未分割による相続税の申告後に分割が確定した場合の更正の請求書の提出期限
[相談]
遺産分割協議が調わなかったため未分割による相続税の申告書を提出して
いましたが、先日その分割が確定しました。
遺産分割の成立に伴って
未分割による相続税の申告では適用を受けられなかった
配偶者に対する相続税額の軽減等の規定の適用を受けるため
更正の請求手続を行う予定です
この更正の請求書はいつまでに提出しなければならないのでしょうか。
[回答]
ご相談の場合、更正の請求書は
分割確定後4ヶ月以内に提出しなければならないこととなります。
[解説]
1.遺産が未分割の場合に適用を受けられない相続税法上の規定
相続税法上、相続税の申告書の提出期限までに
その相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が
共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない場合に
適用することができないと定められている規定は、次のとおりです。
- ①配偶者に対する相続税額の軽減
- ②小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
- ③物納
- ④農地等についての相続税の納税猶予及び免除等
- ⑤非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除
ただし、上記のうち①と②については
相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出することで
この分割されていない財産が申告期限から3年以内に分割された場合には
更正の請求を行うことで適用を受けることができます。
なお、3年を経過しても分割できないことについてやむを得ない事由がある場合には
一定期間内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」
を提出することで、3年経過後でも適用することができます。
2.相続税の更正の請求書の提出期限
相続税法上、相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は
民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って
課税価格が計算されていた場合において、その後その財産の分割が行われ
共同相続人又は包括受遺者がその分割により取得した財産に係る課税価格が
その相続分又は包括遺贈の割合に従って計算された課税価格と異なることとなったこと等の事由により
その申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額が過大となったときは
それらの事由が生じたことを知った日の翌日から4ヶ月以内に限り
納税地の所轄税務署長に対し
その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求をすることができると定められています。
したがって、今回のご相談の場合、更正の請求書は
分割確定後4ヶ月以内に提出しなければならないこととなります。