国税庁が預貯金等の紹介業務のデジタル化を全国展開します
2021年10月から実施するようです
国税庁は本年10月より,金融機関等と連携し,調査対象者に係る「預貯金等の照会・回答業務」
のデジタル化を全国展開する予定です。
現在,紙ベースで行われている同業務について,国税当局は昨秋,
一部の国税局・税務署と金融機関との間で,オンラインを活用した実証実験を実施しました。
実証実験の結果,金融機関からの回答受領期間が,
書面照会と比べて短縮されるなどの効果があり
同業務の“デジタル化”を加速させることにきまりました。
600万件の預貯金情報を書面で照会
「預貯金等の照会・回答業務」は,税務調査等の際に
行政機関と金融機関との間で行われており,内閣官房の集計によると
年間の照会件数は約6,000万件にも及びます。
このうち国税関係が約600万件と,国の行政機関としては最も多く
全体の約1割を占めている状況です
同業務は,全て紙ベースの人手作業で行われているため
金融機関側では,照会文書に基づく契約者の特定のほか
回答書類の作成・発送などといった業務負担が生じているのが現状です
国税当局側でも,照会文書の作成・発送や回答書類の開封
保管等の事務に時間を要しているようです
オンライン照会で回答日数が短縮
国税当局は,同業務の“デジタル化”に向け,昨年10月19日から12月18日までの2か月間
実証実験として,金融機関4行と一部の国税局・税務署との間でオンライン照会・回答を実施しました
①デジタル化による業務効率化効果及び費用対効果
②デジタル化に対応した事務フローの環境テスト等を検証した。
実証実験期間中,金融機関に対して2,601件(延べ10,097人)のオンライン照会を実施し
金融機関から4営業日以内に90%以上の回答が得られたようです。
また,同期間中の書面照会の平均回答日数11.3日に比べ
オンライン照会の平均回答日数は2.5日に短縮される結果となるなど
国税当局と金融機関の双方にとって業務の効率化に繋がったようです
入力作業等の業務効率化が期待
国税庁は,実証実験の結果,書面照会に比べて回答受領期間が短縮されたとともに
書面で受領したデータの入力作業がなくなったことによる業務効率化の効果が期待されることを踏まえ
本年10月より,全国でオンライン照会(対象金融機関は順次拡大)を導入することを予定しているようです
なお,オンラインによる照会・回答は,株式会社NTTデータが提供する
預貯金等照会業務のデジタル化サービス「pipitLINQ」を介して実施する予定のようです(令和3年度)。
デジタル化に取り組む金融機関側の早期の投資決定を促進する観点から
全ての国税局・税務署での導入を想定しており,今後,所要の準備に着手するようです