与。

現金や自社株を毎年少しずつ移している方もいらっしゃる

かと思います。この生前贈与で相続税対策ができなくなると

巷で噂されていますが、一体どういうことでしょうか。

Ⅰ 相続税対策としての生前贈与とは?

そもそも、なぜ生前贈与が相続税対策となるのでしょうか。

例えば5,000万円財産をお持ちの方がいたとします。

相続人は子供2人のみ、毎年子供それぞれに110万円ずつ贈与する前提です。

(もらう人1人あたり、年間110万円まで贈与税がかからないため)

上図のように、生前にまったく贈与をしない場合

基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の人数)を引いた後の

課税遺産額が800万円となり、相続税額は80万円かかります。

対して、220万円の贈与を4年間行ったのちに3年が経過すると

遺産の総額が基礎控除以下となるため、相続税の申告は不要

相続税額は0円となります。

Ⅱ なぜ改正されるのか

贈与税は、生前に財産を減らして相続税を免れることを防止するために

同じ財産額であれば、相続税より高い税率が設定されています。

しかし、少額の贈与から課税すると徴税事務が煩雑なため

年間110万円まで贈与税がかからないとされているわけです

そのため、複数年にわたり贈与することで相続税を節税することが

可能になってしまっています。政府の税制調査会では

相続税の最高税率は55%だが、贈与税の申告をする方の90%以上が

贈与税率10%~20%の少額の贈与となっており

贈与税が相続税逃れの抑制になっていないと問題視しています。

そのため、以下のような改正を検討しているのではないかと考えられます。

早ければ来年度予算の開始時期の令和4年4月以降、改正・適用される可能性があり

生前贈与は今年がラストチャンスかもしれません。

Ⅲ 暦年贈与を行う際の注意点とは?

改正前の現在はまだ相続税対策として有効な生前贈与ですが

行う上で注意すべき点があります。

1. 贈与はあげた人、貰った人の認識(意思表示)が重要です。

贈与は法律上の契約とされており、あげた人の意思表示

もらう人の意思表示が必要です。

そのため

・認知症の親が贈与をする親が保管する

・子名義の銀行口座に振り込んだだけ

などは贈与と認められません。

2. 贈与額が年間110万円を超える場合、贈与税の申告が必要となります。

贈与された額が年間110万円を超える場合、贈与した年の翌年3月15日までに

贈与税の申告と納税が必要になります。ただし、生活費や学費など扶養義務の

範囲内で金銭等を贈与する場合、贈与税は非課税です。

2021.11.13

小規模宅地の特例の適用に関する裁判で国が勝訴しました(但し東京高裁です)

相続人の事業により被相続人の生計の維持が必要

東京高等裁判所は、被相続人が所有する土地上で事業を営んでいた控訴人(被相続人の親族)が

相続で取得した土地に「小規模宅地特例」が適用されるか否かを巡り争われた事件について

控訴人の控訴を棄却しました

東京高裁は、控訴人が営んでいた事業により被相続人の生計が支えられていたとはいえないことなどから

本件土地は、同特例の適用対象となる「被相続人と 生計を一 にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等

には該当しないと判断しました

生計一か否かが問題になります

被相続人の甥であり養子である相続人Aは、被相続人が所有する本件土地上で大工業を営んでいました。

相続人Aは、被相続人と同居していなかったものの、生前から日常の世話をしており

被相続人が老年期認知症にり患したことに伴って被相続人の成年後見人として

財産管理を行うことになりました。

平成26年8月に被相続人が死亡したことにより、相続人Aが本件土地を相続しました。

相続人Aが,本件土地に小規模宅地の特例の適用があることを前提に相続税の申告を行いましたが

国が更正処分等を行ったことで裁判となりました。

争点は、本件土地が「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等(特定事業用宅地等)

に該当するか否かが問題となりました。

東京高裁の判断・・・国の更正処分等は適法

東京高裁は、まず,小規模宅地特例の趣旨について

「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」は、被相続人の生前から

一般にそれが事業の維持のために欠くことのできないものであって

その処分について相当の制約を受けることが通常であることを踏まえて

相続財産としての担税力の有無に着目し、相続税の負担の軽減を図ることとしたものであるとし

被相続人から「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」を相続した場合も

その宅地等には担税力がないため、相続税の負担の軽減を図る必要があるとした。

そして、「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」は

相続人の生計だけでなく, 被相続人の生計 をも支えていた相続人の事業の用に供されていた宅地等を指しており

被相続人の生計が支えられていない場合には、相続人の営む事業は被相続人の生計とは関係がないため

被相続人が生前、同宅地等を処分することに制限がなく、同宅地等に担税力の減少は生じていないことから

相続人の相続税の負担を軽減するという同特例の趣旨には当たらないとの解釈を示しました

その上で相続人Aが本件土地上で営んでいた大工業により、被相続人の生計が支えられていたとはいえないため

本件土地は「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」には該当しないと指摘したうえで

国の更正処分等は,適法と判断しました

2021.09.03

貸付事業用宅地等の範囲から除かれる相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等

質問

被相続人甲は,10年前から2棟のアパート(各棟10室)を所有し不動産貸付業を営んでいた。

同人は,相続税対策の一環として,当該アパートを次のとおり譲渡したが,

その1年後に事故で亡くなった。なお,その譲渡後も各アパートは,

引き続き賃借人に貸し付けられている。

(1) 被相続人甲の相続人である長男にアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

使用貸借により長男に貸し付けていた。なお,長男は,被相続人と生計を一にしていた者であるが,

当該アパートを譲り受けるまで不動産の貸付けは営んでいなかった。

(2) 同族会社Xにアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

相当の地代によりX社に貸し付けていた。

小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等の範囲からは,

被相続人等の不動産貸付の用に供されていた宅地等で,相続開始前3年以内に新たに貸し付けられた宅地等は

除かれていますが,このアパートの敷地の用に供されていた宅地等について

小規模宅地等の特例の適用は認められるでしょうか。

質問(1)の回答

(1) 長男に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

貸付事業用宅地等の範囲からは 措置法69条の4 第3項4号に規定する

「新たに貸付事業の用に供された」宅地等は除かれており,

その判定は,貸付事業用宅地等の要件が貸付事業の主体

(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(以下「生計を一にしていた親族」といいます。)

ごとに定められていることからすると,

被相続人又は生計を一にしていた親族のそれぞれの利用状況により行うことが相当と考えます。

したがって,アパートの譲渡により貸付事業の主体が被相続人甲から長男に変更されていますから,

この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当し,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は貸付事業用宅地等に該当しないと考えます。

質問(2)の回答

(2) X社に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

被相続人の貸付事業は,譲渡前は建物の貸付けであったものが,

譲渡後は土地の貸付けに変更されていますが,

引き続き同人の貸付事業であることに変わりはありません。

したがって,この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当しないことから,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等については

一定の要件を満たす限り貸付事業用宅地等に該当し,

小規模宅地等の特例の適用が認められると考えます。

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