配偶者居住権等を創設へ
法制審議会民法(相続関係)部会は平成28年6月に
「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」
をとりまとめました
その後,民法(相続関係)等の改正に関する要綱案の
たたき台が検討されてきました。
今回、要綱案がとりまとめらましたが
たたき台から内容を修正した項目もあります
例えば要綱案のたたき台では“配偶者居住権”について
建物所有者の承諾があればその譲渡を認めていましたが
要綱案では配偶者居住権の譲渡を禁止しています。
以下で、民法改正の要綱案の一部を抜粋して
ご紹介します
配偶者の居住権を保護するための方策
〇配偶者の居住権を長期的に保護するための方策
(配偶者居住権の創設)
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に
相続開始時に居住していた場合において
配偶者居住権が遺贈の目的とされたときなどは
その居住していた建物の全部を無償で使用収益
する権利(配偶者居住権)を取得する。
遺産分割に関する見直し等
〇配偶者保護のための方策
(持戻し免除の意思表示の推定規定)
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が
他の一方に対してその居住の用に供する建物又は敷地を
遺贈又は贈与したときは、民法第903条第3項の持戻し
免除の意思表示があったものと推定し
遺産分割において原則として当該居住用不動産の価額
を特別受益として扱わずに計算できるものとする。
〇家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払戻しを認める方策
共同相続された預貯金債権の権利行使について
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち
相続開始時の債権額の3分の1に共同相続人の
法定相続分を乗じた額
(預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする)
については単独でその権利を行使できる。
その権利行使した預貯金債権は、共同相続人が
遺産の一部分割により取得したものとみなす。
遺留分制度に関する見直し
〇遺留分減殺請求権の効力及び法的性質の見直し
遺留分権利者及びその承継人は受遺者又は受贈者に対し
遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
〇遺留分の算定方法の見直し
相続人に対する贈与は相続開始前の10年間にされたものに限り
その価額を,遺留分を算定するための財産の価額に算入する。