医院名:近江清秀公認会計士税理士事務所 
住所:〒651-0087 兵庫県神戸市中央区御幸通8丁目1-6神戸国際会館17階 
電話番号:078-959-8522
一番上に戻る
TEL:078-959-8522 メールお問い合わせ
2022.07.01

相続財産の寄附と相続税の取扱い

[相談]

父の相続財産の一部を寄附しようと思います。

寄附先は、父が生前お世話になっていた有料老人ホームを経営している社会福祉法人です

実は生前、父から「自分が亡くなった後にA銀行の定期預金を寄附してほしい」

と口頭で伝えられていました。

ただし、遺言書などはありません。

実際に寄附を行った場合、相続税は軽減されるのでしょうか?

[回答]

ご相談のケースで寄附を行う場合、一定の条件を満たせば

寄附の対象となるA銀行の定期預金について相続税の計算から外すことができ

相続税が軽減されます。

[詳細]

1.相続人の意思による寄附

自分が亡くなったら財産を寄附する、という場合には

「どこ(誰)へ、何を(いくら)寄附する」という意思表示を

正式な遺言書という形で遺す必要があります。

今回のご相談のケースでは、お父様の遺言書はないとのことですから

お父様の遺志で寄附することはできません。

このような場合には、一度相続の手続を行って相続した後

相続人から寄附をする、という手続になります。

例えご本人が生前に「寄附したい」と周囲の方に伝えていても

相続人にその意思がなければ寄附は実行されません。

2.相続税の取扱い

相続財産を寄附した場合に以下の要件をすべて満たすと

寄附した財産について相続税の対象としない特例があります。

  1. ①寄附した財産が、相続や遺贈によって取得した財産であること
    (相続財産を換金した後の現金を寄附した場合などは、対象となりません。)
  2. ②相続税の申告期限までに、相続した財産を寄附すること
    (相続日から10ヶ月後の応答日までに寄附をしなければなりません。)
  3. ③寄附先が、国、地方公共団体、その他教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益法人であること
    (特定の公益法人の範囲は、独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており
  4.   寄附時点ですでに設立されている必要があります。
  5.   該当するか否かは事前に寄附予定先へお問合せください。)

 ご相談のケースにおいて、上記要件をすべて満たすと

  寄附をした相続財産(A銀行の定期預金)を相続税の対象から外すことができます。

3.その他の留意点

ご相談のケースの場合は、相続人からの寄附となるため

寄附をした相続人の所得税の計算上

寄附金控除または税額控除の適用を受けられるかどうか検討しましょう。

適用については、寄附先である社会福祉法人が適用できる対象先でなければなりません。

この点についても、事前に寄附先の社会福祉法人へお問合せいただくとよいでしょう。

なお、上記2.や3.の適用をする場合には、申告時の手続が必要となります。

2022.06.25

成年年齢引き下げに伴う相続税の改正~未成年者控除の改正~

[相談]

相続人が未成年者の場合、「未成年者控除」として満20歳に達するまでの年数に応じた

一定の金額を相続税額から控除してもらえると聞いています。

2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが

この「未成年者控除」はどうなるのでしょうか?

[回答]

成年年齢の引き下げにあわせて、「未成年者控除」が適用できる

年齢や控除額の計算が改正されました。

[詳細]

1.未成年者控除とは

相続人が未成年者である場合には、相続税の額から一定の金額を控除します。

この控除を「未成年者控除」といいます。

未成年者控除を適用できるのは、次のすべての要件を満たす人です。

  1. (1)相続又は遺贈により財産を取得した法定相続人
  2.   (日本国籍を有していない人など、一定の人は対象外です。)であること
  3. (2)上記(1)の法定相続人とは、相続の放棄があった場合には
  4.    その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
  5. (3)上記(1)の法定相続人は、その相続又は遺贈により財産を取得したときに未成年者であること

上記(3)の「未成年者」の年齢が2022年3月までは「20歳未満」でした。

これが、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い

未成年者控除における「未成年者」の年齢も2022年4月から「18歳未満」に引き下げられました。

2.未成年者控除額

未成年者控除額は、以下の算式により計算します。

【控除額】
10万円×成年に達するまでの年数(1年未満切上)

「成年」とは、2022年3月までは「満20歳」でした。

これが、2022年4月からは民法の成年年齢にあわせて「満18歳」に改正されました。

 

つまり、2022年4月からの控除額の計算は、以下の通りとなります。

【控除額】
10万円×満18歳に達するまでの年数(1年未満切上)

3.適用開始時期

 この改正は、2022年4月1日以後の相続又は遺贈から適用されます。

4.留意点

未成年者控除については、未成年者本人の相続税額より

控除額が大きくなり引ききれない場合があります。

この場合には、その引ききれない部分をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。

今回の改正により、単純計算で控除額が最大20万円(2年×10万円)

減少することとなりますので

このような引き切れない部分を差し引ける金額も当然少なくなることが予想されます。

孫養子などで未成年者を相続人とした場合に有効活用してきたこの未成年者控除について

今般の改正点を改めてご確認ください。

なお、すでに未成年者控除の適用を受けたことがある場合には

一定の控除限度額の計算があります。その点もご留意ください。

過去に税額計算をシミュレーションされた方は見直されるとよいでしょう。

 

2022.06.18

財産評価における誤りやすい事例/相当の地代を支払っている場合の借地権の価額

財産評価の処理における誤りやすい項目について

大阪国税局が作成した「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」より

ピックアップしてご紹介します。

 

今回は、「取引相場のない株式(純資産価額方式)」における

相当の地代を支払っている場合の借地権の価額についてです。

 

誤った取扱い

被相続人は、所有するA土地を甲社(被相続人が同族関係者となっている同族会社)

に相当の地代を収受して貸し付けていた。

甲社株式の評価において、A土地に係る借地権について

資産の部への計上は不要とした。

 

正しい取扱い

株式の評価をする場合において

被相続人が同族関係者となっている同族会社に相当の地代を収受して

土地を貸し付けている場合

自用地としての価額の20%に相当する額を借地権の価額として

資産の部に計上する

(昭43直資3-22「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」、地代相当通達6(注))

 

出典:大阪国税局「資産課税関係 誤りやすい事例 財産評価関係 令和2年分」

2022.06.05

成年年齢引き下げによる結婚・子育て資金の贈与税非課税制度の年齢要件の改正

[相談]

このたび、私の子(19歳)が令和4年末に結婚することとなりました。

その結婚資金(挙式費用など)について、6月に私から子への贈与を検討しているのですが

この贈与について、結婚・子育て資金の贈与税非課税制度は適用できるのでしょうか。

[回答]

ご相談の贈与については、

結婚・子育て資金の贈与税非課税制度を適用できるものと考えられます。

[解説]

1.民法改正による成年年齢の引き下げと婚姻適齢
平成30年に明治9年以来約140年ぶりに成年年齢の見直しが行われ

同年6月13日に、成年年齢を20歳から18歳に引き下げるという改正民法が成立しました。

その改正民法は、令和4年(2022年)4月1日から施行され、婚姻適齢については

男女ともに「婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。」と定められています。

2.結婚・子育て資金の贈与税非課税制度の概要
贈与により財産を取得した場合には、原則、贈与税がかかります。

ただし、贈与があっても贈与税が課されない、一定の非課税制度が用意されています。

その非課税制度の中に、「結婚・子育て資金の贈与税非課税制度」があります。

結婚・子育て資金の贈与税非課税制度とは、令和5年3月31日までの間に

個人が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき

受贈者の直系尊属(父母・祖父母など)から

①信託受益権を付与された場合

②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合

③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等において有価証券を購入した場合には、

それらの信託受益権や金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分については

金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより

原則として、贈与税が非課税となる制度です。

上記の制度における「個人」については年齢要件が設けられており

従前は「20歳以上50歳未満」と定められていましたが

上記1.の改正に伴い

令和4年(2022年)4月1日以後の信託受益権または金銭等の取得からは

18歳以上50歳未満」と改正されました。

このため、今回のご相談における令和4年末に結婚する

子への結婚資金の贈与については、原則として

上記の贈与税非課税制度が適用できることとなります。

  1. (注)結婚・子育て資金の贈与税非課税制度における年齢の判定日は
  2. 「結婚・子育て資金管理契約締結の日」と定められています。
2022.05.28

保険証券の紛失と“終活”への備え

[相談]

60代の半ばとなり、そろそろ“終活”に向けた準備をしていきたいと思い

資産内容を把握しはじめたところ、生命保険で躓いてしまいました。

毎年、生命保険料控除証明書は届くので、何となくどこの保険会社かはわかるのですが

控除証明書以外の書類は毎年破棄して残っていませんし

保険証券はどこにあるのか分かりません。このような場合どうしたらよいのでしょうか。

また、“終活”に向けた準備をしていく中でのポイントなど、アドバイスもお願いします。

[回答]

保険証券がどこにあるのか分からない、ということであれば

まず再発行の手続きをとるとよいでしょう。

また、“終活”に向けた準備をされるのであれば、資産の棚卸をするとともに

相続人は誰になる予定か、相続税はどのくらいかかるのかも

あわせて把握されるとよいでしょう。

[詳細]

1.生命保険の内容の把握

生命保険を契約すると、保険証券を受け取ります。

この保険証券は、保険金を受け取るとき、中途解約時に解約返戻金を受け取るとき

また契約内容を変更するときなどに必要となります。

仮に保険証券を紛失していても保障は継続しており

保険契約者の本人確認ができれば諸手続きをすることが可能です。

ただし、保険証券には契約内容が記載されていますので

紛失されたのであれば再発行の手続きをとることをお勧めします。

なお、再発行の手続きは

年に1回届く契約内容のお知らせや控除証明書に記載のある連絡先へ連絡し

指示を受けるとよいでしょう。

2.“終活”に向けた準備

“終活”に向けた準備をされるのであれば、資産の把握(=棚卸)をするとともに

相続人となる方は誰か、相続税はどのくらいかかるのかの把握もされるとよいでしょう。

どのような書類があればこれらの把握ができるのか、参考までに記載しました。

(1)財産を把握するための資料(例)

 

(2)相続人となる予定の人を把握するための資料(例)

 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本

(3)相続税の試算

相続税は、上記の資料などによって資産の一覧を作成し

相続人を把握した上で、資産評価を行うなどをして計算することとなります。

一部相続税が課税されない財産などもありますので

国税庁サイトの情報を参考に試算してみるとよいでしょう。

2022.05.21

預金の相続手続きと遺産の未分割申告

[相談]

被相続人は父親、相続人は長男と長女の2名です。

相続財産は預貯金と土地(宅地)です。

相続開始後、長女の承諾のもと、長男は預貯金のすべてについて

相続による名義替えを行い、自身の口座に入金しました。

現在、相続財産目録を作成して分割協議の途中ですが

納税額が多額になること、今後の土地の管理(売却等)について考えがまとまら

未分割のままで相続税の申告を行うことを検討しています。

この場合、既に長男の口座に入金した預貯金について

「代償金の振替額が未定の預り金」として未分割財産として取り扱うことはできますか。

[回答]

金融機関が被相続人口座からの預貯金の払戻し手続きに際し

どのようなケースで認めるのかやどのような書類を要求するのかは

各金融機関で異なります。

ご相談のケースでは、金融機関は、遺産分割協議はまだ済んではないものの

特定の相続人が他の相続人全員の委任を受けて払戻すことを許容しており

その結果、遺産分割協議は未了だが、他の相続人全員からの委任を受けた

払戻であることが確認できたことから、長男口座にすべて入金されている

という状態となっているのではないかと推測されます。

(少額の預金であれば、例外的に相続人の代表者だけの手続きで

 処理できることがありますが、相応の金額の場合、相続人全員の署名押印

 (印鑑証明)は必要と思います。)

この場合、長男口座への入金は、あくまで相続人全員の共有財産としての

預貯金の管理としての意味しかなく、法律上預り金にすぎないため

その後に遺産分割協議をして、預貯金について誰が相続するか

決めることが予定されていると考えられます。

したがって、長男口座に入金されている被相続人の預貯金を

未分割の遺産として扱うことは可能であり

遺産分割は未了として相続税申告を行うということで問題ないと思われます。

なお、相続人が上記の意図で払戻(長男口座で管理)を選択したのであれば

特に残すべき書類もないと思いますが、この点が明確でないのであれば

被相続人名義の口座を解約して払い戻した金額は、未分割の遺産として

長男名義の口座で管理する、という覚書のようなものを相続人で残しておいた方が良いかもしれません。

(この書面が調印できるのであれば、そもそも未分割という認識があるので

 問題になることもないと思いますが。)

2022.05.14

遺言による保険金の受取人の変更

[相談]

下記の生命保険について

仮に妻が先に亡くなった場合には、世話になっている姪に受け取って欲しいと思っています。

妻が先に亡くなった時点で、私が死亡保険金の受取人を変更できればよいのですが

そうでない状況を想定して、遺言で受取人を姪に変更しておきたいと思っています。

これは、可能でしょうか?

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:妻

[回答]

遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能ですが

諸条件を満たしている必要があります。

[詳細]

1.保険法改正により可能となった遺言による保険金受取人の変更

2010年4月1日に施行された「保険法」で、遺言による保険金受取人の変更が可能となりました。

原則、保険法施行後の契約が対象となりますが、保険会社によってその取扱いは異なります。

2.留意点

遺言によって保険金受取人を変更するときの、主な留意点は以下の通りです。

(1)変更の可否を確認
 多くの保険会社は「法律上有効な遺言であれば

受取人に指定できる方の範囲に定めはない」としているようですが

変更可能な受取人の範囲を約款で決めている保険会社もあります。

遺言書を作成する前に、必ず受取人として指定できるかどうか、確認するようにしましょう。

(2)遺言書の記載内容
 遺言によって保険金受取人を変更するときは

どの保険契約か特定できるような情報を遺言書に記載します。

この場合の「情報」とは、保険会社、証券番号、契約者、被保険者

保険種類、契約日などが該当しますが、特定できれば複数の情報の記載は必要ありません。

遺言書の例文

第〇条 私は、私が契約者となっている次の生命保険契約における

死亡保険金受取人として、姪◇◇を指定する。

(保険契約の表示)
①〇〇生命:証券番号00000000000
②■■生命:証券番号11111111111
③▼▼生命:証券番号22222222222

(3)遺言による保険金受取人の変更手続き
 遺言による保険金受取人の変更手続きを行うには

保険契約者の相続人が遺言による保険金受取人変更について

保険会社に申し出なければなりません。

その際に、一定の書類の提出が必要な場合があります。

必要となる主な書類は以下のとおりですが、保険会社によって異なるため

予め約款などで確認したり、保険会社へ問い合わせをしたりするとよいでしょう。

  1. 申し出をするための書類
  2. 遺言書の写し
  3. 検認済証明書の写し(遺言が公正証書遺言でない場合)
  4. 保険契約者の戸籍謄本
  5. 相続人もしくは遺言執行人の印鑑証明書
  6. これらの他にも、被保険者の同意が必要であること、保険会社の取扱要件を満たすことや
  7. 遺言書自体が法律上有効でなければならないなど、遺言による保険金受取人の変更には留意点があります。
2022.05.07

大学へ入学する孫に対する住宅取得等資金の贈与

[相談]

2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。

一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です

通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ

転用できる立地の良い物件を検討しています。

購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を

適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。

気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6ヶ月であることと

購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。

なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。

[回答]

懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については

令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。

ただし、適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点にご留意ください。

詳細は以下、解説をご参照ください。

[詳細]

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築

取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において

一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。

この非課税措置については適用期間が定められており

これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが

これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。

2.懸念されている2点について

(1)受贈者の年齢要件
これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において

20歳以上であること」でした。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から

“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられました。

そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば

お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。

(2)築年数の要件
建築後使用されたことのある住宅用の家屋については

これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」

という、築年数の要件がありました。

これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から

築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋

(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は

新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。

そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても

新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。

なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば

これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため

一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。

懸念されている点については、以上のようになります。

非課税措置の適用を希望される場合には少なくとも年齢要件を満たせるように

住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。

上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。

2022.05.03

遺産分割前における預貯金の払戻し制度

[相談]

父が先日亡くなり、私が喪主として葬儀を執り行い、葬儀費用も負担しましたが

相続人間での遺産分割協議は時間がかかりそうです。

父の預金で葬儀費用の負担分を賄いたいと考えていますが

「相続人全員で遺産分割協議が成立しなければ、故人の預貯金は凍結され、引き出すことはできない」

と聞きました。

遺産分割協議が成立するまで預貯金の引き出しは全くできないのでしょうか?

[回答]

 ご相談の通り、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知ることにより

故人の預貯金の口座の入出金は停止、凍結され、故人の預貯金は

相続の手続きが終わるまで基本的に動かすことができなくなります。

 しかし、このことにより、相続人が過大な負担を強いられたり

迅速な被相続人の債務の弁済に支障を生じたりすることがあるため

令和元年7月1日施行の改正民法で仮払い制度が創設されました。

当面の費用を必要とする各相続人への簡易迅速な払戻しのため、遺産分割が確定する前でも

他の相続人の同意を得ることなく被相続人の預貯金を引き出すことができようになりました(民法909条の2)。

 これにより各相続人は、相続預貯金のうち口座ごとに以下の計算式で求められる額については

家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から他の相続人の同意なしで払戻しを受けることができます。

ただし、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

 

(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

  <計算例>
    普通預金720万円の場合、法定相続分2分の1の相続人(配偶者)への払戻額
    720万円×1/3×1/2=120万円 < 150万円
    払戻限度額 120万円

 

なお、これらの制度により払い戻された預貯金は、後日の遺産分割において
調整が図られることになります。
この制度の利用を考えられた場合は、金融機関へのご相談又は
お近くの弁護士などの専門家へご相談をお願いいたします。

 

 

2022.04.22

成年年齢引き下げによる暦年贈与の特例税率への影響

[相談]

民法改正により、令和4年(2022年)4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが

贈与税(暦年課税)の特例税率の適用については、どのような影響が生じるのでしょうか。

[回答]

令和4年(2022年)4月1日から、暦年贈与の特例税率の適用を受けられる受贈者の年齢要件が

成年年齢の引き下げに合わせて、18歳以上に改正されました。

[解説]

1. 贈与税額の基本的な計算方法

相続税法上、平成13年1月1日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については

課税価格から110万円(基礎控除額)を控除すると定められています。

また、贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を、次の表

(一般贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

2. 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

上記1.にかかわらず、相続税法上、平成27年1月1日以後に直系尊属からの贈与により財産を取得した者の

の年中のその財産に係る贈与税の額は、基礎控除額の控除後の課税価格を次の表

(特例贈与財産用の贈与税の速算表)の上欄に掲げる金額に区分して

それぞれの金額に同表の中欄に掲げる税率を乗じて計算した金額から

下欄の控除額を控除して計算した金額となります。

上記の特例における「贈与により財産を取得した者」については年齢要件が設けられており

今般の成年年齢引き下げ前は「20歳以上」と定められていましたが

令和4年(2022年)4月1日からは「18歳以上」と改正されました。

 なお、上記の年齢の判定日は、贈与年の1月1日と定められていますので、ご留意ください。

2022.04.16

納税のための相続不動産売却

[相談]

父親の財産のほとんどが不動産であるため、相続が発生したら相続税は

相続する不動産を売却して納める予定です。

不動産を売却して相続税を納める際の注意事項を教えてください。

[回答]

相続税は、相続開始後10ヶ月以内に納付することが原則となっていますので

その期間内に納税に充てるための不動産の決定や分割協議を行い

不動産の売買契約から決済までを終え、納税まで完了する必要があります。

相続人が1人である場合やあらかじめ買い手が決まっている場合でない限り

非常に厳しいスケジュールになるとお考えください。

[詳細解説]

1.基本的な流れ

遺産分割協議から不動産の引渡しまでの基本的な流れは、以下の通りです。

(1) 遺産分割協議を経て相続財産から売却する不動産を決める

(2) 不動産業者へ売却を依頼し、不動産の売り出しを開始する

(3) 買い手が見つかれば、買い手と不動産売買契約を締結する

(4) 不動産の引渡しをするための準備をする

  1.   売り手:相続登記、土地の境界確定、古家の解体工事など
  2.   買い手:融資の契約など

(5) 不動産の引渡し(代金最終決済)

 

2.注意点

上記1.の基本的な流れに沿ったスケジュール感や、主な注意点は以下のとおりです。

(1) 遺産分割協議
相続発生後、遺産分割協議を経て売却する不動産を決めることになりますが

遺産を分割するためには相続人の確定や、相続財産の調査などがあるため

遺産分割協議を開始するまでに数ヶ月必要になることもあります。

(2) 売り出し
相続人間での意見が一致しなければ

不動産の売り出し開始時期は大幅に遅れることになります。

(3) 契約締結
不動産の売り出しが始まれば、1~3ヶ月程度で買い手が見つかるケースもありますが

買い手がなかなか見つからないケースもあります。

(4) 引渡しの準備
買い手が見つかっても、すぐには不動産の引渡しはできません。

売り手は境界確定などの準備が必要になります。

境界を確定するためには、1~2ヶ月程度必要です。

他方、買い手が売買代金について金融機関へ融資を依頼する場合

手続きに1ヶ月程度かかります。

 

上記のとおり、不動産を売却するためには、不動産の売り出しから

2~6ヶ月程度は必要になります。相続税がどの程度課税されるのかを調べ

相続税を納めるために、どの不動産を売却するか決めておくなど

あらかじめ準備をしておく必要があります。

あわてて不動産を売却すると、市場価格を下回るなど

不本意な結果になりかねませんので注意しましょう。

2022.04.08

遺産分割に関する民法改正の内容について

民法改正前は・・・

 これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から

何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから

早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき

インセンティブが働きにくい状態でした。

 しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され

多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり

そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる

原因の一つとなっていました。

 そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして

遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。

改正のポイント①

 改正の最も重要なポイントは、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ

相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく

法定相続分によることになったことです。

 すなわち、具体的相続分によれば、法定相続分による場合よりも

多くの財産を取得することができると考える相続人は

他の相続人が得た贈与が特別受益に該当する

あるいは自分が被相続人に行った労務等の提供が寄与分にあたると主張することになりますが

遺産分割の合意ができず、そのような具体的相続分に沿った遺産分割の審判を求める場合には

相続開始時から10年以内に、家庭裁判所に遺産分割請求を行うことが必要となります

(具体的相続分による遺産分割の合意は、相続開始時から10年を経過した後でも可能です)。

改正のポイント②

 なお、上記改正部分の施行日は、令和5年(2023年)4月1日となっていますが

施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても

改正法の適用がある点に留意する必要があります

 但し、経過措置により、相続開始時から10年経過時または改正法施行時から

5年経過時のいずれか遅い時までに、遺産分割請求がされた場合には

具体的相続分による分割は可能とされていますので、少なくとも5年の猶予期間があります。

改正のポイント③

 他にも、現行法では、遺産共有と通常共有が併存する場合において

共有関係を裁判で解消するには、地方裁判所等での共有物分割訴訟と

家庭裁判所での遺産分割請求を別個に実施する必要がありましたが

 改正法では、相続開始時から10年を経過したときは

遺産共有関係の解消も共有物分割訴訟において実施することができるようになります。

 また、相続により不動産が遺産共有状態となったものの

相続人の中に所在等の不明なものがいて、共有関係を解消できないようなケースについて

相続開始時から10年を経過したときは、裁判所の決定を得て

相当額の金銭を供託することにより

所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるようになります。

 

このように、改正法では遺産共有関係の解消の促進

円滑化、合理化が図られていますので、有効に活用されることが期待されます。

 

2022.04.03

[相談]

ここのところ、雑誌等で贈与税の生前贈与分が相続時に取り込まれる

いわゆる“相続税と贈与税が一体化”されるような情報を目にするようになりました。

令和4年度の税制改正大綱が発表され、税制改正関連の法律が成立しましたが

改正項目として含まれたのでしょうか?

[回答]

 令和4年度税制改正では、具体的な改正項目はありませんでした。

ただし、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方の中で

「相続税・贈与税のあり方」としての方向性が示されました。

[詳細]

1.政府与党が公表した令和4年度税制改正大綱
2021年12月10日付で、政府与党が令和4年度税制改正大綱を公表しました。

この中で、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方として

以下のとおり述べています。

相続税・贈与税のあり方:
 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに

相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており

結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。

 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば

その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。

高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば

格差の固定化につながりかねない。

 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ

資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

 わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、

贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。

このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては

生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で

相当に高額な相続財産を有する層にとっては

財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら

多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ

相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から

現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど

格差の固定化防止等の観点も踏まえながら

資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて

本格的な検討を進める。

 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して

何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について

格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

2.資産移転時期の選択に中立的な税制

 『資産移転時期の選択に中立的な税制』とは、どのような税制でしょうか。

この点については、2020年11月13日開催の第4回税制調査会内で

財務省が作成した説明資料が参考になります。

この資料の中で財務省は、「資産移転の時期の選択に中立的」とは

“資産の移転の時期(回数・金額含む)にかかわらず、納税義務者にとって

生前贈与と相続を通じた資産の総額に係る税負担が一定となることをいう”と記しています。

具体的なイメージは、下図のとおりです。

出典:内閣府HP「説明資料〔資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築等について〕

これによって、いつ贈与しても税負担は変わらない、というのが財務省の意見です。

特に暦年課税は、相続時に持ち戻されて相続税が課されるのは

死亡前3年以内の贈与分のみであって、それよりも前の暦年課税による贈与分は

持ち戻されず相続税は課税されません。この点について財務省は

資産移転の時期に中立的でないと示しています。

3.経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置

 現状、経済対策として講じられている主な贈与税の非課税措置は、以下のとおりです。

  1. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成25年(2013年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  2. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの措置]
  3. 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
    [平成27年(2015年)1月1日から令和5年(2023年)12月31日までの措置]

 これらの措置について、今後どういった見直しがされていくのか注視していきましょう。

 

2022.03.26

45万人が活用する贈与税の暦年課税

【1】暦年課税の申告者は45万人弱

相続対策として生前贈与を活用することがあります。

ここでは2021年6月に国税庁が発表した資料(※)から

暦年課税による贈与税の申告状況をみていきます。

 

(※)国税庁「令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
 2021年(令和3年)6月に発表された資料です。

申告人員は2019年分と2020年分が翌年4月末まで

それ以前の年は翌年3月末日までに提出された申告書の計数です。

 

直近5年分の暦年課税(1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額

(110万円)を控除した残額(基礎控除後の課税価格)について

贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて贈与税額を計算するもの)

の申告状況をまとめると、下表のとおりです。

 

2020年分の申告人員は44.6万人で前年と同程度となりました。

うち申告納税額有が35.1万人、申告納税額無が9.5万人です。

2018年分以降は申告納税額有が35万人台で推移しています。

申告納税額がある割合は78.7%で2年連続の低下となりました。

 

【2】申告納税額は2,000億円台で推移

2020年分の申告納税額は2,177億円で前年より増加し

3年連続で2,000億円を超えました。1人当たり申告納税額は62万円で申告納税額と同様

前年に比べ増加しました。

2018年分以降の申告納税額は、2017年分以前より高い水準で推移しています。

暦年課税を実行するにあたっては注意点等がございます。

また、贈与税の改正の動きにも注目が集まっています。ご留意ください。

 

 

2022.03.19

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが

具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより

現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は

自己のために相続の開始があったことを知り
かつ、その所有権を取得したことを知った日から
3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても

適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを

知っていた場合には、令和6年4月1日から3年以内に
相続登記の申請をしなければなりません。

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は

3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)
を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に
その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)
  に登記官に対して申し出ることで、相続登記申請義務を履行したものと
   みなされます(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ
  履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく
法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)
を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.03.06

住宅取得資金の贈与 贈与者との関係

[相談]

マイホームを取得するために親族から受けた資金援助については

一定の金額まで贈与税がかからない特例があると聞いています。

私は年内にマイホームの取得を予定しており

その取得資金の一部について義父から援助を受ける予定です。

この場合、この特例は使えますか?

なお、義父と養子縁組はしていません。

[回答]

ご相談のケースにおける義父からの贈与は、マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は適用できません。

[詳細]

1.住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例

 マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例

(住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例、以下、特例)は

様々な要件があります。そのうちの1つに贈与者と受贈者との間柄があります。


贈与者と受贈者との間柄(要件):

受贈者は、贈与を受けたときに贈与者の直系卑属であること
→言い換えると、
贈与者は、贈与をしたときに受贈者の直系尊属であること」

2.直系尊属、直系卑属

直系尊属(卑属)の“直系”とは、自分を中心に縦の関係にある者をいいます。

(1)直系尊属

 “尊属”は、自分を中心に上の者、つまり前の世代を指します。

よって直系尊属とは、自分からみて父・母・祖父・祖母などを指します。

(2)直系卑属

“卑属”は、自分を中心に下の者、つまり次の世代を指します。

よって直系卑属とは、自分からみて子・孫などを指します。

3.義父は直系尊属?

ご相談のケースは、“義父”からの贈与でした。

“義父”は、受贈者と養子縁組をしている場合を除き

受贈者からみて直系尊属には該当しません。

そのため特例の要件に該当せず、適用を受けることはできないことになります。

この“義父”との間の贈与については

暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率にも影響があります。

暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率は

『一般税率』と『特例税率』があり、特例税率の方が

『一般税率』に比べて税率が低い傾向にあるのが特徴ですが

“義父”との間の贈与は『一般税率』を適用することとなります。

なお、この特例を適用するための要件は、上記以外にもたくさんあります。

マイホームを取得するための資金贈与をお考えの場合には、ご留意ください。

 

 

2022.02.19

遺言書のススメ

[相談]

私は先日夫を亡くしました。私には子がおらず、父母・祖父母はすでに他界しており

兄弟姉妹・甥姪もいないため、身寄りがありません。

私が亡くなったら、面倒を見てくれている亡夫の姪に財産を渡したいと思っていますが

どうすれば良いでしょうか。

[回答]

亡ご主人の姪御さんはあなたの法定相続人ではありません。

あなたには法定相続人がいないため、遺言書がない限りあなたの遺産は原則国庫に帰属します。

姪御さんにお世話になっていたり、今後お世話になったりなどの事情から

あなたが亡くなったあとに残った財産を姪御さんに渡したいときは

遺言書を作成されることを強くお勧めします。

[詳細解説]

法定相続人がいない(相続人不存在)場合、相続開始時から相続財産は法人となり

家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続財産を管理し

相続人を捜索し、相続財産を精算する手続きを行うことになります。

あなたが亡くなったあと遺言がない場合でも、上記の一連の手続きで

姪御さんが療養看護に努めたことなどを以って、特別縁故者として相続財産の分与を家庭裁判所に請求し

認められれば相続財産の全部または一部を姪御さんが受け取ることができます。

 

ただし、姪御さんが確実に財産を受け取れる方法ではありません。

また、家庭裁判所の手続きが煩雑であり、時間もかかります。

姪御さんに遺贈する旨の遺言書を作っておくことが確実です。

遺言は、作成の方式を満たし、遺言の要旨が明らかであれば自筆証書であっても

公正証書であっても効力は同じですが、自筆証書による遺言は

法務局で遺言書の保管をしない限り家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

 

一方、公正証書による遺言は、検認の手続きが不要であることと

公証人が遺言者本人の遺言意思を確認して作ってくれることから遺言の要旨も明らかであるため

紛争が生じる恐れも少なくなります。

したがって、遺言をされる場合は、公正証書で作成されることをお勧めします。

その他ご参考までに、近年高齢の方たちが相続人になるケースで散見される相続の課題として

推定相続人に行方不明者や認知症の方がいる場合があります。

遺産分割協議は、全員が参加し、相続人のうち誰が

何を、どれだけ相続するかを話し合わなければ成立しません。

当事者の行方が分からない場合であっても、認知症で相続の意思を表明できない場合であっても

そのような相続人を含め、全員が参加する必要があります。

行方が分からない相続人がいるときは相続財産管理人に

認知症などで判断能力の不十分な相続人がいるときは

後見制度を利用し後見人にそれぞれ相続人の代理人になってもらい

遺産分割協議に参加してもらうことになります。

これらの制度は状況や事情によっては使えず、遺産分割が進められないこともあります。

このような相続関係が予想されるときは

遺言を作成して遺産分割協議の余地をなくすことが必要です。

2022.02.15

個人間取引で住宅を購入した場合の住宅ローン控除限度額

[相談]

私は昨年(令和3年)、築10年の中古マンションを個人(個人事業者でない個人)から

4,000万円で購入し、居住を開始しました(なお、同額の住宅ローンを利用しています)。

その購入したマンションについて、令和3年分の所得税確定申告で

住宅ローン控除の適用を受けようと考えているのですが

私の住宅ローン控除限度額はいくらになるのでしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、住宅ローン控除限度額は20万円であると考えられます。

[解説]

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が、国内において住宅の取得等をして

これらの家屋を令和3年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合において

その人がその住宅の取得等に係る住宅ローンの金額を有するときは

原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち

その人のその年分の合計所得金額が3,000万円以下である年について

その年分の所得税の額から、一定の住宅ローン控除額(住宅借入金等特別税額控除額)

を控除するという所得税法上の制度です。

2.住宅ローン控除額の計算方法の概要

上記1.の住宅ローン控除額は、原則として

その年の12月31日における住宅ローンの残高(年末残高)に一定の控除率を乗じて計算されます。

なお、住宅ローンの年末残高には上限が設けられており、具体的には、居住年が令和3年で

かつ、その居住に係る住宅の取得等が「特定取得」に該当するものであるときは

4,000万円と定められています。

上記の「特定取得」とは、購入した住宅の対価の額等に

8%または10%の税率で計算された消費税額等が含まれているものを指します。

今回のご相談の場合、個人事業者でない個人から中古マンションを購入されたとのことですが

そのような個人事業者でない個人同士での建物の売買については

消費税はかからないことと定められています。

このため、ご相談の中古マンションの購入は

上記の「特定取得」には該当しないこととなります。

「特定取得」でないマンションの購入について利用した住宅ローンの

上限額は2,000万円と定められており、その場合の控除率は1%と定められています。

したがって今回のご相談の場合、住宅ローン控除限度額は2,000万円の1%

すなわち20万円になるものと考えられます。

2022.01.22

相続登記の義務化等の施行日が決まりました

[質問]

相続登記の義務化がスタートすると聞きましたが、具体的に、いつから何が変わりますか?

[回答]

長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために

不動産に関するルールの見直しがされ、今般、施行日が定められました。

相続登記に関連する改正については、以下のとおり施行(スタート)されます。

 

1.相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り

かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

施行日(令和6年4月1日)よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。

令和6年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には

令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

 

また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出

(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に

その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。

2.相続人申告登記(令和6年4月1日施行)

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と

②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで

相続登記申請義務を履行したものとみなされます

(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。

この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので

遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。

3.遺産分割に関する民法のルール変更(令和5年4月1日施行)

相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は

原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく

法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。

10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば

具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)

を行うことは可能です。

4.その他

その他、主な改正の施行日は以下のとおりです。

  1. 相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
  2. 所有不動産記録証明制度(未定ですが令和8年4月までに施行)
  3. 住所等変更登記の義務化(未定ですが令和8年4月までに施行)
  4. 職権による住所等の変更登記(未定ですが令和8年4月までに施行)
2022.01.14

姪を保険金受取人に指定できますか

[相談]

近所に住んでいる姪(以下、Aさん)に、日頃から私の生活の介助をしてもらっています。

私が死んだ後にお礼の意味も込めて、私が自らを被保険者として掛けている生命保険の

受取人になってもらおうと思うのですが、可能でしょうか。

可能であれば、この生命保険の受取人を子から変更をしようと思います。

何か問題があれば教えてください。

【生命保険の契約内容】

  1. 契約者(保険料負担者):私
  2. 被保険者:私
  3. 死亡保険金受取人:子
  4. [回答]

  5. ご相談者の“姪”であるAさんを、受取人とすることは可能ですので
  6. 変更できるかと思いますが、念のため契約されている生命保険会社へ
  7. 事前に問い合わせていただくといいと考えます。
  8. なお、ご相談者の相続時には、この生命保険金は相続財産とみなされて
  9. 相続税の課税対象となります。
  10. その際に、仮にお子さん等が存命であれば、Aさんはご相談者の養子でなければ
  11. 相続人にはなれませんので、この生命保険金に係る非課税の適用を受けることができません。
  12. また、受取人変更に伴うトラブルにもご注意ください。

[詳細解説]

1.保険金の受取人

保険金の受取人となることができるのは、保険会社によって異なりますが

「被保険者の戸籍上の配偶者および二親等内の血族」の範囲内と定められていることが一般的です。

具体的には、被保険者からみて、祖父母、父母、子、兄弟姉妹、孫が該当します。

ご相談のケースでは、受取人としたいAさんが被保険者であるご相談者からみて

姪の立場であることから、受取人となることは可能だと考えます。

この受取人の指定は、加入時に契約者が行いますが

契約後も被保険者の同意を得て途中で変更することが可能です。

したがって、ご相談のケースでは受取人の変更も可能かと思われますが

念のため、契約された保険会社へ事前にお問合わせいただくといいと考えます。

なお、保険会社によっては、個別事情の詳細を報告することで

内縁関係にある者、婚約者、共同経営者等の指定を認める場合もあります。

上述の範囲外の人を指定したい場合は、個別に保険会社や取扱代理店などに確認が必要です。

2.税務上の取扱い

受取人を指定・変更する際は、受取人を誰にするかで

税務上の取扱いが変わることもあるため、注意が必要です。

例えば、契約者=保険料負担者=被保険者=被相続人の契約において

死亡保険金受取人が相続人の場合、受け取った死亡保険金は、相続税の計算上

死亡保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)を適用できます。

他方、受取人が相続人以外の場合は、死亡保険金の非課税を適用することができません。

ご相談のケースでは、お子さんがいらっしゃるようですので

仮にお子さんが存命である中で相続が発生した場合には

Aさんがご相談者の養子にならなければ相続人となることはできません。

仮にAさんが相続人とならなければ、上記の非課税は適用できないことにご注意ください。

なお、受取人を変更されるのであれば、変更後の受取人となるAさんへの事前説明や

今回の生命保険についてお子さんが受取人だと知っている場合には

お子さんへの説明も同時にご検討ください。

特に、死亡保険金は相続税の課税財産となるため、相続税を計算する上で加算しなければならず

他の相続人にも当然知られます。

そうなることによって、親族間でのトラブルに発展する可能性も考えられるため

受取人の変更は慎重に検討されることをお勧めします。

2021.12.25

配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

[相談]

30年前、父が建売住宅を購入して、そこに家族で住んでいました。

弟はすでに独立し、長男である私は結婚後に、この家をリフォームして現在二世帯で暮らしています。

先月、父が死亡し、これから遺産分割協議をするのですが、母が死亡した後の相続を考えると

この家は母が存命の間に私が相続しておきたいと考えています。

とはいえ、母としても何かあったときにこの家から追い出されるのではないか

との懸念もあるようなので、配偶者居住権を設定しておきつつ

建物と土地は私が相続することでどうか、と提案したところ

母から了承を得ました。

弟には弟の相続分も考えて伝えたところ、母がいる手前か

概ね了承してくれています。

この相続によって相続税がいくらかかるのか試算したいのですが

仮に私がこの土地建物を相続した場合、相続税評価額はどうやって計算するのでしょうか?

[回答]

まず、建物部分については、建物全体の相続税評価額から

配偶者居住権の価額を控除した金額が相続税評価額となります。

土地部分も同じく、土地全体の相続税評価額から敷地利用権の価額を

控除した金額が相続税評価額となります。

なお、土地部分については一定の要件を満たした場合

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

[詳細]

1.配偶者居住権・敷地利用権とは

配偶者居住権とは、被相続人の所有する建物に相続開始時点で配偶者が居住していた場合に

相続後も配偶者がそのままその建物に無償で住み続けることができる権利です。

この配偶者居住権を配偶者が相続等により取得した場合

その配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利も付随して

配偶者が相続等により取得したものと考えられています。

この配偶者居住権に基づき使用する敷地の権利を、敷地利用権といいます。

2.配偶者居住権等が設定された土地建物を相続した場合

ご相談のケースで、お父様(以下、被相続人)が所有していた

居住用の土地建物について、配偶者居住権・敷地利用権(以下、配偶者居住権等)

を設定した上で相続した場合の相続税評価額は

それぞれ次の算式により計算します。

建物の相続税評価額:建物全体の相続税評価額 - 配偶者居住権の価額
土地の相続税評価額:土地全体の相続税評価額 - 敷地利用権の価額

いずれも

まずは配偶者居住権等の価額を計算した上で控除することとなる点にご留意ください。

なお、土地については、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合には

小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。その点もあわせてご注意ください。

2021.12.04

相続した実家を売却したい

[相談]

親が亡くなり、実家を相続することになりました。私には持ち家があり

住む予定もないため、売却する予定です。実家は築後50年を経過し定期的な修繕も行っていないため

現状のまま利用することは困難です。

こうした場合、家屋を取り壊してから売却した方がよいのでしょうか?

[回答]

利用困難な建物が土地上に建っている場合でも、基本的には「建物解体更地渡し」の条件付きで

古家付きのまま販売を開始することが多いです。

[詳細解説]

1.固定資産税の軽減措置

古家付きのまま販売を開始する理由の一つは

固定資産税(都市計画税含む。以下同じ)の住宅用地(住宅の敷地)に対する軽減措置です。

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、住宅用地の場合

固定資産税の計算の基礎となる課税標準額は、たとえば面積200㎡以下の小規模住宅用地であれば

固定資産税評価額(価格)の6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されます。

そのため建物を取り壊し更地の状態で1月1日を迎えた場合

住宅用地の軽減措置の対象外となり、固定資産税は大幅に増加します。

実務的には、不動産取引の現場では、古家付きの土地の場合は

「建物解体更地渡し」の条件付きで販売し、売買契約締結後に

建物を取り壊して更地の状態で買主へ引き渡すことが通例になっています。

ただし、早い段階で更地にした方が売りやすくなる場合もありますので

販売状況や1月1日までの期間を見計らいながら

更地の状態で販売するために、前倒しで建物の解体を行うこともあります。

2.空き家の3,000万円特別控除

建物が昭和56年5月31日以前に建築されているなど一定の要件を充たすことで

“空き家の3,000万円特別控除”といわれる税制措置が利用できる可能性があります。

この制度の利用により税負担を軽減することができますので

譲渡所得が発生する場合は、税制措置の利用可否について

事前に確認されることをお勧めします。

2021.11.27

生命保険を活用した相続対策

[相談]

私が亡くなると相続人は成人した子ども2人です。

私の財産は、自宅マンションと預金を合わせて大体5,000万円程度となります。

生命保険には入っていないのですが、先日子どもから、相続対策に生命保険に入ったらどうか

といわれました。本当に対策になるのでしょうか?

[回答]

生命保険は、相続対策によく使われる金融商品の一つですが

それには相続を迎える前に考えておきたい「相続財産の評価」「遺産分割」「流動性資金の準備」

の3つの面でメリットがあるからです。

[詳細]

1.現行の相続税の計算

現行の相続税法による相続税の計算は、

まず相続または遺贈などにより財産を取得した各人の課税価格を計算します。

この課税価格には、預金などの他にも、いわゆる“みなし相続財産”といわれる生命保険金や

退職手当金等も含まれ、相続により引き継いだ債務や負担した葬式費用などを控除した後の金額をいいます。

この課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いた金額に対して相続税が課税されます。

この場合の基礎控除額とは、次の算式により計算した額です。

3,000万円+600万円×法定相続人の数(※)
(※)法定相続人の数は、相続を放棄したとしても

その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。

ご相談の場合、法定相続人が2人であるときの基礎控除額は、4,200万円(3,000万円+600万円×2人)です。

仮に課税価格の合計額が5,000万円だったとすると

基礎控除額を差し引いた800万円に対して相続税が課税されることとなります。

2.預金を生命保険に変えたことによるメリット

同じ相続財産として課税されるとしても、それが預金であるか死亡保険金であるかによって

主に以下の違いがあります。

(1)相続財産の評価

現預金は100%相続税の課税対象になりますが

死亡保険金には以下の非課税枠があります。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
※ただし、契約者と被保険者が同一で死亡保険金受取人が法定相続人の場合に限ります。
例)法定相続人が子2人の場合、非課税枠は500万円×2人=1,000万円となります。

(2)遺産分割

生命保険の場合、受取人をあらかじめ指定するため

大切な人に確実に資産を遺すことができます。法定相続人以外にも財産を遺せます。

ただし、原則、死亡保険金受取人は、被保険者の配偶者または2親等内の血族の範囲内で指定することになります。

保険会社によっては配偶者や2親等内の血族以外の人を受取人として認める場合もありますので

事前に保険会社へ確認されるとよいでしょう。

なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には

上記(1)の非課税枠の適用はありませんので、ご注意ください。

(3)流動性資金の準備

相続が発生して銀行口座が凍結された場合、預金は容易に引き出せなくなります。

しかし、死亡保険金は受取人からの請求により速やかに支払われますので

葬儀費用や入院費用、当面の生活費といった費用に充てることができます。

どういった資産の種類をどのような割合で保有しておくことが最適なのかについては

その方のライフスタイルに応じて

また、一度決めたとしてもその後の年齢や住環境の変化により変わる場合もあります。

 

2021.11.13

小規模宅地の特例の適用に関する裁判で国が勝訴しました(但し東京高裁です)

相続人の事業により被相続人の生計の維持が必要

東京高等裁判所は、被相続人が所有する土地上で事業を営んでいた控訴人(被相続人の親族)が

相続で取得した土地に「小規模宅地特例」が適用されるか否かを巡り争われた事件について

控訴人の控訴を棄却しました

東京高裁は、控訴人が営んでいた事業により被相続人の生計が支えられていたとはいえないことなどから

本件土地は、同特例の適用対象となる「被相続人と 生計を一 にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等

には該当しないと判断しました

生計一か否かが問題になります

被相続人の甥であり養子である相続人Aは、被相続人が所有する本件土地上で大工業を営んでいました。

相続人Aは、被相続人と同居していなかったものの、生前から日常の世話をしており

被相続人が老年期認知症にり患したことに伴って被相続人の成年後見人として

財産管理を行うことになりました。

平成26年8月に被相続人が死亡したことにより、相続人Aが本件土地を相続しました。

相続人Aが,本件土地に小規模宅地の特例の適用があることを前提に相続税の申告を行いましたが

国が更正処分等を行ったことで裁判となりました。

争点は、本件土地が「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等(特定事業用宅地等)

に該当するか否かが問題となりました。

東京高裁の判断・・・国の更正処分等は適法

東京高裁は、まず,小規模宅地特例の趣旨について

「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」は、被相続人の生前から

一般にそれが事業の維持のために欠くことのできないものであって

その処分について相当の制約を受けることが通常であることを踏まえて

相続財産としての担税力の有無に着目し、相続税の負担の軽減を図ることとしたものであるとし

被相続人から「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」を相続した場合も

その宅地等には担税力がないため、相続税の負担の軽減を図る必要があるとした。

そして、「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」は

相続人の生計だけでなく, 被相続人の生計 をも支えていた相続人の事業の用に供されていた宅地等を指しており

被相続人の生計が支えられていない場合には、相続人の営む事業は被相続人の生計とは関係がないため

被相続人が生前、同宅地等を処分することに制限がなく、同宅地等に担税力の減少は生じていないことから

相続人の相続税の負担を軽減するという同特例の趣旨には当たらないとの解釈を示しました

その上で相続人Aが本件土地上で営んでいた大工業により、被相続人の生計が支えられていたとはいえないため

本件土地は「被相続人と生計を一にしていた相続人(親族)の事業の用に供されていた宅地等」には該当しないと指摘したうえで

国の更正処分等は,適法と判断しました

2021.10.09

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できますか?

[相談]

私は現在、住宅ローン控除の適用を受けています。

諸般の事情により、住宅ローン控除の適用を受けているその住宅(自宅)を

今年(2021年)中に売却し、同じく今年中に新しく住宅(自宅)を

購入することを検討しています。

現在の自宅の売却については売却益が出る見込みのため

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を

受けたいと考えています。

同時に、新たに購入する自宅について住宅ローン控除の適用も受けたいと

考えているのですが、その併用は可能でしょうか。教えてください。

[回答]

ご相談の場合、マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例と

住宅ローン控除の併用はできません。

[解説]

1.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の概要

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例とは

正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

具体的には、個人が所有する居住用財産(マイホーム)を売却した場合において

その売却による利益(譲渡所得)から最高で3,000万円を控除できるという所得税法上の制度です。

なお、上記の「最高で3,000万円を控除できる」という部分について

売却したマイホームの所有期間の長短は影響を及ぼしません。

2.マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための要件

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けるための主な要件は

下記のとおりです。

  1. ①自分が住んでいる住宅等の売却であること
  2. ②過去に自分が住んでいた住宅等を売却した場合には
  3.  その住宅等に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること
  4. ③その年の前年又は前々年においてマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の適用を受けていないこと

3.住宅ローン控除制度の概要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等をし

令和3年12月31日までにそのマイホームに実際に住んだ場合で一定の要件を満たすときにおいて

その住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を

マイホームに実際に住んだ年分以後の一定の各年分の所得税額から控除するという所得税法上の制度です。

ただし、この制度は、そのマイホームに実際に住んだ年とその前年、前々年に

上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の規定の適用を受けている場合には

適用しないことと定められています。

また、そのマイホームに実際に住んだ年の翌年以後3年以内の各年において

住んでいた住宅等を売却し、上記1.のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例等の

適用を受ける場合にも適用しないと定められています。

つまり、マイホームに実際に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間については

住宅ローン控除とマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例は併用できないということです。

したがって、今回のご相談の場合についても、同じ年(2021年)において住宅ローン控除と

マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除の特例の併用はできないこととなります。

******************

近江清秀公認会計士税理士事務所

651-0087神戸市中央区御幸通8-1-6

神戸国際会館17

(Tel)078-959-8522

(Fax)078-959-8533

kiyohide@kh.rim.or.jp

 

オフィシャルHP

https://www.marlconsulting2.com/

AI搭載クラウドシステムfreeeの導入兵庫県第1位のHP

https://www.freee-kessan.com/

累計600件以上の相続税申告実績!相続税専門税理士のHP

https://www.kobesouzoku.com/

不動産賃貸専門税理士のHP

http://www.不動産賃貸税理士.com/

兵庫M&A・事業承継支援センターのHP

https://www.ma-hyogo.com/

******************

 

2021.09.25

住宅取得等資金贈与の非課税の期限に留意してください

現行税制は本年末までの贈与・契約締結が必要です

令和3年度改正で住宅取得等資金贈与の非課税措置について

床面積要件の緩和や非課税限度額引上げ等の見直しは行われましたが

同制度の延長は行われませんでした。

適用期限は令和3年末とされていますが、令和3年8月末公表の令和4年度税制改正要望では

国土交通省から同制度について所要の措置を講じる要望が行われています

R3改正では床面積要件の緩和等

この制度は、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に

合計所得金額が2,000万円以下の20歳以上の受贈者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に

一定額までが非課税となるという内容です。

令和3年度改正で、令和3年1月1日以後の贈与について合計所得金額1,000万円以下

の場合に床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和され

同年4月以降の非課税限度額の引上げ等の見直しが行われました。

現行では、令和3年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受け

かつ、その資金の全額を充てて住宅の新築・取得又は増改築等に係る契約を

締結していることが要件の一つとなります。

なお、贈与と契約締結の順番は問いません。

新築等は贈与の翌年3月15日までに

贈与及び契約締結時期に係る要件のほか、住宅の新築等は贈与年の翌年3月15日までに

行わなければなりません。

住宅の新築の場合は、同日において新築工事が完了している(いわゆる棟上げまで完了している場合を含む)こと

取得の場合には同日までにその引渡しを受けていることが必要となります

原則贈与の翌年3月15日までに入居

住宅への入居期限は原則として贈与年の翌年3月15日までとされていますが

同日後遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合には

居住の予定時期等を記載した書類等を申告時に添付することで同制度の適用が認められます。

ただし、贈与年の翌年12月31日までに居住していない場合は

適用を受けられなくなるため修正申告が必要となります。

これら期限の要件等を満たし同制度の適用を受ける場合は

贈与税の申告期限内(贈与年の翌年2月1日から3月15日まで)に

住宅の新築に係る工事の請負契約書や

取得に係る売買契約書の写しなど一定の書類を添付して申告を行うこととなります

 

******************

近江清秀公認会計士税理士事務所

651-0087神戸市中央区御幸通8-1-6

神戸国際会館17

(Tel)078-959-8522

(Fax)078-959-8533

kiyohide@kh.rim.or.jp

 

オフィシャルHP

https://www.marlconsulting2.com/

AI搭載クラウドシステムfreeeの導入兵庫県第1位のHP

https://www.freee-kessan.com/

累計600件以上の相続税申告実績!相続税専門税理士のHP

https://www.kobesouzoku.com/

不動産賃貸専門税理士のHP

http://www.不動産賃貸税理士.com/

兵庫M&A・事業承継支援センターのHP

https://www.ma-hyogo.com/

******************

2021.07.09

事業用資産の買換特例(面積制限5倍)

事例

甲市の自社ビル(土地40㎡と建物)を売却して、乙市で土地を800㎡取得しました

800㎡の土地の内訳は

X氏から取得した600㎡(10万円/㎡)

Y氏から取得した200㎡(20万円/㎡)

です。この場合、買換特例の適用対象となる土地とその価額はいくらですか

結論

X氏から取得した土地のうち150㎡(1500万円)

Y氏から取得した土地50㎡(1000万円)が買換資産となります

解説

買換え特例の適用に当たって、買換えにより取得した土地の面積が

譲渡した土地の面積の5倍を超える場合には、5倍を超える面積については

適用対象外となります

また、買換資産に該当する土地等を2以上取得してその合計面積が

制限面積を超える場合には以下の通りとなる

 

甲市の土地・・・40㎡

X氏から取得した土地・・・600㎡×10万円=6000万円・・・A

Y氏から取得した土地・・・200㎡×20万円=4000万円・・・B

以上のような場合の買換資産の取得価額の合計金額は

(A+B)×40㎡×5倍/(X氏600㎡+Y氏200㎡)=2500万円

その場合、X氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×X氏600㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=150㎡

150㎡×10万円=1500万円

さらに、Y氏から取得した土地のうち特例適用対象は

40㎡×5倍×Y氏200㎡/X氏600㎡+Y氏200㎡=50㎡

50㎡×20万円=1000万円

2021.06.27

事業用資産の買換特例の事例紹介2(面積制限300㎡)

設例

親世代が、相続税対策で収益物件を所有しているケースがある場合

相続した子世代は、収益物件を相続したとしても

その収益物件をそのまま所有し続けるよりも

買換える事例が多くあります

この度、買換取得を検討している物件の中に、1棟建てビルの2階部分

(及びその部分に対応する敷地)があります。

このビル全体の敷地は1000㎡ほどあります。

このビルは買替資産としての土地の面積要件は満たしていますか?

結論

共有の土地を買換取得資産とする場合は、

土地の総面積に共有持分を乗じた後の面積で300㎡以上

となるか否かを判定することになる

解説

この事例の場合、ビルの敷地の総面積が1000㎡であるため

共有持分割合が30%以上であれば面積要件である

300㎡以上を満たすこととなる。

その他の要件を満たしていれば、事業用資産の買換特例

を適用することができる。

 

なお、買換資産とする土地等については

上記300㎡以上という要件の他に

譲渡した土地等の面積の5倍以内といった

面積制限も規定されている

近江清秀公認会計士税理士事務所専門サイトのご紹介

  • オフィシャルサイト
  • クラウド会計ソフト「freee」専門サイト
  • 兵庫M&A事業承継センター
  • 不動産賃貸専門税理士
  • Mykomon
  • 瀬号パートナーズ
  • あと法務事務所
  • 正道会館