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2019.01.05

【遡って受給した公的年金の所得の帰属年度】

【遡って受給した公的年金の所得の帰属年度】

[相談]
 私は、ある会社の役員をしております
(60歳のときに役員に就任しました)。

役員就任以降、毎月50万円の役員給与を受給し
厚生年金に加入していたことから公的年金は

一切受給できない(在職老齢年金)ものと思い
これまで公的年金を受給するための手続き
(裁定請求)をしていませんでした。

ところが、70歳になる今年
役員を退任することとなったため

管轄の年金事務所に裁定請求をしたところ
「老齢基礎年金(国民年金)」は役員給与

を受給していても支給停止されないので
65歳になってからの過去5年分の老齢基礎
年金を支給する、との説明を受けました。

この場合、私は一度に5年分の老齢基礎
年金を受給することになりますが

この5年分の年金収入は
受給した年の所得となるのでしょうか。

[回答]
ご相談の場合、一度に支給された老齢基礎年金は
それぞれ本来の支給期日の属する年分の収入金額

となるため、過去それぞれの年分の課税所得が
再計算されることになります。

[解説]
1.在職老齢年金とは
 我が国の公的年金制度は、基本的には、国内に
住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する

「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務してい
る人が加入する「厚生年金」の2階建ての構造になっています。

一定の年齢に達したことを支給自由とする公的年金
(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の受給開始年齢は

原則的には65歳からですが、今回のご相談の場合のように
公的年金を受給できる70歳未満の人が会社に勤務し

厚生年金保険に加入している場合など一定の場合には
「老齢厚生年金の額+給与やボーナスの額」に応じて

老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となることがあります。
この年金の仕組みのことを、「在職老齢年金」といいます。

ただし、この在職老齢年金によって支給停止となるのは
「厚生年金(2階)」部分だけで、「国民年金(1階)」
部分はその対象とはされていません。

このため、給与を受給すると公的年金すべてが
支給停止になると勘違いをしてしまっていた場合

後になって、過年度において受給できた年金
(国民年金)をまとめて支給されることがあるのです。

2.公的年金収入による所得の帰属する年度
 公的年金給付の受給権は、法律の定める受給要件
(年齢など)を満たした時点で年金を受給する

基本的な権利(権利)が発生し、その後
法律に定める各支給期日が到来することによって

実際に年金を受け取る権利(支分権)が発生します。
公的年金の受給権者は、裁定請求をすればいつでも

年金の支給を受けることができることから
税務上は、その支給期日が到来した時点の所得

として計上することを原則としています。
また、裁定請求の遅延によって過去にさかのぼって

支払われる公的年金については、法律で定められた
公的年金の各支給日の所得として計上することと

されています。
したがって、今回のご相談の場合のように

過年度に受給すべきであった公的年金を一時に
受給した場合には、それぞれ本来の支給期日の属

する年分の収入金額とされ
それぞれの年分の課税所得を再計算することになります。

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