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2021.10.15

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

未分割の相続財産から生ずる不動産所得

所得税の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

よりピックアップしてご紹介します。

誤った取扱い

未分割の相続財産から生ずる不動産所得について

法定相続分で申告したが、後日

法定相続分と異なる遺産分割が行われた場合は

相続時に遡及して是正しなければならないとした。

正しい取扱い

未分割の相続財産(不動産)から生ずる収入は

遺産とは別個のものであって、法定相続人各人がその相続分に応じて

分割単独債権として確定的に取得するものであるから

その帰属につき、事後の遺産分割の影響を受けることはない

(最高裁平17.9.8判決)。

なお、遺産分割確定日以後の不動産収入については

その遺産分割による相続分により申告することとなる。

出典:大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」

2021.10.09

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できますか?

[相談]

私は現在、住宅ローン控除の適用を受けています。

諸般の事情により、住宅ローン控除の適用を受けているその住宅(自宅)を

今年(2021年)中に売却し、同じく今年中に新しく住宅(自宅)を

購入することを検討しています。

現在の自宅の売却については売却益が出る見込みのため

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を

受けたいと考えています。

同時に、新たに購入する自宅について住宅ローン控除の適用も受けたいと

考えているのですが、その併用は可能でしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例と

住宅ローン控除の併用はできません。

[解説]

1.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の概要

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例とは

正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

具体的には、個人が所有する居住用財産(マイホーム)を売却した場合において

その売却による利益(譲渡所得)から最高で3,000万円を控除できるという所得税法上の制度です。

なお、上記の「最高で3,000万円を控除できる」という部分について

売却したマイホームの所有期間の長短は影響を及ぼしません。

2.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための要件

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための主な要件は

下記のとおりです。

  1. ①自分が住んでいる住宅等の売却であること
  2. ②過去に自分が住んでいた住宅等を売却した場合には
  3.  その住宅等に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること
  4. ③その年の前年又は前々年においてマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の適用を受けていないこと

3.住宅ローン控除制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等をし

令和3年12月31日までにそのマイホームに実際に住んだ場合で一定の要件を満たすときにおいて

その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を

マイホームに実際に住んだ年分以後の一定の各年分の所得税額から控除するという所得税法上の制度です。

ただし、この制度は、そのマイホームに実際に住んだ年とその前年、前々年に

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受けている場合には

適用しないことと定められています。

また、そのマイホームに実際に住んだ年の翌年以後3年以内の各年において

住んでいた住宅等を売却し、上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の

適用を受ける場合にも適用しないと定められています。

つまり、マイホームに実際に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間については

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できないということです。

したがって、今回のご相談の場合についても、同じ年(2021年)において住宅ローン控除と

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の併用はできないこととなります。

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2021.10.01

配偶者居住権の相続税評価

[相談]

2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権は相続税が課税されると聞きました。

具体的にどのように評価するのでしょうか?

[回答]

相続税を計算する上での配偶者居住権は、居住建物の所有権部分の

「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を算出し

それを現在価値に割り戻し計算します。

その後、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を

控除した金額により評価します。

[詳細解説]

1.配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

配偶者は、遺産分割協議や遺言(相続又は遺贈、以下、相続等)によって

配偶者居住権を取得することができます。

2.配偶者居住権の評価の考え方

国税庁から公表されている「「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」

について(情報)」によれば、配偶者居住権の評価の考え方として

以下の記述があります。

 

居住建物の所有者は、配偶者居住権存続期間終了時に居住建物を自由に使用収益することが
できる状態に復帰することとなります。この点に着目し、配偶者居住権の価額は、居住建物の所有
権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り
戻し、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額により評価します。
具体的には、
① 配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を減価償却に類する方法を用いて計算する
② ①で計算した配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を法定利率による複利現
価率を用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)
③ 居住建物の時価から②で求めた価額を控除して配偶者居住権の価額を求めようとするものです。

 

また、イメージ図は以下のとおりです。

 

 

2021.09.25

住宅取得等資金贈与の非課税の期限に留意してください

現行税制は本年末までの贈与・契約締結が必要です

令和3年度改正で住宅取得等資金贈与の非課税措置について

床面積要件の緩和や非課税限度額引上げ等の見直しは行われましたが

同制度の延長は行われませんでした。

適用期限は令和3年末とされていますが、令和3年8月末公表の令和4年度税制改正要望では

国土交通省から同制度について所要の措置を講じる要望が行われています

R3改正では床面積要件の緩和等

この制度は、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に

合計所得金額が2,000万円以下の20歳以上の受贈者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に

一定額までが非課税となるという内容です。

令和3年度改正で、令和3年1月1日以後の贈与について合計所得金額1,000万円以下

の場合に床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和され

同年4月以降の非課税限度額の引上げ等の見直しが行われました。

現行では、令和3年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受け

かつ、その資金の全額を充てて住宅の新築・取得又は増改築等に係る契約を

締結していることが要件の一つとなります。

なお、贈与と契約締結の順番は問いません。

新築等は贈与の翌年3月15日までに

贈与及び契約締結時期に係る要件のほか、住宅の新築等は贈与年の翌年3月15日までに

行わなければなりません。

住宅の新築の場合は、同日において新築工事が完了している(いわゆる棟上げまで完了している場合を含む)こと

取得の場合には同日までにその引渡しを受けていることが必要となります

原則贈与の翌年3月15日までに入居

住宅への入居期限は原則として贈与年の翌年3月15日までとされていますが

同日後遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合には

居住の予定時期等を記載した書類等を申告時に添付することで同制度の適用が認められます。

ただし、贈与年の翌年12月31日までに居住していない場合は

適用を受けられなくなるため修正申告が必要となります。

これら期限の要件等を満たし同制度の適用を受ける場合は

贈与税の申告期限内(贈与年の翌年2月1日から3月15日まで)に

住宅の新築に係る工事の請負契約書や

取得に係る売買契約書の写しなど一定の書類を添付して申告を行うこととなります

 

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2021.09.18

建物の固定資産税評価額が下がらない?

(質問)評価替えの年なのに、建物の固定資産税評価額が下がらないのはなぜでしょうか?

令和3 年度は、固定資産税評価額の評価替えの年度ですが

建物(鉄筋コンクリート造の賃貸マンション)の固定資産税評価額が下がっていません。

建物は経年により価値が減少していくのに

なぜ固定資産税評価額が同額なのでしょうか︖

(回答)

通常であれば、経年劣化等により固定資産税評価額が減少すべき建物ですが

令和3 年度については、物価上昇を背景に建物の固定資産税評価額が

据置きとなったものと考えられます。

建物の固定資産税評価額の算定方法

建物の固定資産税評価額は、屋根・外壁・内壁・天井・床・基礎・建具・設備などにつき

それぞれに使用されている材料の種類や数量を把握し

国が定めた固定資産評価基準に基づいて算出されています

 

算式(従来分の家屋に係る固定資産税評価額)
基準年度の前年度の再建築価格 × 再建築費評点補正率 × 経年減点補正率

⇒再建築価格
再度その場所にその建物を建てるとした場合に必要とされる建築費

⇒再建築費評点補正率
基準年度と前回の基準年度との間に発⽣した物価変動の補正率

⇒経年減点補正率
建築後の年数の経過によって⽣ずる建物の傷み具合による価値の減少を
率で表したもの(初年度は1 年間経過したものとします)

据置きとなるケース

算定の結果、固定資産税評価額が前年度の額を下回った時は

建物の固定資産税評価額は引下げとなります(ケース①)。

一方、固定資産税評価額が前年度の額を上回った場合

算式では建物の固定資産税評価額は引上げとなりますが

措置が講じられて据置きとなります(ケース②)。

建築資材の高騰及び人手不足等による人件費の高騰により

近年、同等建物の建築物価は上昇しています。

おそらく令和3 年度は、措置により据置きになっているものと推測されます。

なお、令和2 年1 月2 日から令和3 年1 月1 日までの間に

増改築や一部取壊し、そのほか特別な事情があった場合は

新たに評価をし直している点にもご留意ください。

今後も現在の状況が続きますと

令和6 年度の建物の価格も据置きとなる可能性があります。

建物の収益力を高め、建物の実質的な価値を高めることを常に心掛けることが必要でしょう。

2021.09.10

配偶者居住権と相続税

[相談]

 2020年4月1日より、主人が亡くなってもマイホームに住み続ける権利

(いわゆる「配偶者居住権」)を相続できると聞いています。

この配偶者居住権は相続税が課税されるのでしょうか?

[回答]

配偶者居住権は、その配偶者居住権に付随する敷地利用権とともに

相続税の課税対象です。

[詳細解説]

1.配偶者居住権とは

 配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

配偶者は、遺産分割協議や遺言(相続又は遺贈、以下、相続等)によって

配偶者居住権を取得することができます。

2.配偶者居住権と相続税

(1)配偶者居住権と敷地利用権

 配偶者居住権は建物に住む権利ですが、その配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

(2)税務上の取扱い

 配偶者居住権も敷地利用権も相続税の課税対象となります。

それぞれ定められた一定の評価方法により算定をして、相続財産として加算します。

なお、敷地利用権については、他の宅地と同様、「小規模宅地等の特例」の適用が可能です。

 配偶者居住権は、民法改正により創設され、2020年4月1日に施行されたものです。

開始してまだ1年半も経っていませんが

遺産分割における選択肢の一つとして必ず検討すべき権利といえるでしょう。

<参考>
 国税庁「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例(令和2年7月)」

2021.09.03

貸付事業用宅地等の範囲から除かれる相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等

質問

被相続人甲は,10年前から2棟のアパート(各棟10室)を所有し不動産貸付業を営んでいた。

同人は,相続税対策の一環として,当該アパートを次のとおり譲渡したが,

その1年後に事故で亡くなった。なお,その譲渡後も各アパートは,

引き続き賃借人に貸し付けられている。

(1) 被相続人甲の相続人である長男にアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

使用貸借により長男に貸し付けていた。なお,長男は,被相続人と生計を一にしていた者であるが,

当該アパートを譲り受けるまで不動産の貸付けは営んでいなかった。

(2) 同族会社Xにアパート1棟を譲渡し,当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は,

相当の地代によりX社に貸し付けていた。

小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等の範囲からは,

被相続人等の不動産貸付の用に供されていた宅地等で,相続開始前3年以内に新たに貸し付けられた宅地等は

除かれていますが,このアパートの敷地の用に供されていた宅地等について

小規模宅地等の特例の適用は認められるでしょうか。

質問(1)の回答

(1) 長男に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

貸付事業用宅地等の範囲からは 措置法69条の4 第3項4号に規定する

「新たに貸付事業の用に供された」宅地等は除かれており,

その判定は,貸付事業用宅地等の要件が貸付事業の主体

(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(以下「生計を一にしていた親族」といいます。)

ごとに定められていることからすると,

被相続人又は生計を一にしていた親族のそれぞれの利用状況により行うことが相当と考えます。

したがって,アパートの譲渡により貸付事業の主体が被相続人甲から長男に変更されていますから,

この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当し,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等は貸付事業用宅地等に該当しないと考えます。

質問(2)の回答

(2) X社に譲渡されたアパートの敷地の用に供されていた宅地等

被相続人の貸付事業は,譲渡前は建物の貸付けであったものが,

譲渡後は土地の貸付けに変更されていますが,

引き続き同人の貸付事業であることに変わりはありません。

したがって,この場合は「新たに貸付事業の用に供された」場合に該当しないことから,

当該アパートの敷地の用に供されていた宅地等については

一定の要件を満たす限り貸付事業用宅地等に該当し,

小規模宅地等の特例の適用が認められると考えます。

2021.08.28

相続で不動産を取得したときに生ずる税金

[相談]

不動産を取得すると、不動産取得税や登録免許税がかかりますが

相続が原因の取得であってもこれらの税金はかかるのでしょうか。

[回答]

相続により不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりませんが

登録免許税はかかります。

[詳細解説]

1.不動産取得税

不動産取得税は、不動産の取得に対して課されるものです

しかし、たとえば次の原因によって不動産を取得した場合には

不動産取得税は課されません。

  1. ・相続によるもの
  2. ・包括遺贈(民法964条)によるもの
  3. ・被相続人から相続人に対してなされた遺贈によるもの
  4. したがって、相続が原因の不動産取得である場合に、不動産取得税はかからない、という判断になります。

 

2.登録免許税

 登録免許税は、不動産の登記に対して課されるものです。

相続で不動産を取得した場合には、相続によりその不動産の所有権が移転されたことになるため

登記されている名義人を変える登記(所有権移転の登記、通称「相続登記」といわれています)

を行います。この相続登記時に、登録免許税を納めます。

登録免許税は、課税標準に税率を乗じて計算します。

(1)課税標準
課税標準は、相続により取得した不動産に固定資産税評価額がある場合にはその評価額

ない場合には登記所が認定した価額となりますが

いずれの価額についても1,000円未満の端数は切捨てます。

(2)税率
相続登記の場合の税率は、売買などの登記に比べて税率が優遇されています。

 土地の代表的な登記理由による登録免許税の税率を、以下にまとめました。

・売買 ⇒ 2%(令和5年(2023年)3月31日までは1.5%)

・相続 ⇒ 0.4%

例.固定資産税評価額が2,000万円の土地を相続で取得し、その相続登記を行う場合

2,000万円 × 0.4% = 8万円

 

なお、相続登記が未了のまま放置されるケースが社会問題として表面化しており

相続登記の義務化が令和3年(2021年)4月21日に成立し

同月28日に公布(3年以内の施行)された他、相続登記を促進する措置として

以下の免税措置があります。

この適用期限は、令和3年度税制改正により1年延長され

令和4年(2022年)3月31日までとなっています。

  1. ・相続により土地を取得した個人が登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
  2. ・少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置
2021.08.21

相続人に配偶者と障害者がいる場合

[相談]

我が家には、身体に重度の障害(身体障害者1級)を持った長女(52歳)がいます。

先日、夫が亡くなったのですが、長女の将来を考え、長女には夫の遺産の大部分を

相続させてやりたいと考えています。それについては、他の兄弟も納得してくれています。

しかし、相続税の負担もなるべく減らしたいと考えています。

そのためには、配偶者である私が法定相続分又は1億6,000万円までを相続し

配偶者の税額軽減の特例を最大限受けるのが一番よい選択なのでしょうか?

[回答]

配偶者の税額軽減の特例だけにこだわらなくても

障害者控除により全体の納付税額のご負担が軽減される可能性もあります。

ご長女様の将来もよく考えながら、様々なご検討をなさることをお勧めします。

[詳細解説]

配偶者の税額軽減の特例とは、被相続人の配偶者について一定の金額まで

相続税が発生しないという特例制度です。これは残された配偶者の生活保障のため

という背景がありますが、相続税の計算においては各相続人の個別事情等に配慮して

この配偶者の税額軽減の特例以外にも

算出相続税額から控除できる税額控除がいくつか設けられています

その税額控除の中の1つに、「障害者控除」という制度があります。

これは、社会的弱者である障害者が相続により財産を取得した場合には

算出相続税額から一定額を差し引くという制度です。

では、障害者控除の適用要件や控除金額などを、具体的にみてみましょう。

1.障害者控除を受けられる相続人

次の要件すべてに当てはまる人は、障害者控除の適用を受けることができます。

  1. 相続等で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一定の人を除く)
  2. 相続等で財産を取得したときに障害者である人
  3. 相続等で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、なかったものとした場合の相続人)であること
  4. 2.控除額

    1. 一般障害者  10万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)*
    2. 特別障害者  20万円 ×(85歳-相続開始時の年齢)*
    1. * 85歳に達するまでの年数で、1年未満の期間があるときは、1年切り上げて1年として計算
    2. * 過去に他者からの相続において、障害者控除の適用を受けている場合には、控除額が制限されます。

3.障害者の区分

  1. 一般障害者
    身体障害者手帳の等級:3級~6級
    精神障害者福祉健康手帳の等級:2級、3級
  2. 特別障害者
    身体障害者手帳の等級:1級、2級
    精神障害者福祉健康手帳の等級:1級

4.留意点

(1)障害者控除額が引ききれない場合
障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が

引ききれない場合には、その引ききれない部分の金額を

その障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

この場合の扶養義務者とは、配偶者、直系血族(父母や子、孫)及び兄弟姉妹などをいいます。

なお、この扶養義務者は「同居」や「生計一」である必要はありません。

扶養義務者が2人以上ある場合の、それぞれの控除額は扶養義務者間での

協議により自由に配分することができます。

(2)その他
障害者控除は、その障害者が何も財産を相続していない場合には

控除することができません。また、この場合には他の扶養義務者

である相続人からも控除することはできません。

 

2021.08.12

家族信託の基本的なお問い合わせ

家族信託について基本的なお問い合わせが増えています

今回は、その中からよくある質問のいくつかをご紹介します

[質問1]

最近「家族信託」という言葉をよく聞きます。「家族信託」とは何のための制度でしょうか。

[回答]

 一言でいうと、ご高齢の方が認知症や脳卒中を発症した際に生じる

「財産の凍結」を防止する制度です。

[質問2]

 認知症や脳卒中になると「財産の凍結」が起こるとのことですが

イメージが湧きません。具体的な事例も含めて教えてください。

[回答]

例えば、ご高齢のA様がご自宅で一人暮らしをしているとします。

A様は介護でお子様に迷惑をかけたくないという想いがあり

タイミングを見て自宅を売却して

そのお金で介護施設に入所したいと考えていらっしゃいます。

仮に自宅を売却して介護施設に入所するタイミングが来たときに

A様が認知症や脳卒中を発症してしまい

自分の意思を伝えることができない状態になってしまうと

A様の希望のとおりご自宅を売却することは難しくなってしまいます。

認知症や脳卒中の発症により自分の意思を伝えることができなくなったときは

法律上その方に契約能力は認められなくなるからです。(民法第3条の2)

[質問3]

なるほど。「財産の凍結」が起こり親御さんの財産が動かせなくなってしまうと

介護費用を親御さんの財産から捻出できなくなり、子供に経済的な負担がかかってしまって

大変そうですね。

家族信託で、その「財産の凍結」が防止できるということですが、どういうことですか?

[回答]

はい、「財産の凍結」が起こると困るので、親御さんがお元気な間に

ご家族と信託契約という契約を結びます。信託契約を一言でいうと

「財産の管理をお願いする契約」です。この信託契約により

管理をお願いしたい財産が、親御さんからご家族へ移ります。

親御さんが財産をお持ちのまま、認知症や脳卒中を発症してしまうと

「財産の凍結」が起こるので、事前に家族に財産を移してしまおうという発想です。

信託契約により財産がご家族に移るので、その後親御さんが認知症を発症してしまったとしても

財産の管理を託されたご家族の元で財産を動かすことができるため

「財産の凍結」が起こらないという制度です。

2021.08.08

相続開始後に必要な手続き

[相談]

先日、主人が亡くなりました。葬儀は終えましたが

他にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

私たちは年金生活をしており、子は2人いますが

独立しています。住まいは持ち家で、その他若干の預金があります。

[回答]

 一般的に以下のような手続きが必要になります。

① 住所地の市区町村役場での手続
死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内/戸籍法第86条1項)

健康保険被保険者証・障がい者手帳・印鑑登録手帳等の返納、葬祭費の請求

健康保険料や介護保険料等の精算を行います

(但し、その場で現金を収めたり、受け取ることはありません)。

② 年金事務所での手続
受給していた年金の種類によっても異なりますが

基本的にはご主人が受給していた年金を止める手続と

未支給の年金をもらう手続などを行います。

あなたが遺族年金をもらう手続きも行った方が良い場合があるため

併せて確認するとよいでしょう。

③ 公共料金の引き落とし口座の変更
ご主人の銀行口座は今後相続手続きを行って解約していく必要があるため

現在ご主人名義の銀行口座から公共料金(電話、水道、電気、ガスなど)

を引き落としている場合は、口座を変更する必要があります。

変更には数ヶ月かかる場合もありますが、その前に口座が凍結されてしまった場合は

ご自宅に払込用紙が届くと思いますので、そちらで支払いが可能です。

④ 生命保険会社への保険金請求
ご主人や受取人の方の戸籍・住民票などの原本の提出が

必要な場合があります。

請求する生命保険会社に確認の上、役所手続の際に戸籍を

必要通数分取得されることをお勧めします。

上記の他

⑤火災保険・地震保険の名義変更、⑥自動車の名義変更

⑦自動車保険の名義変更、⑧携帯電話の解約、⑨クレジットカードの解約

⑩土地建物の名義変更、⑪農地法・森林法の届出、⑫預貯金の解約又は名義変更

⑬準確定申告、⑭相続税申告 などが必要な場合もあります。

上記は一般的に必要な手続であり、ご家族の状況・財産の内容・遺言の有無などによって

必要な手続は異なります。「相続手続」というと

遺産分割などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが

遺産分割を行う前の事務手続もさまざまです。

ご不安があれば、遠慮なくお問い合わせください

2021.07.30

満期を過ぎた外貨建て保険と相続

[相談]

外貨建て養老保険に加入していた夫が、今年1月に満期を迎えた保険金の

請求手続きを行うことなく、4月に亡くなりました。

保険証券を確認したところ、死亡保険金の受取人は配偶者である私と長男

5割ずつ指定されています。外貨で受け取ることができる旨の記載もあるので

私も長男も外貨受け取りを希望しています。

満期が過ぎている契約ですが、死亡保険金として請求をするのでしょうか。
 また、税金はかかりますか?
 なお、相続人は、私(配偶者)、長男、次男の3人です。

  【外貨建て養老保険の契約内容】

  1. 保険種類:米ドル建て養老保険
  2. 契約期間:10年
  3. 契約者(保険料負担者):夫
  4. 被保険者:夫
  5. 満期保険金受取人:夫
  6. 死亡保険金受取人:配偶者・長男 各5割
  7. 死亡、満期保険金:200,000米ドル
  8. 全期前納保険料:175,000米ドル

[回答]

ご相談の契約は、ご主人がお亡くなりになる前に満期が到来しているため

保険会社への請求手続きは死亡保険金ではなく、未請求であった満期保険金となります。

この満期保険金は、ご主人の所得として所得税の課税対象となる他、ご主人の相続財産に加算します。

また、所得税が課税されることにより納付すべき所得税が発生した場合は

相続税の計算上、ご主人の債務として遺産総額から控除できます。

なお、申告上、外貨建ての財産は円建てに換算する必要があります。

換算する際の為替レートは決められており

各々適用される為替レートは詳細解説にてご確認ください。

 

1.死後に行う満期保険金の請求手続き

保険金の請求手続きが被保険者の死亡後であっても

被保険者が死亡する前に満期を迎えていれば、死亡保険金としては扱われず

満期保険金としての請求手続きとなります。

この満期保険金の課税の取扱いは、以下のとおりです。

(1)所得税
ご相談の満期保険金は、満期が到来した年分のご主人の一時所得として

所得税の課税対象となります。実務上は、ご主人に代わり相続人が準確定申告を行い

納付すべき所得税が生じた場合には納付することとなります。

(2)相続税
相続税の計算上、ご相談の満期保険金は、相続人共有の財産(未収入金)として

相続財産に加算します。死亡保険金ではないため、保険金の非課税制度

(500万円×法定相続人の数)を適用することはできません。

また、(1)により所得税を納付することとなった場合には

その所得税は相続税の計算上、債務として遺産総額から控除できます。

 

2.外貨で受け取るときの為替レート

外貨建て保険を外貨で受け取る場合、税金を計算する上では

円換算する必要があります。この際に適用される為替レートは、次のとおりです。

【所得税の評価】

  1. 全期前納保険料:原則として払込日(保険会社受領日)のTTM(※)
  2. 満期保険金:原則として支払事由発生日(満期日)のTTM(※)

【相続税の評価】

  1. 未請求であった満期保険金相当額:原則として支払事由発生日(死亡日)のTTB(※)
  1. (※)TTS…対顧客直物電信売相場、TTB…対顧客直物電信買相場、TTM…TTSとTTMの仲値

請求すべき手続きの放置期間が長くなるほど

証拠書類が探し出せずに手続きが煩雑になりがちです。

他に手続きが放置されているものがないか、確認をしましょう。

 

 

 

2021.07.22

配偶者の税額軽減と留意点

[相談]

 父が他界しました。相続人は母と私たち兄弟2人の合計3人です。

 配偶者が相続した財産については相続税がかからない、と聞いたことがあります。

 父の遺産は約1億円ですが、1億円すべてを母が相続する場合には

 相続税は払わなくてもよいですか?

 また、今回母がすべて相続し相続税を払わなくてもよいのなら

 とても有利に思えるのですが、問題はありませんか?

[回答]

 「配偶者の税額軽減」を適用することで、お父様の相続に関してお母様に相続税はかかりません。

 主な留意点として、適用するには相続税の申告を行うこと

 遺産分割していないと適用できないこと、

 次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れることが考えられます。

1.配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者は相続しても、一定の金額まで相続税がかかりません。

このことを「配偶者の税額軽減」といいます。

【配偶者の税額軽減】
配偶者が相続や遺贈により取得した財産のうち、次のうちいずれか多い金額まで、配偶者に相続税はかかりません。
1. 1億6,000万円
2. 配偶者の法定相続分相当額

 

2.留意点

この「配偶者の税額軽減」を適用する場合に留意すべき点は、主に次の3つが挙げられます。

(1)適用するには相続税の申告を行うこと
(2)遺産分割をしていないと適用できないこと
(3)次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れること

(1)適用するには相続税の申告を行うこと

 「配偶者の税額軽減」を適用するには、相続税の申告書を提出しなければなりません。

 仮に最終的な相続税の納付額が「0」円になっても、申告書の提出は必要です。

 また、申告書の提出時には一定の書類の添付が必要となりますので、ご注意ください。

(2)遺産分割をしていないと適用できないこと

 「配偶者の税額軽減」は、実際に取得した財産を基に計算することとなっているため

 (1)の申告を行う際に未分割の部分については、「配偶者の税額軽減」の適用はできません。

 この場合に、相続税の申告書等に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で

 その申告期限から3年以内に遺産分割をしたときは、更正の請求の手続きを経ることで

 その遺産分割により配偶者が取得した財産について「配偶者の税額軽減」を適用することができます。

(3)次のお母様の相続時の相続税負担を考慮に入れること

 配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活保障のため

 配偶者が相続した財産のうち一定額まで相続税を課税しない

 という趣旨の制度です。また一方で、同一世代間での財産の移転であるため

 近いうちにもう一度相続税を課税する機会がある、という側面もあります。

 そのため、次のお母様の相続(いわゆる「二次相続」)時の相続税まで考えて

 お父様の相続(いわゆる「一次相続」)を考える必要があります。

 一次相続での配偶者の相続割合を決定する場合には

 目の前にある税負担を軽減させることにとらわれがちですが

 将来の二次相続を見据えた税負担まで考えることで

 財産の承継にかかる税負担を最小限に抑えることが可能です。

 配偶者の年齢、健康状態、今後の生活基盤、相続対策に対する考え方など

 様々な角度からの検討が重要でしょう。

2021.07.15

コロナ禍における相続税の実地調査の状況

コロナ禍における相続税の実地調査の状況

2020 年12 月に国税庁と各国税局(沖縄は国税事務所、以下、局)から

令和元事務年度(2019 年7 月~2021 年6 月、以下、元年度)の相続税調査等

の状況に関する資料が発表されました。

局別の相続税の実地調査件数などを紹介します

非違割合は80%以上に

元年度の実地調査件数は全国で10,635 件と

前年度から14.7%減少しました。他方、実地調査件数

に占める申告漏れ等の非違があった件数の割合(以下、非違割合)

は、全国で85.3%と、前年度から0.4 ポイントの減少です。

局別の実地調査件数と非違割合は下記グラフのとおりです。

実地調査件数は、すべての局で前年度より減少し、特に仙台と

名古屋、大阪では20%以上の減少です。新型コロナウイルスの

影響があるものと思われます。

また、非違割合は沖縄と高松が高く、ともに90%を超えました。

特に沖縄は30 年度の85.3%から10 ポイント以上増えています。

実地調査件数自体は減少しましたが、非違割合は全国的に大きな

減少はありません。相続税の申告等で心配ごとがある方は

お気軽に当事務所にご相談ください。

2021.07.09

事業用資産の買換特例(面積制限5倍)

事例

甲市の自社ビル(土地40㎡と建物)を売却して、乙市で土地を800㎡取得しました

800㎡の土地の内訳は

X氏から取得した600㎡(10万円/㎡)

Y氏から取得した200㎡(20万円/㎡)

です。この場合、買換特例の適用対象となる土地とその価額はいくらですか

結論

X氏から取得した土地のうち150㎡(1500万円)

Y氏から取得した土地50㎡(1000万円)が買換資産となります

解説

買換え特例の適用に当たって、買換えにより取得した土地の面積が

譲渡した土地の面積の5倍を超える場合には、5倍を超える面積については

適用対象外となります

また、買換資産に該当する土地等を2以上取得してその合計面積が

制限面積を超える場合には以下の通りとなる

 

甲市の土地・・・40㎡

X氏から取得した土地・・・600㎡×10万円=6000万円・・・A

Y氏から取得した土地・・・200㎡×20万円=4000万円・・・B

以上のような場合の買換資産の取得価額の合計金額は

(A+B)×40㎡×5倍/(X氏600㎡+Y氏200㎡)=2500万円

その場合、X氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×X氏600㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=150㎡

150㎡×10万円=1500万円

さらに、Y氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×Y氏200㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=50㎡

50㎡×20万円=1000万円

2021.07.02

事業用資産の買換特例の手続き(翌年買換えと先行取得)

質問

特定の事業用資産の買換えの特例を受ける場合の手続きについて教えてください

回答

・所得税確定申告書の「特例適用条文」欄に「措置法第37条」と記入する

・確定申告書に次の書類を添付する

  •  ①譲渡所得計算明細書
  •  ②登記事項証明書など買換資産の取得を証する書類
  •  ③譲渡資産や買換資産が特定の地域内にある旨等の市町村等の証明書

(この証明書は必要が無い場合もある)

翌年買換の場合

資産を譲渡した譲渡した日の属する年の翌年中に買換資産を取得する見込みであり

かつ、 その取得の日から1年以内に事業の用に供する見込みの場合は

確定申告書に買換え予定資産の取得価額の見積額等を記載した書類を添付しなければならない

なお、このような場合は、上記②の書類は買換資産の取得後4カ月以内に提出しなければならない

先行取得の場合

譲渡した年の前年以前に取得した資産を買換資産としてこの特例の適用を受けるためには

取得した年の翌年3月15日までに『先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書』

を提出しなければりません

2021.06.27

事業用資産の買換特例の事例紹介2(面積制限300㎡)

設例

親世代が、相続税対策で収益物件を所有しているケースがある場合

相続した子世代は、収益物件を相続したとしても

その収益物件をそのまま所有し続けるよりも

買換える事例が多くあります

この度、買換取得を検討している物件の中に、1棟建てビルの2階部分

(及びその部分に対応する敷地)があります。

このビル全体の敷地は1000㎡ほどあります。

このビルは買替資産としての土地の面積要件は満たしていますか?

結論

共有の土地を買換取得資産とする場合は、

土地の総面積に共有持分を乗じた後の面積で300㎡以上

となるか否かを判定することになる

解説

この事例の場合、ビルの敷地の総面積が1000㎡であるため

共有持分割合が30%以上であれば面積要件である

300㎡以上を満たすこととなる。

その他の要件を満たしていれば、事業用資産の買換特例

を適用することができる。

 

なお、買換資産とする土地等については

上記300㎡以上という要件の他に

譲渡した土地等の面積の5倍以内といった

面積制限も規定されている

2021.06.20

事業用資産の買換特例の事例紹介1(使用貸借中の土地建物の買換え)

事例紹介1

ABから無償で借りた土地の貸店舗用建物を建築して賃貸しています

この度、このA所有の貸店舗とB所有の底地を一括して譲渡しました。

譲渡代金でA,Bそれぞれが事業用の土地建物を取得する予定です。

この場合、A,Bそれぞれが事業用sh試案の買換え特例を適用できますか?

結論

A,Bが生計を一にする親族であれば、A,Bともに事業用資産の買換え特例を適用できます。

ただしAが買換資産とできるのは新たに取得した土地建物のうち建物部分だけとなります。

また、Bは新たに取得する土地建物のいずれも買換資産と扱うことができますが

取得した土地について5倍の面積制限が適用されます

論点整理

論点整理①使用貸借している土地が、事業用資産に該当するのか

論点整理②A,Bそれぞれが取得する土地建物は買換資産に該当するのか

論点1

Aの所有する建物が、譲渡する日の属する年の11日において

所有期間が10年を超えていれば建物については問題は無い。

しかし、Bが所有する敷地について使用貸借で貸し付けられているので

それが事業用といえるかどうかについて疑問が残る。

その点について、譲渡資産が所有者と生計を一にする親族の事業の用に供されている場合

については、譲渡資産は所有者にとっても事業の用に供されているものと取り扱うこととされている。

論点2

論買換資産として土地を取得する場合、譲渡資産の土地の面積の5倍を超える場合

その超える部分の面積に対応する部分は買換資産に該当しないとされています

そのため

Aの取得した土地はすべて特例適用の対象外。

B取得の土地は面積制限の範囲内で特例が適用できます

 

 

2021.06.13

賃貸マンションの相続税評価額を巡る裁判

東京高等裁判所で、評価額を巡る裁判で国が勝訴

相続税の申告書に計上していた賃貸マンションの評価額を巡って

相続人と国が争っていた裁判で、東京高等裁判所は国税庁長官の指示による

評価を認め、控訴人である相続人の控訴を棄却しました(2021年4月27日)

事実の概要

被相続人(父)は生前に相続税の圧縮効果を検討していて、平成25年6月に

銀行から15億円を借入て高級賃貸マンションを取得した。

父親の相続開始後に、相続人(長男)はこの賃貸マンションを財産評価基本通達に

基づき4億8000万円で評価したうえで相続税の申告を行った

 

しかし、国はこの申告に関して本件不動産の評価額は10億4000万円(鑑定評価額)

であるとして、相続税の更正処分を行ったところ争いとなった

相続人の主張

〈相続人の主張①〉
本件更正処分は,国民の租税に対する予測可能性を著しく失わせる不当なもの。

租税法律主義の趣旨に反し行政庁の裁量の範囲を著しく逸脱するものである。

〈相続人の主張②〉
評価通達の定めによる評価額と実際の取引価格との間に乖離がある例は多数存在し

乖離の存在は一般的な現象である

〈相続人の主張③〉
相続に際し、節税対策をとることは当然であり被相続人が節税目的で本件不動産を購入したとしても

そのことが「特別の事情」を基礎づけるものではない。

被相続人が本件不動産を購入したのは不動産賃貸業の一環であり相続税対策のためではない。

東京高等裁判所の判断

上記①②③の主張に対して東京高等裁判所は以下のように判断しました

〈東京高裁の判断①〉
租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな場合についてまで

評価通達の定めにより評価すべきものではない、そのような場合について評価通達の定めによらないで

個別に財産を評価したとしても租税法律主義に違反するということはできない。

被相続人は,相続税を減少させる目的で本件不動産を相続開始時の直前に15億円で購入しているのであるから

評価通達の定めによる評価額と現実の取引価格との間に著しい乖離があることは十分認識していたというべきであり

現実の取引価格によって課税されることについて予測可能性がなかったということはできない。

〈東京高裁の判断②〉
本件不動産の通達評価額は、鑑定評価額の2分の1にも達しておらず、金額にして5億円以上も少ないから

その乖離の程度は著しいといわざるを得ない。

このような著しい乖離の存在が一般的であると認めることはできない。

〈東京高裁の判断③〉
被相続人が相続税の圧縮を認識し、これを期待して15億円を借り入れ本件不動産を購入したことは

租税負担の実質的な公平という観点から見た場合、通達評価額によらないことが相当と認められる

「特別の事情」を基礎づける事実に当たるというべきである。

被相続人らは,銀行の担当者と相続税の負担軽減の方法について相談し

その方策として、本件不動産を購入することになった経緯を踏まえると

本件不動産の購入が相続税対策のためであったことは明らかである。

まとめ

本件では

①通達評価額と鑑定評価額との間に著しいかい離が生じていること

②相続税の負担減少を認識・期待して本件不動産が購入されたことから

評価通達の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することができないなど

租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかであるといえるような「特別の事情」がある

と判断したようです

その結果本件不動産の時価は、鑑定評価額に基づく10億4,000万円となると判断しました

 

本件は現在、敗訴した相続人から最高裁に上告及び上告受理の申立てが行われています。

最高裁の判決が楽しみです

 

 

2021.06.05

低解約返戻保険契約に関する税制改正(予定)

低解約返戻保険契約・・・って?

低解約返戻保険契約とは、契約者法人・被保険者役員という保険契約で

一定の期間経過後に、契約者を法人から役員に名義変更するタイプの

生命保険です。

このタイプの生命保険の多くは、解約返戻金評価額の低いタイミングで

名義変更を行うことによって、法人税と所得税のダブルでメリットがあります

今回の改正(予定)

法人が役員に生命保険契約等に関する権利を支給(法人から役員に契約の名義を変更)した場合

『一定の低解約返戻金型保険等』  はその権利の評価方法が見直される予定です。

保険契約の権利の評価額が、現在は名義変更時の「解約返戻金の額」ですが

今回の改正では、名義変更時の「資産計上額」に変更される予定です

これによって、法人税・所得税ともに節税メリットがなくなることになります

この改正案は、令和元年7月8日以後に締結した契約で,令和3年7月1日以後に

名義変更したものに適用される予定です。

今回の改正(予定)の相続税に与える影響

低解約返戻金型保険等の契約の権利の評価は

所得税では名義変更時の「解約返戻金の額」から「資産計上額」に見直される予定です。

一方、相続税では,生命保険契約に関する権利の評価は相続時の「解約返戻金の額」

のまま見直しはされない見込みです。

非上場株式の評価に与える影響

生命保険契約に関する権利が相続された場合だけでなく

非上場会社の株式を純資産価額方式等で評価する際に

その会社が同権利を有している場合も「解約返戻金の額」で評価し

それが非上場株式の評価額を構成することになります。

贈与税は・・・

なお,生命保険契約の権利を“贈与”(贈与者から受贈者に名義変更)した場合

それだけでは贈与税は課されません。

受贈者が保険契約を解約し解約返戻金を取得した際に

その解約返戻金相当額を贈与で取得したものとみなして

贈与税が課されます。

ですから、今回の改正は贈与税には影響しません

2021.05.27

国税庁の全国の富裕層への対応と『出国税』

全国の国税局等には,いわゆる超富裕層を対象に特別な管理体制を敷く重点管理富裕層プロジェクトチーム(PT)

が置かれています。

さらに,東京,大阪,名古屋,関東信越国税局管内では,特定の税務署で「上位富裕層」

を対象に特別な管理体制が敷かれています。

上位富裕層への管理体制を整備しています

国税当局では昨今,富裕層PTを全国税局等に置くなど,調査必要度の高い富裕層への取組に力が

入れられています。富裕層PTでは,「重点管理富裕層」という富裕層の中でも特に高位にいる者を

管理対象としていますが,重点管理富裕層とまではいかないクラスの富裕層についても

富裕層PTと同様に特別な管理体制を敷くべきと考えられています。

そこで試行的に,富裕層PTの対象となる重点管理富裕層を除き

一定の基準で抽出した者を「上位富裕層」と位置付け,特定の税務署において上位富裕層に対する

「専担者(税務署の所得税等担当の特別国税調査官のうち国税局が指定した者)」が配置されています

上位富裕層は,“9つある抽出基準”のいずれかに該当する者から重点管理富裕層を除いた者をいいます

詳細は不明ですが,一定の保有見込資産額などがその基準として想定されています

専任担当者の役割

上位富裕層に対する専担者は,上位富裕層,その関係個人や関係法人(上位富裕層グループ)の抽出を担います

そして,上位富裕層グループに係る資料情報の集積と分析,調査企画及び情報提供

調査企画事案の調査実施担当部署への引継ぎを行っています

また,決定した上位富裕層グループに係る上位富裕層名簿を作成し,国税局に提出します

収集した資料情報などを基に課税上の問題点を分析検討し,区分をして

その区分に応じた対応を図ることになります。

集積すべき資料情報として例えば,所得税申告書等,国外送金等調書,国外財産調書

財産債務調書,自動的情報交換資料(CRS情報含む),国外証券移管等調書

資産の所有等に関する資料,その他部内資料,マスコミ情報,インターネット情報などが挙げられます

体制のイメージ

富裕層の分類と富裕層への対応のイメージ図は下記のとおりです

出国税

このような税務当局の動きに対応して

海外への移住を考える方もいらっしゃいますが

いわゆる『出国税』への対応も事前に検討する必要が

あります

出国税に関するFAQは国税庁の下記URLをご覧ください

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kokugai/pdf/02.pdf

 

2021.05.19

結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置について国税庁がFAQを改訂しました

制度の概要

この制度は、父母・祖父母等の直系尊属が結婚・子育て資金を信託等の方法によって

一括して拠出した場合に、子・孫等の受贈者ごとに1,000万円までの贈与について

贈与税が非課税となる制度です

令和3年度改正により改正が行われたうえで、適用期限が令和5年3月31日まで延長されました。

令和3年改正

令和3年の主な改正内容は以下の通りです

① 贈与者死亡時の孫等への贈与に係る管理残額の一定部分について相続税額の2割加算を適用

② 受贈者の年齢要件を「20歳以上50歳未満」から「18歳以上50歳未満」に改正

③ 非課税申告書等の電子提出が可能に改正

④ 結婚・子育て資金の範囲に一定の認可外保育施設へ支払う保育料を追加

2割加算の設例を追加しています

今回公表されたFAQによりますと、上記①の贈与者死亡時の管理残額

(死亡日における非課税拠出額から結婚・子育てに支出した額を控除した一定の残高)

について、拠出時期に応じた課税関係を比較した表や

拠出時期により相続税額の2割加算の対象とならない部分の金額の計算方法を示した設例が追加されました

 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201504/pdf/04.pdf

上記URLの設例4-4を参照してください

認可外保育施設への支払いについて

④の認可外保育施設への支払いについては、

内閣府HPで公開されているFAQに記載があります

https://www8.cao.go.jp/shoushi/budget/pdf/zouyozei/qa.pdf

上記URLの設例4-9-2を参照してください

 

 

 

2021.05.13

固定資産税精算金がある場合の、空き家に係る3,000万円特別控除適用への留意点

ご相談

 私は昨年(令和2年)1月に父を亡くし、その父から家屋とその敷地(亡くなった父の居住用家屋とその敷地)

を同年中に相続しています。諸般の事情により、今年(令和3年)の12月頃をめどにその家屋と敷地を売却する予定なのですが

その家屋と敷地の売却(譲渡)に関して、所得税法上の被相続人の居住用財産(空き家)に係る

譲渡所得の特別控除の特例(空き家に係る3,000万円の特別控除)の適用を受けることは可能でしょうか。

なお、その家屋と敷地の売却予定額は計9,950万円で、別途、固定資産税精算金60万円を買主から受け取る予定です。

回答

ご相談の場合、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることはできません。

解説1.被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の概要

所得税法上、相続又は遺贈により被相続人の居住用家屋(※1)及び被相続人居住用家屋の敷地等(※2)

の取得をした相続人が、令和5年12月31日までの間に、その相続又は遺贈により取得をした被相続人居住用家屋

の譲渡など一定の譲渡をした場合には、原則として、その譲渡所得の金額から最高で3,000万円を控除することが

できると定められています。この制度を、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

(空き家に係る3,000万円の特別控除)といいます。

  1. ※1 昭和56年5月31日以前に建築されたことなどの一定の要件を満たすものに限ります。
  2. ※2 相続の開始の直前において、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利をいいます。

解説2.固定資産税精算金がある場合の注意点

 所得税法上、家屋や敷地の売却(譲渡)代金とは別に固定資産税精算金の支払を受ける場合には

その金額は譲渡所得の収入金額に算入することとされています。また、上記1.の被相続人の居住用財産

(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例は、その売却(譲渡)代金の合計額が1億円を超える

こととなるときは、適用しないと定められています。

このため、今回のご相談の場合、家屋と敷地の売却代金と固定資産税精算金との合計額が1億円を超える

(1億10万円)ことから、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

(空き家に係る3,000万円の特別控除)の適用は受けられないこととなります。

 

2021.05.08

課税時期に近い直後期末に退職金の支給が予定されていた場合の株価算定

事例

被相続人Aが100%株式を所有するX社は業績が悪化したため

2021年3月末までに希望退職者を募り、退職金1億円を

支払う予定にしていました。しかし、その直前の2021年2月に

A氏の相続が開始しました。この場合、X社の株価の算定に当たって

予定されていた退職金を計上することはできるのでしょうか?

解説

純資産価額方式により株価を算定する場合課税時期における仮決算を行い

各資産及び各負債の相続税評価額及び帳簿価額を基として評価するのが

原則です

 

しかし、一般的には課税時期に仮決算を行っていません

その場合は、直前期末から課税時期までの間に資産及び負債について

著しく増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときに限り

課税時期における各資産及び各負債の金額は、直前期末の

各資産及び各負債の金額を対象として評価しても差支えない

とされています

 

また、課税時期が直後期末に近く、課税時期から直後期末までの間に

資産及び負債の金額について著しく増減がないと認められる場合には

資産及び負債について経理操作を行っているなど課税上弊害がある場合を

除き、直後期末の各資産及び負債の金額を課税時期における各資産及び

各負債の金額とみて評価額を計算して差し支えありません

回答

今回の事例の場合、課税時期と直後期末が非常に近いので

以下の要件が満たされる必要があります

・課税時期から直後期末までに資産負債について著しく変動がないこと

・経理操作を行うなど課税上弊害がある場合ではないこと

・仮決算を行っていないこと

 

そのうえで、早期退職の退職金の取扱いですが

課税時期ではあくまでも見込金額にとどまります

そのため、退職金の見込み額を計上したうえで

直後期末の資産負債の金額から純資産価額方式で

株価を算定することはできません

2021.05.02

国税庁が預貯金等の紹介業務のデジタル化を全国展開します

2021年10月から実施するようです

国税庁は本年10月より,金融機関等と連携し,調査対象者に係る「預貯金等の照会・回答業務」

のデジタル化を全国展開する予定です。

現在,紙ベースで行われている同業務について,国税当局は昨秋,

一部の国税局・税務署と金融機関との間で,オンラインを活用した実証実験を実施しました。

実証実験の結果,金融機関からの回答受領期間が,

書面照会と比べて短縮されるなどの効果があり

同業務の“デジタル化”を加速させることにきまりました。

600万件の預貯金情報を書面で照会

「預貯金等の照会・回答業務」は,税務調査等の際に

行政機関と金融機関との間で行われており,内閣官房の集計によると

年間の照会件数は約6,000万件にも及びます。

このうち国税関係が約600万件と,国の行政機関としては最も多く

全体の約1割を占めている状況です

同業務は,全て紙ベースの人手作業で行われているため

金融機関側では,照会文書に基づく契約者の特定のほか

回答書類の作成・発送などといった業務負担が生じているのが現状です

国税当局側でも,照会文書の作成・発送や回答書類の開封

保管等の事務に時間を要しているようです

オンライン照会で回答日数が短縮

国税当局は,同業務の“デジタル化”に向け,昨年10月19日から12月18日までの2か月間

実証実験として,金融機関4行と一部の国税局・税務署との間でオンライン照会・回答を実施しました

①デジタル化による業務効率化効果及び費用対効果

②デジタル化に対応した事務フローの環境テスト等を検証した。

実証実験期間中,金融機関に対して2,601件(延べ10,097人)のオンライン照会を実施し

金融機関から4営業日以内に90%以上の回答が得られたようです。

また,同期間中の書面照会の平均回答日数11.3日に比べ

オンライン照会の平均回答日数は2.5日に短縮される結果となるなど

国税当局と金融機関の双方にとって業務の効率化に繋がったようです

入力作業等の業務効率化が期待

国税庁は,実証実験の結果,書面照会に比べて回答受領期間が短縮されたとともに

書面で受領したデータの入力作業がなくなったことによる業務効率化の効果が期待されることを踏まえ

本年10月より,全国でオンライン照会(対象金融機関は順次拡大)を導入することを予定しているようです

なお,オンラインによる照会・回答は,株式会社NTTデータが提供する

預貯金等照会業務のデジタル化サービス「pipitLINQ」を介して実施する予定のようです(令和3年度)。

デジタル化に取り組む金融機関側の早期の投資決定を促進する観点から

全ての国税局・税務署での導入を想定しており,今後,所要の準備に着手するようです

2021.04.23

相続分割がまとまらない場合、相続税の申告や納税への影響はありますか? 教えてください

相談内容

 父が亡くなって3ヶ月が経ちました。父の遺産について相続人間で意見が分かれ

すぐの分割は見込めそうにありません。このまま分割をしなかったとき

相続税の申告や納税にどのような影響がありますか?

回答

 相続税の申告及び納税には期限が定められており、遺産分割がまとまらなくても

それを理由に期限を延長することはできません。

また、遺産分割協議により取得者が決まっていなければ

相続税の軽減の特例や納税の特例を適用することはできません。

この点にもご注意ください。

[詳細解説]

1.相続税の申告・納付期限

 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)から10ヶ月以内です

また、申告期限=納期限ですので、相続税の納付も10ヶ月以内にしなければなりません。

災害その他やむを得ない事情があり、10ヶ月以内に申告及び納税ができない場合で

税務署長が許可したときは、その期限を延長することができますが

「遺産分割協議が調わない」という理由は、災害その他やむを得ない事情に該当せず

申告期限は延長できません。

 したがって、いくら遺産分割協議が調っていなくても、10ヶ月の期限内に

相続税の申告書の提出及び相続税の納税を行わなければなりません。

 この場合、遺産分割協議が調っていないことにより、

各相続人が民法に規定する法定相続分で財産を相続したものとして

相続税の申告及び納税を行うこととなります。

 申告期限においてお父様の遺産を一銭も相続していなくても

ご自分の法定相続分に相当する財産に対する相続税は納めなければなりません。

そして、その相続税を期限までに納められない場合には、国から「延滞税」という利息を請求されます。

2.遺産分割協議が調わないと受けられない特例

相続税法においては、税の軽減の特例や納税の特例がいくつか設けられています。

いずれの特例も遺産分割協議においてその取得者が決まっていない場合には

適用を受けることができません。

 つまり、遺産分割協議の不調は、納期限までの納税資金準備を困難にするだけでなく

特例を受けることができないため、納付税額も多額になります。まさに悪循環です。

 遺産分割協議には法的な期限はありませんが、相続税が課税される可能性のある方は

10ヶ月という期限を意識して手続きを進めましょう。

 将来の相続時に遺産分割協議が調わないと予想される場合には

遺言書を作成しておくことにより、このような事態を避けることができます。

遺されるご家族のために、生前からできる対策を講じておくことも大切でしょう。

参考:取得者が決まっている場合のみ適用を受けることができる特例の一部

① 配偶者の税額軽減
 配偶者が相続した財産のうち、配偶者の法定相続分又は1億6千万円とのいずれか

 多い金額まで相続税が減額されます。

② 小規模宅地の評価減
 被相続人の事業用及び居住用の宅地等を、一定の要件を満たした相続人が相続した場合には

 一定の面積を限度としてその宅地等の評価額が50%又は80%減額されます。

③ 物納
 相続税の納付につき金銭で納付することが困難で、延納でも困難である場合

 不動産等の財産で納付することができます。

 ただし遺産分割が調っていない財産については、管理処分が適当でない財産となり、認められません。

2021.04.11

相続時精算課税の申告状況

相続税対策のひとつとして利用される相続時精算課税。

年間にどのくらいの人が申告しているか、ご存じですか。

ここでは国税庁発表の資料(※1)から、

相続時精算課税の申告状況をみていきます。

【1】相続時精算課税の概要

相続時精算課税は、贈与時に、贈与財産に対する贈与税を納め、

その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを

合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、

贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です(※2)。

 

原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、

財産を贈与した場合において選択でき、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、

一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。(※3)。

相続時精算課税は、2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となり

それを超える金額には一律で20%の税率で課税されます。

暦年贈与に比べて一度にたくさんの贈与ができるメリットがあります。

【2】年間の申告人員は減少傾向に

上記資料から、直近10年間の相続時精算課税の申告状況をまとめると、下グラフのとおりです。
申告人員は2013年の5.2万人をピークに減少傾向にあります。

申告納税額がある方は毎年3~4千人で推移していますが、申告納税額がない方の減少が顕著です。
申告納税額は年によってばらつきがありますが、2016年以降は280億円以上の年が続いており、

それ以前に比べて高い状態にあります。

  1. (※1)国税庁「令和元年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」PDF
    2020年(令和2年)6月に発表された資料です。
  2. 申告人員は2019年(令和元年)分が2020年4月末まで、
  3. それ以前は各年分、翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。
  4. (※2)国税庁タックスアンサー
    相続税「No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務
  5. (※3)国税庁タックスアンサー
    相続税「No.4103 相続時精算課税の選択
2021.03.27

借地権の設定範囲が不明瞭な土地の相続

[相談]

一筆の土地の一部に借地権が設定されている土地を相続しました。

引継いだ借地権設定契約書には借地面積の記載はありましたが、

具体的な範囲等は特定されていませんでした。

この借地権設定契約書は平成元年に締結されたものです。
今後、どのように対処すればよいのでしょうか?

[回答]

 借地人との間で、一筆の土地のどの部分に借地権が設定されているか

確認及び特定する必要があります。

また、土地の図面等に借地権設定の範囲を具体的に明示した上で

覚書等の書面を取り交わすことをお勧めします。

1.土地の一部を賃貸した場合

  「一筆の土地」とは「土地登記簿上の一個の土地」をいい、

「借地権」とは「建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる権利」をいいます。

 一筆の土地全部を賃貸してそこに借地人の建物が建てられる場合は、

当該土地そのものが借地権設定の範囲となるため、

特段の問題は生じません。

しかし、ご相談のような一筆の土地の一部を賃貸した場合は、

当該土地のどの部分に借地権が設定されているのかを特定する必要があります。

2.借地権設定範囲の特定

借地権設定範囲の特定は、建築当時の建物図面や設計図書等の資料で確認したり、

客観的に建物の利用に必要な範囲を考慮したりした上で現況の利用状況も鑑みて

判断することになります。

 その他に、建物と一体と考えられるような庭や附属建物等の敷地も

借地権設定の範囲として考慮する必要があります。

また、上記の内容に加え、建ぺい率等の建築基準法の規制を考慮して算出した面積と

当該契約書上の借地面積とで相違があれば、それらも勘案し判断する必要があります。

 借地面積の相違が生じた場合には、借地人が支払う地代等にも影響しかねないため、

借地人との間で諸条件を明確にし、かつ、借地権設定範囲を具体的に明示した

土地の図面等を添付の上で、覚書等の書面を取り交わすことをお勧めします。

3.借地権設定範囲が特定できた後の注意点

借地権設定範囲が特定できた後に注意すべき項目としては、

借地権設定契約が平成4年8月1日より前に締結された契約か否かを確認する必要があります。

なぜなら、平成4年8月1日より前に締結された契約か否かで、

借地契約の当初の存続期間・更新後の存続期間について適用される法律が異なり

ルールに違いが生じるためです。

4.ご相談のケース

ご相談の案件は、借地権設定契約日が平成元年とのことですので、

借地法(旧借地法)が適用されることになります。

 旧借地法では、堅固建物(鉄筋・鉄骨コンクリート造、石造等)か

非堅固建物(木造等)かによって借地契約の当初存続期間及び更新後の存続期間が異なります。

仮に借地期間を定めなかった場合、堅固建物の当初の存続期間が60年であるのに対し、

非堅固建物は30年となります。

また、更新後の存続期間についても堅固建物の存続期間が30年であるのに対し、

非堅固建物は20年となります。

 建物が堅固な建物か非堅固な建物かは、借地権設定契約書に定められていますが、

建物の種類・構造等の定めがないときは、一般的に非堅固な建物所有の借地契約と

みなされます。

 一方、現行の借地借家法は、旧借地法と異なり借地上の建物が堅固な建物か否か

によって区別したルールは定められていません。

同様に借地期間を定めなかった場合、借地契約の当初の存続期間は30年で、

更新後の存続期間は20年となります(次以降の更新後の存続期間は10年)。

 上記以外の他に、建物が朽廃・滅失した場合や更新の拒絶に関して

対応が異なるため注意が必要となります。

 旧借地法及び借地借家法ともに借主を保護するための法律であることは共通しますが、

旧借地法の方が借主側に有利な内容項目が多いため、今回の見直しを機に借地人に対して、

借地借家法に則った契約への変更を打診されるのもよいと考えられます。

また、将来、借地権が設定されている土地(底地)を第三者へ売却することが想定される場合には、

土地家屋調査士等の専門家に相談の上、借地権の範囲に符合するよう境界標等を設け分筆し、

別個独立した土地に分けておくことも有用な対処法となります。

 

2021.03.19

相続した収益物件の立退料

相続した収益物件を譲渡する場合の立退料の取扱い

この度、収益物件を相続しましたが

老朽化が進んでいる為、更地にして譲渡することにしました

その為、収益物件の入居者に立退料を支払った後で

建物を取り壊します。

この場合の立退料は、譲渡所得の計算上どのように扱われますか

その取扱いは以下のように場合によって異なります

建物を賃貸している場合に、借家人に立ち退いてもらうため、立退料を支払うことがあります。

このような立退料の取扱いは次のようになります。

  1. 1 賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料は、
  2.   譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除されます。
  3. 2 上記1に該当しない立退料で、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、
  4.   不動産所得の金額の計算上必要経費になります。
  5. 3 土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料は
  6.   土地、建物等の取得費又は取得価額になります。
  7. 4 敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は
  8.   通常、借地権の買い戻しの対価となりますので土地の取得費になります。

(所基通33-7、37-23、38-11)

 

立退料のすべてが一律に必要経費になるとは限りません

確定申告の際には、ご注意ください

2021.03.13

自筆証書遺言の法務局の保管制度について

相談

新しく自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度があると聞きました。

どのように利用するのでしょうか。

回答

 令和2年7月10日施行予定の「法務局における遺言書の保管等に関する法律」により

自筆証書遺言の保管を法務局へ申請をできる制度が始まりました。

 こちらの制度を利用することにより、自宅で保管しているときに起こるかもしれない

紛失、改ざんや隠ぺいのリスクをなくすことができます。

 また、遺言者の死亡後、自筆証書遺言を相続人が発見すると家庭裁判所で

検認の手続きをしなければなりませんが、今回の保管制度を利用しますと

検認の手続きは不要となります(11条)。

遺言書保管の流れ

 今回の制度で、保管の対象となる遺言は自筆証書遺言(民法968条)です。

従来は封をして保管しておくことが必要でしたが、法務局で保管される遺言は

封がしていないものになります(4条)。

 保管の申請の流れは

  1. 自筆証書遺言の作成。
  2. 保管をする法務局へ出向き、申請をする(4条、5条)です。
  3. (保管申請の手数料は1件3,900円)

 保管申請をするときは、どこの法務局でもよいというわけではありません。

申請者(遺言者)の住所地か本籍地か所有する不動産の所在地のいずれかを

管轄する法務局へのみ申請が可能となります。

また、申請をする際には必ずご予約の上

出向いていただく必要がございますのでご注意ください。

申請に当たっての注意点

申請の際に注意していただきたいことは

自筆証書遺言の内容について法務局は相談にのることはできないという点です。

内容に不備があるとせっかくの遺言が使用できず

意味の無いものとなってしまいます。

内容に不安のある場合にはお近くの専門家へご相談ください。

また、保管申請や閲覧等には手数料がかかります。

詳しくは法務省のホームページをご覧ください。

法務省
法務局における自筆証書遺言書保管制度について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

2021.03.06

立替えた葬儀費用と相続税

Question

父が亡くなった際に、子である私が喪主を務めました。

参列者から香典も頂きましたが、葬儀社やお寺への支払い

香典返しなどに結構お金がかかり、私が立て替えています。

これらの支払った費用は、父の相続財産から返してもらえるのでしょうか?

また、相続税を計算するとき、相続財産から控除してもらうことはできますか?
なお、私は日本国籍を有しており、かつ、日本国内に住所があります。

Answer

喪主が立て替えた葬儀費用については、遺産分割協議を通じて香典や相続財産から精算する
のが一般的です。
また相続税の計算上、一定の相続人等については、一定の範囲内で相続財産から控除するこ
とができます。

解説:葬儀費用の立替えと精算

葬儀には、「前もって準備万端」ということは、まずありません。

段取りや費用のことなど、悲しむ間もなくどんどん進めなくてはならないのが通例です。

そのような中にあっては、多額の支払いが発生し、喪主の方がそれを立て替え払いする

というのは、よくあることといえます。
実際には、その後の遺産分割協議において、香典の精算などを行うことになるでしょう。

相続人全員で相続財産の配分を決めるとともに、葬儀費用の負担割合を決定し、精算を行います。

香典で精算できなかった部分は、遺産分割協議が調い、相続財産を配分する段階で精算し

返してもらうという手続きが一般的です。

相続税を計算するうえでの取り扱い

相続税を計算する上での取扱いとしては、葬儀費用を負担した一定の相続人

(包括受遺者を含む)は、その人の取得した相続財産から控除することが認められています。
ただし、控除できる費用と控除できない費用がありますのでご注意ください。

具体的にみていきましょう。

葬儀は、宗教や地域の慣習により、その様式や所要期間など、実にさまざまです。

また、故人の生前の社会的地位によっても、必要となる費用は異なってくると想定されます。
あくまでも上記の表は、どこまでを葬儀費用と認めるかという範囲を示したものに過ぎません。

葬儀費用の控除にあたっては、支払いの名称だけでなく、地域や故人の地位などを
勘案した上で、葬儀に必要な費用といえるかどうかを、支払い内容にも着目しながらのご
判断いただくことが必要となります。

 

葬儀費用の負担者すべてが控除できるわけではなく、前述のとおり、『一定の相続人(包
括受遺者を含む)』に限定されています。
今回のご相談のケースでは、ご相談者が葬儀費用の負担者となった場合に、相続により
財産を取得している『日本国籍を有しており、かつ、日本国内に住所がある』相続人として、
上記の表の「控除できる費用」に該当する部分について、控除することができます。
葬儀費用の取扱いや『一定の相続人(包括受遺者を含む)』の範囲等について、詳細をお
知りになりたい方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

2021.02.27

老朽化した賃貸マンションは相続しても大丈夫???

ケーススタディー

私が所有している賃貸マンションは、私の親が相続対策として建築し

私が引き継いだものです。
最寄りの駅から徒歩5 分と⽴地は良いのですが、築45 年が経過しており

周辺の賃貸マンションに⽐べ⾒劣りします。そのため近年は

周辺の賃貸マンションに⽐べ賃料を低くすることで、貸室の稼働率を上げてきました。
⼦供からは「管理ができないので相続発⽣前に売却してほしい」といわれていますが

売却すると⼦供が負担する相続税が増えるのではないかと悩んでいます。

賃貸マンションの相続税評価額

賃貸マンションのおおよその相続税評価額は、路線価(又は評価倍率)

と固定資産税評価額で算出できます。路線価や評価倍率は、毎年、国税庁から公表されています。また、固定資産税評
価額は、毎年、固定資産税の納税者に届く納税書類に記載されています。
ここでは路線価が付されている土地を前提に、計算式や計算例を確認していきましょう。

なお、分かりやすくするため、土地の価額を計算するにあたり補正率等は一切考慮していません。

≪計算式≫

⼟地の価額︓(路線価×⼟地の⾯積)×(1-借地権割合×借家権割合)
建物の価額︓建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合)
※ 借家権割合は30%
※ 路線価及び借地権割合については、国税庁のホームページでご確認ください。

≪計算例≫
前提条件 ⼟地の⾯積︓500 ㎡
接道する道路の路線価︓300,000 円/㎡
建物の固定資産税評価額︓50,000,000 円
借地権割合︓50%
借家権割合︓30%

① ⼟地の価額
(300,000 円×500 ㎡)×(1-50%×30%)=127,500,000 円
② 建物の価額
50,000,000 円×(1-30%)=35,000,000 円
賃貸マンションの相続税評価額︓①+②=162,500,000 円

賃貸マンションの市場価格

相続税評価額に対し、賃貸マンションのような収益不動産の市場価格は、

収益還元法で計算することがベースになります。

収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すと期待される収益(収入)

をベースとして収益不動産の市場価格を求める手法のことですが

今回は、表面利回り(収入÷投資家の期待利回り)を利用して計算します。

≪計算式≫
賃貸マンションの年収÷投資家の期待利回り
※ 投資家の期待利回りは、物件の所在や築年数等に影響されます。

不動産の専門家にご相談ください。

≪計算例≫
前提条件 賃貸マンションの年収︓12,000,000 円
投資家の期待利回り︓10%
賃貸マンションの市場価格︓12,000,000 円÷10%=120,000,000 円

結論

上記例では、賃貸マンションの市場価格(120,000,000 円)より、賃貸マンションの相続税評
価額(162,500,000 円)の方が高くなります。そのため、相続発生前に賃貸マンションを売却し
た方が、支払う相続税の負担は少なくて済みます。
ただし、実際に比較検討する際は、譲渡所得に関する税金やその他諸費用についても考慮する
必要があります。ご注意ください。

新築時には相続対策として効果のあった賃貸マンションも、築年数の経
過とともに、賃料収入が減少していくことが原因で、相続税評価額が市場
価格を上回ることがあります。特に、駐車場の敷地を広くとっているな
ど、土地の面積に比べ建物を小さくした場合などは、このような現象が起
きやすいと思います。
所有されている賃貸マンションについて、将来の相続に不安のある方
は、当事務所までお気軽にご相談くださ

2021.02.21

生命保険金で贈与税が課税される場合があります(要注意)

贈与税の対象となる生命保険金があります

生命保険金を受け取った場合に

相続税が課税されますか?というお問い合わせはありますが

贈与税が課税されますか?というお問い合わせはほとんどありません

ということは、相続税の申告実務でもそういう保険契約は

見落としやすいということです

どんな場合に贈与税が・・・

例えば・・・

保険契約者⇒母親

被保険者⇒長男

保険金受取人⇒母親

という保険契約では、長男は保険料を一切負担していません

しかし、この保険契約を遺して母親が死亡した場合

長男は、生命保険金を受け取ることができます

この時受取った保険金は、贈与税の課税対象となります

税務署からの問い合わせ

このような保険金の支払いについては

保険会社から国税庁に、支払った事実について

書類で通知しています

そのため、『贈与税の申告をしてください』っていう

お知らせのお葉書がご自宅に届きます

そういう場合は、是非私の事務所に

お問い合わせください

 

 

2021.01.02

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社で契約していた生命保険と弔慰金の税金

会社と本人それぞれが保険料を負担していた生命保険に係る死亡保険金や、会社から支給され
る弔慰金について、相続税ではどのように取り扱われるのかをみていきましょう。

お客様からの質問・・・

夫が亡くなり、勤務先で夫が加入していた生命保険について、手続きの案内が届きました。
会社が保険料を負担する福利厚生の契約に、夫本人が任意で上乗せをして、給与天引きで保険
料を支払っていたようです。

会社が保険料を負担していた部分にあたる死亡
保険金は、会社の規程により「退職金扱い」となる
と説明を受けました。
また、これとは別に、会社から弔慰金が支払われ
るそうです。
これらの保険金や弔慰金の税金の扱いについて
教えてください。

 

Answer:死亡保険金(会社負担分)の取扱い

ご相談のケースでの死亡保険金や弔慰金の受け取りに係る課税関係は、まず死亡保険金と弔
慰金とに分けて考えます。
更に、死亡保険金に係る保険料を誰が負担していたか等によって、課税関係は異なります。

まず、会社が保険料を負担していた部分に
対応する死亡保険金について解説します。
従業員が加入する生命保険の保険料を雇用
主が負担していた契約において、支払われる
死亡保険金は退職手当金等として扱う旨が会
社で定められている場合は、相続人が受け取
る死亡保険金は退職手当金として扱われます。
退職手当金は、みなし相続財産として相続
税の対象になります。このとき、相続人が受け
取る退職手当金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度に非課税の適用を受けることができま
す。この場合、非課税の額を計算する上での
“法定相続人の数”とは、相続の放棄があった
場合にはその放棄がなかったものとした場合
の相続人の数を指します。これは、後述の死亡
保険金に係る非課税の額を計算する際も同様
です。
なお、同じように雇用主が保険料を負担し
ていた生命保険で、今回のケースと異なり、会
社が退職金として支給する取り決めがない場
合は、保険料は従業員が負担したものとみな
し、次に説明するご主人様負担分と同様、生命
保険として扱われます。

 

Answer:死亡保険金(ご主人様負担分)

次に、ご主人様が保険料を負担していた上
乗せ部分の死亡保険金についてです。
ご主人様本人が保険料を負担していた部分
から支払われる死亡保険金は、個人が契約す
る生命保険と同様に、保険料負担者、被保険者、
死亡保険金受取人の関係をもとに税務の扱い
を判断します。

ご相談のケースでは、保険料負担者と被保
険者が共にご主人様であるため、支払われる
死亡保険金はみなし相続財産として相続税の
対象となります。
また、相続人が受け取る死亡保険金は
「500 万円×法定相続人の数」
を限度額として非課税の適用を受けることが
できます。
この非課税枠は、前述の退職金の非課税枠
とは別に適用されます。

 

会社から支払われる弔慰金

 

最後に、死亡保険金とは別に会社から支払
われる弔慰金についてです。
下記の金額までは相続税の対象となりませ
んが、超える部分は退職手当金等として相続
税の対象となります。

 

ここまでで解説した死亡保険金、弔慰金に
加え、ご主人様が所有していた財産総額に
よって相続税が発生するか否か、および税額
も変わります。相続税に関する不明な点は、お
気軽に当事務所までご相談ください。

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