医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2022.12.09

死亡後に相続人が受けるがん診断給付金等

[相談]

先月がんで亡くなった母の書類を整理したところ、がんと診断されたときや

がんの治療で入院した際の“給付金”と、死亡保険金が受け取れる保険(以下、がん保険)

に加入していたことがわかりました。

保険会社に連絡をいれたところ契約は有効に続いており

生前は何も手続きをしていなかったようで

給付金の請求手続きをするように言われました。

父はすでに亡くなっており、このたびの相続人は私(長女)と妹の合計2人です。

私が手続きを行いますが、受け取る給付金は相続においてどのように扱われるのでしょうか?

  【契約内容】

  1. 保険種類:がん保険
  2. 契約者:母
  3. 被保険者:母
  4. 給付金受取人:被保険者(母)
  5. 死亡保険金受取人:私(相談者)

[回答]

ご相談のケースのように、被保険者の生前に請求手続きが行われず

死亡後に請求をする場合、給付金受取人が誰になっているかにより税金の扱いが異なります。

具体的な取扱いについては、詳細解説をご参照ください。

[詳細]

がん保険を含む医療保障の給付金は、被保険者が亡くなった後も保険契約が有効で

所定の要件を満たしていれば請求することができます。

被保険者の容態や事情により生前に請求手続きを行えず、死亡後に請求するケースは少なくありません。

この場合、誰が給付金受取人になっているかによって税金の扱いが異なります。

なお、同時に請求する死亡保険金は他の生命保険金と同様に

民法上は受取人固有の財産になりますが、相続税の計算上はみなし相続財産として課税対象となります。

1.給付金受取人

(1)被保険者本人の場合

 本来、被保険者(被相続人)が受け取るものであるため

死亡後に受け取る給付金は相続財産として、相続税の課税対象となります。

この場合、相続手続き上は相続人の誰が受け取ったとしても相続人共有の財産であり

未収金として遺産分割協議の対象になります。

(2)被保険者の配偶者等(直系血族・生計を一にする親族)の場合

 配偶者や子など被保険者以外が受取人に指定されている場合

被保険者が生前か死亡後かに関係なく指定された受取人の財産となります。

死亡後に給付金を受け取っても受取人の財産であるため

相続税の課税対象にはなりません

また、この場合、保険契約に基づいて病気やケガによる身体の傷害に

基因して支払いを受けるものは、所得税法上、非課税とされています。

したがって、相続税、所得税ともに課税されません。

2.ご相談のケース

 ご相談のケースにおける給付金受取人は、上記1.(1)に該当します。

死亡保険金の受取人であるご相談者が給付金と死亡保険金の請求手続きを行うため

保険会社からまとめて支払われるものと想定されます。

 給付金と死亡保険金は相続税の課税対象となる点では同じですが

給付金は相続人共有の財産として遺産分割協議の対象になる点で

死亡保険金とは異なります。

支払明細等によって整理する必要がありますので、ご留意ください。

 

2022.10.07

相続で契約者変更をした保険の税金

[相談]

 亡くなった父の相続手続きにあたり、父が管理していた書類を整理したところ

契約者が父、被保険者が私(A)になっている生命保険が見つかりました。

2年後満期になったときに満期保険金がおりる契約です。

保険会社に確認したところ、契約者を父から私に変更して引き継ぐよう案内され

この手続きは完了しました。

 引き継いだ生命保険は、父の相続に係る相続税においてどのように扱われるのでしょうか。

また、引き継いだ後、私が受け取る満期保険金の税金についても教えてください。

 

【契約内容】

  1. 保険種類:養老保険
  2. 保険期間:10年満期(残2年)
  3. 保険金額(死亡・満期):500万円
  4. 保険料払込方法:全期前納払い(全額父負担)
  5. 契約者:父(契約引継ぎ後:A)
  6. 被保険者:A
  7. 死亡保険金受取人:父(契約引継ぎ後:Aの配偶者)
  8. 満期保険金受取人:父(契約引継ぎ後:A)

[回答]

 ご相談のケースでは、相続により引き継いだ生命保険は
「生命保険に関する権利」として
お父様がお亡くなりになった時点の解約返戻金相当額に未経過保険料等を加算等した額が相続税の課税対象となります。また、質問者(A)様が受け取ることとなる満期保険金は、所得税(一時所得)の対象となります。

[詳細]

1.被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合

被保険者とは異なる契約者が保険契約期間中に死亡した場合は、契約者の変更を行います。
変更後の新しい契約者は、その契約の権利を引き継ぐことになります。

2.相続時の税務上の取扱い

引き継いだ生命保険は、「生命保険に関する権利」として相続税の課税対象となります。

(1)評価額

評価額は、原則、契約者が死亡した時点の解約返戻金の額となります。

ただし、ご相談のケースのように、保険料が前納されており解約返戻金とは別に受け取ることができる未経過保険料がある場合や、配当金等がある場合は、解約返戻金に未経過保険料や配当金の額を加えた額が評価額になります。

なお、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合は、当該金額を控除することができます。

(2)相続財産の評価

“生命保険”となると、死亡保険金の非課税枠を思い浮かべるかと思います。

しかし、ご相談のケースは保険事故が発生していない生命保険であり、本来の財産として取扱われます。死亡保険金の非課税枠(※)の適用ができる被相続人の死亡を保険事故として受け取る生命保険とは異なるため、死亡保険金の非課税枠を適用することはできません。

  1. ※(500万円×法定相続人の数)を限度として、相続税の計算上非課税とすることができる制度です。

3.満期保険金に係る税務上の取扱い

将来質問者(A)様が受け取る満期保険金は、契約者と満期保険金受取人が同一であるため、所得税(一時所得)の対象となります。一時所得の計算においては、相続により権利を引き継いだ生命保険は、引き継いだ契約者自らが当初から保険料を負担したものとして取扱います。

なお、契約者が被保険者より先に亡くなって引き継がれる生命保険は、相続財産の確認において漏れやすいため、税制改正により保険会社から税務署へ発行される調書の見直しがされており、現状では死亡により契約者が変更された一定の契約については、一定事項を記載した支払調書が所轄税務署長へ提出されることとなっています。

税務署にとっては死亡による契約者変更の事実を把握しやすくなりましたが、ご遺族としてはどのように扱えばよいか分かりづらい契約形態であることには変わりありません。

2021.01.02

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社と本人それぞれが保険料を負担していた生命保険に係る死亡保険金や、会社から支給され
る弔慰金について、相続税ではどのように取り扱われるのかをみていきましょう。

お客様からの質問・・・

夫が亡くなり、勤務先で夫が加入していた生命保険について、手続きの案内が届きました。
会社が保険料を負担する福利厚生の契約に、夫本人が任意で上乗せをして、給与天引きで保険
料を支払っていたようです。

会社が保険料を負担していた部分にあたる死亡
保険金は、会社の規程により「退職金扱い」となる
と説明を受けました。
また、これとは別に、会社から弔慰金が支払われ
るそうです。
これらの保険金や弔慰金の税金の扱いについて
教えてください。

 

Answer:死亡保険金(会社負担分)の取扱い

ご相談のケースでの死亡保険金や弔慰金の受け取りに係る課税関係は、まず死亡保険金と弔
慰金とに分けて考えます。
更に、死亡保険金に係る保険料を誰が負担していたか等によって、課税関係は異なります。

まず、会社が保険料を負担していた部分に
対応する死亡保険金について解説します。
従業員が加入する生命保険の保険料を雇用
主が負担していた契約において、支払われる
死亡保険金は退職手当金等として扱う旨が会
社で定められている場合は、相続人が受け取
る死亡保険金は退職手当金として扱われます。
退職手当金は、みなし相続財産として相続
税の対象になります。このとき、相続人が受け
取る退職手当金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度に非課税の適用を受けることができま
す。この場合、非課税の額を計算する上での
“法定相続人の数”とは、相続の放棄があった
場合にはその放棄がなかったものとした場合
の相続人の数を指します。これは、後述の死亡
保険金に係る非課税の額を計算する際も同様
です。
なお、同じように雇用主が保険料を負担し
ていた生命保険で、今回のケースと異なり、会
社が退職金として支給する取り決めがない場
合は、保険料は従業員が負担したものとみな
し、次に説明するご主人様負担分と同様、生命
保険として扱われます。

 

Answer:死亡保険金(ご主人様負担分)

次に、ご主人様が保険料を負担していた上
乗せ部分の死亡保険金についてです。
ご主人様本人が保険料を負担していた部分
から支払われる死亡保険金は、個人が契約す
る生命保険と同様に、保険料負担者、被保険者、
死亡保険金受取人の関係をもとに税務の扱い
を判断します。

ご相談のケースでは、保険料負担者と被保
険者が共にご主人様であるため、支払われる
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の
対象となります。
また、相続人が受け取る死亡保険金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度額として非課税の適用を受けることが
できます。
この非課税枠は、前述の退職金の非課税枠
とは別に適用されます。

 

会社から支払われる弔慰金

 

最後に、死亡保険金とは別に会社から支払
われる弔慰金についてです。
下記の金額までは相続税の対象となりませ
んが、超える部分は退職手当金等として相続
税の対象となります。

 

ここまでで解説した死亡保険金、弔慰金に
加え、ご主人様が所有していた財産総額に
よって相続税が発生するか否か、および税額
も変わります。相続税に関する不明な点は、お
気軽に当事務所までご相談ください。

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