医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2022.01.22

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが、具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

 

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り

かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には

令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出

(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に

その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで

相続登記申請義務を履行したものとみなされます

(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく

法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)

を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.01.14

姪を保険金受取人に指定できますか

[相談]

近所に住んでいる姪(以下、Aさん)に、日頃から私の生活の介助をしてもらっています。

私が死んだ後にお礼の意味も込めて、私が自らを被保険者として掛けている生命保険の

受取人になってもらおうと思うのですが、可能でしょうか。

可能であれば、この生命保険の受取人を子から変更をしようと思います。

何か問題があれば教えてください。

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:子
  4. [回答]

  5. ご相談者の“姪”であるAさんを、受取人とすることは可能ですので
  6. 変更できるかと思いますが、念のため契約されている生命保険会社へ
  7. 事前に問い合わせていただくといいと考えます。
  8. なお、ご相談者の相続時には、この生命保険金は相続財産とみなされて
  9. 相続税の課税対象となります。
  10. その際に、仮にお子さん等が存命であれば、Aさんはご相談者の養子でなければ
  11. 相続人にはなれませんので、この生命保険金に係る非課税の適用を受けることができません。
  12. また、受取人変更に伴うトラブルにもご注意ください。

[詳細解説]

1.保険金の受取人

保険金の受取人となることができるのは、保険会社によって異なりますが

「被保険者の戸籍上の配偶者および二親等内の血族」の範囲内と定められていることが一般的です。

具体的には、被保険者からみて、祖父母、父母、子、兄弟姉妹、孫が該当します。

ご相談のケースでは、受取人としたいAさんが被保険者であるご相談者からみて

姪の立場であることから、受取人となることは可能だと考えます。

この受取人の指定は、加入時に契約者が行いますが

契約後も被保険者の同意を得て途中で変更することが可能です。

したがって、ご相談のケースでは受取人の変更も可能かと思われますが

念のため、契約された保険会社へ事前にお問合わせいただくといいと考えます。

なお、保険会社によっては、個別事情の詳細を報告することで

内縁関係にある者、婚約者、共同経営者等の指定を認める場合もあります。

上述の範囲外の人を指定したい場合は、個別に保険会社や取扱代理店などに確認が必要です。

2.税務上の取扱い

受取人を指定・変更する際は、受取人を誰にするかで

税務上の取扱いが変わることもあるため、注意が必要です。

例えば、契約者=保険料負担者=被保険者=被相続人の契約において

死亡保険金受取人が相続人の場合、受け取った死亡保険金は、相続税の計算上

死亡保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)を適用できます。

他方、受取人が相続人以外の場合は、死亡保険金の非課税を適用することができません。

ご相談のケースでは、お子さんがいらっしゃるようですので

仮にお子さんが存命である中で相続が発生した場合には

Aさんがご相談者の養子にならなければ相続人となることはできません。

仮にAさんが相続人とならなければ、上記の非課税は適用できないことにご注意ください。

なお、受取人を変更されるのであれば、変更後の受取人となるAさんへの事前説明や

今回の生命保険についてお子さんが受取人だと知っている場合には

お子さんへの説明も同時にご検討ください。

特に、死亡保険金は相続税の課税財産となるため、相続税を計算する上で加算しなければならず

他の相続人にも当然知られます。

そうなることによって、親族間でのトラブルに発展する可能性も考えられるため

受取人の変更は慎重に検討されることをお勧めします。

2022.01.09

賃貸人からの解約~賃貸借契約書がない場合

[相談]

築40年の貸家を相続しました。

当初から賃借人との間で賃貸借契約書は作成されておらず、一定の賃料が支払われているだけで

契約期間も定まっていません。また、賃料と保証金以外は把握しておらず

賃貸人に賃貸借契約を解約する権利があるか否かも分かりません。

私は、貸家から離れた場所にある持家に住んでおり、今後、自ら使用する予定はなく

建物の維持管理にも手間がかかるため、この貸家を売却したいと考えています。

貸家の立地は、交通利便性や住環境がよいため、売却額が高く見込める更地として売却したいのですが

そのためには、賃借人との間で賃貸借契約を解約し退去してもらう必要があります。

賃貸借契約書を作成していない場合でも、賃貸人が契約を解除することは可能でしょうか。

[回答]

建物の賃貸借においては、原則として借地借家法が適用され

下記詳細解説にある“正当事由”に該当しないため、賃貸人からの一方的な解約手続だけでは

解約合意の意思表示をしていない賃借人の退去は難しいと思われます。

仮に賃借人の退去を希望される場合は

立退交渉等について弁護士等にご相談をされることをお勧めします。

[詳細解説]

1.賃貸借契約とは
賃貸借は、民法第601条において、「当事者の一方がある物の使用及び収益を

相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び

引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって

その効力を生ずる」と規定されています。

つまり賃貸借契約は、この賃貸借について法的効果を生じさせる行為をいいます。

2.賃貸借契約書の有無による解約
民法では、売買契約は当事者の口頭による合意だけで成立するとされており

必ずしも書面(契約書)の作成は必要ではありません(民法第555条)。

これは賃貸借契約も同様で、賃貸借契約書がなく

口頭で取決めされた内容であっても、賃貸借契約の効力は有効です。

賃貸借契約書がある場合は、通常、契約期間が定められており

賃貸人が期間内に解約することができる旨の期間内解約条項がなければ解約はできません。

他方、賃貸借契約書がなく、口頭でも賃貸借の期間の定めがない場合に

民法では、当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって

賃貸借契約を解約できるものと定められています(民法第617条)。

3.ご相談のケースの場合
今回は、上記2.の民法に従えば、賃貸借契約書がないため

当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって、賃貸借契約を解約できるようにみえます。

しかし、賃貸借の期間内解約に関する

上記2.の民法の規定は、借地権者や建物の賃借人を保護する目的の借地借家法が

適用される場合には、特別法である借地借家法の規定が優先的に適用されることになります。

今回の賃貸借契約の場合は、借地借家法が適用されますので

民法の期間内解約の内容が、下記の通り修正されることになります。

  1. ①賃貸人による期間内解約の申入れは、6ヶ月の予告が必要であること(借地借家法第27条)。

    なお、賃借人による期間内解約の申入れは、民法の規定に則り3ヶ月の予告で期間内解約ができます。

  2. ②建物賃貸借の解約申入れには、借地借家法第28条に定める正当事由が必要であること。

    賃貸人側の正当事由としては、「賃貸人が居住する等の建物使用の必要があること」

  3. や「建物の老朽化による大規模修繕等の必要があること」等があげられます。
    更地での売却を希望する等といった理由で、賃借人に退去を求めるという場合は
  4. ただちに借地借家法に定める正当事由が認められるとは限りませんので
  5. 財産上の給付(立退料の支払い等)をすることで
  6. 正当事由の具備が認められるか否かが論点となってきます。
  7. つまり今回のご相談のケースで賃借人の退去を希望される場合は
  8. 立退交渉等について弁護士等にご相談をされた上で慎重に進めていかれることをお勧めします
  9. なお、弁護士法第72条に抵触するため、宅建業者が立退交渉を代理することはできませんが
  10. 請求の価格(立退料)が140万円以内であれば
  11. 法務大臣の認定を受けた司法書士が立退交渉を代理することは可能です。

このように、長年保有している財産を相続した場合

後から問題となるケースは少なくありません。相続は生前からの対策が重要です。

2021.12.25

配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

[相談]

30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。

弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。

先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると

この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。

とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないか

との懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ

建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ

母から了承を得ました。

弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か

概ね了承してくれています。

この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが

仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

[回答]

まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から

配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。

土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を

控除した金額が相続税評価額となります。

なお、土地部分については一定の要件を満たした場合

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

[詳細]

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた

居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)

を設定した上で相続した場合の相続税評価額は

それぞれ次の算式により計算します。

建物の相続税評価額:建物全体の相続税評価額 - 配偶者居住権の価額
土地の相続税評価額:土地全体の相続税評価額 - 敷地利用権の価額

いずれも

まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

2021.12.18

賃貸住宅と電気自動車用の充電設備

[相談]

賃貸住宅の大家業を営んでいます。今回、新たに賃貸住宅を建築することになったのですが

付加価値を高めるためEV(電気自動車)用の充電設備を設置することを業者から勧められています。

しかし、EVの普及はそれほど進んでいないようにも思われ、

なによりも設置費用がかかるのでどうしようか迷っています。

賃貸住宅に電気自動車用の充電設備を設置することのメリットとデメリットを教えてください。

[回答]

「EV」というと純粋にバッテリーの電気だけで走る車をイメージしがちですが

広い意味では「ハイブリッド自動車(HV)」、「プラグインハイブリッド自動車(PHV)」

「燃料電池自動車(FCV)」も「EV」に含まれます。

このため、純粋にバッテリーの電気だけで走る自動車を「BEV(Battery Electric Vehicle)

」ということもあります。これらのうち、外部の充電設備を必要とするものが「BEV」と「PHV」です。

この「BEV」と「PHV」ですが、現時点での普及率は両者を合わせても1%強に過ぎず

我が国でエコカーといえば「HV」が代名詞という状況が続いています。

これは「BEV」と「PHV」の車種が国産車ではコンパクトカーやセダンタイプ

外国車では高級車に限られるため消費者が選択できる車種が少ない一方

「HV」はコンパクトカーから売れ筋のミニバンやSUVまで幅広い車種が揃っているという

商品選択上の理由という側面もありますが

なによりも住宅事情が大きいものと思われます。

 

一戸建て住宅であれば、最近では大手ハウスメーカーを中心に

EV用の200Vのコンセントが標準装備となるなどEVと親和性が高いのですが

既存の分譲マンションの場合は、管理組合の同意が必要となり充電器を設置するハードルが高く

新築でも充電設備を設置している分譲マンションはまだまだ少数です。

賃貸住宅の場合も、借主が設置を希望しても結局は家主次第ということになります。

したがって、人口が多く共同住宅の比率が高い大都市部では

住宅事情により「BEV」や「PHV」に乗りたくても乗れないという人も多く

結果的に普及の足かせとなっています。

現状のように「BEV」や「PHV」の普及が進んでいないなかで

ご質問にある新たな賃貸住宅に充電設備を導入するメリットとデメリットは以下のように考えられます。

(メリット)

  1. ①現時点でEV用の充電設備を導入している賃貸住宅は少ないので
  2.  BEVやPHVを所有する入居希望者に対してはアピールポイントとなる。
  3. ②設置の際、国などの補助金を活用できる可能性がある。

(デメリット)

  1. ①現在の「BEV」や「PHV」の普及率では、充電設備を設置したとしても
  2.  使用を希望する入居者がなかなか現れず、費用倒れになる可能性がある。
  3. ②誰がどれだけ電力を使用したかの把握に工夫が必要となるとともに
  4.  使用料を徴収するための手間とコストがかかる。

 国も共同住宅における充電設備の増加が「BEV」や「PHV」の普及の鍵と考えているようですし

 電力事業者なども設置者の負担にならない形での導入を促進する施策を講じるようになっています。

 賃貸住宅は今後20年、30年と稼働を続けるものですし

 なによりも大切なことは長期間に渡って入居率を維持し、物件の価値を保っていくことです。
 そのなかでEV用の充電設備の導入がそれにどう資するのか。

 それは、立地や入居者のターゲットにより異なってきます。

 したがって、自身が建てられる物件の特性をよく分析された上で導入の是非を判断されるのがよいのではないでしょうか。

2021.12.11

未登記の建物を相続した場合

[相談]

相続した実家の建物が登記されていないことが分かりました。

建物が登記されていない理由は何が考えられるのでしょうか。

また、そのまま登記しない場合、何か問題はありますか?

[回答]

建物の未登記の要因としては、

“登記は任意である”と誤った認識をお持ちであった

という可能性が考えられます。

また、未登記の状態であると、法律上の問題の他、第三者への対抗などで

デメリットが生じると考えます。

[詳細解説]

1.建物の未登記

 建物を建築等した場合には、主に以下①→②の順に登記を行います。

  1. ①建物表題登記:建物の構造・床面積等の物理的状況を明らかにする登記
  2. ②所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行う所有権の登記
  3. ①は、不動産登記法により、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に
  4. 登記を行わなければならないと定められており、登記を行う必要があります。
  5. 他方、②は、①のように義務ではなく任意となりますが、
  6. 住宅ローンを利用する場合は、金融機関が当該建物に抵当権を設定するため
  7. ②の登記が必須となります。

したがって、建物が未登記の理由の一つとしては、住宅ローンを利用せず建物を建築したため

②の登記が任意となり、①の登記も行う必要がないといった誤った認識のもと

未登記の状態になっていることが考えられます。実際、未登記建物は数多く存在します。

なお、登記されていない建物は、「未登記建物」といわれています。

2.未登記建物であることでの問題点

(1)法律上の問題
未登記建物であることの問題については、法律上の義務である上記1.

①の建物表題登記がなされていない

厳密にいえば罰則が科せられる可能性がある状態であることとなります。

また、相続による所有権の移転登記や住所変更登記に関しては

法律で義務付けられる改正がなされています。その点もあわせてご注意ください。

(2)第三者への対抗
未登記建物であると、その建物の所有について第三者へ主張することが困難です。

(3)税務上の問題
建物が未登記であるということは、その建物が建っている敷地部分に

建物がない状態で固定資産税が課税されている可能性が考えられます。

通常、土地の上に住宅が建っている場合の当該土地に係る固定資産税は

更地である状態よりも軽減措置が設けられています。

3.未登記建物の登記手続き

相続した未登記建物を第三者へ売却する際、上記1.①及び②の登記が必須となります。

将来の売却を予定されている場合は、予め登記しておくとよいでしょう。

なお、上記1.①には、登録免許税は課税されませんが

上記1.②の登記には課税(固定資産税評価額の4%)されますので、ご注意ください。

また、この登記手続きは、通常、土地家屋調査士もしくは司法書士

(以下、専門家)に依頼しますが、ご自身で行うことも可能です。

なお、専門家に依頼される場合は、建築当時の設計図面などがあれば

費用を軽減できる可能性がありますので

設計図面の有無について、事前に確認されるとよいでしょう。

建物全体が未登記であることの他、増築や改築部分が登記されていないこともあります。

建物が登記されている場合でも、建築当時の設計図面があれば

現状と比較し、増築や改築による未登記部分が生じていないか確認されるとよいでしょう。

未登記建物を相続された場合は、専門家に相談の上、適切に対処されることをお勧めします。

2021.12.04

相続した実家を売却したい

[相談]

親が亡くなり、実家を相続することになりました。私には持ち家があり

住む予定もないため、売却する予定です。実家は築後50年を経過し定期的な修繕も行っていないため

現状のまま利用することは困難です。

こうした場合、家屋を取り壊してから売却した方がよいのでしょうか?

[回答]

利用困難な建物が土地上に建っている場合でも、基本的には「建物解体更地渡し」の条件付きで

古家付きのまま販売を開始することが多いです。

[詳細解説]

1.固定資産税の軽減措置

古家付きのまま販売を開始する理由の一つは

固定資産税(都市計画税含む。以下同じ)の住宅用地(住宅の敷地)に対する軽減措置です。

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、住宅用地の場合

固定資産税の計算の基礎となる課税標準額は、たとえば面積200㎡以下の小規模住宅用地であれば

固定資産税評価額(価格)の6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されます。

そのため建物を取り壊し更地の状態で1月1日を迎えた場合

住宅用地の軽減措置の対象外となり、固定資産税は大幅に増加します。

実務的には、不動産取引の現場では、古家付きの土地の場合は

「建物解体更地渡し」の条件付きで販売し、売買契約締結後に

建物を取り壊して更地の状態で買主へ引き渡すことが通例になっています。

ただし、早い段階で更地にした方が売りやすくなる場合もありますので

販売状況や1月1日までの期間を見計らいながら

更地の状態で販売するために、前倒しで建物の解体を行うこともあります。

2.空き家の3,000万円特別控除

建物が昭和56年5月31日以前に建築されているなど一定の要件を充たすことで

“空き家の3,000万円特別控除”といわれる税制措置が利用できる可能性があります。

この制度の利用により税負担を軽減することができますので

譲渡所得が発生する場合は、税制措置の利用可否について

事前に確認されることをお勧めします。

2021.11.20

生前贈与で節税ができなくなるかもしれません

相続税対策としてポピュラーな生前贈与。

現金や自社株を毎年少しずつ移している方もいらっしゃる

かと思います。この生前贈与で相続税対策ができなくなると

巷で噂されていますが、一体どういうことでしょうか。

Ⅰ 相続税対策としての生前贈与とは?

そもそも、なぜ生前贈与が相続税対策となるのでしょうか。

例えば5,000万円財産をお持ちの方がいたとします。

相続人は子供2人のみ、毎年子供それぞれに110万円ずつ贈与する前提です。

(もらう人1人あたり、年間110万円まで贈与税がかからないため)

上図のように、生前にまったく贈与をしない場合

基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の人数)を引いた後の

課税遺産額が800万円となり、相続税額は80万円かかります。

対して、220万円の贈与を4年間行ったのちに3年が経過すると

遺産の総額が基礎控除以下となるため、相続税の申告は不要

相続税額は0円となります。

Ⅱ なぜ改正されるのか

贈与税は、生前に財産を減らして相続税を免れることを防止するために

同じ財産額であれば、相続税より高い税率が設定されています。

しかし、少額の贈与から課税すると徴税事務が煩雑なため

年間110万円まで贈与税がかからないとされているわけです

そのため、複数年にわたり贈与することで相続税を節税することが

可能になってしまっています。政府の税制調査会では

相続税の最高税率は55%だが、贈与税の申告をする方の90%以上が

贈与税率10%~20%の少額の贈与となっており

贈与税が相続税逃れの抑制になっていないと問題視しています。

そのため、以下のような改正を検討しているのではないかと考えられます。

早ければ来年度予算の開始時期の令和4年4月以降、改正・適用される可能性があり

生前贈与は今年がラストチャンスかもしれません。

Ⅲ 暦年贈与を行う際の注意点とは?

改正前の現在はまだ相続税対策として有効な生前贈与ですが

行う上で注意すべき点があります。

1. 贈与はあげた人、貰った人の認識(意思表示)が重要です。

贈与は法律上の契約とされており、あげた人の意思表示

もらう人の意思表示が必要です。

そのため

・認知症の親が贈与をする親が保管する

・子名義の銀行口座に振り込んだだけ

などは贈与と認められません。

2. 贈与額が年間110万円を超える場合、贈与税の申告が必要となります。

贈与された額が年間110万円を超える場合、贈与した年の翌年3月15日までに

贈与税の申告と納税が必要になります。ただし、生活費や学費など扶養義務の

範囲内で金銭等を贈与する場合、贈与税は非課税です。

2021.10.30

離婚によって元夫が元妻に自宅マンションを財産分与した場合の税金

[相談]

夫妻の離婚が成立し、元夫は元妻へマイホームを財産分与しました。

この件に関し、その財産分与を行った元夫には経済的利益がないことから

所得税の課税は行われないとの認識でよろしいでしょうか。

[回答]

ご相談の財産分与については、譲渡所得課税が行われることとなります。

詳細は下記解説をご参照ください

[解説]

1.離婚による財産分与として不動産の移転があった場合の課税関係

民法では、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して

財産の分与を請求することができる。」と定められています。

所得税法上、民法の規定による財産分与による資産の移転については

財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であることから

その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により

その資産を譲渡したこととなるものとして取り扱われています。

したがって、今回のご相談の場合、離婚による財産分与により元夫から

元妻への不動産(マイホーム)の移転が行われたことから

財産分与をした元夫に対して譲渡所得課税が行われることとなります。

2.その他留意すべき事項

離婚時の財産分与による資産の移転は贈与ではないため

所得税法上のみなし譲渡課税の規定は適用されません。

また、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例については

その適用対象となる譲渡から、その個人の配偶者その他のその個人と

一定の特別の関係(※)がある者に対してする譲渡が除かれることと定められていますが

離婚による財産分与は配偶者への譲渡には該当しないことから

他の要件を満たしていればその特例を適用することが可能となります。

  1. ※特別な関係には、生計を一にする親族、家屋の譲渡後その譲渡した家屋で
  2. 同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人などが該当します。
2021.10.01

配偶者居住権の相続税評価

[相談]

2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権は相続税が課税されると聞きました。

具体的にどのように評価するのでしょうか?

[回答]

相続税を計算する上での配偶者居住権は、居住建物の所有権部分の

「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を算出し

それを現在価値に割り戻し計算します。

その後、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を

控除した金額により評価します。

[詳細解説]

1.配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

配偶者は、遺産分割協議や遺言(相続又は遺贈、以下、相続等)によって

配偶者居住権を取得することができます。

2.配偶者居住権の評価の考え方

国税庁から公表されている「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」

について(情報)」によれば、配偶者居住権の評価の考え方として

以下の記述があります。

 

居住建物の所有者は、配偶者居住権存続期間終了時に居住建物を自由に使用収益することが
できる状態に復帰することとなります。この点に着目し、配偶者居住権の価額は、居住建物の所有
権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り
戻し、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額により評価します。
具体的には、
① 配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を減価償却に類する方法を用いて計算する
② ①で計算した配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を法定利率による複利現
価率を用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)
③ 居住建物の時価から②で求めた価額を控除して配偶者居住権の価額を求めようとするものです。

 

また、イメージ図は以下のとおりです。

 

 

2021.08.08

相続開始後に必要な手続き

[相談]

先日、主人が亡くなりました。葬儀は終えましたが

他にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

私たちは年金生活をしており、子は2人いますが

独立しています。住まいは持ち家で、その他若干の預金があります。

[回答]

 一般的に以下のような手続きが必要になります。

① 住所地の市区町村役場での手続
死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内/戸籍法第86条1項)

健康保険被保険者証・障がい者手帳・印鑑登録手帳等の返納、葬祭費の請求

健康保険料や介護保険料等の精算を行います

(但し、その場で現金を収めたり、受け取ることはありません)。

② 年金事務所での手続
受給していた年金の種類によっても異なりますが

基本的にはご主人が受給していた年金を止める手続と

未支給の年金をもらう手続などを行います。

あなたが遺族年金をもらう手続きも行った方が良い場合があるため

併せて確認するとよいでしょう。

③ 公共料金の引き落とし口座の変更
ご主人の銀行口座は今後相続手続きを行って解約していく必要があるため

現在ご主人名義の銀行口座から公共料金(電話、水道、電気、ガスなど)

を引き落としている場合は、口座を変更する必要があります。

変更には数ヶ月かかる場合もありますが、その前に口座が凍結されてしまった場合は

ご自宅に払込用紙が届くと思いますので、そちらで支払いが可能です。

④ 生命保険会社への保険金請求
ご主人や受取人の方の戸籍・住民票などの原本の提出が

必要な場合があります。

請求する生命保険会社に確認の上、役所手続の際に戸籍を

必要通数分取得されることをお勧めします。

上記の他

⑤火災保険・地震保険の名義変更、⑥自動車の名義変更

⑦自動車保険の名義変更、⑧携帯電話の解約、⑨クレジットカードの解約

⑩土地建物の名義変更、⑪農地法・森林法の届出、⑫預貯金の解約又は名義変更

⑬準確定申告、⑭相続税申告 などが必要な場合もあります。

上記は一般的に必要な手続であり、ご家族の状況・財産の内容・遺言の有無などによって

必要な手続は異なります。「相続手続」というと

遺産分割などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが

遺産分割を行う前の事務手続もさまざまです。

ご不安があれば、遠慮なくお問い合わせください

2021.07.09

事業用資産の買換特例(面積制限5倍)

事例

甲市の自社ビル(土地40㎡と建物)を売却して、乙市で土地を800㎡取得しました

800㎡の土地の内訳は

X氏から取得した600㎡(10万円/㎡)

Y氏から取得した200㎡(20万円/㎡)

です。この場合、買換特例の適用対象となる土地とその価額はいくらですか

結論

X氏から取得した土地のうち150㎡(1500万円)

Y氏から取得した土地50㎡(1000万円)が買換資産となります

解説

買換え特例の適用に当たって、買換えにより取得した土地の面積が

譲渡した土地の面積の5倍を超える場合には、5倍を超える面積については

適用対象外となります

また、買換資産に該当する土地等を2以上取得してその合計面積が

制限面積を超える場合には以下の通りとなる

 

甲市の土地・・・40㎡

X氏から取得した土地・・・600㎡×10万円=6000万円・・・A

Y氏から取得した土地・・・200㎡×20万円=4000万円・・・B

以上のような場合の買換資産の取得価額の合計金額は

(A+B)×40㎡×5倍/(X氏600㎡+Y氏200㎡)=2500万円

その場合、X氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×X氏600㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=150㎡

150㎡×10万円=1500万円

さらに、Y氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×Y氏200㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=50㎡

50㎡×20万円=1000万円

2021.07.02

事業用資産の買換特例の手続き(翌年買換えと先行取得)

質問

特定の事業用資産の買換えの特例を受ける場合の手続きについて教えてください

回答

・所得税確定申告書の「特例適用条文」欄に「措置法第37条」と記入する

・確定申告書に次の書類を添付する

  •  ①譲渡所得計算明細書
  •  ②登記事項証明書など買換資産の取得を証する書類
  •  ③譲渡資産や買換資産が特定の地域内にある旨等の市町村等の証明書

(この証明書は必要が無い場合もある)

翌年買換の場合

資産を譲渡した譲渡した日の属する年の翌年中に買換資産を取得する見込みであり

かつ、 その取得の日から1年以内に事業の用に供する見込みの場合は

確定申告書に買換え予定資産の取得価額の見積額等を記載した書類を添付しなければならない

なお、このような場合は、上記②の書類は買換資産の取得後4カ月以内に提出しなければならない

先行取得の場合

譲渡した年の前年以前に取得した資産を買換資産としてこの特例の適用を受けるためには

取得した年の翌年3月15日までに『先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書』

を提出しなければりません

2021.06.20

事業用資産の買換特例の事例紹介1(使用貸借中の土地建物の買換え)

事例紹介1

ABから無償で借りた土地の貸店舗用建物を建築して賃貸しています

この度、このA所有の貸店舗とB所有の底地を一括して譲渡しました。

譲渡代金でA,Bそれぞれが事業用の土地建物を取得する予定です。

この場合、A,Bそれぞれが事業用sh試案の買換え特例を適用できますか?

結論

A,Bが生計を一にする親族であれば、A,Bともに事業用資産の買換え特例を適用できます。

ただしAが買換資産とできるのは新たに取得した土地建物のうち建物部分だけとなります。

また、Bは新たに取得する土地建物のいずれも買換資産と扱うことができますが

取得した土地について5倍の面積制限が適用されます

論点整理

論点整理①使用貸借している土地が、事業用資産に該当するのか

論点整理②A,Bそれぞれが取得する土地建物は買換資産に該当するのか

論点1

Aの所有する建物が、譲渡する日の属する年の11日において

所有期間が10年を超えていれば建物については問題は無い。

しかし、Bが所有する敷地について使用貸借で貸し付けられているので

それが事業用といえるかどうかについて疑問が残る。

その点について、譲渡資産が所有者と生計を一にする親族の事業の用に供されている場合

については、譲渡資産は所有者にとっても事業の用に供されているものと取り扱うこととされている。

論点2

論買換資産として土地を取得する場合、譲渡資産の土地の面積の5倍を超える場合

その超える部分の面積に対応する部分は買換資産に該当しないとされています

そのため

Aの取得した土地はすべて特例適用の対象外。

B取得の土地は面積制限の範囲内で特例が適用できます

 

 

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