いつまでに支給が確定した退職手当金等が相続税の課税対象になるのか
[相談]
1年前に社長が亡くなったのですが、社長の死亡退職金については
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により会社の財政事情が悪化している等の理由から
金額の確定及び支給ができていません。
相続税法上、いつまでに支給が確定した役員退職金であれば
相続税の課税対象に含まれるのでしょうか。
[回答]
ご相談の場合、社長(被相続人)の死亡後3年以内に支給が確定したものであれば
相続税の課税対象となります。
[解説]
1.退職手当金等のうち、相続または遺贈により取得したものとみなされるもの
相続税法上、被相続人の死亡により相続人その他の者がその被相続人に
支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与
(一定の年金または一時金に関する権利を含みます)で
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては
その給与の支給を受けた者について
その給与を相続または遺贈により取得したものとみなすと定められています。
2.「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」の意義
上記1.の「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」とは
被相続人に支給されるべきであった退職手当金等の額が被相続人の死亡後3年以内に
確定したものをいい、実際に支給される時期が被相続人の死亡後3年以内
であるかどうかを問わないものとして取り扱われています。
また、上記の場合において、退職手当金等が支給されること自体は
確定していてもその金額が確定しないものについては
上記の「支給が確定したもの」には該当しないものとされています。
なお、被相続人の生前退職による退職手当金等であっても
その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので
被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては
上記1.の退職手当金等に該当することとされていますので
念のためご留意ください。