2012.05.27更新

<事例>
 被相続人の配偶者が、被相続人に係る入院給付金(生命保険契約に基づく給付金)
を相続開始後に受取った。
 なお、配偶者は、当該保険契約における死亡保険金及び入院給付金の受取人と
なっていた。この場合、配偶者が受取った入院給付金に係る課税関係はどうなるか

<解説>
 配偶者が受取った入金給付金は、被相続人に係る相続税の課税対象とならない
また、配偶者の所得として所得税が課税されることもない(非課税となる)


この事例には、いくつかの論点があります。
まず、入院給付金の受取人が被相続人以外であれば相続税の課税対象となりません

【相続税法基本通達3-7】
「法第3条第1項第1号の生命保険契約又は損害保険契約の保険金は、
被保険者の死亡を保険事故として支払われるいわゆる死亡保険金に限られ、
被保険者の傷害疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故
として支払われる保険金又は給付金は、当該被保険者の死亡後に支払われたもの
であっても、これに含まれないのであるから留意する。」

ただし、同じ基本通達3-7の注意書きでは以下のように定めている
『被保険者の傷害、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを
保険事故として被保険者に支払われる保険金又は給付金が、当該被保険者の
死亡後に支払われた場合には、当該被保険者たる被相続人の本来の相続財産
になるのであるから留意する。』

従って、相続税基本通達3-7注意書が根拠となって今回の事例の入院給付金は
相続税の課税対象となりません


次に、入院給付金が配偶者の所得税の課税対象とならないという
根拠は、所得税法基本通達9-20です

【所得税法基本通達9-20】
令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、
自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と
身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害
を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、
当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする

 
 この記事以外にも、下記URLのマイベストプロ神戸に私のコラムの
書込みをしていますのでご覧ください

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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.05.19更新

<事例>
Aさんの相続人は、長男Bと長女Cです。Aさんの相続財産は
駐車場経営をしている土地Xだけでした。

この土地Xは、路線価評価8000万円(時価1億円)です

長男B長女CともにAさんの住む関西から遠く離れた街で生活を
してるため、土地Xを相続して駐車場経営を継続する予定は
全くありません。

そこで、BCが相談した結果以下のように遺産分割が成立しました。

土地XをBが相続し、売却代金1億円から長女Cの法定相続分である
5000万円(1億円の1/2)をCに対して支払う。

さて、この場合の課税関係について教えてください。
また、これ以外の方法で節税できる方法があれば教えてください

<解説>
 今回、BCが相談によって成立した遺産分割の方法を「代償分割」
といいます。

『代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人
又は数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の
共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合
に行われる方法です。』   <国税庁HPより>

今回のような代償分割の場合、Bが土地Xを単独で取得して売却する
ことになります。 さらに、BからCへ支払われる5000万円の代償金は
所得税の計算上取得費としても譲渡費用として扱われることはありません。

その結果、土地Xの売却から発生する所得税はBのみが負担することに
なりまります。最終的には長男Bは、土地売却に伴う所得税分だけ
Cよりも手取り金が少なくなってしまいます。


しかし今回のような事例で一般的には不動産の売却を予定している場合には、
「換価分割」という方法を選択したほうが節税できます

換価分割の場合以下のようなプロセスになります
1.不動産を遺産分割協議書に基づいて登記します
2.BCの共有名義で土地Xを売却します

『代償分割』と『換価分割』との違いは以下の2点です
1.土地X売却に伴う所得税をBCともに負担すること
2.相続税の取得費加算をBCともに適用できるので節税できる

相続により取得した不動産を分割するに当たっては充分にご注意ください


なお、今回の質疑応答事例に類似した論点として

【相続税質疑応答編-7 遺留分の減殺請求と相続税・譲渡所得税の関係 】
があります。下記URLで詳細に解説をしていますので
併せてご確認ください。

http://mbp-kobe.com/kobe-souzoku/column/24659/


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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.05.13更新

<事例>
オーナー社長であるX氏は、自らが代表取締である甲社の経営基盤を強化するため
X氏所有の土地を、売却することにしました。

そこで甲氏は、できるだけ安く売却することを考えた結果
時価が5000万円の土地を2600万円で売却することに決めました。

この場合の課税関係について教えてください
なお、甲社の株主構成はX氏が60%・残りの40%の株主は配偶者と長男です。

<解説>
X氏名義の時価5000万円の土地を、2600万円で甲社に譲渡することについては
実際の売買金額である2600万円を基にした所得税が課税されます。

ここで、注意すべきポイントは個人から法人へ時価の1/2未満の対価で資産を譲渡した
場合には、時価で譲渡したとみなして所得税が課税されます。(所得税法59条)

つまり、今回の場合X氏がこの土地を甲社に対して2000万円(時価の40%)で
譲渡した場合は、5000万円で譲渡したとみまして所得税が課税されるということです。


次に、時価が5000万円の土地を2600万円で取得した場合の甲社の他の株主に対する
影響を検討すると、時価と実際の売買価額との差額が株価の上昇要因となります。

株価の立場からすると、X氏の配偶者と長男の所有する甲社株の株価の上昇分は
X氏から配偶者と長男へ贈与されたものとして扱われます。

根拠は、相続税法基本通達9-2です(参考のために以下で全文を紹介します)


(相続税法基本通達9-2)
同族会社の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したとき
においては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当
する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うも
のとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、
債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。

(1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者

(2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者

(3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 
   当該債務の免除、引受け又は弁済をした者

(4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 
   当該財産の譲渡をした者

ここで注意すべきポイントは、時価の50% 以上の売買価額であっても上記の相続税法
基本通達9-2に記載されている「著しく低い価額」に該当する場合があるということです。


さらに、冒頭で時価の50%以上の価額で売買すればみなし所得税は課税されないという
所得税法59条をご紹介しましたが、たとえ50%以上の価格による売買でも

X氏の所得税を不当に減少される行為であると税務署長から認定されると
時価による売買があったものとして、所得税の再計算を行わなければなりません。


(所得税法基本通達59-3)
山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産を
法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、法第59条第1項第2号の規定の
適用はないが、時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、
その譲渡が法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》の規定に該当する場合には、
同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する
金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。


オーナー一族と同族会社との不動産取引には、様々な税務上の問題があります。
実際の取引に当たっては、事前に充分に検討する必要があります。


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2012.05.04更新

<事例>
Aさんは妻を10年前に亡くし、相続人は長女B次女C長男Dの3人が
相続人となっている。
 BとCは、Aの近所に住んでいたこともあって妻亡き後のAの
日常生活を支えていた。一方でDは、就職もせずAの財産をあてに
生活を続けていた。
 そのため、Aは自宅及び預貯金のすべての財産をBCに半分づつ
相続させる旨の遺言書を作成していた。

 Aの死後、BCは遺言書に基づき不動産の名義変更を行いました。
預貯金については、解約及び名義変更に当たってDの実印も必要と
なることから、名義変更手続きは仕掛中です。 
 相続税の申告については、遺言書の内容に基づいてBC二人で
申告・納税ともに済ませました。

 そのことを知ったDは、遺留分の減殺請求の訴えを起こしました。
その結果Dは、「遺産総額の1/6に相当する金銭をBCから受取る」
という内容で和解しました。

 この場合、BC、Dの税務上の対応はどのようにすればいいでしょうか。

<解説>
 今回の事例は、実務では非常によくあるパターンですので
基本事項の確認も含めて解説をいたします

 まず、Dの合意なくBCが不動産の相続登記を行うことができるのか
という問題です。 

 これは過去の最高裁判例で「特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」
趣旨の遺言は、特段の事情のない限り、何らの行為を要せずに、被相続人
死亡の時に直ちに当該遺産当該相続人に相続により承継される」
(最判平成3年4月19日民集45巻4号477頁参照)という考え方
が明示されています。

 従いまして不動産の相続登記自体に問題はありません。
しかしDは、遺留分(つまり法定相続割合の半分なので1/6)の主張を
当然に行うことができます。

 そこで、今回の和解のように遺留分相当額の金銭を支払うことで
BCvsDは、合意することになります。

 実務上の留意点としては、法的に有効な遺言書が存在しても
法定相続人全員の合意がなければ、金融機関は被相続人の口座の名義
変更は行ってくれません。 

 したがって、今回の事例の場合もBCがDの訴えに応じて和解しない限り、
A名義の預金口座は凍結されたままになってしまうという問題が発生します。

 さて、この場合の相続税上の対応ですが、当初は遺言書に基づいて
Aの全財産を半分づつ相続していたBCですが、Dの訴えにより
和解することにより、相続財産が1/12づつ減ることになりました。

 そこで、和解の翌日から4ヵ月以内に更正の請求(税金の還付手続)
をすることができます(相続税法32条3項)
 また、Dは相続による財産を取得したわけですから、相続税の申告
をすることができます

 ただし、BCDいずれも更正の請求や相続税の申告をすることが
できるという規定になっていますから、何もしなくても税務上
問題はありません。 

 しかし、実務上はBCが払い過ぎの相続税を還付する手続きを
するのが一般的です。 その場合、Dは相続税の申告納税を
しなければ、税務署から相続税額の決定をされてしまいます。


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