医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2022.05.21

預金の相続手続きと遺産の未分割申告

[相談]

被相続人は父親、相続人は長男と長女の2名です。

相続財産は預貯金と土地(宅地)です。

相続開始後、長女の承諾のもと、長男は預貯金のすべてについて

相続による名義替えを行い、自身の口座に入金しました。

現在、相続財産目録を作成して分割協議の途中ですが

納税額が多額になること、今後の土地の管理(売却等)について考えがまとまら

未分割のままで相続税の申告を行うことを検討しています。

この場合、既に長男の口座に入金した預貯金について

「代償金の振替額が未定の預り金」として未分割財産として取り扱うことはできますか。

[回答]

金融機関が被相続人口座からの預貯金の払戻し手続きに際し

どのようなケースで認めるのかやどのような書類を要求するのかは

各金融機関で異なります。

ご相談のケースでは、金融機関は、遺産分割協議はまだ済んではないものの

特定の相続人が他の相続人全員の委任を受けて払戻すことを許容しており

その結果、遺産分割協議は未了だが、他の相続人全員からの委任を受けた

払戻であることが確認できたことから、長男口座にすべて入金されている

という状態となっているのではないかと推測されます。

(少額の預金であれば、例外的に相続人の代表者だけの手続きで

 処理できることがありますが、相応の金額の場合、相続人全員の署名押印

 (印鑑証明)は必要と思います。)

この場合、長男口座への入金は、あくまで相続人全員の共有財産としての

預貯金の管理としての意味しかなく、法律上預り金にすぎないため

その後に遺産分割協議をして、預貯金について誰が相続するか

決めることが予定されていると考えられます。

したがって、長男口座に入金されている被相続人の預貯金を

未分割の遺産として扱うことは可能であり

遺産分割は未了として相続税申告を行うということで問題ないと思われます。

なお、相続人が上記の意図で払戻(長男口座で管理)を選択したのであれば

特に残すべき書類もないと思いますが、この点が明確でないのであれば

被相続人名義の口座を解約して払い戻した金額は、未分割の遺産として

長男名義の口座で管理する、という覚書のようなものを相続人で残しておいた方が良いかもしれません。

(この書面が調印できるのであれば、そもそも未分割という認識があるので

 問題になることもないと思いますが。)

2022.05.14

遺言による保険金の受取人の変更

[相談]

下記の生命保険について

仮に妻が先に亡くなった場合には、世話になっている姪に受け取って欲しいと思っています。

妻が先に亡くなった時点で、私が死亡保険金の受取人を変更できればよいのですが

そうでない状況を想定して、遺言で受取人を姪に変更しておきたいと思っています。

これは、可能でしょうか?

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:妻

[回答]

遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能ですが

諸条件を満たしている必要があります。

[詳細]

1.保険法改正により可能となった遺言による保険金受取人の変更

2010年4月1日に施行された「保険法」で、遺言による保険金受取人の変更が可能となりました。

原則、保険法施行後の契約が対象となりますが、保険会社によってその取扱いは異なります。

2.留意点

遺言によって保険金受取人を変更するときの、主な留意点は以下の通りです。

(1)変更の可否を確認
 多くの保険会社は「法律上有効な遺言であれば

受取人に指定できる方の範囲に定めはない」としているようですが

変更可能な受取人の範囲を約款で決めている保険会社もあります。

遺言書を作成する前に、必ず受取人として指定できるかどうか、確認するようにしましょう。

(2)遺言書の記載内容
 遺言によって保険金受取人を変更するときは

どの保険契約か特定できるような情報を遺言書に記載します。

この場合の「情報」とは、保険会社、証券番号、契約者、被保険者

保険種類、契約日などが該当しますが、特定できれば複数の情報の記載は必要ありません。

遺言書の例文

第〇条 私は、私が契約者となっている次の生命保険契約における

死亡保険金受取人として、姪◇◇を指定する。

(保険契約の表示)
①〇〇生命:証券番号00000000000
②■■生命:証券番号11111111111
③▼▼生命:証券番号22222222222

(3)遺言による保険金受取人の変更手続き
 遺言による保険金受取人の変更手続きを行うには

保険契約者の相続人が遺言による保険金受取人変更について

保険会社に申し出なければなりません。

その際に、一定の書類の提出が必要な場合があります。

必要となる主な書類は以下のとおりですが、保険会社によって異なるため

予め約款などで確認したり、保険会社へ問い合わせをしたりするとよいでしょう。

  1. 申し出をするための書類
  2. 遺言書の写し
  3. 検認済証明書の写し(遺言が公正証書遺言でない場合)
  4. 保険契約者の戸籍謄本
  5. 相続人もしくは遺言執行人の印鑑証明書
  6. これらの他にも、被保険者の同意が必要であること、保険会社の取扱要件を満たすことや
  7. 遺言書自体が法律上有効でなければならないなど、遺言による保険金受取人の変更には留意点があります。
2022.05.07

大学へ入学する孫に対する住宅取得等資金の贈与

[相談]

2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。

一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です

通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ

転用できる立地の良い物件を検討しています。

購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を

適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。

気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6ヶ月であることと

購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。

なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。

[回答]

懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については

令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。

ただし、適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点にご留意ください。

詳細は以下、解説をご参照ください。

[詳細]

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築

取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において

一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。

この非課税措置については適用期間が定められており

これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが

これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。

2.懸念されている2点について

(1)受贈者の年齢要件
これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において

20歳以上であること」でした。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から

“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられました。

そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば

お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。

(2)築年数の要件
建築後使用されたことのある住宅用の家屋については

これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」

という、築年数の要件がありました。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から

築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋

(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は

新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。

そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても

新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。

なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば

これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため

一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。

懸念されている点については、以上のようになります。

非課税措置の適用を希望される場合には少なくとも年齢要件を満たせるように

住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。

上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。

2022.05.03

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

[相談]

父が先日亡くなり、私が喪主として葬儀を執り行い、葬儀費用も負担しましたが

相続人間での遺産分割協議は時間がかかりそうです。

父の預金で葬儀費用の負担分を賄いたいと考えていますが

「相続人全員で遺産分割協議が成立しなければ、故人の預貯金は凍結され、引き出すことはできない」

と聞きました。

遺産分割協議が成立するまで預貯金の引き出しは全くできないのでしょうか?

[回答]

 ご相談の通り、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知ることにより

故人の預貯金の口座の入出金は停止、凍結され、故人の預貯金は

相続の手続きが終わるまで基本的に動かすことができなくなります。

 しかし、このことにより、相続人が過大な負担を強いられたり

迅速な被相続人の債務の弁済に支障を生じたりすることがあるため

令和元年7月1日施行の改正民法で仮払い制度が創設されました。

当面の費用を必要とする各相続人への簡易迅速な払戻しのため、遺産分割が確定する前でも

他の相続人の同意を得ることなく被相続人の預貯金を引き出すことができようになりました(民法909条の2)。

 これにより各相続人は、相続預貯金のうち口座ごとに以下の計算式で求められる額については

家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から他の相続人の同意なしで払戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

 

(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

  <計算例>
    普通預金720万円の場合、法定相続分2分の1の相続人(配偶者)への払戻額
    720万円×1/3×1/2=120万円 < 150万円
    払戻限度額 120万円

 

なお、これらの制度により払い戻された預貯金は、後日の遺産分割において
調整が図られることになります。
この制度の利用を考えられた場合は、金融機関へのご相談又は
お近くの弁護士などの専門家へご相談をお願いいたします。

 

 

2022.04.22

成年年齢引き下げによる暦年贈与の特例税率への影響

[相談]

民法改正により、令和4年(2022年)4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが

贈与税(暦年課税)の特例税率の適用については、どのような影響が生じるのでしょうか。

[回答]

令和4年(2022年)4月1日から、暦年贈与の特例税率の適用を受けられる受贈者の年齢要件が

成年年齢の引き下げに合わせて、18歳以上に改正されました。

[解説]

1. 贈与税額の基本的な計算方法

相続税法上、平成13年1月1日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については

課税価格から110万円(基礎控除額)を控除すると定められています。

また、贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を、次の表

(一般贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

2. 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

上記1.にかかわらず、相続税法上、平成27年1月1日以後に直系尊属からの贈与により財産を取得した者の

の年中のその財産に係る贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を次の表

(特例贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

上記の特例における「贈与により財産を取得した者」については年齢要件が設けられており

今般の成年年齢引き下げ前は「20歳以上」と定められていましたが

令和4年(2022年)4月1日からは「18歳以上」と改正されました。

 なお、上記の年齢の判定日は、贈与年の1月1日と定められていますので、ご留意ください。

2022.04.16

納税のための相続不動産売却

[相談]

父親の財産のほとんどが不動産であるため、相続が発生したら相続税は

相続する不動産を売却して納める予定です。

不動産を売却して相続税を納める際の注意事項を教えてください。

[回答]

相続税は、相続開始後10ヶ月以内に納付することが原則となっていますので

その期間内に納税に充てるための不動産の決定や分割協議を行い

不動産の売買契約から決済までを終え、納税まで完了する必要があります。

相続人が1人である場合やあらかじめ買い手が決まっている場合でない限り

非常に厳しいスケジュールになるとお考えください。

[詳細解説]

1.基本的な流れ

遺産分割協議から不動産の引渡しまでの基本的な流れは、以下の通りです。

(1) 遺産分割協議を経て相続財産から売却する不動産を決める

(2) 不動産業者へ売却を依頼し、不動産の売り出しを開始する

(3) 買い手が見つかれば、買い手と不動産売買契約を締結する

(4) 不動産の引渡しをするための準備をする

  1.   売り手:相続登記、土地の境界確定、古家の解体工事など
  2.   買い手:融資の契約など

(5) 不動産の引渡し(代金最終決済)

 

2.注意点

上記1.の基本的な流れに沿ったスケジュール感や、主な注意点は以下のとおりです。

(1) 遺産分割協議
相続発生後、遺産分割協議を経て売却する不動産を決めることになりますが

遺産を分割するためには相続人の確定や、相続財産の調査などがあるため

遺産分割協議を開始するまでに数ヶ月必要になることもあります。

(2) 売り出し
相続人間での意見が一致しなければ

不動産の売り出し開始時期は大幅に遅れることになります。

(3) 契約締結
不動産の売り出しが始まれば、1~3ヶ月程度で買い手が見つかるケースもありますが

買い手がなかなか見つからないケースもあります。

(4) 引渡しの準備
買い手が見つかっても、すぐには不動産の引渡しはできません。

売り手は境界確定などの準備が必要になります。

境界を確定するためには、1~2ヶ月程度必要です。

他方、買い手が売買代金について金融機関へ融資を依頼する場合

手続きに1ヶ月程度かかります。

 

上記のとおり、不動産を売却するためには、不動産の売り出しから

2~6ヶ月程度は必要になります。相続税がどの程度課税されるのかを調べ

相続税を納めるために、どの不動産を売却するか決めておくなど

あらかじめ準備をしておく必要があります。

あわてて不動産を売却すると、市場価格を下回るなど

不本意な結果になりかねませんので注意しましょう。

2022.04.08

遺産分割に関する民法改正の内容について

民法改正前は・・・

 これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から

何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから

早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき

インセンティブが働きにくい状態でした。

 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され

多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり

そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる

原因の一つとなっていました。

 そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして

遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

改正のポイント①

 改正の最も重要なポイントは、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ

相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく

法定相続分によることになったことです。

 すなわち、具体的相続分によれば、法定相続分による場合よりも

多くの財産を取得することができると考える相続人は

他の相続人が得た贈与が特別受益に該当する

あるいは自分が被相続人に行った労務等の提供が寄与分にあたると主張することになりますが

遺産分割の合意ができず、そのような具体的相続分に沿った遺産分割の審判を求める場合には

相続開始時から10年以内に、家庭裁判所に遺産分割請求を行うことが必要となります

(具体的相続分による遺産分割の合意は、相続開始時から10年を経過した後でも可能です)。

改正のポイント②

 なお、上記改正部分の施行日は、令和5年(2023年)4月1日となっていますが

施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても

改正法の適用がある点に留意する必要があります

 但し、経過措置により、相続開始時から10年経過時または改正法施行時から

5年経過時のいずれか遅い時までに、遺産分割請求がされた場合には

具体的相続分による分割は可能とされていますので、少なくとも5年の猶予期間があります。

改正のポイント③

 他にも、現行法では、遺産共有と通常共有が併存する場合において

共有関係を裁判で解消するには、地方裁判所等での共有物分割訴訟と

家庭裁判所での遺産分割請求を別個に実施する必要がありましたが

 改正法では、相続開始時から10年を経過したときは

遺産共有関係の解消も共有物分割訴訟において実施することができるようになります。

 また、相続により不動産が遺産共有状態となったものの

相続人の中に所在等の不明なものがいて、共有関係を解消できないようなケースについて

相続開始時から10年を経過したときは、裁判所の決定を得て

相当額の金銭を供託することにより

所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるようになります。

 

このように、改正法では遺産共有関係の解消の促進

円滑化、合理化が図られていますので、有効に活用されることが期待されます。

 

2022.04.03

[相談]

ここのところ、雑誌等で贈与税の生前贈与分が相続時に取り込まれる

いわゆる“相続税と贈与税が一体化”されるような情報を目にするようになりました。

令和4年度の税制改正大綱が発表され、税制改正関連の法律が成立しましたが

改正項目として含まれたのでしょうか?

[回答]

 令和4年度税制改正では、具体的な改正項目はありませんでした。

ただし、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方の中で

「相続税・贈与税のあり方」としての方向性が示されました。

[詳細]

1.政府与党が公表した令和4年度税制改正大綱
2021年12月10日付で、政府与党が令和4年度税制改正大綱を公表しました。

この中で、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方として

以下のとおり述べています。

相続税・贈与税のあり方:
 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに

相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており

結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。

 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば

その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。

高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば

格差の固定化につながりかねない。

 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ

資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

 わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、

贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。

このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては

生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で

相当に高額な相続財産を有する層にとっては

財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら

多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ

相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から

現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど

格差の固定化防止等の観点も踏まえながら

資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて

本格的な検討を進める。

 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して

何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について

格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

2.資産移転時期の選択に中立的な税制

 『資産移転時期の選択に中立的な税制』とは、どのような税制でしょうか。

この点については、2020年11月13日開催の第4回税制調査会内で

財務省が作成した説明資料が参考になります。

この資料の中で財務省は、「資産移転の時期の選択に中立的」とは

“資産の移転の時期(回数・金額含む)にかかわらず、納税義務者にとって

生前贈与と相続を通じた資産の総額に係る税負担が一定となることをいう”と記しています。

具体的なイメージは、下図のとおりです。

出典:内閣府HP「説明資料〔資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築等について〕

これによって、いつ贈与しても税負担は変わらない、というのが財務省の意見です。

特に暦年課税は、相続時に持ち戻されて相続税が課されるのは

死亡前3年以内の贈与分のみであって、それよりも前の暦年課税による贈与分は

持ち戻されず相続税は課税されません。この点について財務省は

資産移転の時期に中立的でないと示しています。

3.経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

 現状、経済対策として講じられている主な贈与税の非課税措置は、以下のとおりです。

  1. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成25年(2013年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  2. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  3. 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)1月1日から令和5年(2023年)12月31日までの措置]

 これらの措置について、今後どういった見直しがされていくのか注視していきましょう。

 

2022.03.26

45万人が活用する贈与税の暦年課税

【1】暦年課税の申告者は45万人弱

相続対策として生前贈与を活用することがあります。

ここでは2021年6月に国税庁が発表した資料(※)から

暦年課税による贈与税の申告状況をみていきます。

 

(※)国税庁「令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
 2021年(令和3年)6月に発表された資料です。

申告人員は2019年分と2020年分が翌年4月末まで

それ以前の年は翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。

 

直近5年分の暦年課税(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額

(110万円)を控除した残額(基礎控除後の課税価格)について

贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて贈与税額を計算するもの)

の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

 

2020年分の申告人員は44.6万人で前年と同程度となりました。

うち申告納税額有が35.1万人、申告納税額無が9.5万人です。

2018年分以降は申告納税額有が35万人台で推移しています。

申告納税額がある割合は78.7%で2年連続の低下となりました。

 

【2】申告納税額は2,000億円台で推移

2020年分の申告納税額は2,177億円で前年より増加し

3年連続で2,000億円を超えました。1人当たり申告納税額は62万円で申告納税額と同様

前年に比べ増加しました。

2018年分以降の申告納税額は、2017年分以前より高い水準で推移しています。

暦年課税を実行するにあたっては注意点等がございます。

また、贈与税の改正の動きにも注目が集まっています。ご留意ください。

 

 

2022.03.19

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが

具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより

現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は

自己のために相続の開始があったことを知り
かつ、その所有権を取得したことを知った日から
3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても

適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを

知っていた場合には、令和6年4月1日から3年以内に
相続登記の申請をしなければなりません。

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は

3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)
を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に
その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)
  に登記官に対して申し出ることで、相続登記申請義務を履行したものと
   みなされます(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ
  履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく
法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)
を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.03.06

住宅取得資金の贈与 贈与者との関係

[相談]

マイホームを取得するために親族から受けた資金援助については

一定の金額まで贈与税がかからない特例があると聞いています。

私は年内にマイホームの取得を予定しており

その取得資金の一部について義父から援助を受ける予定です。

この場合、この特例は使えますか?

なお、義父と養子縁組はしていません。

[回答]

ご相談のケースにおける義父からの贈与は、マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は適用できません。

[詳細]

1.住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例

 マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例

(住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例、以下、特例)は

様々な要件があります。そのうちの1つに贈与者と受贈者との間柄があります。


贈与者と受贈者との間柄(要件):

受贈者は、贈与を受けたときに贈与者の直系卑属であること
→言い換えると、
贈与者は、贈与をしたときに受贈者の直系尊属であること」

2.直系尊属、直系卑属

直系尊属(卑属)の“直系”とは、自分を中心に縦の関係にある者をいいます。

(1)直系尊属

 “尊属”は、自分を中心に上の者、つまり前の世代を指します。

よって直系尊属とは、自分からみて父・母・祖父・祖母などを指します。

(2)直系卑属

“卑属”は、自分を中心に下の者、つまり次の世代を指します。

よって直系卑属とは、自分からみて子・孫などを指します。

3.義父は直系尊属?

ご相談のケースは、“義父”からの贈与でした。

“義父”は、受贈者と養子縁組をしている場合を除き

受贈者からみて直系尊属には該当しません。

そのため特例の要件に該当せず、適用を受けることはできないことになります。

この“義父”との間の贈与については

暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率にも影響があります。

暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率は

『一般税率』と『特例税率』があり、特例税率の方が

『一般税率』に比べて税率が低い傾向にあるのが特徴ですが

“義父”との間の贈与は『一般税率』を適用することとなります。

なお、この特例を適用するための要件は、上記以外にもたくさんあります。

マイホームを取得するための資金贈与をお考えの場合には、ご留意ください。

 

 

2022.02.25

障碍のあるご家族のためのサポート体制

 今回は、障碍への法律におけるサポート体制として、「成年後見制度」や「任意後見契約」

「家族信託」について、会話形式でご紹介します。

 

Q1.

私たち夫婦の長男は知的障碍を持っています。私たち夫婦が元気なうちは私たちが

長男をサポートすることができますが、私たちが病気などでサポートを受ける立場に

なってしまったときに、長男のことをどのようにサポートをしていけば良いかわかりません。

何か良い方法はないのでしょうか。

A1.

いわゆる「親亡き後問題」ですね。とても悩ましい課題です。

ご両親の他にご長男様のサポートをお願いできる方がいらっしゃらない場合には

「成年後見制度」を活用することをご提案いたします。

家庭裁判所が選任した司法書士や弁護士が後見人として

お子様がお持ちの財産の管理や入院や介護施設入所時の手続きをすることで

ご長男様が今後生活で困ることがないようにサポートする制度です。

 

Q2.

そうなんですね。実は私たち夫婦には子供がもう一人おります。

5歳ほど年の離れた二男がいますので、私たちがサポートできなくなった場合には

二男に長男をサポートしてもらいたいと思っています。

成年後見制度だと、専門家が後見人になってしまい

後見人への報酬がかかると聞いていますので

できれば成年後見制度は避けたいです。

A2.

二男様がいらっしゃるのですね。成年後見制度でも

ご長男様のご資産の内容やご家族との関係性次第では二男様が後見人になる場合もあり得ますが

あくまで家庭裁判所の専権事項なので確実ではないですね。

その場合は、「任意後見契約」も検討してはいかがでしょうか。

ご長男様と二男様との間で財産の管理をお願いする契約を結ぶのです。

そうしておくと、いざご長男様の財産管理が必要になったときに

二男様が財産を管理することができます。

Q3.

なるほど。ただ、長男は重度の知的障碍のためコミュニケーションをとることができません。

そうなると任意後見契約は難しそうですね。他に良い方法はありますか。

A3.

はい、「家族信託」が方法として考えられると思います。

ご両親がお持ちのご資産のうち、ご長男様の生活のために残したいと思う財産について

二男様へ信託をするのです。そうすることで、最終的には二男様がご長男様のために

財産管理をする体制を構築することができます。

ご事情によって適切な手段は異なりますので、じっくりご検討ください。

 

2022.02.19

遺言書のススメ

[相談]

私は先日夫を亡くしました。私には子がおらず、父母・祖父母はすでに他界しており

兄弟姉妹・甥姪もいないため、身寄りがありません。

私が亡くなったら、面倒を見てくれている亡夫の姪に財産を渡したいと思っていますが

どうすれば良いでしょうか。

[回答]

亡ご主人の姪御さんはあなたの法定相続人ではありません。

あなたには法定相続人がいないため、遺言書がない限りあなたの遺産は原則国庫に帰属します。

姪御さんにお世話になっていたり、今後お世話になったりなどの事情から

あなたが亡くなったあとに残った財産を姪御さんに渡したいときは

遺言書を作成されることを強くお勧めします。

[詳細解説]

法定相続人がいない(相続人不存在)場合、相続開始時から相続財産は法人となり

家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続財産を管理し

相続人を捜索し、相続財産を精算する手続きを行うことになります。

あなたが亡くなったあと遺言がない場合でも、上記の一連の手続きで

姪御さんが療養看護に努めたことなどを以って、特別縁故者として相続財産の分与を家庭裁判所に請求し

認められれば相続財産の全部または一部を姪御さんが受け取ることができます。

 

ただし、姪御さんが確実に財産を受け取れる方法ではありません。

また、家庭裁判所の手続きが煩雑であり、時間もかかります。

姪御さんに遺贈する旨の遺言書を作っておくことが確実です。

遺言は、作成の方式を満たし、遺言の要旨が明らかであれば自筆証書であっても

公正証書であっても効力は同じですが、自筆証書による遺言は

法務局で遺言書の保管をしない限り家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

 

一方、公正証書による遺言は、検認の手続きが不要であることと

公証人が遺言者本人の遺言意思を確認して作ってくれることから遺言の要旨も明らかであるため

紛争が生じる恐れも少なくなります。

したがって、遺言をされる場合は、公正証書で作成されることをお勧めします。

その他ご参考までに、近年高齢の方たちが相続人になるケースで散見される相続の課題として

推定相続人に行方不明者や認知症の方がいる場合があります。

遺産分割協議は、全員が参加し、相続人のうち誰が

何を、どれだけ相続するかを話し合わなければ成立しません。

当事者の行方が分からない場合であっても、認知症で相続の意思を表明できない場合であっても

そのような相続人を含め、全員が参加する必要があります。

行方が分からない相続人がいるときは相続財産管理人に

認知症などで判断能力の不十分な相続人がいるときは

後見制度を利用し後見人にそれぞれ相続人の代理人になってもらい

遺産分割協議に参加してもらうことになります。

これらの制度は状況や事情によっては使えず、遺産分割が進められないこともあります。

このような相続関係が予想されるときは

遺言を作成して遺産分割協議の余地をなくすことが必要です。

2022.02.15

個人間取引で住宅を購入した場合の住宅ローン控除限度額

[相談]

私は昨年(令和3年)、築10年の中古マンションを個人(個人事業者でない個人)から

4,000万円で購入し、居住を開始しました(なお、同額の住宅ローンを利用しています)。

その購入したマンションについて、令和3年分の所得税確定申告で

住宅ローン控除の適用を受けようと考えているのですが

私の住宅ローン控除限度額はいくらになるのでしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、住宅ローン控除限度額は20万円であると考えられます。

[解説]

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が、国内において住宅の取得等をして

これらの家屋を令和3年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合において

その人がその住宅の取得等に係る住宅ローンの金額を有するときは

原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち

その人のその年分の合計所得金額が3,000万円以下である年について

その年分の所得税の額から、一定の住宅ローン控除額(住宅借入金等特別税額控除額)

を控除するという所得税法上の制度です。

2.住宅ローン控除額の計算方法の概要

上記1.の住宅ローン控除額は、原則として

その年の12月31日における住宅ローンの残高(年末残高)に一定の控除率を乗じて計算されます。

なお、住宅ローンの年末残高には上限が設けられており、具体的には、居住年が令和3年で

かつ、その居住に係る住宅の取得等が「特定取得」に該当するものであるときは

4,000万円と定められています。

上記の「特定取得」とは、購入した住宅の対価の額等に

8%または10%の税率で計算された消費税額等が含まれているものを指します。

今回のご相談の場合、個人事業者でない個人から中古マンションを購入されたとのことですが

そのような個人事業者でない個人同士での建物の売買については

消費税はかからないことと定められています。

このため、ご相談の中古マンションの購入は

上記の「特定取得」には該当しないこととなります。

「特定取得」でないマンションの購入について利用した住宅ローンの

上限額は2,000万円と定められており、その場合の控除率は1%と定められています。

したがって今回のご相談の場合、住宅ローン控除限度額は2,000万円の1%

すなわち20万円になるものと考えられます。

2022.01.30

所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制見直しの概要

経緯

従前より、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、あるいは判明しても

その所在が不明で連絡がつかない「所有者不明土地」について

管理がされず放置される、あるいは民間取引が阻害されるなどの問題が発生しており

高齢化による死亡者数の増加により、今後ますます深刻化するおそれが指摘されていました。

趣旨

このような所有者不明土地が生じる主な原因が、相続登記の申請が義務ではなく

相続登記や所有者の住所変更登記がされないことにあったことから

所有者不明土地の発生予防とすでに発生している所有者不明土地の利用円滑化の観点から

総合的に民事基本法制が見直されることとなり、2021年4月28日、民法等の一部を改正する法律

及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

(相続土地国庫帰属法)が公布されました。

改正のポイント

両法律による改正のポイントは、

 ①不動産登記制度の見直し
 ②相続土地国庫帰属制度の創設
 ③土地利用に関連する民法の規律の見直し

の三点にあります。

一つ目の不動産登記制度の見直しの主な内容は、相続登記・住所変更登記申請を義務化すると同時に

義務履行の負担を軽減する観点から、相続人申告登記という従前より簡易な登記手続が新設されたことです。

相続人申告登記では、登記名義人たる被相続人(亡くなられた方)の出生から

死亡に至るまでの戸除籍謄本等の提出は不要となり、申出をする相続人自身が被相続人の相続人

であることがわかる戸籍謄本を提出することで足りるようになります。

令和6年4月1日より施行されます。

住所変更登記申請の義務化の施行日は現時点では未定です

(公布後5年を超えない範囲で政令で定めるとされています)。

また、二つ目の相続土地国庫帰属制度とは、相続等により土地所有権を取得した相続人が

一定の要件のもと法務大臣の承認を受け、当該土地所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

ただし、建物が存する土地等、通常の管理又は処分をするにあたり過分の費用又は労力

を要する土地に該当する場合には、却下・不承認となることや、土地管理費相当額の負担金を

納付する必要があることに注意が必要です

(参考として、原野で20万円、市街地の宅地(200㎡)で80万円程度とされています)。

令和5年4月27日に施行されます。

三つ目の土地利用に関連する民法の規律の見直しの主な内容は

所有者不明土地・建物管理制度が創設されたことや、遺産分割に時的限界が設けられたことです。

前者について、現行法上の不在者財産管理人、相続財産管理人等が

対象者の財産全般を管理する人単位の仕組みだったのに対し

特定の土地・建物に特化して管理を行う管理人を選任してもらうことができるのが

所有者不明土地・建物管理制度です。

また、後者について、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則として法定相続分によることになります。令和5年4月1日に施行されます。

以上のとおり、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しの内容は多岐にわたり

実務に与える影響も小さくないものと思われますので

不動産や相続手続に関与する専門家は十分に理解しておく必要がありそうです。

2022.01.22

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが、具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

 

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り

かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には

令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出

(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に

その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで

相続登記申請義務を履行したものとみなされます

(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく

法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)

を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.01.09

賃貸人からの解約~賃貸借契約書がない場合

[相談]

築40年の貸家を相続しました。

当初から賃借人との間で賃貸借契約書は作成されておらず、一定の賃料が支払われているだけで

契約期間も定まっていません。また、賃料と保証金以外は把握しておらず

賃貸人に賃貸借契約を解約する権利があるか否かも分かりません。

私は、貸家から離れた場所にある持家に住んでおり、今後、自ら使用する予定はなく

建物の維持管理にも手間がかかるため、この貸家を売却したいと考えています。

貸家の立地は、交通利便性や住環境がよいため、売却額が高く見込める更地として売却したいのですが

そのためには、賃借人との間で賃貸借契約を解約し退去してもらう必要があります。

賃貸借契約書を作成していない場合でも、賃貸人が契約を解除することは可能でしょうか。

[回答]

建物の賃貸借においては、原則として借地借家法が適用され

下記詳細解説にある“正当事由”に該当しないため、賃貸人からの一方的な解約手続だけでは

解約合意の意思表示をしていない賃借人の退去は難しいと思われます。

仮に賃借人の退去を希望される場合は

立退交渉等について弁護士等にご相談をされることをお勧めします。

[詳細解説]

1.賃貸借契約とは
賃貸借は、民法第601条において、「当事者の一方がある物の使用及び収益を

相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び

引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって

その効力を生ずる」と規定されています。

つまり賃貸借契約は、この賃貸借について法的効果を生じさせる行為をいいます。

2.賃貸借契約書の有無による解約
民法では、売買契約は当事者の口頭による合意だけで成立するとされており

必ずしも書面(契約書)の作成は必要ではありません(民法第555条)。

これは賃貸借契約も同様で、賃貸借契約書がなく

口頭で取決めされた内容であっても、賃貸借契約の効力は有効です。

賃貸借契約書がある場合は、通常、契約期間が定められており

賃貸人が期間内に解約することができる旨の期間内解約条項がなければ解約はできません。

他方、賃貸借契約書がなく、口頭でも賃貸借の期間の定めがない場合に

民法では、当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって

賃貸借契約を解約できるものと定められています(民法第617条)。

3.ご相談のケースの場合
今回は、上記2.の民法に従えば、賃貸借契約書がないため

当事者はいつでも3ヶ月の予告をもって、賃貸借契約を解約できるようにみえます。

しかし、賃貸借の期間内解約に関する

上記2.の民法の規定は、借地権者や建物の賃借人を保護する目的の借地借家法が

適用される場合には、特別法である借地借家法の規定が優先的に適用されることになります。

今回の賃貸借契約の場合は、借地借家法が適用されますので

民法の期間内解約の内容が、下記の通り修正されることになります。

  1. ①賃貸人による期間内解約の申入れは、6ヶ月の予告が必要であること(借地借家法第27条)。

    なお、賃借人による期間内解約の申入れは、民法の規定に則り3ヶ月の予告で期間内解約ができます。

  2. ②建物賃貸借の解約申入れには、借地借家法第28条に定める正当事由が必要であること。

    賃貸人側の正当事由としては、「賃貸人が居住する等の建物使用の必要があること」

  3. や「建物の老朽化による大規模修繕等の必要があること」等があげられます。
    更地での売却を希望する等といった理由で、賃借人に退去を求めるという場合は
  4. ただちに借地借家法に定める正当事由が認められるとは限りませんので
  5. 財産上の給付(立退料の支払い等)をすることで
  6. 正当事由の具備が認められるか否かが論点となってきます。
  7. つまり今回のご相談のケースで賃借人の退去を希望される場合は
  8. 立退交渉等について弁護士等にご相談をされた上で慎重に進めていかれることをお勧めします
  9. なお、弁護士法第72条に抵触するため、宅建業者が立退交渉を代理することはできませんが
  10. 請求の価格(立退料)が140万円以内であれば
  11. 法務大臣の認定を受けた司法書士が立退交渉を代理することは可能です。

このように、長年保有している財産を相続した場合

後から問題となるケースは少なくありません。相続は生前からの対策が重要です。

2021.12.25

配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

[相談]

30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。

弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。

先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると

この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。

とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないか

との懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ

建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ

母から了承を得ました。

弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か

概ね了承してくれています。

この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが

仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

[回答]

まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から

配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。

土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を

控除した金額が相続税評価額となります。

なお、土地部分については一定の要件を満たした場合

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

[詳細]

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた

居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)

を設定した上で相続した場合の相続税評価額は

それぞれ次の算式により計算します。

建物の相続税評価額:建物全体の相続税評価額 - 配偶者居住権の価額
土地の相続税評価額:土地全体の相続税評価額 - 敷地利用権の価額

いずれも

まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

2021.12.18

賃貸住宅と電気自動車用の充電設備

[相談]

賃貸住宅の大家業を営んでいます。今回、新たに賃貸住宅を建築することになったのですが

付加価値を高めるためEV(電気自動車)用の充電設備を設置することを業者から勧められています。

しかし、EVの普及はそれほど進んでいないようにも思われ、

なによりも設置費用がかかるのでどうしようか迷っています。

賃貸住宅に電気自動車用の充電設備を設置することのメリットとデメリットを教えてください。

[回答]

「EV」というと純粋にバッテリーの電気だけで走る車をイメージしがちですが

広い意味では「ハイブリッド自動車(HV)」、「プラグインハイブリッド自動車(PHV)」

「燃料電池自動車(FCV)」も「EV」に含まれます。

このため、純粋にバッテリーの電気だけで走る自動車を「BEV(Battery Electric Vehicle)

」ということもあります。これらのうち、外部の充電設備を必要とするものが「BEV」と「PHV」です。

この「BEV」と「PHV」ですが、現時点での普及率は両者を合わせても1%強に過ぎず

我が国でエコカーといえば「HV」が代名詞という状況が続いています。

これは「BEV」と「PHV」の車種が国産車ではコンパクトカーやセダンタイプ

外国車では高級車に限られるため消費者が選択できる車種が少ない一方

「HV」はコンパクトカーから売れ筋のミニバンやSUVまで幅広い車種が揃っているという

商品選択上の理由という側面もありますが

なによりも住宅事情が大きいものと思われます。

 

一戸建て住宅であれば、最近では大手ハウスメーカーを中心に

EV用の200Vのコンセントが標準装備となるなどEVと親和性が高いのですが

既存の分譲マンションの場合は、管理組合の同意が必要となり充電器を設置するハードルが高く

新築でも充電設備を設置している分譲マンションはまだまだ少数です。

賃貸住宅の場合も、借主が設置を希望しても結局は家主次第ということになります。

したがって、人口が多く共同住宅の比率が高い大都市部では

住宅事情により「BEV」や「PHV」に乗りたくても乗れないという人も多く

結果的に普及の足かせとなっています。

現状のように「BEV」や「PHV」の普及が進んでいないなかで

ご質問にある新たな賃貸住宅に充電設備を導入するメリットとデメリットは以下のように考えられます。

(メリット)

  1. ①現時点でEV用の充電設備を導入している賃貸住宅は少ないので
  2.  BEVやPHVを所有する入居希望者に対してはアピールポイントとなる。
  3. ②設置の際、国などの補助金を活用できる可能性がある。

(デメリット)

  1. ①現在の「BEV」や「PHV」の普及率では、充電設備を設置したとしても
  2.  使用を希望する入居者がなかなか現れず、費用倒れになる可能性がある。
  3. ②誰がどれだけ電力を使用したかの把握に工夫が必要となるとともに
  4.  使用料を徴収するための手間とコストがかかる。

 国も共同住宅における充電設備の増加が「BEV」や「PHV」の普及の鍵と考えているようですし

 電力事業者なども設置者の負担にならない形での導入を促進する施策を講じるようになっています。

 賃貸住宅は今後20年、30年と稼働を続けるものですし

 なによりも大切なことは長期間に渡って入居率を維持し、物件の価値を保っていくことです。
 そのなかでEV用の充電設備の導入がそれにどう資するのか。

 それは、立地や入居者のターゲットにより異なってきます。

 したがって、自身が建てられる物件の特性をよく分析された上で導入の是非を判断されるのがよいのではないでしょうか。

2021.12.11

未登記の建物を相続した場合

[相談]

相続した実家の建物が登記されていないことが分かりました。

建物が登記されていない理由は何が考えられるのでしょうか。

また、そのまま登記しない場合、何か問題はありますか?

[回答]

建物の未登記の要因としては、

“登記は任意である”と誤った認識をお持ちであった

という可能性が考えられます。

また、未登記の状態であると、法律上の問題の他、第三者への対抗などで

デメリットが生じると考えます。

[詳細解説]

1.建物の未登記

 建物を建築等した場合には、主に以下①→②の順に登記を行います。

  1. ①建物表題登記:建物の構造・床面積等の物理的状況を明らかにする登記
  2. ②所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行う所有権の登記
  3. ①は、不動産登記法により、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に
  4. 登記を行わなければならないと定められており、登記を行う必要があります。
  5. 他方、②は、①のように義務ではなく任意となりますが、
  6. 住宅ローンを利用する場合は、金融機関が当該建物に抵当権を設定するため
  7. ②の登記が必須となります。

したがって、建物が未登記の理由の一つとしては、住宅ローンを利用せず建物を建築したため

②の登記が任意となり、①の登記も行う必要がないといった誤った認識のもと

未登記の状態になっていることが考えられます。実際、未登記建物は数多く存在します。

なお、登記されていない建物は、「未登記建物」といわれています。

2.未登記建物であることでの問題点

(1)法律上の問題
未登記建物であることの問題については、法律上の義務である上記1.

①の建物表題登記がなされていない

厳密にいえば罰則が科せられる可能性がある状態であることとなります。

また、相続による所有権の移転登記や住所変更登記に関しては

法律で義務付けられる改正がなされています。その点もあわせてご注意ください。

(2)第三者への対抗
未登記建物であると、その建物の所有について第三者へ主張することが困難です。

(3)税務上の問題
建物が未登記であるということは、その建物が建っている敷地部分に

建物がない状態で固定資産税が課税されている可能性が考えられます。

通常、土地の上に住宅が建っている場合の当該土地に係る固定資産税は

更地である状態よりも軽減措置が設けられています。

3.未登記建物の登記手続き

相続した未登記建物を第三者へ売却する際、上記1.①及び②の登記が必須となります。

将来の売却を予定されている場合は、予め登記しておくとよいでしょう。

なお、上記1.①には、登録免許税は課税されませんが

上記1.②の登記には課税(固定資産税評価額の4%)されますので、ご注意ください。

また、この登記手続きは、通常、土地家屋調査士もしくは司法書士

(以下、専門家)に依頼しますが、ご自身で行うことも可能です。

なお、専門家に依頼される場合は、建築当時の設計図面などがあれば

費用を軽減できる可能性がありますので

設計図面の有無について、事前に確認されるとよいでしょう。

建物全体が未登記であることの他、増築や改築部分が登記されていないこともあります。

建物が登記されている場合でも、建築当時の設計図面があれば

現状と比較し、増築や改築による未登記部分が生じていないか確認されるとよいでしょう。

未登記建物を相続された場合は、専門家に相談の上、適切に対処されることをお勧めします。

2021.12.04

相続した実家を売却したい

[相談]

親が亡くなり、実家を相続することになりました。私には持ち家があり

住む予定もないため、売却する予定です。実家は築後50年を経過し定期的な修繕も行っていないため

現状のまま利用することは困難です。

こうした場合、家屋を取り壊してから売却した方がよいのでしょうか?

[回答]

利用困難な建物が土地上に建っている場合でも、基本的には「建物解体更地渡し」の条件付きで

古家付きのまま販売を開始することが多いです。

[詳細解説]

1.固定資産税の軽減措置

古家付きのまま販売を開始する理由の一つは

固定資産税(都市計画税含む。以下同じ)の住宅用地(住宅の敷地)に対する軽減措置です。

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、住宅用地の場合

固定資産税の計算の基礎となる課税標準額は、たとえば面積200㎡以下の小規模住宅用地であれば

固定資産税評価額(価格)の6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されます。

そのため建物を取り壊し更地の状態で1月1日を迎えた場合

住宅用地の軽減措置の対象外となり、固定資産税は大幅に増加します。

実務的には、不動産取引の現場では、古家付きの土地の場合は

「建物解体更地渡し」の条件付きで販売し、売買契約締結後に

建物を取り壊して更地の状態で買主へ引き渡すことが通例になっています。

ただし、早い段階で更地にした方が売りやすくなる場合もありますので

販売状況や1月1日までの期間を見計らいながら

更地の状態で販売するために、前倒しで建物の解体を行うこともあります。

2.空き家の3,000万円特別控除

建物が昭和56年5月31日以前に建築されているなど一定の要件を充たすことで

“空き家の3,000万円特別控除”といわれる税制措置が利用できる可能性があります。

この制度の利用により税負担を軽減することができますので

譲渡所得が発生する場合は、税制措置の利用可否について

事前に確認されることをお勧めします。

2021.11.27

生命保険を活用した相続対策

[相談]

私が亡くなると相続人は成人した子ども2人です。

私の財産は、自宅マンションと預金を合わせて大体5,000万円程度となります。

生命保険には入っていないのですが、先日子どもから、相続対策に生命保険に入ったらどうか

といわれました。本当に対策になるのでしょうか?

[回答]

生命保険は、相続対策によく使われる金融商品の一つですが

それには相続を迎える前に考えておきたい「相続財産の評価」「遺産分割」「流動性資金の準備」

の3つの面でメリットがあるからです。

[詳細]

1.現行の相続税の計算

現行の相続税法による相続税の計算は、

まず相続または遺贈などにより財産を取得した各人の課税価格を計算します。

この課税価格には、預金などの他にも、いわゆる“みなし相続財産”といわれる生命保険金や

退職手当金等も含まれ、相続により引き継いだ債務や負担した葬式費用などを控除した後の金額をいいます。

この課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いた金額に対して相続税が課税されます。

この場合の基礎控除額とは、次の算式により計算した額です。

3,000万円+600万円×法定相続人の数(※)
(※)法定相続人の数は、相続を放棄したとしても

その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。

ご相談の場合、法定相続人が2人であるときの基礎控除額は、4,200万円(3,000万円+600万円×2人)です。

仮に課税価格の合計額が5,000万円だったとすると

基礎控除額を差し引いた800万円に対して相続税が課税されることとなります。

2.預金を生命保険に変えたことによるメリット

同じ相続財産として課税されるとしても、それが預金であるか死亡保険金であるかによって

主に以下の違いがあります。

(1)相続財産の評価

現預金は100%相続税の課税対象になりますが

死亡保険金には以下の非課税枠があります。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
※ただし、契約者と被保険者が同一で死亡保険金受取人が法定相続人の場合に限ります。
例)法定相続人が子2人の場合、非課税枠は500万円×2人=1,000万円となります。

(2)遺産分割

生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため

大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。

ただし、原則、死亡保険金受取人は、被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。

保険会社によっては配偶者や2親等内の血族以外の人を受取人として認める場合もありますので

事前に保険会社へ確認されるとよいでしょう。

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には

上記(1)の非課税枠の適用はありませんので、ご注意ください。

(3)流動性資金の準備

相続が発生して銀行口座が凍結された場合、預金は容易に引き出せなくなります。

しかし、死亡保険金は受取人からの請求により速やかに支払われますので

葬儀費用や入院費用、当面の生活費といった費用に充てることができます。

どういった資産の種類をどのような割合で保有しておくことが最適なのかについては

その方のライフスタイルに応じて

また、一度決めたとしてもその後の年齢や住環境の変化により変わる場合もあります。

 

2021.11.20

生前贈与で節税ができなくなるかもしれません

相続税対策としてポピュラーな生前贈与。

現金や自社株を毎年少しずつ移している方もいらっしゃる

かと思います。この生前贈与で相続税対策ができなくなると

巷で噂されていますが、一体どういうことでしょうか。

Ⅰ 相続税対策としての生前贈与とは?

そもそも、なぜ生前贈与が相続税対策となるのでしょうか。

例えば5,000万円財産をお持ちの方がいたとします。

相続人は子供2人のみ、毎年子供それぞれに110万円ずつ贈与する前提です。

(もらう人1人あたり、年間110万円まで贈与税がかからないため)

上図のように、生前にまったく贈与をしない場合

基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の人数)を引いた後の

課税遺産額が800万円となり、相続税額は80万円かかります。

対して、220万円の贈与を4年間行ったのちに3年が経過すると

遺産の総額が基礎控除以下となるため、相続税の申告は不要

相続税額は0円となります。

Ⅱ なぜ改正されるのか

贈与税は、生前に財産を減らして相続税を免れることを防止するために

同じ財産額であれば、相続税より高い税率が設定されています。

しかし、少額の贈与から課税すると徴税事務が煩雑なため

年間110万円まで贈与税がかからないとされているわけです

そのため、複数年にわたり贈与することで相続税を節税することが

可能になってしまっています。政府の税制調査会では

相続税の最高税率は55%だが、贈与税の申告をする方の90%以上が

贈与税率10%~20%の少額の贈与となっており

贈与税が相続税逃れの抑制になっていないと問題視しています。

そのため、以下のような改正を検討しているのではないかと考えられます。

早ければ来年度予算の開始時期の令和4年4月以降、改正・適用される可能性があり

生前贈与は今年がラストチャンスかもしれません。

Ⅲ 暦年贈与を行う際の注意点とは?

改正前の現在はまだ相続税対策として有効な生前贈与ですが

行う上で注意すべき点があります。

1. 贈与はあげた人、貰った人の認識(意思表示)が重要です。

贈与は法律上の契約とされており、あげた人の意思表示

もらう人の意思表示が必要です。

そのため

・認知症の親が贈与をする親が保管する

・子名義の銀行口座に振り込んだだけ

などは贈与と認められません。

2. 贈与額が年間110万円を超える場合、贈与税の申告が必要となります。

贈与された額が年間110万円を超える場合、贈与した年の翌年3月15日までに

贈与税の申告と納税が必要になります。ただし、生活費や学費など扶養義務の

範囲内で金銭等を贈与する場合、贈与税は非課税です。

2021.11.05

敷地利用権の相続税評価

[相談]

2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権に付随する敷地利用権は、配偶者居住権と同様に

相続税が課税されると聞きました。

この敷地利用権は、具体的にどのように評価するのでしょうか?

[回答]

相続税を計算する上での敷地利用権は、敷地利用権の対象となる土地等の

相続税評価額からその価額に一定の複利現価率を乗じて計算した価額を控除した

金額により評価します。

[詳細解説]

1.敷地利用権とは

 配偶者居住権は建物に住む権利ですが、その配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.敷地利用権の評価の考え方

 国税庁から公表されている「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」について(情報)」

によれば、敷地利用権の評価の考え方として、以下の記述があります。

・・・以下国税庁の情報から引用・・・

居住建物の敷地の所有者は、配偶者居住権存続期間終了時に居住建物の敷地を自由に

使用収益することができる状態に復帰することとなります。

この点に着目し、敷地利用権の価額は、居住建物の敷地について

所有権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め

それを現在価値に割り戻し、居住建物の敷地の時価からその割り戻した

所有権部分の価額を控除した金額により評価します。

具体的には、

  1. ①配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の敷地の時価を法定利率による複利現価率を
  2.  用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)
  3. ②居住建物の敷地の時価から①で求めた価額を控除して敷地利用権の価額を求めようとするものです。

なお、将来時点における土地等の時価を評価するのは不確実性を伴い困難な場合が多い

と考えられること等から、時価変動を捨象し、相続開始時の価額をそのまま配偶者居住権存続期間終了時の

時価として用いて計算します。

2021.10.30

離婚によって元夫が元妻に自宅マンションを財産分与した場合の税金

[相談]

夫妻の離婚が成立し、元夫は元妻へマイホームを財産分与しました。

この件に関し、その財産分与を行った元夫には経済的利益がないことから

所得税の課税は行われないとの認識でよろしいでしょうか。

[回答]

ご相談の財産分与については、譲渡所得課税が行われることとなります。

詳細は下記解説をご参照ください

[解説]

1.離婚による財産分与として不動産の移転があった場合の課税関係

民法では、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して

財産の分与を請求することができる。」と定められています。

所得税法上、民法の規定による財産分与による資産の移転については

財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であることから

その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により

その資産を譲渡したこととなるものとして取り扱われています。

したがって、今回のご相談の場合、離婚による財産分与により元夫から

元妻への不動産(マイホーム)の移転が行われたことから

財産分与をした元夫に対して譲渡所得課税が行われることとなります。

2.その他留意すべき事項

離婚時の財産分与による資産の移転は贈与ではないため

所得税法上のみなし譲渡課税の規定は適用されません。

また、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例については

その適用対象となる譲渡から、その個人の配偶者その他のその個人と

一定の特別の関係(※)がある者に対してする譲渡が除かれることと定められていますが

離婚による財産分与は配偶者への譲渡には該当しないことから

他の要件を満たしていればその特例を適用することが可能となります。

  1. ※特別な関係には、生計を一にする親族、家屋の譲渡後その譲渡した家屋で
  2. 同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人などが該当します。
2021.10.15

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

所得税の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

よりピックアップしてご紹介します。

誤った取扱い

未分割の相続財産から生ずる不動産所得について

法定相続分で申告したが、後日

法定相続分と異なる遺産分割が行われた場合は

相続時に遡及して是正しなければならないとした。

正しい取扱い

未分割の相続財産(不動産)から生ずる収入は

遺産とは別個のものであって、法定相続人各人がその相続分に応じて

分割単独債権として確定的に取得するものであるから

その帰属につき、事後の遺産分割の影響を受けることはない

(最高裁平17.9.8判決)。

なお、遺産分割確定日以後の不動産収入については

その遺産分割による相続分により申告することとなる。

出典:大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

2021.10.09

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できますか?

[相談]

私は現在、住宅ローン控除の適用を受けています。

諸般の事情により、住宅ローン控除の適用を受けているその住宅(自宅)を

今年(2021年)中に売却し、同じく今年中に新しく住宅(自宅)を

購入することを検討しています。

現在の自宅の売却については売却益が出る見込みのため

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を

受けたいと考えています。

同時に、新たに購入する自宅について住宅ローン控除の適用も受けたいと

考えているのですが、その併用は可能でしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例と

住宅ローン控除の併用はできません。

[解説]

1.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の概要

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例とは

正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

具体的には、個人が所有する居住用財産(マイホーム)を売却した場合において

その売却による利益(譲渡所得)から最高で3,000万円を控除できるという所得税法上の制度です。

なお、上記の「最高で3,000万円を控除できる」という部分について

売却したマイホームの所有期間の長短は影響を及ぼしません。

2.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための要件

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための主な要件は

下記のとおりです。

  1. ①自分が住んでいる住宅等の売却であること
  2. ②過去に自分が住んでいた住宅等を売却した場合には
  3.  その住宅等に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること
  4. ③その年の前年又は前々年においてマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の適用を受けていないこと

3.住宅ローン控除制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等をし

令和3年12月31日までにそのマイホームに実際に住んだ場合で一定の要件を満たすときにおいて

その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を

マイホームに実際に住んだ年分以後の一定の各年分の所得税額から控除するという所得税法上の制度です。

ただし、この制度は、そのマイホームに実際に住んだ年とその前年、前々年に

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受けている場合には

適用しないことと定められています。

また、そのマイホームに実際に住んだ年の翌年以後3年以内の各年において

住んでいた住宅等を売却し、上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の

適用を受ける場合にも適用しないと定められています。

つまり、マイホームに実際に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間については

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できないということです。

したがって、今回のご相談の場合についても、同じ年(2021年)において住宅ローン控除と

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の併用はできないこととなります。

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近江清秀公認会計士税理士事務所

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2021.10.01

配偶者居住権の相続税評価

[相談]

2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権は相続税が課税されると聞きました。

具体的にどのように評価するのでしょうか?

[回答]

相続税を計算する上での配偶者居住権は、居住建物の所有権部分の

「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を算出し

それを現在価値に割り戻し計算します。

その後、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を

控除した金額により評価します。

[詳細解説]

1.配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

配偶者は、遺産分割協議や遺言(相続又は遺贈、以下、相続等)によって

配偶者居住権を取得することができます。

2.配偶者居住権の評価の考え方

国税庁から公表されている「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」

について(情報)」によれば、配偶者居住権の評価の考え方として

以下の記述があります。

 

居住建物の所有者は、配偶者居住権存続期間終了時に居住建物を自由に使用収益することが
できる状態に復帰することとなります。この点に着目し、配偶者居住権の価額は、居住建物の所有
権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り
戻し、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額により評価します。
具体的には、
① 配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を減価償却に類する方法を用いて計算する
② ①で計算した配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を法定利率による複利現
価率を用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)
③ 居住建物の時価から②で求めた価額を控除して配偶者居住権の価額を求めようとするものです。

 

また、イメージ図は以下のとおりです。

 

 

2021.09.03

貸付事業用宅地等の範囲から除かれる相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等

質問

被相続人甲は,10年前から2棟のアパート(各棟10室)を所有し不動産貸付業を営んでいた。

同人は,相続税対策の一環として,当該アパートを次のとおり譲渡したが,

その1年後に事故で亡くなった。なお,その譲渡後も各アパートは,

引き続き賃借人に貸し付けられている。

(1) 被相続人甲の相続人である長男にアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

使用貸借により長男に貸し付けていた。なお,長男は,被相続人と生計を一にしていた者であるが,

当該アパートを譲り受けるまで不動産の貸付けは営んでいなかった。

(2) 同族会社Xにアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

相当の地代によりX社に貸し付けていた。

小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等の範囲からは,

被相続人等の不動産貸付の用に供されていた宅地等で,相続開始前3年以内に新たに貸し付けられた宅地等は

除かれていますが,このアパートの敷地の用に供されていた宅地等について

小規模宅地等の特例の適用は認められるでしょうか。

質問(1)の回答

(1) 長男に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

貸付事業用宅地等の範囲からは 措置法69条の4 第3項4号に規定する

「新たに貸付事業の用に供された」宅地等は除かれており,

その判定は,貸付事業用宅地等の要件が貸付事業の主体

(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(以下「生計を一にしていた親族」といいます。)

ごとに定められていることからすると,

被相続人又は生計を一にしていた親族のそれぞれの利用状況により行うことが相当と考えます。

したがって,アパートの譲渡により貸付事業の主体が被相続人甲から長男に変更されていますから,

この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当し,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は貸付事業用宅地等に該当しないと考えます。

質問(2)の回答

(2) X社に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

被相続人の貸付事業は,譲渡前は建物の貸付けであったものが,

譲渡後は土地の貸付けに変更されていますが,

引き続き同人の貸付事業であることに変わりはありません。

したがって,この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当しないことから,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等については

一定の要件を満たす限り貸付事業用宅地等に該当し,

小規模宅地等の特例の適用が認められると考えます。

2021.08.12

家族信託の基本的なお問い合わせ

家族信託について基本的なお問い合わせが増えています

今回は、その中からよくある質問のいくつかをご紹介します

[質問1]

最近「家族信託」という言葉をよく聞きます。「家族信託」とは何のための制度でしょうか。

[回答]

 一言でいうと、ご高齢の方が認知症や脳卒中を発症した際に生じる

「財産の凍結」を防止する制度です。

[質問2]

 認知症や脳卒中になると「財産の凍結」が起こるとのことですが

イメージが湧きません。具体的な事例も含めて教えてください。

[回答]

例えば、ご高齢のA様がご自宅で一人暮らしをしているとします。

A様は介護でお子様に迷惑をかけたくないという想いがあり

タイミングを見て自宅を売却して

そのお金で介護施設に入所したいと考えていらっしゃいます。

仮に自宅を売却して介護施設に入所するタイミングが来たときに

A様が認知症や脳卒中を発症してしまい

自分の意思を伝えることができない状態になってしまうと

A様の希望のとおりご自宅を売却することは難しくなってしまいます。

認知症や脳卒中の発症により自分の意思を伝えることができなくなったときは

法律上その方に契約能力は認められなくなるからです。(民法第3条の2)

[質問3]

なるほど。「財産の凍結」が起こり親御さんの財産が動かせなくなってしまうと

介護費用を親御さんの財産から捻出できなくなり、子供に経済的な負担がかかってしまって

大変そうですね。

家族信託で、その「財産の凍結」が防止できるということですが、どういうことですか?

[回答]

はい、「財産の凍結」が起こると困るので、親御さんがお元気な間に

ご家族と信託契約という契約を結びます。信託契約を一言でいうと

「財産の管理をお願いする契約」です。この信託契約により

管理をお願いしたい財産が、親御さんからご家族へ移ります。

親御さんが財産をお持ちのまま、認知症や脳卒中を発症してしまうと

「財産の凍結」が起こるので、事前に家族に財産を移してしまおうという発想です。

信託契約により財産がご家族に移るので、その後親御さんが認知症を発症してしまったとしても

財産の管理を託されたご家族の元で財産を動かすことができるため

「財産の凍結」が起こらないという制度です。

2021.08.08

相続開始後に必要な手続き

[相談]

先日、主人が亡くなりました。葬儀は終えましたが

他にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

私たちは年金生活をしており、子は2人いますが

独立しています。住まいは持ち家で、その他若干の預金があります。

[回答]

 一般的に以下のような手続きが必要になります。

① 住所地の市区町村役場での手続
死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内/戸籍法第86条1項)

健康保険被保険者証・障がい者手帳・印鑑登録手帳等の返納、葬祭費の請求

健康保険料や介護保険料等の精算を行います

(但し、その場で現金を収めたり、受け取ることはありません)。

② 年金事務所での手続
受給していた年金の種類によっても異なりますが

基本的にはご主人が受給していた年金を止める手続と

未支給の年金をもらう手続などを行います。

あなたが遺族年金をもらう手続きも行った方が良い場合があるため

併せて確認するとよいでしょう。

③ 公共料金の引き落とし口座の変更
ご主人の銀行口座は今後相続手続きを行って解約していく必要があるため

現在ご主人名義の銀行口座から公共料金(電話、水道、電気、ガスなど)

を引き落としている場合は、口座を変更する必要があります。

変更には数ヶ月かかる場合もありますが、その前に口座が凍結されてしまった場合は

ご自宅に払込用紙が届くと思いますので、そちらで支払いが可能です。

④ 生命保険会社への保険金請求
ご主人や受取人の方の戸籍・住民票などの原本の提出が

必要な場合があります。

請求する生命保険会社に確認の上、役所手続の際に戸籍を

必要通数分取得されることをお勧めします。

上記の他

⑤火災保険・地震保険の名義変更、⑥自動車の名義変更

⑦自動車保険の名義変更、⑧携帯電話の解約、⑨クレジットカードの解約

⑩土地建物の名義変更、⑪農地法・森林法の届出、⑫預貯金の解約又は名義変更

⑬準確定申告、⑭相続税申告 などが必要な場合もあります。

上記は一般的に必要な手続であり、ご家族の状況・財産の内容・遺言の有無などによって

必要な手続は異なります。「相続手続」というと

遺産分割などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが

遺産分割を行う前の事務手続もさまざまです。

ご不安があれば、遠慮なくお問い合わせください

2021.04.23

相続分割がまとまらない場合、相続税の申告や納税への影響はありますか? 教えてください

相談内容

 父が亡くなって3ヶ月が経ちました。父の遺産について相続人間で意見が分かれ

すぐの分割は見込めそうにありません。このまま分割をしなかったとき

相続税の申告や納税にどのような影響がありますか?

回答

 相続税の申告及び納税には期限が定められており、遺産分割がまとまらなくても

それを理由に期限を延長することはできません。

また、遺産分割協議により取得者が決まっていなければ

相続税の軽減の特例や納税の特例を適用することはできません。

この点にもご注意ください。

[詳細解説]

1.相続税の申告・納付期限

 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)から10ヶ月以内です

また、申告期限=納期限ですので、相続税の納付も10ヶ月以内にしなければなりません。

災害その他やむを得ない事情があり、10ヶ月以内に申告及び納税ができない場合で

税務署長が許可したときは、その期限を延長することができますが

「遺産分割協議が調わない」という理由は、災害その他やむを得ない事情に該当せず

申告期限は延長できません。

 したがって、いくら遺産分割協議が調っていなくても、10ヶ月の期限内に

相続税の申告書の提出及び相続税の納税を行わなければなりません。

 この場合、遺産分割協議が調っていないことにより、

各相続人が民法に規定する法定相続分で財産を相続したものとして

相続税の申告及び納税を行うこととなります。

 申告期限においてお父様の遺産を一銭も相続していなくても

ご自分の法定相続分に相当する財産に対する相続税は納めなければなりません。

そして、その相続税を期限までに納められない場合には、国から「延滞税」という利息を請求されます。

2.遺産分割協議が調わないと受けられない特例

相続税法においては、税の軽減の特例や納税の特例がいくつか設けられています。

いずれの特例も遺産分割協議においてその取得者が決まっていない場合には

適用を受けることができません。

 つまり、遺産分割協議の不調は、納期限までの納税資金準備を困難にするだけでなく

特例を受けることができないため、納付税額も多額になります。まさに悪循環です。

 遺産分割協議には法的な期限はありませんが、相続税が課税される可能性のある方は

10ヶ月という期限を意識して手続きを進めましょう。

 将来の相続時に遺産分割協議が調わないと予想される場合には

遺言書を作成しておくことにより、このような事態を避けることができます。

遺されるご家族のために、生前からできる対策を講じておくことも大切でしょう。

参考:取得者が決まっている場合のみ適用を受けることができる特例の一部

① 配偶者の税額軽減
 配偶者が相続した財産のうち、配偶者の法定相続分又は1億6千万円とのいずれか

 多い金額まで相続税が減額されます。

② 小規模宅地の評価減
 被相続人の事業用及び居住用の宅地等を、一定の要件を満たした相続人が相続した場合には

 一定の面積を限度としてその宅地等の評価額が50%又は80%減額されます。

③ 物納
 相続税の納付につき金銭で納付することが困難で、延納でも困難である場合

 不動産等の財産で納付することができます。

 ただし遺産分割が調っていない財産については、管理処分が適当でない財産となり、認められません。

2021.02.07

遺産分割がまとまらない場合、相続税の申告や納税への影響は?

相談

父が亡くなって3ヶ月が経ちました。父の遺産について相続人間で意見が分かれ

すぐの分割は見込めそうにありません。

このまま分割をしなかったとき、相続税の申告や納税にどのような影響がありますか?

回答

相続税の申告及び納税には期限が定められており、遺産分割がまとまらなくても

それを理由に期限を延長することはできません。

また、遺産分割協議により取得者が決まっていなければ

相続税の軽減の特例や納税の特例を適用することはできません。

この点にもご注意ください。

詳細解説-1

1.相続税の申告・納付期限

 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)から10ヶ月以内です。

また、申告期限=納期限ですので、相続税の納付も10ヶ月以内にしなければなりません。

災害その他やむを得ない事情があり、10ヶ月以内に申告及び納税ができない場合で

税務署長が許可したときは、その期限を延長することができますが

「遺産分割協議が調わない」という理由は、災害その他やむを得ない事情に該当せず

申告期限は延長できません。

したがって、いくら遺産分割協議が調っていなくても、10ヶ月の期限内に

相続税の申告書の提出及び相続税の納税を行わなければなりません。

 この場合、遺産分割協議が調っていないことにより

各相続人が民法に規定する法定相続分で財産を相続したものとして

相続税の申告及び納税を行うこととなります。

 申告期限においてお父様の遺産を一銭も相続していなくても

ご自分の法定相続分に相当する財産に対する相続税は納めなければなりません。

そして、その相続税を期限までに納められない場合には

国から「延滞税」という利息を請求されます。

詳細解説-2

2.遺産分割協議が調わないと受けられない特例

 相続税法においては、税の軽減の特例や納税の特例がいくつか設けられています。

いずれの特例も遺産分割協議においてその取得者が決まっていない場合には、適用を受けることができません。

 つまり、遺産分割協議の不調は、納期限までの納税資金準備を困難にするだけでなく

特例を受けることができないため、納付税額も多額になります。まさに悪循環です。

 遺産分割協議には法的な期限はありませんが、相続税が課税される可能性のある方は

10ヶ月という期限を意識して手続きを進めましょう。

 将来の相続時に遺産分割協議が調わないと予想される場合には、遺言書を作成しておくことにより

このような事態を避けることができます。遺されるご家族のために

生前からできる対策を講じておくことも大切でしょう。

参考:取得者が決まっている場合のみ適用を受けることができる特例の一部

① 配偶者の税額軽減
 配偶者が相続した財産のうち、配偶者の法定相続分又は1億6千万円

 とのいずれか多い金額まで相続税が減額されます。

② 小規模宅地の評価減
 被相続人の事業用及び居住用の宅地等を、一定の要件を満たした相続人が相続した場合には

 一定の面積を限度としてその宅地等の評価額が50%又は80%減額されます。

③ 物納
 相続税の納付につき金銭で納付することが困難で、延納でも困難である場合

 不動産等の財産で納付することができます。ただし遺産分割が調っていない財産については

 管理処分が適当でない財産となり、認められません。

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