意外と知られていませんが、祖父から孫に大学の学費を贈与しても
贈与税が課税されないってご存知でしたか?
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祖父が孫の大学の学費全額を贈与しても贈与税は課税されません。
意外と知られていないので、根拠となる条文を明示しながら解説します。
まず最初に、相続税法では「贈与税の非課税財産」を明確に定めています
「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与
により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」(相続税法21条の3第1項2号)
さて、ここで気になるのが以下のポイントだと思います
1.「扶養義務者間」って?今回の祖父と孫の関係は該当する?
2.「教育費」って?義務教育だけじゃないの?
3.「通常必要と認められるもの」って?
以上のポイントについて簡単に解説いたします。
1の「扶養義務者間」ですが、相続税法第1条の2第1号で配偶者や直系血族を
扶養義務者と定めています。つまり、今回の祖父と孫は相続税法で定める扶養義務者に
該当するので問題ありません。
また、扶養義務者間に扶養の優先順位は法律で定められていません。
2の「教育費」とは、相続税法基本通達21の3-4で「被扶養者の教育上通常
必要と認められる学資、教材費、文具等をいい、義務教育費に限らないので
留意する」と定められています。
3の「通常必要と認められるもの」とは、相続税法基本通達21の3-6で、
「被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当
と認められる範囲の財産をいうものとする」と定められています。
以上のポイントから
父親が健在であっても、祖父から孫への大学の学費を贈与しても
贈与税は課税されません。
ただし、孫の大学の学費という名目で父親への贈与があり
実際には父親が大学の学費を支払わず家計の足しにした場合は、
贈与税の課税対象となってしまいます。
さらに、大学の学費とせずに父親が生活費の足しにしていた場合には
相続発生時に特別受益に該当する可能性があるので、ご注意ください。