納税のための相続不動産売却
[相談]
父親の財産のほとんどが不動産であるため、相続が発生したら相続税は
相続する不動産を売却して納める予定です。
不動産を売却して相続税を納める際の注意事項を教えてください。
[回答]
相続税は、相続開始後10ヶ月以内に納付することが原則となっていますので
その期間内に納税に充てるための不動産の決定や分割協議を行い
不動産の売買契約から決済までを終え、納税まで完了する必要があります。
相続人が1人である場合やあらかじめ買い手が決まっている場合でない限り
非常に厳しいスケジュールになるとお考えください。
[詳細解説]
1.基本的な流れ
遺産分割協議から不動産の引渡しまでの基本的な流れは、以下の通りです。
(1) 遺産分割協議を経て相続財産から売却する不動産を決める (2) 不動産業者へ売却を依頼し、不動産の売り出しを開始する (3) 買い手が見つかれば、買い手と不動産売買契約を締結する (4) 不動産の引渡しをするための準備をする
(5) 不動産の引渡し(代金最終決済) |
2.注意点
上記1.の基本的な流れに沿ったスケジュール感や、主な注意点は以下のとおりです。
(1) 遺産分割協議
相続発生後、遺産分割協議を経て売却する不動産を決めることになりますが
遺産を分割するためには相続人の確定や、相続財産の調査などがあるため
遺産分割協議を開始するまでに数ヶ月必要になることもあります。
(2) 売り出し
相続人間での意見が一致しなければ
不動産の売り出し開始時期は大幅に遅れることになります。
(3) 契約締結
不動産の売り出しが始まれば、1~3ヶ月程度で買い手が見つかるケースもありますが
買い手がなかなか見つからないケースもあります。
(4) 引渡しの準備
買い手が見つかっても、すぐには不動産の引渡しはできません。
売り手は境界確定などの準備が必要になります。
境界を確定するためには、1~2ヶ月程度必要です。
他方、買い手が売買代金について金融機関へ融資を依頼する場合
手続きに1ヶ月程度かかります。
上記のとおり、不動産を売却するためには、不動産の売り出しから
2~6ヶ月程度は必要になります。相続税がどの程度課税されるのかを調べ
相続税を納めるために、どの不動産を売却するか決めておくなど
あらかじめ準備をしておく必要があります。
あわてて不動産を売却すると、市場価格を下回るなど
不本意な結果になりかねませんので注意しましょう。