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2023.08.25

誤りやすい事例/結婚・子育て資金の非課税の特例を受けていた場合の相続税の加算

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例 相続税関係 令和4年分用」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、結婚・子育て資金の贈与税の非課税の特例についてです。

誤った取扱い

孫は、祖父から令和2年4月に1,000万円の贈与を受け

結婚・子育て資金の非課税制度の適用を受けていたが

令和4年1月に祖父が死亡した。

死亡日における結婚・子育て資金口座の管理残額は300万円

(700万円は子育て資金として支出済み)であったため

相続税の計算にあたっては、管理残額300万円を相続財産に加算した。

また、受贈者(孫)は祖父の一親等の血族(その被相続人の直系卑属が相続開始前に死亡し

又は相続権を失ったため、代襲して相続人となったその被相続人の直系卑属を含む。)ではないので

相続税の計算にあたり、相続税額の2割に相当する金額を加算した。

なお、受贈者(孫)は祖父から相続又は遺贈により管理残額以外の財産を取得していない。

正しい取扱い

令和3年3月31日以前に贈与により取得した金額に係る管理残額については

受贈者が被相続人の一親等の血族に該当するか否かにかかわらず

当該管理残額に対応する相続税額について、相続税額の2割加算の規定(措法18)は適用されない

(令和3年改正法附則75⑤、令和3年改正令附則29⑦)。

したがって、事例の場合、管理残額300万円に対応する相続税額については

相続税額の加算は不要である。

ただし、令和3年4月1日以後に贈与者から金銭等を取得したものがある場合における

その取得分に対応する管理残額に相当する相続税額については

相続税額の2割加算の規定が適用される(措法70の2の3⑫)。

※教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の規定により

管理残額を相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合の

管理残額に対応する相続税額についても同様となる(措法70の2の2⑫)。

2022.10.15

成年年齢引下げに伴う贈与税率の改正~結婚・子育て資金の一括贈与

[相談]

今年(2022年)4月に高校3年生になった孫は、高校卒業とほぼ同時に結婚することになりました。

結婚相手は20代前半で二人とも経済的な余裕がないため

将来のことも考えてある程度まとまったお金を渡したいのですが

多額のお金が手元にあるのも問題であることから

『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』を利用して

信託受益権を付与するかたちで支援しようと思います。

この場合、孫は『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』

を適用することはできるのでしょうか。

孫は2004年7月生まれで、当該契約は今年11月に行う予定です。

[回答]

2022年4月1日以後の『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』

における受贈者の年齢要件は、結婚・子育て資金管理契約締結の日において

“18歳以上50歳未満”となります。予定通り11月に契約された場合には

契約締結日においてお孫さんは18歳に該当することから

その他の要件を満たす場合には、当該制度の適用を受けることができます。

[詳細]

1.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは

結婚や子育て資金に充てるために父母あるいは祖父母から

一定の方法で資金の贈与を受けた場合に

1,000万円を限度として贈与税がかからない制度です。

 その特徴としては、主に以下のとおりです。

  1. 金融機関等との一定の契約に基づく贈与であること
    (具体的には、結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で
  2. 結婚・子育て資金非課税申告書をその口座の開設等を行った
  3. 金融機関等の営業所等を経由して
  4. 受贈者の納税地の所轄税務署長に提出等するなど所定の手続が必要となります)
  5. 非課税として認められるには
  6. 支払いに充てた領収書等を金融機関等に提出する必要があること
  7. 非課税として認められる支払使途は、挙式費用、家賃、転居費用
  8. 妊娠、出産、育児に関する一定のものに限られていること
  9. 年齢が50歳に達したなど、契約期間が終了した時点で残額がある場合には
  10. その残額は贈与税の対象となること
  11. 契約期間中に贈与者が死亡した場合で残額がある場合には
  12. 相続税の対象となること

2.成年年齢引下げに伴う改正

 受贈者の年齢要件は、今般の改正があるまで

結婚・子育て資金管理契約締結(以下、契約締結)の日現在において

「20歳以上50歳未満」に該当するか否かで判定をしてきました。

 これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い

年齢要件の下限が「18歳」へと改正されて

「18歳以上50歳未満」であるか否かで判定することとなりました。

 この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため

2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え

契約締結日における受贈者の年齢要件が4月以降と3月以前とで異なるため

注意する必要があります。

3.ご相談のケース

 ご相談のケースは、契約締結を11月に行う予定とのことでした。

お孫さんは2004年7月生まれ、とのことですから、予定通りに行った場合には

契約締結日現在の年齢は「18歳」となります。

受贈者の年齢要件を満たすこととなるため、

その他の要件をすべて満たす場合には、

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度を適用することができるものと考えます。

 なお、民法の成年年齢の引下げにあわせて、経過措置を除き、女性の婚姻年齢が

「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げられています。

その点もあわせてご確認ください。

<参考>
 国税庁HP「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」など

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