2012.08.19更新

<事例>
今回は、生計を一にする母親のために住宅を買換えた場合の買換特例の
摘要について確認します。

Aは平成元年にに父親から相続により取得した自宅で母親と同居していました。
その後、平成20年にAは転勤のため会社の社宅に転居をしましたが
母親の生活費はすべてAが負担していました。

しかし、最近では母親が生活しているA名義の自宅も老朽化が進んだことと
Aの転勤生活もあと5年の目途がついていることから、現在のA名義の自宅
近くに自宅を買換えることにしました。

新しい自宅には引続き母親だけが生活しますが、5年後に転勤生活が
終わればAの家族とともに母親と同居する予定でいます。

さて、このような事例の場合に居住用財産の買換特例は適用できるでしょうか・

<解説>
今回の事例では、論点が以下のとおり2つあります
1.生計を一にする母親が一人暮らしをしているA名義の自宅は、
  買換特例の適用対象になるか?

2.買換える新居は、当分の間母親が一人暮らしをする予定で
  いつからAが同居するのかはまだ確定していない状況で
  買換特例の適用対象になるか?


まず、1つ目の論点ですが生計を一にするAの母親が生活をしている
A名義の自宅は、買換特例の適用対象となります。
根拠は、措置法通達31の3-6に規定されています

ポイントは以下の2点です
(1) 当該家屋は、当該所有者が従来その所有者としてその居住の用に供して
   いた家屋であること。
⇒Aは父親から相続により取得して平成元年から20年まで居住の用に供していました。
  

(2) 当該家屋は、当該所有者が当該家屋をその居住の用に供さなくなった日
   以後引き続きその生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること。
⇒Aは母親の生活費をすべて負担していました。

(3)(4)の内容は今回は割愛します

次に2つ目の論点ですが、今回の事例の場合は残念ながら該当しません
根拠は、措置法通達36の2-17に規定されています

ポイントは以下のとおりです

『買換資産を当該個人の居住の用に供したかどうかについては、
 買換資産である土地等については、当該土地等の上にあるその者の有する家屋
 をその者が居住の用に供したときに、当該個人の居住の用に供したことになる
 ことに留意する。』
⇒今回の事例では、Aが新居で生活するのは5年以上先の予定なので該当しません

以上より、今回の事例では買換特例を適用できません。
自宅を買換えする際の税務は、複雑ですので十分にご注意ください


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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.08.11更新

<事例>
消費税増税が成立しました。消費税が増税になる前に自宅の買換えを
検討する方が増えると思います。そこで今回は、すこし複雑な買換え特例の
パターンを検討してみます

ABの兄弟は、15年前に2階建ての2世帯住宅共有名義で購入しました。
その後15年間兄のAは、1階で家族とともに生活をしていました。

ところが、弟のBは5年目に関東へ転勤することになったため
家族とともに転勤先で賃貸マンション生活をすることになりました。
転勤の期間中、2階部分についてはBが他人に賃貸し家賃収入を得ていました。


その後Bは8年間の転勤生活を終えて、家族とともに2階部分での生活を
再開しました。 しかし、その2年後にABともにこの2世帯住宅を売却して
それぞれが新居を購入することになりました。

このような事例の場合に、どのような所得税の特例を適用できるのでしょうか

<解説>
一般的に、居住用不動産を売却する場合に適用できる特例としては

・3000万円の特別控除
・長期居住用不動産の軽減税率
・特定居住用財産の買換え特例

この3項目が考えられます。ABそれぞれの立場で上記特例が適用可能か
どうかの確認をします

・まず特定居住用財産の買換え特例ですが最初に確認すべき適用要件は
『売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において
 売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。』

この点に着目すると、兄のAは15年間引越しをしていないので適用できますが
Bは、途中で転勤があったため居住期間が7年間しかなく適用できません。

なお、詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3355.htm
(措法36の2、36の3、措令24の2、措規18の4)

・次に3000万円の特別控除ですが、
この制度には居住用不動産の所有期間・居住期間の制限がありませんので
Bは、3000万円の特別控除を適用することができます。

一方でAは、上記の特定居住用財産の買換え特例と3000万円特別控除の
重複適用は認められていませんので、どちらかを選択する必要があります

詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm
(所法33、措法35、措令20の3、23、措規18の2、措通31の3-2)

・最後に長期居住用不動産の軽減税率ですが
この特例の適用要件のポイントは、所有期間であって居住期間ではありません
『売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間が
 ともに10年を超えていること。』

したがって、弟Bは3000万円の特別控除と、この長期居住用不動産の
軽減税率を併せて適用することができます

しかし、この特例も特定居住用財産の買換えとの併用ができません。
兄Aは、ここでもどの特例を適用するのかを選択する必要があります

詳細な適用要件は下記URLでご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3305.htm

このように、居住用不動産を売却した場合の所得税の計算には
複雑な特例の適用要件の判断が必要となってきます。

実際に売却を検討する際には、事前に特例の適用要件を
充分に確認の上で資金繰りを計算する必要があります。


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投稿者: 近江清秀公認会計士税理士事務所

2012.08.05更新

<事例>
甲と乙の夫婦は、夫である甲所有の自宅で甲の収入で生活を営んでいました
妻である乙は、国民年金の収入のみです

乙は、数年前から軽度の認知症となったため甲だけでは介護が難しくなったため
近所の介護付き有料老人ホームの単身用の部屋に入居しました。

このホームは、入居者が死亡するか契約を解除するまで継続して介護を受けて
生活することができるので、甲は安心して任せることにしました

入居に関する一時金1000万円と、その後の月額サービス料20万円はすべて
夫である甲の預貯金から支払っていました。

入居一時金は、60ヶ月で均等償却する契約になっています。60ヶ月未満で
死亡あるいは解約すると未償却残高が返還されます。一方、60ヶ月を超えて
死亡あるいは解約すると一切返還金はありません。

しかし、夫である甲は妻乙が有料老人ホームに入居後まもなく死亡しました
さて、この場合妻乙の有料邦人ホームの入居一時金に関する相続税・贈与税の
扱いはを教えてください

<解説>
有料老人ホームに入居している場合の入居一時金の取扱や
小規模宅地の特例の適用については、様々な論点がありますが今回は
入居一時金を負担した夫が先に死亡した場合の論点を解説いたします

まず、夫甲が死亡した場合でも妻乙は引き続きホームで生活を継続しています
ので入居一時金の返還はありえません。

従いまして、入居一時金の未償却残高を甲の相続財産として算入する必要は
ありません。

次に、甲が乙の入居一時金を負担した事実が贈与税の課税対象として扱われるか
どうかが論点になります

つまり甲が乙の入居一時金を負担した事実が

1.扶養義務の履行に該当するかどうか
2.扶養義務の履行の範囲を超えるものであっても扶養義務者相互間において
  生活費に充てるために通常必要と認められるものであるかどうか

という2つのポイントを確認する必要があります。

まず相続税法第1条で配偶者は扶養義務者であることを定めています
しかし、有料老人ホームの入居一時金の全額を負担する行為が扶養義務の履行の
範囲であるかどうかは意見が分かれるようです

次に、仮に入居一時金が扶養義務の範囲を超えた行為であると考えた
場合であっても、相続税法21条の3第1項第2号に以下のように定めています

『扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした
 贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの』は、贈与税の課税価格
に算入しない。

つまり、今回の甲が乙の入居一時金を負担した行為が、扶養義務者間相互において
生活費に充てるために通常必要と認められるものの範囲と考えられれば
贈与税の課税対象となりません。

この点につきましては、裁決事例としては上記条文を適用して
贈与税の非課税財産と判断した事例と、上記条文の適用外として
贈与税を課税した事例と見解が分かれているようです

なお、上記条文の適用外として贈与税の課税対象とした事例では
入居一時金が1億円を超えている事例です

入居一時金の負担については、税務の判断によって贈与税・相続税の
税額に大きく影響を与えますので事前に税の専門家である税理士に
ご相談ください



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