<事例>AさんとBさんは、Aさんが長期にわたり保有しているX土地500㎡
とBさんの保有しているY土地350㎡との交換を話し合っています
Aさんの土地は、バブル期以前から保有している土地ですがBさんの土地は
2年前に取得した土地です
AさんとBさんは、地目がいずれも宅地で時価もほぼ等価なので交換の特例
が適用できると考えています。
しかし、BさんがX土地を2年前に取得していて、そのことについて
「Bさんが交換のために取得したことではないこと」の立証が困難であると
考えています。
このような場合に、交換の特例は適用できるでしょうか。
<解説>
今回は、交換特例の適用要件のひとつである
「交換のために取得したものではないこと」という要件について確認します。
結論から申し上げますと、今回の事例で交換特例は問題なく適用できます。
交換特例を適用するに当たって、交換の対象となる資産について
双方ともに1年以上の所有期間で、交換目的で取得したものではないこと、
という条件を満たさなければなりません。
しかし、「交換目的で取得したものではないこと」という要件を
客観的に立証することは困難です。
そこで、昭和40年の改正時に「1年以上所有していること」という要件を
追加することによって、客観的に「交換目的で取得したものではないこと」
を判定することにしました。
交換の特例を適用するに当たっては、留意すべき事項が数多くありますので
税の専門家である税理士に是非相談してください。
固定資産の交換特例の概要については、国税庁の下記HPで
ご確認ください
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3502.htm
1 制度の概要
個人が、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、
譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。
2 特例を受けるための適用要件
(1) 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること。
不動産業者などが販売のために所有している土地などの資産(棚卸資産)は、
特例の対象になりません。
(2) 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物
のように互いに同じ種類の資産であること。この場合、借地権は土地の種類に含まれ、
建物に附属する設備及び構築物は建物の種類に含まれます。
(3) 交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。
(4) 交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、
かつ交換のために取得したものでないこと。
(5) 交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
この用途については、次のように区分されます。
交換譲渡資産の種類と区分
土地⇒ 宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他
建物⇒ 居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用
(6) 交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、
これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。
また、交換の適用要件の(5)については所得税法基本通達58-6で以下のように
定められています
(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかの判定)
法第58条第1項に規定する資産を交換した場合において、取得資産を譲渡資産
の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかは、その資産の種類に応じ、
おおむね次に掲げる区分により判定する。
(平20課資3-4、課個2-33、課審6-18改正)
(1) 土地 宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分
(2) 建物 居住の用、店舗又は事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分
(注) 店舗又は事務所と住宅とに供用されている家屋は、居住専用又は店舗専用若しくは
事務所専用の家屋と認めて差し支えない。
(3) 機械及び装置 その機械及び装置の属する減価償却資産の耐用年数等に関する
省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の
耐用年数省令別表第2に掲げる設備の種類の区分
(4) 船舶 漁船、運送船(貨物船、油そう船、薬品そう船、客船等をいう。)、
作業船(しゅんせつ船及び砂利採取船を含む。)、その他の区分
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