医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
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2024.06.14

居住用不動産の贈与をあった年に配偶者が死亡した場合の税金は?

事例

Aさんは婚姻関係が40年以上になるので夫であるBさんから

自宅の土地及び家屋(評価額1800万円)の贈与を受けました

しかし、Bさんはその直後に急死してしまったのです

さて、このよう場合相続税の申告と贈与税の申告は

どうなるのでしょうか?

回答

相続税は、課税対象外

贈与税は、申告して無税

となります

解説

資産の贈与があっても、相続開始の7年前の贈与財産については

相続税の課税価格に算入されてしまいます

しかし、その贈与財産が配偶者控除の適用を受けた居住用財産

である場合は、その特定贈与財産の評価額までは受贈配偶者の

相続税の課税価格に加算しないこととされています

(相続税法19条)

その一方で、生前贈与の加算対象とならない上記特定贈与財産については

その贈与が贈与した配偶者の相続開始の年に行われたものであったとしても

非課税財産に該当しないため、贈与税の申告が必要となります

この事例では、住宅の評価額が2000万円未満ですから

贈与税の申告をしても贈与税額は0円となります

 

神戸・芦屋・西宮エリアで相続税対策及び

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2024.05.31

遺産分割協議が成立する前に土地を売却した場合に、所得税の申告は???

事例

Xさんが亡くなり、相続人はA・B・Cの3人です

Xの相続財産に占める不動産の比率は80%を

越えている為、X名義の預貯金だけでは納税資金が

不足しています。また、相続人のB・Cは不動産よりも

預貯金を相続したいと考えています。

そこで、AはX名義の不動産を全部売却してその売却代金を

法定割合で1/3づつ確定申告すればいいと考えています

しかし、BとCは売却代金を法定割合で分割することに

同意するかどうかわかりません

質問

上記のような場合、不動産譲渡所得の確定申告は売却代金の

1/3づつで申告すればいいですか?

回答

お尋ねの件について、一般的には不動産の相続登記割合

つまり1/3づつ売却代金を分配して、確定申告も

同じ比率で提出することになります

しかし、相続人が「土地の売却代金を一括して共同相続人の

1人に保管させて遺産分割の対象に含めることに

合意する」場合は、最終的な遺産分割協議書に記載の比率で

売却代金を分割して、相続税及び所得税の申告を行うことになります

【参考】最高裁昭和54年2月22日第一小法廷・・・

 

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2024.05.24

古い木造アパートを相続したんですが・・・交換ってできるんですか?

 

事例

私は、親から古い木造アパートを相続しました。

相続から5年経過しましたが、建物劣化が激しく建て替えるか

売却するか検討していました。

しかし、不動産業者の担当者から「隣の街の月極駐車場と交換して

その土地で新しく賃貸住宅を建設することができる」と

言われました。そんな都合のいい話は本当に実現するのでしょうか?

回答

要件を満たせば、税務上の問題をクリアできます

解説

いわゆる交換の特例を適用するための要件は以下の通りです

1.交換譲渡資産と交換取得資産はいずれもこ定子さんであること

2.交換譲渡資産を1年以上所有していたこと

3.交換取得資産は相手方が1年以上所有していたこと

4.交換譲渡資産と交換取得資産は同一種類の資産であること

5.交換後は、交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と

同一の用途に供すること

6.交換譲渡資産と交換取得資産の時価の差額が、これらの時価のうち

高い金額の20%以下であること

これらの要件のうち、今回論点となるのは5番の要件です

交換譲渡資産は木造賃貸アパートの敷地で

交換取得資産は月極駐車場の土地です

単純に、これだけでは同一用途とならないため

交換の要件は満たしません

 

しかし、今回の交換取得資産である駐車場の立地が住宅地であり

既存の構築物を取壊したり造成工事をすることなく

いつでも建物を建設が可能な土地であれば宅地と同様に

取り扱うことができると考えられます

 

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2024.05.17

換価分割の留意点 3月10日の続き

 

このHPで換価分割の概要については3月10日に

解説しましたが、今日は前回書ききれなかった留意点を

記載します

事例

例えば、先祖代々の土地に父親Aさんが住んでいました

Aさんの配偶者は以前に亡くなっていましたが、Aさんの長女Xさんは

同居していました。またAさんにはXさん以外に長男Yさんと次男Zさんの

相続人がいます。

Aさんの遺産は、AさんとXさんが住んでいた自宅の不動産100坪(評価9000万)

と預貯金1億2000万です。遺産分割に当たっては兄弟で喧嘩はしていませんが

いろんなパターンを考えているようです

兄弟全員が、自宅をいずれ売却することについて賛成しています

そこで、分割パターン別に留意点を検討することになりました

検討

留意点1:XさんはAさんと同居していたので小規模宅地の特例が適用できます

小規模宅地の特例のメリットを最大限活かすためにはXさんが単独で

自宅不動産を相続する必要があります。しかしその場合、相続割合が

法定割合と大きく乖離するという問題があります

留意点2:留意点1の論点を解消するために、自宅不動産を換価分割する場合

法定分割となります。しかし、小規模宅地の特例のメリットを1/3しか

活かすことができません。今回の相続税ではXさんの単独相続と法定割合の相続では

3兄弟の相続税総額に700万円の差額が発生します。これは大きな問題です

留意点3:留意点2の分割パターンは、小規模宅地の特例のメリットが1/3となり

なおかつ相続税も700万円増加しますが、3兄弟平等というメリットがあります

これが換価分割の最大のメリットです

しかし、この方法も一つ問題があります。換価分割の為に自宅を売却した際の

所得税の金額について、XさんとYZさんとでは大きな差額が発生します

つまり、Xさんは実家でAさんと同居していたので譲渡所得税の計算にあたって

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と

●長期譲渡所得に軽減税率の特例を適用できるのです

せっかく仲のいい兄弟が遺産分割を平等にしても、譲渡所得税で大きく

差額が発生します。

 

このように、換価分割を実施する際には様々な論点が発生します

税理士は、分割案のパターン別に税額計算を行うことはできます

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2024.05.03

生命保険金だけではなくて、生命保険契約にも相続税が課税!!!

相続税の申告に当たって

受取った生命保険金だけではなくて

生命保険契約にも相続税が課税されることを

ご存知ない方が多いので

解説します

事例

父親は、以下のような2つの生命保険契約を締結していました

1.契約者:父親 被保険者:父親 受取人:長男

2.契約者:父親 被保険者:孫  受取人:満期の場合は孫、孫死亡の場合は長男

このような生命保険契約を締結している父親の相続が開始しました

なお、2の生命保険については満期を迎えていません

このような状況で、相続税の課税関係はどうなるでしょうか?

解説

1の生命保険について、相続税の課税対象になることは問題ありません

しかし、2の生命保険について相続税の課税対象となることに

気づいていない場合が多くあります

 

2の生命保険は、父親が保険料を支払っていて

被保険者が孫であるため、父親が亡くなっても

保険金は支払われることはありません

ですから、生命保険の権利が相続税の課税対象となります。

 

また、この2の生命保険契約は1と違ってみなし相続財産ではありません

そのため、遺言書に記載がない限り孫がこの契約の権利を

相続できません。

 

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2024.04.21

遺産分割に当たって死亡保険金の受取人が保険金の一部を他の相続人に・・・

遺産分割に当たって死亡保険金の受取人が保険金の一部を他の相続人に支払った場合の税金

被相続人Xの相続人は長男A、次男B、三男Cの3名のみ

相続財産は、自宅(5000万)と賃貸マンション(3000万)のみ

生命保険契約は、6000万円でAが受取人となっている

遺産分割案の概要

第1案:Bは自宅、Cは賃貸マンションを相続し

Aは生命保険を受取りつつ、Aは生命保険6000万円から

2000万円をCに支払う

第2案:Bは自宅、Aは賃貸マンションと生命保険6000万円

Cは、Aから2000万円を支払ってもらう

第1案と第2案の税金

結論は、

第1案では、A,B,Cそれぞれに相続税が課税されるとともに

Cに贈与税が課税されます

Aは、生命保険を受取るのみで遺産を相続しません

そのため、生命保険金から2000万円をCに支払うことは

遺産分割に関係なく、単なる贈与となります

第2案では、代償分割における代償債務の履行となるため、Cに贈与税は課税されません

A,B,Cそれぞれに相続税が課税されます

 

『代償分割に係る代償金として、代償債務者である相続人から

その者が取得した積極財産の価額を超える代償金を受領した場合には、

その積極財産の価額を超える部分は、現物をもってする分割にかえる

代償債務に該当せず、代償債務者から他の相続人に新たに経済的利益

を無償にて移転する趣旨でされたものと言うべき』・・・過去の裁判事例から抜粋

 

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2024.03.16

遺産分割協議が成立しない場合の相続税の申告書

遺産分割協議が成立しない場合

【質問】

相続税の申告書は、相続開始の日から10ヶ月以内に税務署に提出

しますが、その際に遺産分割協議が成立していない場合もあります。

その場合の相続税の申告書は、どのような申告になりますか?

複数の税理士が申告する場合もあります

【回答】

(1)複数の税理士が・・・

遺産分割がもめてまったくまとまらない場合に

すべての相続人が個別に税理士と契約して相続税の

申告書を作成することもありえます。

相続税の申告書を作成するために必要な情報を

すべての相続人が同じ情報を入手できません

そのため、被相続人が同じであっても

相続税の申告書に記載の財産と債務が完全に一致しない場合が

あります

 

(2)納税資金を確保するために

遺産分割がもめてまったくまもらなくても

申告期限=納税期限であることに変わりありません

相続人全員が自己資産から納税資金を賄うことができる場合は

問題ありませんが、そうでない場合が問題となります

納税資金を確保するために、相続財産に含まれる

金融財産の一部だけでも先に遺産分割をまとめる必要があります

 

(3)相続税をすこしでも少なくするために

遺産分割協議が成立していなければ適用できない特例があります

たとえば、小規模宅地の特例は対象となる土地の

遺産分割協議が成立していなければ適用できません。

もちろん、いったん未分割で申告書を提出し

遺産分割協議が成立後に小規模宅地の特例を適用して

更正の請求を税務署に提出することもできます

 

相続税の申告書類作成業務は、相続税の申告期限までに

遺産分割協議が成立して、なおかつ納税資金を確保しておく必要があります

もちろん、遺産分割協議は相続人間あるいは弁護士を交えて

行うため税理士は関与できません。

しかし、税理士は

未分割の場合にはどのような申告書を提出することになるのか

あるいは、未分割か否かによって税負担にどれだけの差が発生するのか

という、お客様の税金に対する疑問に臨機応変に対応する必要があります

相続税の申告業務と相続税対策は

相続税専門の税理士に相談することを勧めます

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2024.03.02

相続税の申告書に添付する印鑑証明書の入手日について

遺産分割協議書と印鑑証明書を税務署に提出する理由

遺言書が作成されている場合以外は

相続税の申告書には、遺産分割協議書と印鑑証明書を

添付する必要があります

 

相続税額の計算に当たって適用される特例には

いくつか種類がありますが

小規模宅地の特例などは、遺産分割の内容によって

摘要の可否が判定されます

 

そのため、相続税の申告書には必ず遺産分割協議書と

印鑑証明書を添付する必要があります

提出する書類の入手日付

お客様から、相続税の申告書に添付する印鑑証明書の入手日について

お問い合わせをいただくことがありますが、

税務署に提出する書類は、相続開始の日以降であれば

いつでもOKです。これは、印鑑証明書だけではなくて

戸籍・住民票などの書類も同様です

効率のいい遺産収集

印鑑証明書は、最終的に土地の名義変更や

預金の解約などで必要になります

ですから、相続開始直後に印鑑証明書を

入手する必要はありません。

むしろ遺産分割協議が成立する頃に

入手すれば、不動産の名義変更や預金の

解約手続きを済ませた後で

印鑑証明書を税務署に提出することができます

 

相続税の申告業務・遺産収集業務は

効率よく作業を進めないと相続人の皆さんに大きな

ストレスが負担になります

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2023.12.16

相続によるインボイス発行事業者の引継ぎ

[相談]

父は、2023年10月下旬に死亡しました。

相続人は母と私の2人で、父が所有していたテナントビルは

相続により私が取得します。

父は適格請求書発行事業者(以下、インボイス発行事業者)として

テナント入居者に対してインボイスを発行していたようです。

私はサラリーマンで、インボイス発行事業者ではありません。

このような場合、父のインボイス発行事業者の登録の効力を相続により引継ぐことはできますか?

[回答]

インボイス発行事業者の登録の効力を、相続により引継ぐことはできません。

ご相談者様がインボイスを発行したい場合には

ご自身の名前でインボイス発行事業者の登録を行う必要があります。

[詳細]

1.インボイス発行事業者

2023年10月1日より、消費税の計算上、仕入税額控除を適用するには

原則としてインボイスの保存が必要となりました。

このインボイスは、インボイス発行事業者でなければ発行できません。

そのため、インボイス発行事業者の登録を受ける必要があります。

ただし、消費税の課税事業者でなければ登録申請をすることはできません。

さらにインボイス発行事業者である間は、免税事業者となることはできず

課税事業者のままです。

つまりインボイスを発行する間は、消費税の申告納税義務が発生することとなります。

2.インボイス発行事業者に相続が発生した場合

インボイス発行事業者が個人の場合で

当該個人が死亡したことにより相続が発生したときは

まずその相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があります。

また、次のいずれか早い日にインボイス発行事業者の登録の効力が失われます。

  1.   ・届出書の提出日の翌日
  2.   ・インボイス発行事業者の死亡日の翌日から4月を経過した日

3.インボイス発行事業者でない者が相続により事業を承継した場合

今回のケースのように、相続により事業を承継した相続人が

インボイス発行事業者でない場合において、インボイス発行事業者の登録を受けるためには

登録申請の手続を行う必要が生じます。

この場合、次のいずれか早い日までの期間は

 相続人をインボイス発行事業者とみなす措置が設けられています。

  1.   ・相続によりインボイス発行事業者の事業を継承した相続人の相続のあった日
  2.    の翌日から、その相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日
  3.   ・インボイス発行事業者の死亡日の翌日から4月を経過した日

この措置が適用されている期間は登録は有効で

その登録番号は相続人の登録番号とみなすこととされます。

そのため、途切れることなくインボイスを発行し続けるには

遅くとも死亡日から4ヶ月以内に相続人自身が登録を受ける必要があります。

なお、インボイス発行事業者である間は、必ず消費税の申告納税義務が生じます。

消費税の申告納税の計算にはいくつか種類があるため

どの計算方法が最も税負担が軽減できるか試算する必要があり

場合によっては届出等を行う必要も生じます。

参考:
国税庁HP「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A

2023.12.01

市街化区域内の農地の売却

[相談]

亡父が生前に畑として利用していた市街化区域内の土地を相続しました。

今後、誰もこの土地を利用する予定がないため、私の代で売却することを検討しています。

周辺は農地の多い地域ですが、近ごろでは戸建住宅が点在するようになりました。

この土地を住宅用地として第三者へ売却することは可能でしょうか。

また売却が可能な場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか。

なお、水路は使用していませんが

親の代から土地改良区に毎年賦課金を支払っています。

[回答]

市街化区域内の農地であることから

土地改良区への地区除外申請手続きを行うとともに

農業委員会に対して農地転用の届出を行うことで

住宅用地として第三者への売却が可能となります。

[詳細解説]

1.土地改良区とは
土地改良区とは、土地改良法に基づいて地域の農業関係者で組織され

農業用施設(水路、農道)等の整備(新設・更新)

農地の区画整理等の土地改良事業(維持管理も含みます)を行う団体をいいます。

土地改良区が設立されると、その地域内の農業関係者全員が土地改良区の組合員とされ

当該組合員には、土地改良事業費の一部を賄うための賦課金の支払い義務が発生します。

すでに農地として耕作しなくなり

農業用施設を利用しなくなった場合でも賦課金は徴収されます。

2.必要な手続き

(1)土地改良区への地区除外申請手続き
売買による権利の移動を理由として

土地改良区への地区除外申請手続きを行う場合

土地改良法により決済金の支払いが義務付けられます。

土地改良事業費は借入金や賦課金等でも賄われており

農地が転用で除外されれば

これら費用の一部を残りの組合員で負担していくことになります

そのため

今後の負担を少しでも軽減させるために農地転用する面積に応じて決済金が請求されます。

決済金は土地改良区によって設定されますが

100~200円/㎡が目安といわれています。

管轄の土地改良区で決済金が確認できますので

それ以外にかかる費用の有無も含め事前にお問い合せされることをお勧めします。

(2)農業委員会に対する農地転用の届出

農地転用とは

農地を住宅や駐車場等の農業以外の目的に転用することをいいます。

市街化区域内の農地で転用と合わせ売買による権利の移動を行う場合

農業委員会に対して農地法第5条の届出が必要となります。

届出は、譲受人(買主)・譲渡人(売主)によって行いますが

行政書士による代行も認められています。

土地改良区への地区除外申請や農業委員会への農地転用の届出には

準備する書類も多岐にわたり時間と労力を費やします。

売却の検討をした段階で

行政書士等の専門家に相談されるとよいでしょう。

2023.11.03

代償分割が行われた場合の相続税・贈与税の課税関係

[相談]

甲株式会社の前社長(父)が死亡し、現社長(A:長男)とB(長女)

の2名がその遺産を相続することになりました。

AとBによる遺産分割協議の結果、甲株式会社の株式(相続税評価額1億円)は

Aがそのすべてを相続することとなりましたが、代わりに、AはBに対し

その2分の1相当である5,000万円を現金で渡しています(代償分割)。

この場合、Bが受け取った現金5,000万円については、相続税と贈与税

どちらの課税対象となるのでしょうか。

[回答]

Bが受け取った現金5,000万円は、相続税の課税対象となります。

[解説]

1.代償分割とは

代償分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうち1人又は数人が

相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し

その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務

(代償債務)を負担する分割の方法をいいます。

2.相続税法上の「分割」の意義

相続税法上の「分割」とは、相続開始後において相続又は包括遺贈により

取得した財産を現実に共同相続人又は包括受遺者に分属させることをいい

その分割の方法が現物分割、代償分割もしくは換価分割(※)であるか

またその分割の手続が協議、調停若しくは審判による分割

であるかを問わないこととされています。

  1. ※換価分割とは、共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が
  2. 相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価し
  3. その換価代金を分割する方法をいいます。

したがって、今回のご相談の場合、Bが受け取った現金5,000万円については

相続税が課税されることとなります。

なお、代償財産の価額は、原則として、代償分割の対象となった財産を現物で

取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務(代償債務)

の額の相続開始の時における金額によるものとされていますので、ご留意ください。

2023.10.27

相続する財産より引き継ぐ債務の方が多い場合

[相談]

父が経営している会社を数年前に私が引き継ぎ

現在は父が会長で、私が社長になっています。

父は会社から5億円の資金を借り入れ

不動産投資(賃貸ビルの投資)をしています。

この不動産も会社経営に影響することから、父が亡くなったときには

会社からの借金とともにこの不動産を相続する予定です。

現状、不動産の財産評価額として、賃貸ビルが5,000万円

賃貸ビルの敷地部分は2億円となります。

 

他方、借金の残高は4億円あると聞いています。

今、父の相続が開始した場合、2.5億円(5,000万円+2億円)の財産に対して

借金4億円を相続することとなり、引き継ぐ債務の方が多くなります。このようなとき

他の相続人の相続財産から引ききれない債務1.5億円(4億円-2.5億円)を控除することができるのでしょうか?

[回答]

ご相談のような相続した財産よりも引き継ぐ債務の方が大きい場合

他の相続人の相続財産から引ききれない債務を控除することはできません。

[詳細]

1.納付すべき相続税額の計算
納付すべき相続税額の計算は、まず課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き

その差額(課税遺産総額)に対して、法定相続人ごとに法定相続分に従って

取得したものとして“相続税の総額”を計算します。

この相続税の総額を実際に取得した人ごとに割り振り、納付すべき相続税額を計算します。

2.課税価格の計算

 上記1.の計算において、まず課税価格の合計額を計算することになりますが

「課税価格の合計額」とは、相続又は遺贈などにより財産を取得した人ごと

計算した課税価格の合計額を指します。

課税価格は、各人ごとに以下の算式により計算します。

相続又は遺贈により取得した財産の価額 + みなし相続等により取得した財産の価額

ー 非課税財産の価額 + 相続時精算課税に係る贈与財産の価額 ー 債務及び葬式費用の額

= 純資産価額(赤字のときは0)

 

純資産価額 + 生前贈与加算 = 課税価格(1,000円未満切捨て)

 上記のとおり、各人ごとに課税価格を計算する過程において

純資産価額の計算時に赤字(マイナス)となった場合には「0」となることから

マイナス部分を他の相続人の相続財産から差し引くことはできません。

 ご相談の場合、相続財産から引ききれない債務1.5億円は

純資産価額の計算において0円となりますので

他の相続人の相続財産から差し引くことはできません。

また、仮にご相談者様が生前贈与加算を活用して生前贈与を実行したとしても

相続財産から引ききれない債務1.5億円を生前贈与加算分と相殺することもできませんので、ご注意ください。

2023.10.21

改正後の相続時精算課税制度/災害による被害が発生した場合

[相談]

相続時精算課税制度の使い勝手が良くなったと聞いて、活用を検討しています。

ただ、何十年も前の贈与について、相続時に加算することを考えると二の足を踏んでいます。

たとえば相続時精算課税制度を利用して生前贈与していた建物について

受贈者が所有している間に災害により被害が発生した場合でも

贈与時の価額を相続時に加算しなければならないのでしょうか?

[回答]

確かにご懸念のとおり

何十年前の贈与であっても相続時精算課税制度を適用した場合には

贈与時の価額を相続時に加算する必要が生じます。

ただし、災害による被害については、令和5年度税制改正により

一定の控除が受けられる改正がされています。

[詳細]

1.相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度とは、贈与を受けたときの贈与税の計算において

自ら選択することで適用することができる制度です。

一度選択した後は、暦年課税を選択することはできません。

 また、贈与者が亡くなった場合には

相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)の

合計額を相続財産として、相続等により取得した他の財産と合算して

相続税を計算した上で、すでに納めた贈与税額がある場合には

相続税額から控除して相続税額を算出します。

その際、控除しきれない贈与税額があるときは

相続税の申告をすることで還付を受けることができます。

2.令和5年度税制改正

 令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度が見直されました。

ご相談の内容ですと、以下の改正が該当します。


相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が

当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に

災害によって一定の被害を受けた場合には

当該相続税の課税価格への加算等の基礎となる当該土地又は建物の価額は

当該贈与の時における価額から当該価額のうち

当該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする


 この改正は、令和6年(2024年)1月1日以後に生ずる災害により

被害を受ける場合について適用されます。

 つまり、令和5年(2023年)12月31日以前の贈与であっても

適用対象となる点に注意しましょう。

3.ご相談の内容について

 ご相談は、相続時精算課税制度を利用して生前贈与していた建物について

受贈者が所有している間に災害により被害が発生した場合でも

贈与時の価額を相続時に加算するのか、になります。

 この点は上記2.にあるとおり、一定の被害を受けた場合には

贈与時の価額からその災害による被災価額を控除することができます。

 この場合の“一定の被害”とは、その建物の想定価額(※1)のうちに

その建物の被災価額(※2)の占める割合が10%以上となる被害をいいます。

  1. ※1 想定価額…その建物の災害発生日における一定の算式により求めた価額
  2. ※2 被災価額…被害額から保険金などにより補塡される金額を差し引いた金額(建物の想定価額が限度)

 なお、この控除を適用するには、別途手続が必要となります。

   この他、災害減免法による贈与税の軽減等の適用との重複適用はできないなど

   適用に関しては留意点があります。

2023.10.14

誤りやすい事例/未分割であった相続財産から生じた不動産所得

大阪国税局が作成した「個人課税関係 令和4年版 誤りやすい事例 所得税法」より

ピックアップしてご紹介します。

今回は、準確定申告で実務上間違いが多い事例の紹介です

誤った取扱い

未分割の相続財産から生ずる不動産所得について、法定相続分で申告したが

後日、法定相続分と異なる遺産分割が行われた場合は

相続時に遡及して是正しなければならないとした。

正しい取扱い

未分割の相続財産(不動産)から生ずる収入は、遺産とは別個のものであって

法定相続人各人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものであるから

その帰属につき、事後の遺産分割の影響を受けることはない(最高裁平17.9.8判決)。

なお

遺産分割確定日以後の不動産収入についてはその遺産分割による相続分

により申告することとなる。

2023.10.06

相続人不明の場合の対処

[相談]

95歳の祖母が他界しました。戸籍を調べたところ

祖母には1歳で養子となり転籍した妹がいることが分かりました。

存命であれば90歳になりますが、転籍先の戸籍も存在せず

市役所より証明書(行政証明を発行できないことの理由書)を受領しました。

法務局にて法定相続情報一覧図の作成を試みましたが

相続人不明につき受付ができないとの返答でした。

この場合、どのように対処したらよいでしょうか?

[回答]

件につきましては、失踪宣告の申立てあるいは

不在者財産管理人の選任による対応を採らざるを得ないと考えます。

なお、失踪宣告の申立てにあたっては

通常、失踪者の最後の住所が判明する資料(戸籍の附票、住民票等)が必要になりますが

本件ではその提出が困難であることから

上記の市役所から受領した証明書を添付の上、家庭裁判所に対して

失踪宣告申立書に住所不定である理由(これ以上の調査が不可能である点も含めて)

を丁寧に説明する必要があると思われます。

説明を通じ家庭裁判所の理解を求めることで

失踪宣告が認められる可能性はあると考えます。

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